Slide 1

Slide 1 text

http://takaumada.com/ Takaaki Umada / 馬田隆明 http://takaumada.com/ 仮説の マップ・ループ リープ 仮説思考のプロセスについて

Slide 2

Slide 2 text

『解像度を上げる』に続き、スライドが本になりました 『解像度を上げる』の姉妹本 『仮説行動』発売中 2 第1部 仮説行動を理解する なぜ仮説は重要なのか 仮説行動の全体像 第2部 仮説を強くする 仮説を生成する 仮説を検証する 仮説マップを生成/統合する ループの停滞を回避する 第3部 仮説を現実にする 仮説を評価する 決断する 仮説を実行する 第4部 大胆な未来を実現する 影響度の大きな仮説を目指す 目次

Slide 3

Slide 3 text

Q. 3 仮説を考えるための プロセスは? (もし誰かにプロセスを説明するなら?)

Slide 4

Slide 4 text

A. 4 1.マップ 2.ループ 3.リープ を行動を伴って回すのが良いのでは

Slide 5

Slide 5 text

(1) 「仮説マップ」を描く まず最初に仮説の全体像をざっくりと描き、「何が分かってい ないのか」「どこを検証するべきか」をはっきりさせます。 5 マップ 仮説の全体像を ざっくりと描く 1

Slide 6

Slide 6 text

(2) 仮説検証のループを回す 仮説生成と検証のループを回し、学びを得ながら仮説と仮説 マップを修正します。 6 ループ 仮説生成と検証の ループを回す 2 マップ 仮説の全体像を ざっくりと描く 1

Slide 7

Slide 7 text

(3) リープという決断をして、仮説を正解にする リスクを取って仮説を選ぶ決断をして、仮説に基づいて実行し、 仮説を正解にします。 7 ループ リープ 仮説生成と検証の ループを回す 2 3 マップ 仮説の全体像を ざっくりと描く 1 リスクを取って 仮説を選び 行動して実現する

Slide 8

Slide 8 text

仮説の「①マップ ②ループ ③リープ」 仮説を扱うためのプロセスは、思考と行動を伴った ①マップ ②ループ ③リープのプロセスとまとめられます。 8 マップ ループ リープ 仮説の全体像を ざっくりと描く 仮説生成と検証の ループを回す リスクを取って 仮説を選び 行動して実現する 1 2 3

Slide 9

Slide 9 text

まずは ① マップから始める 最初は仮説マップを作るところから始めます。 9 マップ ループ リープ 仮説の全体像を ざっくりと描く 仮説生成と検証の ループを回す 1 2 3 リスクを取って 仮説を選び 行動して実現する

Slide 10

Slide 10 text

① マップ 10

Slide 11

Slide 11 text

アイデアは仮説 皆さんのアイデアは「仮説」です。 11 仮説

Slide 12

Slide 12 text

仮説の全体像(仮説マップ)をざっくりと描いてみる 通常、1 つのアイデア(仮説)は複数の下位仮説から構成され ます。この仮説の全体像(仮説マップ)を把握しましょう。 12 仮説 仮説 エビデンス 仮説 エビデンス エビデンス 仮説 エビデンス 仮説 エビデンス エビデンス 仮説 エビデンス エビデンス 仮説

Slide 13

Slide 13 text

13 (例) スタートアップの アイデアの場合…

Slide 14

Slide 14 text

例)スタートアップのアイデアを考えるとき スタートアップのアイデアを考えようとしたときには… 14 起業のアイデア (仮説)

Slide 15

Slide 15 text

起業のアイデアを構成する主な 3 つの下部仮説 アイデアは「価値仮説」「市場仮説」「戦略仮説」の主に 3 つ の下部仮説で構成されています。 15 この事業に 価値はあるか? 起業のアイデア (仮説) 価値仮説 市場仮説 戦略仮説 将来の市場は 十分に大きいか? どのような戦略で 進めるのか?

Slide 16

Slide 16 text

『価値仮説』はさらに細分化した下部仮説に分けられる 「価値仮説」は「顧客仮説」「課題仮説」「解決策仮説」「価 格仮説」に細分化ができ、これら全てに答える必要があります。 16 起業のアイデア (仮説) 顧客仮説 課題仮説 解決策仮説 価格仮説 価値仮説 市場仮説 戦略仮説 顧客は 誰か? 課題は 何か? 価格は いくらか? どう解決 するか?

Slide 17

Slide 17 text

アイデアを成立させるためには全体像を持つ必要がある この構成要素全ての仮説を用意するのが「アイデアを作る」こ とであり、この仮説の全体像が仮説マップとなります。 17 起業のアイデア (仮説) 顧客仮説 課題仮説 解決策仮説 価格仮説 価値仮説 市場仮説 戦略仮説 この全体像が 仮説マップ

Slide 18

Slide 18 text

18 自分のアイデアや事業の 『仮説マップ』を 持てていない人は多い

Slide 19

Slide 19 text

例)事業の仮説マップを持てていない研究者の場合 研究者や技術者は解決策の一部である「技術」だけをアピール するようなピッチをしがちですが…… 19 起業のアイデア (仮説) 顧客仮説 課題仮説 解決策仮説 価格仮説 価値仮説 市場仮説 戦略仮説 この技術は凄いから 凄い起業のアイデアに なるぞ……!

Slide 20

Slide 20 text

例)事業の仮説マップを持てていない研究者の場合 仮説マップを持つ投資家などからは、他の部分の仮説について 質問をされることもしばしばあります。 20 起業のアイデア (仮説) 顧客仮説 課題仮説 解決策仮説 価格仮説 価値仮説 市場仮説 戦略仮説 考えていなかったところを 突っ込まれてしまった… 顧客は誰? 課題は何? 価格は? 市場は大きい? どんな戦略?

Slide 21

Slide 21 text

新規事業で使われる仮説マップの例 以下のようなツールもアイデアを複数の仮説に分けて考えるも のであり、仮説マップの例と言えます(かなり粒度は粗いものですが) The Lean Canvas / The Value Proposition Canvas 21 Lean Canvas Running Lean などで紹介されているもの。 多くの仮説をカバーしている。ビジネスモ デルキャンバスをベースにしている。 Value Prop Canvas 特に課題仮説や解決策仮説を深く検討する ときの仮説群を整理している。

Slide 22

Slide 22 text

22 普段の業務でも 仮説マップが必要なシーンは多い

Slide 23

Slide 23 text

23 (例) 企画書・提案書の場合…

Slide 24

Slide 24 text

例)スライド 1 枚はエビデンス×推論による「仮説」 多くの 1 スライド 1 メッセージの構成は、中央にあるデータや 文章=エビデンスであり、メッセージ=仮説です。 24 仮説 エビデンス (データや文章) 推 論

Slide 25

Slide 25 text

例)一連のスライドは「仮説マップ」を構成している こうしたスライド全体は、何かしらのメッセージを支える「仮 説マップ」を構成していると考えられます。 25 仮説 エビデンス 推 論 仮説 エビデンス 推 論 仮説 エビデンス 推 論 仮説 エビデンス 推 論 仮説 エビデンス 推 論 仮説 エビデンス 推 論 仮説 エビデンス 推 論 仮説 エビデンス 推 論

Slide 26

Slide 26 text

例)「空パッケージ」=初期の「仮説マップ」 「空パッケージ」を最初に作るのは、仮説マップを作って、分 からないところや確信度が低い部分を浮き上がらせるためです。 26 仮説 すでにあるエビデンス 推 論 仮説 不足しているエビデンス 推 論 仮説 すでにあるエビデンス 推 論 仮説 不足しているエビデンス 推 論 仮説 不足しているエビデンス 推 論 仮説 すでにあるエビデンス 推 論 仮説 すでにあるエビデンス 推 論 仮説 不足しているエビデンス 推 論 確信度が 低い仮説

Slide 27

Slide 27 text

27 自分の提案や業務の 『仮説マップ』を 意識できていない人も多い ※ 若手は仮説マップの一部を切り出されて 検証を任されることが多い & 実行のみを任されることが多いため 提案や業務全体の仮説マップを意識しづらい傾向にある

Slide 28

Slide 28 text

仮説マップがないまま進めると… 仮説の全体像マップがないまま仮説を扱ってしまうと、迷子に なりやすく、無駄な時間を過ごしてしまいがちです。 28 仮説マップがないとき • 緊急度が高く重要度の低い 仮説に取り組み、時間切れに • バラバラの仮説があるだけで、 全体の整合性がなくなる • 場当たり的にとにかく 行動をしてしまう • 分からないところが 分からず行動が止まる 行動力はあって 検証もしているけれど 事業が進まない人に ありがちなパターン

Slide 29

Slide 29 text

仮説マップを作ってから進めると… 無駄なく行動や検証ができ、全体として整合性のある仮説を作 ることができます。 29 仮説マップがないとき • 緊急度が高く重要度の低い 仮説に取り組み、時間切れに • バラバラの仮説があるだけで、 全体の整合性がなくなる • 場当たり的にとにかく 行動をしてしまう • 分からないところが 分からず行動が止まる 仮説マップがあるとき • アイデアの中で重要度の高い 仮説の検証に取り組める • 最終的に全体として整合性の ある仮説を作れる • 今、何をするべきかが はっきりし始める • 不安が少し軽減される

Slide 30

Slide 30 text

30 ① まずは ”ざっくり” と 仮説マップを描いて 自分の仮説を構造化する (最初から完璧なものでなくても OK!)

Slide 31

Slide 31 text

ざっくり描いたら、マップの自信のない部分を探して… 最初の「アイデア」を構成する仮説マップには、確信度が低い 仮説やエビデンスが足りていないところがほぼ必ずあります。 31 仮説 仮説 1 エビデンス 仮説 エビデンス エビデンス 仮説 2 エビデンス 仮説 エビデンス エビデンス 仮説 エビデンス エビデンス 仮説 3 この部分が 不安

Slide 32

Slide 32 text

自信のない部分を強くする方法を考える そうした確信度が低い仮説やエビデンスが足りていないところ を特定し、検証をして確認します。 32 仮説 仮説 1 エビデンス 仮説 エビデンス エビデンス 仮説 2 エビデンス 仮説 エビデンス エビデンス 仮説 エビデンス エビデンス 仮説 3 確信度が足りないというのは 検証 するべき仮説が 判明したということ この部分が 不安

Slide 33

Slide 33 text

あるいは「絶対に合っている必要がある部分」を探し… 仮説マップの中には「ここが間違うと仮説が総崩れする」「こ の仮説が正しければ勝てる」という部分もあります。 33 仮説 仮説 1 エビデンス 仮説 エビデンス エビデンス 仮説 2 エビデンス 仮説 エビデンス エビデンス 仮説 エビデンス エビデンス 仮説 3 この部分が合っていれば この仮説全体が勝利できる

Slide 34

Slide 34 text

「これが正しければ勝ち」という仮説をより強くする 仮説全体を勝利に導く仮説や、間違っていたら総崩れする仮説 も検証して、強くします。 34 仮説 仮説 1 エビデンス 仮説 エビデンス エビデンス 仮説 2 エビデンス 仮説 エビデンス エビデンス 仮説 エビデンス エビデンス 仮説 3 超重要な仮説や 勝利条件となる仮説が 特定できたら、そこも 検証 この部分が合っていれば この仮説全体が勝利できる

Slide 35

Slide 35 text

35 仮説マップを描いたら 仮説マップの中から 特に重要な仮説を特定する

Slide 36

Slide 36 text

36 仮説マップの中から 特に重要な仮説を 特定したら…

Slide 37

Slide 37 text

37 「自信がない仮説」「物凄く重要な仮説」に対して 仮説生成/検証の ループを回す

Slide 38

Slide 38 text

② ループ 38

Slide 39

Slide 39 text

仮説のループについて マップを描いた後は仮説修正と検証のループを回しはじめます。 39 マップ ループ 仮説生成と検証の ループを回す 1 2 仮説の全体像を ざっくりと描く リープ 3 リスクを取って 仮説を選び 行動して実現する

Slide 40

Slide 40 text

40 仮説 生成 仮説 検証 ループ (繰り返し) 仮説の確からしさを確認するための生成⇔検証ループ

Slide 41

Slide 41 text

41 【日常での仮説生成と検証のループの例】 Instagram の写真投稿

Slide 42

Slide 42 text

42 仮説 生成 仮説 検証 ループ (繰り返し) この写真は ウケる(はず) = 仮説生成

Slide 43

Slide 43 text

43 仮説 生成 仮説 検証 ループ (繰り返し) 仮説を作って 投稿したら…

Slide 44

Slide 44 text

44 仮説 生成 仮説 検証 ループ (繰り返し) 「いいね」の数で ウケたかどうかを確認 = 仮説検証

Slide 45

Slide 45 text

45 仮説 生成 仮説 検証 ループ (繰り返し) 検証の結果得られた 学びを使って…

Slide 46

Slide 46 text

46 仮説 修正 仮説 検証 ループ (繰り返し) じゃあ次は このネタ投稿なら もっとウケる(はず) = 仮説修正(再生成)

Slide 47

Slide 47 text

47 仮説 生成 仮説 検証 ループ (繰り返し) 仮説検証を繰り返して仮説は改善されていく (修正)

Slide 48

Slide 48 text

48 私たちは普段から 仮説検証のループを回している それに自覚的になると よりうまく回せるようになる

Slide 49

Slide 49 text

仮説検証のループがないまま進めると… 仮説の生成と検証のループを回さないまま進めてしまうと、後 から大きな無駄が発生してしまうことがあります。 49 検証のループを回さないと • 間違った仮説で進んでしまい、 後から無駄が発生する • 最初から完璧な仮説を作ろう としてしまって仮説を出した がらない 思い込みで進んでしまう & 完璧を求めて仮説をな かなか作れない人によく あるパターン

Slide 50

Slide 50 text

仮説検証のループを回してから進むと… 生成と検証のループを回すことで、より正解に近い仮説へと近 づいていくことができます。 50 検証のループを回さないと • 間違った仮説で進んでしまい、 後から無駄が発生する • 最初から完璧な仮説を作ろう としてしまって仮説を出した がらない 検証のループを回すと • 重要な仮説をより強くできる • 暫定的な仮説でも動き出せる • 仮説のリスクに対処できるよ うになる

Slide 51

Slide 51 text

51 ② 行動を伴いながら 生成と検証のループを回す

Slide 52

Slide 52 text

③ リープ 52

Slide 53

Slide 53 text

仮説の「マップ ループ リープ」プロセス ある程度検証のループが終わり、仮説がある程度正しいと思え るようになったら、最後に跳躍(リープ)を行います。 53 ループ リープ 仮説生成と検証の ループを回す 2 3 マップ 仮説の全体像を ざっくりと描く 1 リスクを取って 仮説を選び 行動して実現する

Slide 54

Slide 54 text

54 ビジネスの最前線は 極端に不確実性が高い 仮説の確信度も 100% にはならない

Slide 55

Slide 55 text

55 ビジネスの最前線は 極端に不確実性が高い 仮説の確信度も 100% にはならない

Slide 56

Slide 56 text

56 仮説が 100% 正しいと言えない中で 決断 をして先に進む必要がある

Slide 57

Slide 57 text

57 「決断」という「跳躍」 リープ

Slide 58

Slide 58 text

58 「この仮説に賭ける!」 というリープ(跳躍)が必要 まだ不確かだけれどリスクを取って

Slide 59

Slide 59 text

リープが下手だと… リープが下手だと行動ができず or 行動をしすぎてしまい、機会 を逃してしまうことが多くなってしまいます。 59 リープが下手な場合 • 確信度を高めようとしすぎて 延々と情報収集や検証をする • 動けないまま終わる • 逆に跳びすぎて動きすぎる 鋭い仮説を作れても行動 に移せない & 容易に リープしすぎて無闇に 行動する人のパターン

Slide 60

Slide 60 text

リープがうまくできると… リープができるようになると、うまく仮説を使った行動ができ るようになり、機会をうまく掴めるようになります。 60 リープが下手な場合 • 確信度を高めようとしすぎて 延々と情報収集や検証をする • 動けないまま終わる • 逆に跳びすぎて動きすぎる リープが上手な場合 • 適切な確信度の仮説に賭けら れるようになる • 素早く的確に行動に移せる • 適切なリスクを取って 動き出せる

Slide 61

Slide 61 text

61 優れた仮説を作ることができる 思考力の高い人はたくさんいる

Slide 62

Slide 62 text

62 優れた仮説を作ることができる 思考力の高い人はたくさんいる でも、意志と勇気を持ち リスクを取って行動できる人は そう多くない

Slide 63

Slide 63 text

63 ③ 適切なリスクを取って 仮説を選び行動する

Slide 64

Slide 64 text

まとめ 64

Slide 65

Slide 65 text

仮説の「マップ ループ リープ」プロセス 仮説全体を精緻にしていくためのプロセスを 3 つのステップに 分けて解説しました。 65 マップ ループ リープ 仮説の全体像を ざっくりと描く 仮説生成と検証の ループを回す 1 2 3 リスクを取って 仮説を選び 行動して実現する

Slide 66

Slide 66 text

66 1.マップ 2.ループ 3.リープ を行動を伴いながら回し さらに行動して仮説を正解にしていく

Slide 67

Slide 67 text

詳細は書籍をご参照ください 『解像度を上げる』の姉妹本 『仮説行動』発売中 67 第1部 仮説行動を理解する なぜ仮説は重要なのか 仮説行動の全体像 第2部 仮説を強くする 仮説を生成する 仮説を検証する 仮説マップを生成/統合する ループの停滞を回避する 第3部 仮説を現実にする 仮説を評価する 決断する 仮説を実行する 第4部 大胆な未来を実現する 影響度の大きな仮説を目指す 目次 このスライドの 主なカバー範囲