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#プロ壁 平松 亮介 意思決定のモヤが晴れるまで

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自己紹介 2 平松 亮介 / Ryosuke Hiramatsu @himara2 microCMS (B2B SaaS)のプロダクトマネージャー ヤフーでモバイルアプリエンジニアを10年 転職してからPMになり、もうすぐ1年

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● プロダクトマネージャーの仕事は多岐に渡る ○ 次になにを作るか? - 優先度決め ○ どう作るか? - 仕様決め ● 意思決定の回数が多い ○ エンジニアをやっていた頃より「決める」回数が爆増 ○ PM = プロダクトをリードして成功に導く役割 3 PMと意思決定

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● とある機能を作ろうとする ○ 「決めていかないと」という気持ちが強かった ○ microCMSはエンジニア向けサービス ■ 自分もユーザーとして利用している ■ 何があったら便利か、分かっている気でいた 4 1年前... 「○○という機能を作ろう!」

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5 各方面から聞こえる声 この不具合早めに治します?

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6 各方面から聞こえる声 この不具合早めに治します? この機能重要そうですね

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7 各方面から聞こえる声 この不具合早めに治します? この機能重要そうですね 工数思ったよりかかりそう

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8 「この機能作ってて良いのか…?」 🤔

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9 「決め」れば良いというものではない ● 「重要」なことはたくさんある ○ 新機能の追加、機能の改善、不具合修正 ● リソースは有限ですべてはできない ● 優先度を決めるべきだが、根拠なく決めてもすぐブレる ● どうすれば?(=最初の壁)

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10 良書をたずねる 私が初めて新しいB2Bプロダクトの責任者になったとき、マ ネージャーは私が意味のある決断を下す前に、 30人の顧 客に会うことを求めた。 (中略) 私は一般的に、プロダクトマネージャーのオンボーディング の一環として、少なくとも 15人の顧客訪問を勧めている 。

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11 ユーザーの声を聞け ● 自分の間違い ○ ユーザーに会う前に意味のある決断を下そうとしていた ● あらゆる本に「まずはユーザーに会いに行け」と書かれている ○ 複数の本に共通して書かれてる内容は大体 正 ● 知り合いのUXリサーチャーの方にお願いし、インタビュー設計などを手伝ってもらうことに

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12 インタビュー設計で明確になる疑問 ● インタビューは準備が7割 ○ 何を明らかにしたいインタビューなのか?目的が重要 ● 定めたもの: ○ 「何に価値を感じてお金を支払っているか?」 ■ 社内で一番不透明だった部分 ● 実施 ○ お客さんに連絡し、24名の方にインタビュー(週2ペース)

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13 量を求めて質に行き着く ● 壺をつくる話 ○ 1つのグループは「できるだけたくさん作る」 ○ もう1つのグループは「高品質なものを1つだけ作る」 ○ → 最もクオリティが高い壺は「量」のグループから生まれた ● できるだけ多くの人に話を聞くと良いことがある ○ 24名のお客さんにインタビュー ○ 15名ほど聞いたところで、知っている話が増えてきた

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14 インタビュー結果を構造化

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15 得られたもの ● インタビューの目的:「どのように料金プランを決めているか?」 ○ 大きく2つの選定パターンがあることが分かった ■ → プライシングと機能開発の関係性が見える ● 目的としたもの以外でも良いことあり ○ ユーザーの課題 / サービスをどこで知ったか / どう使っているか ■ → チームでの認知が揃う

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16 歯抜けの状態で意思決定していた 自社サービス クライアントワーク 大企業 中堅・中小企業 Webサイト Webアプリ モバイルアプリ 無料プラン 有料プラン 種類 事業規模 ユースケース microCMSの利用

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17 ユーザーの解像度があがる感覚

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18 インタビューの結果を受けて優先度決め ● 方針:有料プランの機能にこだわらず、ユーザー共通の価値を増やせば良い ○ microCMSがいろんな案件で使われることがまず重要 ● 「新しいリッチエディタ」の開発に着手 ○ 要望や分析から共通の価値が高いことが分かっていた ○ 開発に6ヵ月ほどの期間が必要(比較的長い)

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19 各方面から聞こえる声 この不具合早めに治します? この機能重要そうですね 工数思ったよりかかりそう

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20 裏付けの根拠があるのでブレない ● “重要なことは他にもある” ○ → 今時点ではリッチエディタが最も重要、と判断できている ● “不具合や機能改善も大事” ○ → 種別が異なるのでチームを2レーンに分ける ● “工数思ったよりかかりそう” ○ → スコープ切る / ベータリリースで早めにフィードバックを得る / 仕様を再検討する    その判断に自信があれば、進め方はどうにでもなる

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21 リッチエディタ無事リリース ● 2023年7月時点 ○ リリースから1ヵ月ほど経過 ○ 定量:非常に多くのユーザーが機能を利用している ○ 定性:フィードバックで好意的な声が多い

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22 インタビューの副次的な効果 ● ユーザーを憑依できるようになった ○ チームからの仕様の質問に即答できる ○ 作り込みすぎを防げる ■ 「ユーザーがこういう用途で使って便利に感じるものだから、その機能は不要」 ● チームで共通のコンテクストを持てた ○ 以前インタビューしたあの方だと〜、みたいに話を進められる

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23 意思決定のモヤが晴れた ● 「モヤが晴れる」 ○ いろいろな観点でユーザーを理解 ○ ユーザーを憑依できる ● 良い意思決定をするために ○ “15人の顧客に会ってから初めて重要な意思決定を” ○ 根拠と自信をもって、地に足をつけて「決め」る

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● PMという役割のおもしろさ ○ 多方面の知識がつながる感覚 ○ 学んだことをnoteに書きはじめました(#PdM日記) ● 腹落ちしている意思決定の考え方 ○ “ベストはないがベストエフォートはある” ○ 不確実性を受け入れて前に進む 24 蛇足: おわりに

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Thanks :) 25 #dist40 https://discord.gg/K3DPqw4EJ2 @micro_cms