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受託開発に強い会社が、新規プロ ダクトをリリースし、短期間で撤 退判断に至った失敗談、赤裸々に 全部話します。 2021.10.26 株式会社Fusic 1

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受託開発に強い会社が、新規プロ ダクトをβリリースし、短期間で ほぼほぼ撤退判断に至った失敗談、 赤裸々に全部話します。 2021.10.26 株式会社Fusic 2

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Fusicについて 3 多角的な事業 × 働きやすい文化 (福岡の会社です!) エンジニア7割 約80名の組織 受託とプロダクト

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自己紹介 4 船越 将一 Masakazu Funakoshi 株式会社 Fusic (フュージック) プロダクト部門 sigfy チームリーダー プロジェクトマネージャー Twitter:@Funako_sikao 安河内 舜 Shun Yasukochi 株式会社 Fusic (フュージック) プロダクト部門 360(さんろくまる) チームリーダー コンサルタント

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【PMとして初歩の初歩のお話】 受託開発に強い弊社が、 プロダクトマネジメント1年生として やっちゃった失敗談の共有です… 5 本日の内容 toB 初心者向け 失敗談・教訓

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撤退したサービスについて frAAAt(ふらっと)とは… オンライン展示会/学会が開催できるWebサービス 6

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frAAAt開発のポイント • 「具体的に困っている」という顧客の声を中心にスタートした • ミニマムで開発し、素早く学会で活用された(MVP?) • コレまで使ったツールの中で一番使いやすかったと評価された(PSF?) 7 ※PSF:プロブレムソリューションフィット イケる!

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残念ながら簡単には売れない… 8

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今日、これだけ持ち帰ってください ポイント1 スピードは大事…、でもとにかく早く実装しろってことではない! ポイント2 自社プロダクトは甘くない、だからこその必要なアレ! 9

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01 スピードは大事…

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素早く世の中に出せるって正義だよね!! 11 開発会社でありがちなこと…

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3つの罠 ①顧客の口からでた必要な機能の罠 ②ミニマム開発はMVPじゃない罠 ③共同開発という無料提供の罠 12

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①顧客の口からでた必要な機能の罠 ちょうどよいオンライン学会用のツールがない 機能が多くて使いこなせないから、 アレ、コレ、ソレぐらいが入ったツールがあるとありがたい 13 ちょっとボリュームが大きいですね 最初はアレ、コレくらいでどうでしょう? 使いやすくできると思います あー、ちょうどよさそうですね!

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①顧客の口からでた必要な機能の罠 (受託開発的に) 目の前の顧客が欲する機能をただつくっていくのは超NGです。 14

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①顧客の口からでた必要な機能の罠 目の前の顧客が欲する機能 = 世の中的にもある程度欲され、多くの場合何かしら作られている機能 = プロダクト独自の価値になりにくいもの 15

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リーダー チャレンジャー ニッチャー フォロワー ①顧客の口からでた必要な機能の罠 16 小規模な会社では 特定の誰かにすごく刺さる ニッチャーをまず狙いたい 顧客の口からでた必要な機能は 競合多数であり 価格競争の世界へ陥ることが多い 競争地位別戦略

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課題発見を急ぎすぎていませんか? 17

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②ミニマム開発はMVPじゃない罠 18 ●月×日の学会でなんとか使いたいのですが…。 そこに間に合うようにやりましょう。 ミニマム開発でいきます。

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②ミニマム開発はMVPじゃない罠 19 その開発、本当に必要ですか?

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②ミニマム開発はMVPじゃない罠 • MVPは「コアとなる価値を提供できるか?」など仮説検証するために必要なもの • 「顧客による必要な機能」で構成されたツールの場合、 検証すべきコアの価値がなく仮説検証の余地は少ない 20

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②ミニマム開発はMVPじゃない罠 その状況下でのミニマム開発は、 品質を上げること=差別化・優位性と考えやすく 開発ボリュームも膨らむ傾向がある。 (細部にこだわり、ミニマムはミニマムでなくなる) 21

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②ミニマム開発はMVPじゃない罠 顧客にとって品質は最終段階での比較であることが多い。 まずは、潜在ニーズ・コアの価値を発見することに注力する。 22

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作ることを急ぎすぎていませんか? 23

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③共同開発という無料提供の罠 24 たくさんのフィードバックが欲しいです。 無料でよいので学会で使ってください。 予算も少ないので助かります。 共同開発の気持ちで全力で協力いたします。

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③共同開発という無料提供の罠 25 無料提供で得られるフィードバックが今本当に必要ですか?

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③共同開発という無料提供の罠 • 「無料で満足してくれたもの」と「高いお金で満足してくれたもの」は全く別 • 無料でしか使われない程度のニーズなら、そもそもPMFしない 26

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③共同開発という無料提供の罠 27 共同開発でも希望する売値に近い費用はもらうべきです。 でなければ、その後のプライシングや市場判断に遠回りすることになります。

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使われることを急ぎすぎていませんか? 28

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前半のまとめ ①顧客の「コレください」を鵜呑みにするのNG ②仮説検証に必要なMVPですか?大事なのはコアとなる価値の検証。 ③安易な無料提供は、その後苦労する 29

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前半のまとめ ①課題発見を急ぎすぎる ②作ることを急ぎすぎる ③使われることを急ぎすぎる 30

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前半のまとめ 31 いいの作れば きっとに売れる 課題発見してな いのに企画書の 期限が短い… 使う技術のみが 先に決まってる ①課題発見を急ぎすぎる ②作ることを急ぎすぎる ③使われることを急ぎすぎる

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なぜ?ビルドトラップ… 32

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受託開発とプロダクト開発の世界 33 リリース プログラミング 詳細設計 基本設計 要件定義 要求定義 <よくある受託開発> 目の前に課題があり、課題解決のソリューションがわかりやすいことが多い。 素早いアウトプットが収益につながる。 オーダーメイドで目の前の人が求めた価値になればOK。

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受託開発とプロダクト開発の世界 34 リリース プログラミング 詳細設計 基本設計 要件定義 要求定義 <プロダクト開発> 受託開発ではあまり意識しない部分に重要な要素が多く存在する 潜在ニーズの発見 世界観・ビジョン の設定 挑戦と仮説検証の 繰り返し 販売チャネル確立 改善と仮説検証の 繰り返し 真のユーザーの定義 ポジショニング判断

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受託開発とプロダクト開発の世界 35 すでに世の中にあるソリューションを 素早く丁寧に作っても 世の中に新たな価値を提供しづらい ≒ 価値のない開発(アウトプットの世界) 実現したい世界観への到達 課題解決にインパクトあるものを作り 世の中に新たな価値を提供できる ≒ 価値のある開発(アウトカムの世界)

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絶対に違うアクションの順番 frAAAtでは 本当はこうありたい… 36 仮説検証 インタビュー 分析 運用 構築 一つの課題 仮説検証 インタビュー 分析 課題の特定 運用 構築

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02 プロダクト開発は甘くない…

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事前にもっとやれたこと… 最低限リーンキャンバスくらいは作っておきたい… 38 ・顧客は本当に明確? ・顧客のニーズにそう プロダクトならではの価値はある? ・優位な販売チャネルある?

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事前にもっとやれたこと… 最低限、競合把握しておきたい… 39 ・競合がある中でも、意味あるポ ジショニングできてる? ・ビジョンと狙う場所って噛み合 う? ・競合がいない場合、本当に市場 はある?

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事前にできることはたくさんあります。 一方で、調べたり、考えたりするだけではやはり足りません。 40

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顧客や市場を知るまでヒアリングぶん回す… 41 とにかくアクションの連続です

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仮説の確からしさをガンガン検証する • ユーザーインタビューで反応をみて、仮説内容を調整 • 未実装機能をLPでアピールし、問合せの反応をみて内容を再度調整する 42

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徹底的なヒアリング! 仮説検証の繰り返し! 43

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理論<実行

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仮説検証を繰り返して補正補正補正… インタビューや営業施策を通して顧客や市場を知り… 45 こういう繰り返しは、プロダクトマネジメントとしては重要な工程 補正 補正 補正 CORE ビジョン Why 課題 What 解決策 世界観 誰を どの 状態に 何で

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繰り返すことでみえてきたもの… 46 ・会社のビジョン含めて考えると…作るべきものが違う… (弊社ビジョン”人に多様な道を 世の中に爪跡を”) ・やっと決めたプロダクトビジョンを実現するなら イチから構築をやりなおした方がいい… etc…

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繰り返すことでみえてきたもの… 47 撤退… ・会社のビジョン含めて考えると…作るべきものが違う… (弊社ビジョン”人に多様な道を 世の中に爪跡を”) ・やっと決めたプロダクトビジョンを実現するなら イチから構築をやりなおした方がいい… etc…

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[再掲]絶対に違うアクションの順番 frAAAtでは 本当はこうありたい… 48 仮説検証 インタビュー 分析 運用 構築 一つの課題 仮説検証 インタビュー 分析 課題の特定 運用 構築 ここで撤退判断できると 低リスク

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インタビューや仮説検証の繰り返し… いわゆる「産みの苦しみ」はなかなかにしんどい 49 仮説検証 インタビュー 分析

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理論<実行

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理論<実行<覚悟

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その領域の課題を全力で改善しつづけ、 全力で進めるための覚悟はありますか? 52

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非連続な世界におけるプロダクト スピード感はめちゃくちゃ大事… ≠ 構築を急ぐことではありません。 世界観設定・インサイトの発見など 近道のない探索こそ 覚悟とスピード感を持って行いたいものです。 53

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今日、これだけ持ち帰ってください ポイント1 スピードは大事…、でもとにかく早く実装しろってことではない! ポイント2 自社プロダクトは甘くない、だからこその必要な覚悟! ~基本のプロダクトマネジメントの知識の習得・活用も忘れずに!~ 54

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ご清聴いただきありがとうございました Thank You We are Hiring ! https://recruit.fusic.co.jp/ 自由で裁量のある組織で、一緒に働いてみませんか??