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GraphQLにおけるクライアントキャッシュ戦略 2023.03.15リクルート × BASE × バイセル 【第1回フロントエンド勉強会】React & GraphQL 2023.03.15

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自己紹介 名前:早瀬和輝 出身:愛知県名古屋市 経歴:BuySell Technologiesに2021年に新卒入社 趣味:開発、マンガ、アニメ、ベース、バスケ Twitter:@KazukiHayase

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はじめに ● 今回話すのはクライアント側のキャッシュについて ● CDNなどのキャッシュについては触れないです

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アジェンダ キャッシュの仕組み 01 キャッシュにおける課題 02 課題解決へのアプローチ 03 まとめ 04

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アジェンダ キャッシュの仕組み 01 キャッシュにおける課題 02 課題解決へのアプローチ 03 まとめ 04

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キャッシュの仕組み ● いくつかのGraphQL Clientにはキャッシュ機構が備わっている ○ Apollo Client, Relay, urql ● キャッシュを活用することで無駄なリクエストが減る ● そのためにはキャッシュ機構の正しい理解が必要

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キャッシュ機構において重要な要素 データの正規化 01 キャッシュの 利用条件 02

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データの正規化 ● レスポンスデータは正規化されてキャッシュに保存される ● 正規化することで ○ キャッシュへのアクセスが早くなる ○ データサイズを小さくすることができる

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正規化の流れ 1. Queryの結果を個別のオブジェクトに分割 2. 分割したオブジェクトに一意な識別子を割り当て 3. フラットなデータ構造に格納

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正規化の流れの例 右図のような SchemaとQueryを考える ※ Apollo Clientを例に解説しますが、 他のClientでも大枠の流れは同じです

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正規化の流れの例 Queryの実行結果として 右図のようなレスポンスを受け取る

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正規化の流れの例 1. Queryの結果を個別の オブジェクトに分割 2. 分割したオブジェクトに一意 な識別子を割り当て 3. フラットなデータ構造に格納

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正規化の流れの例 1. Queryの結果を個別の オブジェクトに分割 2. 分割したオブジェクトに一意 な識別子を割り当て 3. フラットなデータ構造に格納 Task:1 Task:2 Task:3

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正規化の流れの例 1. Queryの結果を個別の オブジェクトに分割 2. 分割したオブジェクトに一意 な識別子を割り当て 3. フラットなデータ構造に格納

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キャッシュの利用条件 ● データが全てキャッシュにある場合はキャッシュを利用 ● 一部でもデータがキャッシュにない場合はリクエストを実行

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キャッシュの利用条件 ● FetchTasks→FetchTasks2 ○ キャッシュが利用できない ○ リクエストは2回 ● FetchTasks2→FetchTasks ○ キャッシュが利用できる ○ リクエストは1回

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アジェンダ キャッシュの仕組み 01 キャッシュにおける課題 02 課題解決へのアプローチ 03 まとめ 04

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キャッシュにおける課題 一部でもデータがキャッシュにない場合はリクエストが実行される Queryの定義によっては全くキャッシュが利用されない

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キャッシュにおける課題 逆に常にキャッシュが利用されるようにしようとすると 考慮するべきことが多い

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キャッシュにおける課題 仮に常にキャッシュが利用されるようにしようとすると ● Queryの実行順序を工夫する ● オブジェクト単位でQueryをまとめる ● アプリケーション全体でQueryを使い回す

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できなくはないが、、

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個人的にはデメリットの方が大きいと判断

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キャッシュにおける課題 ● Queryの実行順序を工夫する ○ →実行順序まで考慮するのは現実的ではない ● オブジェクト単位でQueryをまとめる ○ →オーバーフェッチにつながる、RESTとほぼ変わらない ● アプリケーション全体でQueryを使い回す ○ →Query変更時の影響範囲が広い

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アジェンダ キャッシュの仕組み 01 キャッシュにおける課題 02 課題解決へのアプローチ 03 まとめ 04

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課題解決へのアプローチ ページ単位での キャッシュ最適 化 01 データを 3種類に分類 02

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ページ単位でのキャッシュ最適化 ● ページ単位でキャッシュ最適化を考える ● アプリケーション全体でのキャッシュの利用は考慮しない ○ Queryによってはキャッシュが利用される場合もある

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ページ単位でのキャッシュ最適化 ページを跨いだキャッシュの利用を考慮しないことで ● ページで使用するデータを宣言的に定義できる ○ GraphQLの良さを最大限活かす ● ページ同士が疎結合になる ○ Queryの変更の影響範囲が閉じる

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データを3種類に分類 データを3種類に分類して、分類ごとにQueryを定義 することでキャッシュを利用しやすくする

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データを3種類に分類 コンテンツデータ マスタデータ 汎用マスタデータ 01 02 03

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コンテンツデータ ● コンテンツ表示用のデータ ● アクションに応じてQueryを定義する ○ e.g. 初回表示、検索、モーダル ○ 1ページに複数のQueryが定義されていることもある ● 同じアクションであればキャッシュが利用される

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マスタデータ ● マスタデータやメタデータなどのシステム的に必要なデータ ● 最初のレンダリング時のみリクエストが必要 ● 2回目以降はキャッシュを利用する

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汎用マスタデータ ● 基本的には使用しない ○ コンテンツデータ・マスタデータのみの運用をまずは考える ● アプリケーション全体で利用するかつサイズの大きいデータ ● どうしてもアプリケーション全体でキャッシュしたい際に使用 ● オーバーフェッチを許容

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データ分類フロー ユーザーのアクションによって取得データが変わるか? コンテンツデータ マスタデータ 汎用マスタデータ Yes ページごとで重複して取得する事に パフォーマンス上の懸念があるか? No Yes No

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全体像 PageComponentA PageComponentA ContentQuery PageComponentA MasterQuery GeneralMasterQuery PageComponentB PageComponentB ContentQuery PageComponentB MasterQuery ページコンポーネントごとに コンテンツ・マスタデータのQueryを定義 汎用マスタデータのQueryは コンポーネントの外で定義

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データ分類の例 タスク検索画面

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コンテンツデータ ● タスクの検索結果のデータ ● 検索の度に表示内容が変わる ● 同じ検索条件ならキャッシュ を利用

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マスタデータ ● 検索で利用する選択肢データ ● 検索結果に関係なくデータは 同じ ● 初回以降はキャッシュを利用

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汎用マスタデータ ● 検索で利用する選択肢データ ● 数千規模のデータかつ 他の画面でも使うと仮定 ● この画面のみの利用であれば マスタデータに含める

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アジェンダ キャッシュの仕組み 01 キャッシュにおける課題 02 課題解決へのアプローチ 03 まとめ 04

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まとめ ● キャッシュの仕組みを踏まえた上での戦略 ○ ページ単位でのキャッシュ最適化 ○ データを3種類に分類 ● GraphQLの良さを生かしつつ、キャッシュも活用できる ● ただし懸念はある ○ 汎用データが増えすぎると今回紹介した課題が再度浮上する

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THANK YOU