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えっ!?こんなにちがうの? ~切る・貼る・塗るに現れる 発達段階の差~ 【木戸研究室】 澤谷奈津 嶋田朱里 青森中央短期大学 幼児保育学科

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研究動機 授業で保育園へ勤務している先生に造形活動について指導を受けたとき、 「5歳児は時間内に輪つなぎを作る数が5~6個ほどできていた。」 「3歳児は時間内に1~2個程度であった。」など 年齢によって活動能力に明確な違いがあることを知った。 子どもたちの発達段階によって、造形活動の捉え方や表現の方法が どのように異なるのかをより深く理解したい。

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3歳児の作品(切る・塗る造形活動) 葉っぱの形に切って、自由に色を塗ってもらいました。

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4歳児の作品(切る・塗る造形活動)

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5歳児の作品(切る・塗る造形活動)

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切る造形活動を行った結果 【3歳児】 ・でこぼこした切り口に なる。 ・切って楽しむことに焦 点を当てていた。 01 03 【5歳児】 • 曲線部分であっても、 線に沿って滑らかに切 れていた。 【4歳児】 • 曲線部分を切る際には 少し角張っていたり、 直線に切ろうとしたり していた。 02

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考察 3歳児…はさみの開閉を上手く制御する力や線を見ながら切るため の目と手の動きの協応が十分に発達していないのではないか。 4歳児…連続的に切る角度を調整する細かい手首の動きがまだ発達 途上であるのではないか。 5歳児…手指の巧緻性や手首の可動性、活動の理解、意図的な動作 のコントロールなどが総合的に向上しており、造形活動の基礎技能が 確立してきている。

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塗る造形活動を行った結果 【3歳児】 ・手をグーにした状態で色 鉛筆を持って描いていた。 ・線の外にはみ出すなど余 白が多かった。 ・使っている色の数は1~ 2色程度。 01 03 【5歳児】 ・緑系や紅葉の赤や黄色など で色を塗っている子が多かっ た。 ・ 好 き な 色 や 好 き な も の を 塗ったり、ハートや桜の絵を 描いたりしている子もいた。 ・枠の外にはみ出ている子も 少なく、持ち方も大半が正し い持ち方。 ・使う色の数は1~6色程度。 【4歳児】 ・枠の中を全て塗ろうとい う意図が見られた作品が 多かった。 ・色鉛筆の持ち方も大半が 指 先 で 握 り 、 手 全 体 を 使って色を塗っていた。 ・使う色の数は1~6色程 度。」 02

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考察 3歳児…手指の細かな動きや筆圧の調整がまだ難しい。 4歳児…活動の目的の理解や指先を使った動作の調整する力の向上によ るもの。 5歳児…自己コントロール能力や計画性が育っている。 また、どの活動にも共通して「同じ年齢であっても造形活動への興味や関 心の差が、表現の完成度と関連する」ということが分かった。 造形活動が好きな子ほど、丁寧で早い作業が可能となる傾向があった。

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貼る造形活動の作品 5分間で輪飾りを作ってもらいました。 3歳児 4歳児 5歳児

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貼る造形活動を行った結果 【3歳児】 ・色のない反対側の方に のりを付けて貼ってい る。 ・5分間で2つの輪。 01 03 【5歳児】 ・説明の後すぐに作り始 め、お手本のように作 れていた。 ・5分間で9つの輪。 【4歳児】 ・色のある表面にのりを 付けて輪を作れる。 ・輪と輪の間にのりを 貼ってしまう。 ・5分間で2~3つの輪。 02

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考察 3歳児…表と裏の区別を頭の中で整理する力がまだ発達途中である 複数の工程の手順を覚えて維持することが難しい。 4歳児…見通しを自分で立てて行うことがまだ発達途上である。 5歳児…活動への集中力の長さや見通しを持って取り組む姿勢なども 影響している。

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保育者へのアンケートの結果 ハサミの正しい持ち方は 繰り返し伝えていく 必要があるため、家庭での協力も必要になって くるときもある。 ハサミの持ち方や開閉の動作が難しい、のりの 付け具合がわからない、思い通りに切れないな どの悩みがある。 切る、貼る、塗る活動よりも、自由な発想で描 く時に、どう表現したら良いかイメージが沸か ず戸惑う子がいる。 ◎子どもがつまづきやすいこと・苦手なこと 3歳児クラス担任 4歳児クラス担任 5歳児クラス担任

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3歳児クラスに進級してすぐは顔(目・鼻・ 口)等もただの丸で表現されていたが、後半に なり、まつ毛やほっぺを描くようになった。 子どもが繰り返すうちに、丸も切れるように なっていて成長を感じた。指先の使い方や感覚 を覚えてきたのだと思う。 切る時に線に沿って切ることを意識できるよう になったり、のりの量を調整し、はみ出ないよ うに塗ろうとしたりするようになった。 ◎年齢ごとの違いや成長を感じたエピソード 4歳児クラス担任 5歳児クラス担任 3歳児クラス担任

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【まとめ】 今回の研究を通して、子どもたちの発達段階と造形活動の関りに ついて以下のような様々なことが分かった。 ・年齢が上がるにつれて、目的や完成のイメージをもって作ろうとして いる姿が多く見られた。 ・同じ年齢でも表現の方法は一人一人異なり、塗り方や使う色、切り方 に個性がみられた。 ・同じ活動を3、4、5歳児に実施したことで、年齢ごとの造形活動の 特徴を捉えることができた。

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【今後の課題】 子ども達の活動の様子を比較する際に以下のことに気を付ける ことで、よりよい調査が行えるのではないかと考えた。 ・子どもの経験の差や造形活動への興味の違いを考慮する。 ・活動の説明をする際の声掛けの仕方を変えてみる、あるいは意識的 に統一する。 ・アンケート結果から見えた、「活動を行う上で保育者が難しさを感 じていること」や「なぜその素材を使用したか、代替案として検討で きる素材はあるか」などのさらなる聞き取り調査が必要。