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登壇者紹介 田中 優貴 2021年 ABEMA 中途入社 本大会は日本側の Technical Manager を担当 総合編成本部 技術局 / 開発本部 開発局

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セッション内容 ★ 国際伝送 現地制作 番組制作/配信/収録/即時編集 カタール 国内 制作拠点 クラウド ユーザー

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セッション内容 生配信システム カタール 国内 制作拠点 オンデマンド システム 「見逃せない戦い」を余すことなくプラットフォームに送り込む MAMシステム 番組制作
 収録
 即時編集
 配信
 伝送
 中継制作


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アジェンダ 1. 途切れさせない映像伝送 2. 効率的なマルチアングル制作 3. 収録・編集のクラウド連携

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途切れさせない映像伝送

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主な素材(カタール側) ESF Extended Stadium Feed EBIF Extended Basic International Feed Tactical & Additional Content TeamA TeamB PlayerA PlayerB FAN Feed Beauty Router Out x4 One-Camera Package OB-VAN スイッチング済みの試合映像 マルチアングルや編集用の映像 ピッチサイドでのリポートなど ホスト提供 独自映像 現地中継制作した場合の映像など IBC Booth ×2 (Match-A/C、Match-B/D) ESF Extended Stadium Feed EBIF Extended Basic International Feed Tactical & Additional Content TeamA TeamB PlayerA PlayerB FAN Feed Beauty Router Out x4

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一般的なサッカー放送での国際伝送 現地 日本 IBC 放送局 放送 現地で放送に使う映像をある程度精査し、限られた回線で伝送する

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本大会での取り組み マルチアングル放送 全試合放送

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本大会での取り組み マルチアングル放送 全試合放送 最低でもアングル数分の 映像伝送が追加で必要 アングル数 同時キックオフ時は 倍の伝送が必要 2

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本大会における映像伝送 現地 日本 IBC ABEMA 配信 ABEMA制作拠点にはカタールから 13回線引き込み 配信 13

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考慮される障害の例 ● 専用線(海底ケーブル)の物理的損傷 ● 通信品質のゆらぎ ● キャリア内 中間設備の故障 ● 映像エンコーダー、デコーダーの故障 ● 停電などによる拠点障害 異経路 冗長 機器 冗長 拠点 冗長

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伝送経路 安定度 コスト 専用線 高 専用線同士の無瞬断冗長も可能 高 インターネット 中 伝送拠点の回線品質による 回線混雑の影響やルートによって変動がある 低 インターネット + モバイル回線 中 個々の回線障害に対する安定は高まるが 遅延量が大きくなる可能性がある 低 衛星 高 まれに気象状況に影響を受けることがある 費用によって帯域幅が左右される 高

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伝送系統 全体概要 EX 六本木放送センター 親サブ① 親サブ② 回線センター 東京スタジオ (EX 放送用) 4回線 ▶ ◀ 2回線 8回線 ▶ 2回線 ▶ 衛星 専用線 9回線 ▶ ◀ 3回線 4回線 ▶ クラウド 公衆網+ モバイル回線 Host IBC International Broadcast Center ESF Tactical&Add TeamA TeamB PlayerA PlayerB FAN Feed Beauty EBIF ESF Tactical&Add TeamA TeamB PlayerA PlayerB FAN Feed Beauty EBIF HBS_RTR1~8 VandA→ ←VandA One-camera Package VandA→ OB-VAN ABEMA シャトーアメーバ 親サブ③ 親サブ④ 収録センター 回線センター オンデマンド編集室 VTR用編集室 東京スタジオ マルチアングル配信 パブリック ビューイング伝送 SNS向け配信 ▶ 公衆網

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伝送系統 試合本線 ABEMA 衛星 クラウド 公衆網+ モバイル回線 Host IBC ESF Tactical&Add TeamA TeamB PlayerA PlayerB FAN Feed Beauty EBIF ESF Tactical&Add TeamA TeamB PlayerA PlayerB FAN Feed Beauty EBIF HBS_RTR1~8 VandA→ ←VandA One-camera Package VandA→ OB-VAN EX ENC-a ENC-b 通信キャリア DEC-a DEC-b ロンドン 香港 専用線 ▶ 公衆網

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伝送系統 試合本線 ABEMA 衛星 クラウド 公衆網+ モバイル回線 Host IBC ESF Tactical&Add TeamA TeamB PlayerA PlayerB FAN Feed Beauty EBIF ESF Tactical&Add TeamA TeamB PlayerA PlayerB FAN Feed Beauty EBIF HBS_RTR1~8 VandA→ ←VandA One-camera Package VandA→ OB-VAN EX ENC-a ENC-b 通信キャリア DEC-a DEC-b ロンドン 香港 専用線 ▶ 公衆網 演出的要素を すべて実現可能 演出の制約多いが 直接クラウドへ 安定度は下がるが 別素材・別経路 別素材・別経路 1 3 4 5 演出的要素を すべて実現可能 2

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大会を終えて ● すべての放送で本命の専用線映像を使用 ○ 経路上の障害は何度か発生したが無瞬断切り替えのためユーザー影響は無かった ● 編集用素材としては衛星回線の映像も使用 ● クラウドへの直接伝送はクラウド制作に向けた検証にもなった

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効率的なマルチアングル制作

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マルチアングル配信 ● 全試合でマルチアングル配信を実施 ● 本線 + 3アングル + マルチビューを基本とし、日本戦ではアングルを追加 試合本線 チームA チームB 全体カメラ 試合本線 チームA チームB 全体 カメラ マルチビュー

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マルチアングル配信 ● アングル数(基本:本線 1 + サブアングル 3 + マルチビュー 1) ● 放送中に映像回線間の切り替えがある ● サブアングルは解説などは足さずに現地の音声をそのまま伝える 要件

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マルチアングル配信 マルチアングル映像の配信場所 検討1

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配信場所の検討 カタールからの直接配信 メリット ● 伝送回線数に縛られず、あらゆる映像素材にアクセスできる ● 伝送回線数を減らせる(構築する費用が削減できる)   懸念 ● アングル数分の配信用回線の確保 ● アングル数分のエンコーダーなど映像・配信機材の輸送、設置場所、電力の確保 ● アングル数分の収録機材の確保 ● 収録した映像のクラウドアップロード用高速回線の確保 ● オペレーションスタッフ(技術・制作)の現地滞在 ① 輸送や通関、IBC内のエリア確保の期限が早いため配信要件が固まらないと決断できず ② マルチアングル用映像を編集素材として扱うには日本まで伝送した方が効率的 ③ 生配信の仕組みの変更範囲がこの時点で不明瞭

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マルチアングル配信 試合本線とサブアングルをどう切り分けるか 検討2

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サブアングルの切り分け すべて同じ場所で実施? ● CMはメインアングルもサブアングルも同時に挿入される ● マルチビューを制作する必要があるため、サブアングル制作場所にもメインの映像が必要 しかし・・・ ● 親サブは試合本線の制作に集中しておりサブアングルまで演出することは出来ない ● スペース的に実質5番組分の機材を 1つの場所に集約することはできない 別場所で実施するができる限り効率的な体制を組む必要がある

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マルチアングル配信 堅牢で効率的なマルチアングル配信手法 検討3

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通常の映像制作系統 映像/音声 スイッチャー 映像/音声 スイッチャー 映像/音声 スイッチャー マルチビュー作成 配信エンコーダー 親サブ 監視 Moni 監視 Moni 監視 Moni 監視 Moni 映像/音声分配器 1. コストの増加 2. 障害ポイントの増加

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シャトーアメーバ 既存スイッチャーでの系統 映像 スイッチャー マルチビュー作成 配信エンコーダー 親サブ 監視 Moni 機材数が増える=障害ポイント増 音声ミキサー 映像/音声分配器 DEMUX MUX MUX MUX MUX

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バージョンアップ後の系統 映像 スイッチャー マルチビュー作成 配信エンコーダー 親サブ 監視 Moni

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実現されたこと ● 少人数での効率的なオペレーション 技術スタッフ1名、制作スタッフ1名でのオペレーション ● コスト効率化 当初見込みの半分程度の費用 ● 障害ポイントを極力減らした安定運用 バックアップ系統も構えていたが、全 64試合で一度も乗り換えず

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収録・編集のクラウド連携

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これまでの収録・編集 ● 放送済み番組のアーカイブ用途での収録のみ ● 物理メディアを使用した収録のため放送が終わらないと編集が行えない ● 社内での編集は必要箇所の切り出しや CM部分のカット程度

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本大会における制作要望 ● 編集に使えるよう伝送されるすべての映像を収録したい ● 素材流出を防ぐため外付けメディアを使用した運用は排除したい ● 試合終了後、即時にハイライトをオンデマンドコンテンツとして掲載したい ● それ以外にも多数のコンテンツを制作したい

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検討事項 収録機材、ストレージ、ネットワーク機器などの確保リミットは7月中旬 ● 設備選定の方向性 ○ 検討・検証期間が無い ➡ 国内でも実績のある放送機器 ● 収録コーデック ○ ビットレートと画質のバランスや編集ソフトとの相性 後段にあるオンデマンドのワークフローとの親和性 ➡ XDCAM HD422 ● 収録系統数、ストレージの容量・帯域 ○ 収録系統数・編集台数・クラウド転送台数から算出 ➡ 制作チーム側の編集体制が固まらないと確定できず   国際伝送13回線 + 親サブ黒・白 x 2 + 予備 1 の18回線収録と仮定し、   技術側で系統数を提案し以降はベストエフォートでの対応 ハードウェア

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検討事項 ハードウェアの調達と並行して運用を想定した制御周りの検討・開発 ● スケジュール制御 ● ファイル名の自動生成 ● ステータスの一括取得 ● 24時間体制の運用を新たに設計 ● 収録業務に対応できる人材の確保 ソフトウェア 運用

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収録からのワークフロー 全体概要 映像収録機器 ストレージ 収録制御 aws 編集機 クラウド 編集機 クラウド 編集機 クライアント 収録素材アップロード 伝送素材ダウンロード 編集済み映像 アップロード 「クラウドを活用した ハイライト映像制作フロー」 のセッションで詳しく紹介 素材管理 システム 納品 システム

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ワークフロー 全体概要 映像収録機器 ストレージ 収録制御 aws 編集機 クラウド 編集機 クライアント 収録素材アップロード 伝送素材ダウンロード 編集済み映像 アップロード 「クラウドを活用した ハイライト映像制作フロー」 のセッションで詳しく紹介 素材管理 システム 納品 システム クラウド 編集機

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スケジュール制御 手動制御 伝送開始〜終了まで収録 ⇨2日後消去 親サブ① 黒 親サブ① 白 親サブ② 黒 親サブ② 白 ESF-A/C ESF-B/D EBIF-A/C EBIF-B/D ABEMA-1〜8 ABEMA-1〜8 ABEMAユニ 予備 ビデオサーバー XDCAM Recorder XDCAM Recorder XDCAM Recorder XDCAM Recorder XDCAM Recorder XDCAM Recorder XDCAM Recorder XDCAM Recorder XDCAM Recorder XDCAM Recorder XDCAM Recorder XDCAM Recorder XDCAM Recorder SD Card Recorder SD Card Recorder SD Card Recorder SD Card Recorder SD Card Recorder SD Card Recorder SD Card Recorder SD Card Recorder SD Card Recorder SD Card Recorder SD Card Recorder ストレージ 素材管理システム (クラウド) 収録中リアルタイム転送 (追いかけ編集) ハーフタイム・試合後に転送 転送 ハードウェア詳細 映像信号 映像収録機 ストレージ 編集機

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ローカル 追いかけ編集可 ローカル 追いかけ編集可 親サブ① 黒 親サブ① 白 親サブ② 黒 親サブ② 白 ESF-A/C ESF-B/D EBIF-A/C EBIF-B/D ABEMA-1〜8 ABEMA-1〜8 ABEMAユニ 予備 素材活用の時間軸( 事前想定) ローカル&クラウド 編集可 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ -3H -2H -1H 0 +1H +2H +3H +4H +5H +6H +7H +8H +9H +10H +11H +12H +13H KickOff 放 送 開 始 伝 送 開 始 放 送 終 了 伝 送 終 了 クラウド 転送作業 ローカル&クラウド 編集可 ローカル 編集可 クラウド 転送作業 ローカル 転送作業 収録中 ローカル&クラウド 編集可 ローカル編集可 クラウド転送作業 ローカル 編集可 クラウド 転送作業 ローカル 転送作業 収録中 (H=時間)

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素材の集約高速化 ● ネットワーク設計の見直し ○ XDCAM レコーダーのつながるスイッチを用途別に二つに分ける ○ 素材転送を行う管理マシンをエッジスイッチからコアスイッチに変更 ● 管理マシンの1台増設 ● オペレーションの見直し ○ 制作側と相談の上、素材の分割頻度を上げる ○ XDCAM レコーダーからの転送を収録完了後ではなく、収録中にグローイングファイル の状態で開始する

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ローカル 追いかけ編集可 ローカル 追いかけ編集可 ローカル 転送作業 親サブ① 黒 親サブ① 白 親サブ② 黒 親サブ② 白 ESF-A/C ESF-B/D EBIF-A/C EBIF-B/D ABEMA-1〜8 ABEMA-1〜8 ABEMAユニ 予備 素材活用の時間軸(変更後) ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ -3H -2H -1H 0 +1H +2H +3H +4H +5H +6H +7H +8H +9H +10H +11H +12H +13H KickOff 放 送 開 始 伝 送 開 始 放 送 終 了 伝 送 終 了 クラウド 転送作業 ローカル 編集可 クラウド 転送作業 収録中 ローカル編集可 クラウド転送作業 ローカル 転送作業 収録中 ローカル&クラウド 編集可 ローカル&クラウド 編集可 ローカル&クラウド 編集可 ローカル 編集可 クラウド 転送作業 (H=時間)

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大会を終えて ● 収録事故ゼロ ○ バックアップ収録を使用することもなかった ● 当初見込み以上に素材のスピード感が求められた ○ 期間中に運用の修正を迅速に行うことでそれに対応できた ● ストレージ ○ 容量は64TB確保していたが 最終日には残り数TBにまで迫っていた ○ 帯域にはまだ余裕があったがネットワークの帯域が一部ボトルネックになった

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振り返りと今後

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時系列 技術設計 3月 11月 7月 5月 9月 4月 6月 8月 10月 大会放送の発表 収録の要望 収録・編集 マルチアングル フルバーチャル構想 技術設計 バーチャルセット 設備構築 放送拠点 要件定義 開幕 伝送 設備構築 設備構築 コンテンツ制作 ・検証 設備構築 IBC設備等締切 番組制作拠点検討 カタール〜日本 伝送手法検討 要件定義 HW発注締切 要件定義 制御ソフト開発・検証 HW構成検討 技術設計 新バージョン検証 調達 クラウド伝送検証

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今後の取り組み方向 ● 国をまたいだリモートオペレーションの本格化 ○ 伝送回線の効率利用、人員の適正配置 ● よりシームレスな収録素材のクラウド連携 ○ クラウドもローカル同様のタイミングで素材を得られる仕組み ● クラウド内での本格的な生放送番組制作 ○ クラウド制作だからといって演出を諦めない ○ 物理的な機材数、機材の場所に縛られない

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