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2023/12/04『アクセシビリティ改善 社内浸透の壁、どうやって乗り越える?』at freee ヤマップにおける アクセシビリティの現状 株式会社ヤマップ 齋藤ヒデ

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⾃⼰紹介 齋藤ヒデ 株式会社ヤマップ フロントエンドエンジニア/アクセシビリティリーダー 制作会社勤務やフリーランスを経て、2022年に株式会社ヤマップへジョイ ン。おもにフロントエンドエンジニアとして「YAMAP」Web 版の開発や保守 に携わりながら、デザインシステムや共通コンポーネント基盤の整備等にも 従事。「アクセシビリティの普及推進 = 社会運動」という思想のもと、⽇々 アクセシビリティの社内浸透に奮闘中。⼭と⾃転⾞と旅を愛してます。 ※「障害の社会モデル」の考え⽅にもとづき、本スライド内においては  「障がい」ではなく「障害」の表記を使⽤します。

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ヤマップについて 「地球と繋がるよろこび。」をパーパスに掲げ、⼈が⾃然経験を通して、地球環境とともに豊かにな ることに取り組んでいます。 ● 2013年3⽉1⽇ サービス開始 ● 社員数 106 名 運営事業の一例

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ヤマップでアクセシビリティに取り組む理由 「地球とつながるよろこび。」を すべての⼈へ

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地球とつながるよろこび。 ⼭を歩く。⾵⼟の中で遊ぶ。 そこで私たちが伝えたいのは「つながるよろこび」です。 ⼭があり、⾬が降り、川が流れ、海に注ぐ。 草⽊が芽吹き、命が育ち、あらゆるものが、ぐるぐるとめぐる。 その「つながり」の中に⾃分がいるという実感は、 何ものにもかえがたい、よろこびです。 だから、YAMAPはつくりつづけたい。 よろこびへとつながる、たくさんのきっかけを。 登⼭道で。いつもの道で。 旅で。⼈と⼈との⽀え合いの中で。 地球とつながるよろこびを、ともに体感するために。

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⼭は「健常者」だけのものではない ● 多くの障害者が⼭を楽しんでいる ○ 六つ星⼭の会 https://www.mutsuboshi.net/ ○ ⼭仲間アルプ https://www.npoalp.com/ ○ しろうまの会 http://www.shirouma.net/ ● 障害のある YAMAP ユーザーも少なくない ○ ユーザーを「障害」で検索した結果 ● ⼀⽅でそのようなユーザーの存在は「ほとんどない」ことにされている ○ まずはその存在を可視化する必要がある

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YAMAPは⼭のインフラになりつつある ● YAMAP アプリのダウンロード数は 360 万以上、MAU は約 60 万⼈ ○ 国内の登⼭⼈⼝約 600 万⼈のうち半数以上が利⽤している ● YAMAP のアクセシビリティの向上 = 障害者登⼭の安全性の底上げに直結 ● アクセシビリティ = 責任

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アクセシビリティ = ウェブの品質基準 ● ウェブ系プロダクトにおいてアクセシビリティは当たり前の品質 ○ 当たり前の品質に届いていないものを世に出してよいのかという問い ○ ユーザビリティの問題 = アクセシビリティの問題であることが多い ○ アクセシビリティを改善‧向上させると、結果としてユーザビリティが向上する

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どう取り組んでいるか? ヤマップにおけるアクセシビリティ

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インプット(啓蒙活動) ● ウェブアクセシビリティやっていき会 ○ ウェブ系プロダクトのエンジニアが集まって週1開催 ○ 座学やモブプロでの改善など ● 全社横断の勉強会 ○ 「困った!」を解決するデザインを種本に ● Braze アクセシビリティガイド講習会 ○ MA ツール「Braze」のアクセシビリティガイド講習会 ○ https://www.braze.com/docs/help/accessibility ● VoiceOver 体験会 ○ デザイナーやアプリ開発者に VoiceOver での読み上げを体験してもらう会

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インプット(啓蒙活動) なぜやるのか? ● 問題に気付き、⾃分ごとにできる⼈を増やしたい ○ 「何が」「誰にとって」「どのように」問題になるのかという視点のインストール ■ a.k.a. 「モヤモヤする⼈」 ■ 全員ができなくてもいいが、⾃分だけでも回らない… ● アクセシビリティ = ケア ○ ケアの4つの局⾯(J‧C‧トロント『ケアするのは誰か?』P.27) ■ 関⼼を向けること(Caring about) ■ 配慮すること(Caring for) ■ ケアを提供すること(Caregiving) ■ ケアを受け取ること(Care-receiving)

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アウトプット ● 開発環境の改善 ○ Markuplint や a11y 系チェックツール等の導⼊による仕組み化 ○ テスタビリティの向上 ● プロダクトの改善 ○ ウェブ系プロダクトを中⼼にマークアップやキーボード操作、スクリーンリーダー対応等 ● デザインシステムやコンポーネントライブラリへの反映 ○ 意識せずともアクセシブルになるような仕組み作りの⼀環 ● アクセシビリティリサーチチームの発⾜ ○ 障害のあるユーザーさんへのインタビューを実施 ○ 課題の発⾒〜改善提案までが⽬標

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現状 ● アクセシビリティの基本的な概念と重要性の浸透 ○ 「障害の社会モデル」への基本的な理解 ○ 「アクセシビリティは⼤事」という理解は浸透しており、活動に対する反発はない ● アクセシビリティを考慮した議論や実装の習慣化 ○ ウェブ系プロダクトを中⼼に当然考慮されるべきトピックに ● アクセシビリティ的なフィードバックへの納得感 ○ 論理的な裏付けのあるアクセシビリティ⾯のフィードバックに対する反応は概ね好意的

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課題 ● ⾃分ごと化 ○ 賛同は得られるが、主体性をもって動いてくれる⼈はなかなか増えない ● 仕組み化‧標準化 ○ 理想的には、課題の発⾒と対応は仕組み化されるべき ● 社内外への発信 ○ 改善内容が⼀部のメンバー以外に知られていない ● パーパスと接続し、ミッションにすること ○ アクセシビリティの検討や改善が「仕事」として認識される必要がある

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ありがとうございました! YAMAP アプリやウェブへのご意⾒‧ご要望があればぜひお聞かせください。