Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
意思決定のモヤが晴れるまで
Search
microCMS
July 19, 2023
Technology
7
2.4k
意思決定のモヤが晴れるまで
「プロダクトづくりの壁を乗り越えた話」での発表資料です。
https://productkintore.connpass.com/event/283269/
#プロ壁
#microCMS
microCMS
July 19, 2023
Tweet
Share
More Decks by microCMS
See All by microCMS
絶対に失敗できないキャンペーンページの高速かつ安全な開発、WINTICKET × microCMS の開発事例
microcms
0
460
microCMS 最新リリース情報(microCMS Meetup 2025)
microcms
0
490
microCMSのリッチエディタ開発:設計・品質・使いやすさの実現手法
microcms
0
150
エンジニア創業者が語るユーザー中心のプロダクト作り
microcms
1
330
What’s new in microCMS (2024 microCMS Meetup)
microcms
0
3.3k
microCMSの開発組織 - Deep dive into microCMS
microcms
2
4.8k
Webフロントエンドの進化とJamstackアーキテクチャの変遷
microcms
7
3.4k
microCMS AI
microcms
0
2.2k
microCMSのエンジニア組織と文化
microcms
0
2.2k
Other Decks in Technology
See All in Technology
pprof vs runtime/trace (FlightRecorder)
task4233
0
170
AIAgentの限界を超え、 現場を動かすWorkflowAgentの設計と実践
miyatakoji
0
140
extension 現場で使えるXcodeショートカット一覧
ktombow
0
210
ZOZOのAI活用実践〜社内基盤からサービス応用まで〜
zozotech
PRO
0
180
Why Governance Matters: The Key to Reducing Risk Without Slowing Down
sarahjwells
0
110
生成AIで「お客様の声」を ストーリーに変える 新潮流「Generative ETL」
ishikawa_satoru
1
320
ACA でMAGI システムを社内で展開しようとした話
mappie_kochi
1
270
Large Vision Language Modelを用いた 文書画像データ化作業自動化の検証、運用 / shibuya_AI
sansan_randd
0
110
成長自己責任時代のあるきかた/How to navigate the era of personal responsibility for growth
kwappa
3
280
BtoBプロダクト開発の深層
16bitidol
0
340
SoccerNet GSRの紹介と技術応用:選手視点映像を提供するサッカー作戦盤ツール
mixi_engineers
PRO
1
180
自作LLM Native GORM Pluginで実現する AI Agentバックテスト基盤構築
po3rin
2
260
Featured
See All Featured
Building an army of robots
kneath
306
46k
How To Stay Up To Date on Web Technology
chriscoyier
791
250k
GitHub's CSS Performance
jonrohan
1032
460k
The Power of CSS Pseudo Elements
geoffreycrofte
79
6k
Creating an realtime collaboration tool: Agile Flush - .NET Oxford
marcduiker
32
2.2k
Music & Morning Musume
bryan
46
6.8k
Speed Design
sergeychernyshev
32
1.1k
The Cost Of JavaScript in 2023
addyosmani
53
9k
The Art of Delivering Value - GDevCon NA Keynote
reverentgeek
15
1.7k
Design and Strategy: How to Deal with People Who Don’t "Get" Design
morganepeng
132
19k
[RailsConf 2023 Opening Keynote] The Magic of Rails
eileencodes
31
9.7k
Git: the NoSQL Database
bkeepers
PRO
431
66k
Transcript
#プロ壁 平松 亮介 意思決定のモヤが晴れるまで
自己紹介 2 平松 亮介 / Ryosuke Hiramatsu @himara2 microCMS (B2B
SaaS)のプロダクトマネージャー ヤフーでモバイルアプリエンジニアを10年 転職してからPMになり、もうすぐ1年
• プロダクトマネージャーの仕事は多岐に渡る ◦ 次になにを作るか? - 優先度決め ◦ どう作るか? - 仕様決め
• 意思決定の回数が多い ◦ エンジニアをやっていた頃より「決める」回数が爆増 ◦ PM = プロダクトをリードして成功に導く役割 3 PMと意思決定
• とある機能を作ろうとする ◦ 「決めていかないと」という気持ちが強かった ◦ microCMSはエンジニア向けサービス ▪ 自分もユーザーとして利用している ▪ 何があったら便利か、分かっている気でいた
4 1年前... 「◦◦という機能を作ろう!」
5 各方面から聞こえる声 この不具合早めに治します?
6 各方面から聞こえる声 この不具合早めに治します? この機能重要そうですね
7 各方面から聞こえる声 この不具合早めに治します? この機能重要そうですね 工数思ったよりかかりそう
8 「この機能作ってて良いのか…?」 🤔
9 「決め」れば良いというものではない • 「重要」なことはたくさんある ◦ 新機能の追加、機能の改善、不具合修正 • リソースは有限ですべてはできない • 優先度を決めるべきだが、根拠なく決めてもすぐブレる
• どうすれば?(=最初の壁)
10 良書をたずねる 私が初めて新しいB2Bプロダクトの責任者になったとき、マ ネージャーは私が意味のある決断を下す前に、 30人の顧 客に会うことを求めた。 (中略) 私は一般的に、プロダクトマネージャーのオンボーディング の一環として、少なくとも 15人の顧客訪問を勧めている
。
11 ユーザーの声を聞け • 自分の間違い ◦ ユーザーに会う前に意味のある決断を下そうとしていた • あらゆる本に「まずはユーザーに会いに行け」と書かれている ◦ 複数の本に共通して書かれてる内容は大体
正 • 知り合いのUXリサーチャーの方にお願いし、インタビュー設計などを手伝ってもらうことに
12 インタビュー設計で明確になる疑問 • インタビューは準備が7割 ◦ 何を明らかにしたいインタビューなのか?目的が重要 • 定めたもの: ◦ 「何に価値を感じてお金を支払っているか?」
▪ 社内で一番不透明だった部分 • 実施 ◦ お客さんに連絡し、24名の方にインタビュー(週2ペース)
13 量を求めて質に行き着く • 壺をつくる話 ◦ 1つのグループは「できるだけたくさん作る」 ◦ もう1つのグループは「高品質なものを1つだけ作る」 ◦ →
最もクオリティが高い壺は「量」のグループから生まれた • できるだけ多くの人に話を聞くと良いことがある ◦ 24名のお客さんにインタビュー ◦ 15名ほど聞いたところで、知っている話が増えてきた
14 インタビュー結果を構造化
15 得られたもの • インタビューの目的:「どのように料金プランを決めているか?」 ◦ 大きく2つの選定パターンがあることが分かった ▪ → プライシングと機能開発の関係性が見える •
目的としたもの以外でも良いことあり ◦ ユーザーの課題 / サービスをどこで知ったか / どう使っているか ▪ → チームでの認知が揃う
16 歯抜けの状態で意思決定していた 自社サービス クライアントワーク 大企業 中堅・中小企業 Webサイト Webアプリ モバイルアプリ 無料プラン
有料プラン 種類 事業規模 ユースケース microCMSの利用
17 ユーザーの解像度があがる感覚
18 インタビューの結果を受けて優先度決め • 方針:有料プランの機能にこだわらず、ユーザー共通の価値を増やせば良い ◦ microCMSがいろんな案件で使われることがまず重要 • 「新しいリッチエディタ」の開発に着手 ◦ 要望や分析から共通の価値が高いことが分かっていた
◦ 開発に6ヵ月ほどの期間が必要(比較的長い)
19 各方面から聞こえる声 この不具合早めに治します? この機能重要そうですね 工数思ったよりかかりそう
20 裏付けの根拠があるのでブレない • “重要なことは他にもある” ◦ → 今時点ではリッチエディタが最も重要、と判断できている • “不具合や機能改善も大事” ◦
→ 種別が異なるのでチームを2レーンに分ける • “工数思ったよりかかりそう” ◦ → スコープ切る / ベータリリースで早めにフィードバックを得る / 仕様を再検討する その判断に自信があれば、進め方はどうにでもなる
21 リッチエディタ無事リリース • 2023年7月時点 ◦ リリースから1ヵ月ほど経過 ◦ 定量:非常に多くのユーザーが機能を利用している ◦ 定性:フィードバックで好意的な声が多い
22 インタビューの副次的な効果 • ユーザーを憑依できるようになった ◦ チームからの仕様の質問に即答できる ◦ 作り込みすぎを防げる ▪ 「ユーザーがこういう用途で使って便利に感じるものだから、その機能は不要」
• チームで共通のコンテクストを持てた ◦ 以前インタビューしたあの方だと〜、みたいに話を進められる
23 意思決定のモヤが晴れた • 「モヤが晴れる」 ◦ いろいろな観点でユーザーを理解 ◦ ユーザーを憑依できる • 良い意思決定をするために
◦ “15人の顧客に会ってから初めて重要な意思決定を” ◦ 根拠と自信をもって、地に足をつけて「決め」る
• PMという役割のおもしろさ ◦ 多方面の知識がつながる感覚 ◦ 学んだことをnoteに書きはじめました(#PdM日記) • 腹落ちしている意思決定の考え方 ◦ “ベストはないがベストエフォートはある”
◦ 不確実性を受け入れて前に進む 24 蛇足: おわりに
Thanks :) 25 #dist40 https://discord.gg/K3DPqw4EJ2 @micro_cms