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アジャイル開発の時代 川口 恭伸 アギレルゴコンサルティング株式会社 シニアアジャイルコーチ 株式会社ホロラボ シニアアジャイルコーチ 一般社団法人スクラムギャザリング東京実行委員会 代表理事 一般社団法人 DevOpsDays Tokyo 代表理事

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川口 恭伸 かわぐち やすのぶ Twitter: @kawaguti アギレルゴコンサルティング株式会社 シニアアジャイルコーチ 株式会社ホロラボシニアアジャイルコーチ 一般社団法人スクラムギャザリング東京実行委員会 代表理事 一般社団法人 DevOpsDays Tokyo 代表理事

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研修やってます アギレルゴアジャイル研修 検索

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ソフトウェアの品質ってなんでしょう? 30年前なら、動いていれば よかったかもしれないけど、 今は、きれいに整理されていて、 メンテナンスしやすいことが必要。 どうやったら変更しにくくなる? …を考える(たぶん数値では測れない)

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この本が扱うのは人間だ。 それもソフトウェアを書く人間である。 ここ10年ほどの間、我々は、 共同作業によってソフトウェアを 生み出す方法について研究してきた。 優れたソフトウェアを効率的に 次々と生み出す能力に関心が あるのだ。

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それでは、スクラムマスターの ⽬標とはなんでしょうか? スクラムマスターは⾃⼰組織化した チームを構築し、企業のあらゆる階層で 基本原則として⾃⼰組織化が⾏われるよう 努⼒します。⾃⼰組織化は当事者意識と責 任感をもたらします。 その結果、⼈々はより活動的になり、 説明責任を果たすようになります。 さらに、チームメンバーは⾃分たちなりの 解決法を考え出す機会を持つようになり、 グループ全体をもっと効率的にします。

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おじゃる様問題

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おじゃる様とは? 技術や現場担当者の ことがよくわからない マネジメントの方

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おじゃる様とは? 以前は、はげちゃびんと 呼んでいたのですが、 特定の容姿批判に感じ るということで改題 マリーアントワネットに しようとしたのですが、 どうもピンとこないので 改題

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おじゃる様とは? 技術や現場担当者の ことがよくわからない マネジメントの方

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一般的な傾向 すこぶる優秀。 議論に負けることはまずない。 情報収集を怠ることもなく、 メンタルもフィジカルもタフ。 複雑な概念を一言で表したり わかりやすい例を挙げて 説明することが得意。

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←ちなみに、 この絵のモデルは 菅原道真公…超優秀

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日本企業では、 組織階層の上にいくと どこかでおじゃる様に 当たることが多い。

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超優秀な人は 時間がないので、 資料がちゃんと できているかを見る ことで相手の思考を チェックします

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そのため、 「わからない人にも 説明できる」 ちゃんとした資料作りが 求められがち

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作る人 報告する人 説明する人 聞く人 伝言ゲーム問題

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「その資料、 私ならわかるけど、 はじめて読む人に 伝わらんだろう。」 …とか言われる。 ※実際はそんな人は読まないので過剰品質を呼びますね。

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作る人 説明する人 聞く人 伝言ゲーム問題 だってさ

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教育心理学概論 新訂 (放送大学教材) [全集叢書] 三宅 芳雄(著)、三宅 なほみ(著) 経験から固めた「経験則」 (素朴理論) 学校で教える原理原則 科学的概念 自分で考えて言葉にすると はじめてつながる より適用範囲の広い、 抽象度の高い知識

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教育心理学概論 新訂 (放送大学教材) [全集叢書] 三宅 芳雄(著)、三宅 なほみ(著) 経験から固めた「経験則」 (素朴理論) 学校で教える原理原則 科学的概念 自分で考えて言葉にすると はじめてつながる より適用範囲の広い、 抽象度の高い知識 わかりやすい説明が生む バブル型理解

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理解にはレベルがある https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1207/s15516709cog1002_2 Constructive Interaction and the Iterative Process of Understanding (建設的相互作用と 理解の反復プロセス) 三宅なほみ 1986 0. ミシンは縫うものだ 1. 上糸と下糸が結びつく 2. 下糸は上糸の輪をまたぐ 3. 輪がボビンの周りを回る 4. ボビンの構造は空間を与える 5. ホルダはカラーに固定される

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下向きの批判は、評価的な批判とい うよりは、「不満」と考えたほうが いいかもしれません。批判する側が 提案されたメカニズムを理解できな いということなのでしょう。しかし、 重要なのは、これらの批判によって、 より理解力のある相手が、メカニズ ムを探し続けなければならなくなっ たということです。 「わからない」というフィードバックが重要 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1207/s15516709cog1002_2 Constructive Interaction and the Iterative Process of Understanding (建設的相互作用と 理解の反復プロセス) 三宅なほみ 1986

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教育心理学概論 新訂 (放送大学教材) [全集叢書] 三宅 芳雄(著)、三宅 なほみ(著) 経験から固めた「経験則」 (素朴理論) 学校で教える原理原則 科学的概念 自分で考えて言葉にすると はじめてつながる より適用範囲の広い、 抽象度の高い知識 わかりやすい説明が生む バブル型理解 ポプテピピック (C) 大川ぶくぶ, 竹書房

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作る人 報告する人 説明する人 聞く人 おじゃる様問題の怖いところ わかりやすい資料を作ることによって わからない人が経営できるようになる。

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小作人 庄屋 武士 殿 中世の貴族制度に似てる

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世の中そんなものだ と思っていた。

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作る人 報告する人 説明する人 聞く人 しかし、そうではない世界があった

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G A A M F おじゃる様のいない新世界の五皇

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上司の上司を さかのぼっても エンジニア出身者 ばかりの組織がある

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https://logmi.jp/tech/articles/320413 米Microsoftで働く日本人エンジニアが語る、 “楽しく開発”するために必要なこと - Part1

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我々ソフトウェアエンジニアが、設計、実装、 あとはクラウドだったらデプロイから運用ま で全部、最初から考えてコードを書きます。 運用も責任の一部なので、テレメトリを見て 例外が起きていたら、当然自分が直す。どう いうテレメトリを埋め込めばいいか決めるの も自分の責任です。 https://logmi.jp/tech/articles/320413 米Microsoftで働く日本人エンジニアが語る、 “楽しく開発”するために必要なこと - Part1

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クラウドって、いろんなサービスの大きな集合体なの で、自分のところを(ダウンさせずに)動かし続ける しかないんです。ほかのサービスが一時的にダウンし ても、当たり前に動かします。ネットワークが切れた り、毎日どこかが壊れるんです。そういう中でも毎日 動かしつづけるためには、テレメトリの運用、あとは、 そういうのをあらかじめ全部考えた上での運用方法の 確立というのは、絶対に必要です。 https://logmi.jp/tech/articles/320413 米Microsoftで働く日本人エンジニアが語る、 “楽しく開発”するために必要なこと - Part1

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ソースコードって、要はいろんな人たちの知識の蓄積 なんです。これに対して読んだり、自分がアクセスで きて、なおかつそれに対してコントリビューション、 チェックインすることができる。これはものすごく素 晴らしいことだと思うんです。アウトソースするなん てもったいない。これこそが我々の知識の集約。それ を読めるということがもう、僕にとってはたまらない です。そういう権限を会社が与えてくれていることは、 すごく大きな信頼感につながっています。 https://logmi.jp/tech/articles/320413 米Microsoftで働く日本人エンジニアが語る、 “楽しく開発”するために必要なこと - Part1

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https://www.slideshare.net/WinOpsConf/sam- guckenheimer-moving-to-one-engineering-system https://www.youtube.com/watch? v=8EN1kGFmiIo

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Microsoftの組織図 (〜2011) 意図しない結果 : 再利用さえしなければ 怒られることはない https://www.slideshare.net/WinOpsConf/sam- guckenheimer-moving-to-one-engineering-system

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開発システム統合の目的 エンジニアやプロダクトチームにとって 生産性を向上する以上に大事な ことはありません。 ですから、週のどの日においても 機能を犠牲にしてでも 生産性を上げたい。 自社の最高のエンジニアたちに この開発システムで働いてほしいと 私は考えています。 その結果、長い目で見れば、 私たちが望む新しいコンセプトは すべて実現できるでしょう。 https://www.slideshare.net/WinOpsConf/sam- guckenheimer-moving-to-one-engineering-system

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エンジニアリングの目指すべき星 • 全社のソースコードはだれにでも利用可能 • 開発者はだれでも会社のどこでも改善できる • 会社の知的財産は長年に渡って再利用可能な コンポーネントである • だれもが他の人の作った再利用可能なコン ポーネントを探すことができる • 開発者は人気のあるコンポーネントを作るこ とで称賛される • 開発者が変更を加えたら、すぐさま全社の社 員から見ることができる • ビルドとテストの時間は、変更を加えたらす ぐ確保される • 開発者は他のチームに移れるし、そのチーム での働き方を知っている https://www.slideshare.net/WinOpsConf/sam- guckenheimer-moving-to-one-engineering-system

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私がこの二年間で学んだのは あなたのチームを見くびるな Don’t underestimate your team ということだ。

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私がこの二年間で学んだのは あなたのチームを見くびるな Don’t underestimate your team ということだ。

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モブプログラミング 同じ場所、 同じコンピュータで 作業する。 米Hunter Industries で行われている実験

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タイピスト (ドライバー) ナビゲーター ナビゲーター 全員で見て、 考え、話し合い、 タイピストの 手を通じて コンピュータに 伝える。

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生み出される すべてのコードは 少なくとも二人 以上が目を通し 問題がないと 考えているもの。 四つの眼の法則 Four Eyes

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全員で一つの ことに集中し、 一つ一つ解決して 前に進む。 コミットも休憩も すべて合意する。 スウォーミング Swarming

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どのようなテスト を書くべきか、 十分か、過剰か、 コミットごとに 全員で議論する。 リファクタリングも。 テスト観点の議論 Testing

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プログラマーや テスター、要件定義者 の垣根を超えて、 成果物に参加できる。 「実はどうやって作っ ているのか知らない」 担当者の発生を避ける。 チーム全員参加 Cross-Functional

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常に参加することで、 不具合の発生や、 納期遅延に関する、 「他責」によって チームの信頼関係が 揺らぐことを防ぐ。 心理的安全性 No Brame

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自分たちのペースを 常に確認し、 動作するコードを 継続的に統合する。 納期は開発者自身が 決める。 過剰な約束の禁止 No Overcommit

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いや、分担したほうが速いでしょ? ? <

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効率的な分担のために必要な作業がある 前工程 後工程 設計、タスク分割、 タスクアサイン、 受入テスト設計、 スキル教育 進捗管理、マージ、 コードレビュー、 受入テスト実施、 バグ対応、引継ぎ

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モブプログラミング 米Hunter Industriesでは、 最初のチームの モブプログラミングを 一年半に渡って実験してみた結果、 バグが一件も出なかった。 このやり方に「モブプログラミング」 という名前を付けた。 https://www.agilealliance.org/resources/ experience-reports/mob-programming-agile2014/

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普及のきっかけとなった 経験論文を訳しました。 https://kawaguti.hateblo.jp/entry/ 2021/03/30/082537

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しばらくモブプログラミングをやっていると、 以前に直面していた問題の多くが、もはや自 分たちに影響を与えていないことに気がつき ました。これらの問題を直接解決しようとし たわけではありませんでしたが、私たちはそ れらの問題が消えていくことに気がつきまし た。 https://kawaguti.hateblo.jp/entry/ 2021/03/30/082537

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• 逆効果なコミュニケーション • 意思決定の機能不全 • 「かろうじて足りる」こと以上を行うムダ • 技術的負債による衰弱 • 重厚なマネジメントテクニックの負担 • 不必要なタスクの切り替えや中断によるプログラマの バタつきによって引き起こされる集中力と有効性の喪失 • 社内政治の有害な側面 • 意思決定と知識創造を本質的に分離する 「ミーティングによるマネジメント」の弊害 https://kawaguti.hateblo.jp/entry/ 2021/03/30/082537 見積もり 優先順位付け スケジューリング キューイング パフォーマンスレ ビューなど 自然と消滅したもの

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モブの拡張 30人程度の組織を すべてモブで開発。 作業対象ごとに モブ設備を立てる。 https://www.youtube.com/watch?v=dVqUcNKVbYg

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その場所では 一つの仕事をする。 人は、その場所に 仕事をしに行く。 開発環境を構築する ムダを省く。 場所 = モブ Location = Mob https://www.youtube.com/watch?v=dVqUcNKVbYg

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わからないところ があったら、モブ の外からでも助け を呼ぶ。呼ばれた ら助けに行く。 助けを請う Ask for Help https://www.youtube.com/watch?v=dVqUcNKVbYg

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http://mobster.cc/ Aさん1 Bさん1 Aさん2 Bさん2 Cさん1 Cさん2 マイクロコミット レトロスペクティブ 休憩

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モブプログラミングの事例から 学べること • ソフトウェア開発の問題の多くはコミュニ ケーションの不都合から生まれることを 我々はよく知っている。特に「現地現物」を 見ていないと起こる。 • 「分担のやり方」を見直すことで、問題を 自然消滅させることができるかもしれない。

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イノベーションのジレンマ 既存の企業からみると 「とるに足らない」 規模や品質の技術が いつのまにか 顧客にとって 必要十分な技術になる。

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モブやチームで仕事する っつったって、そんなの どうやって見積書を出せ ばいいの?

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チームの人月 この単位なら 計算は簡単

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いや、4人でちょうど いい案件なんて 転がってないんですけど。

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チームの人月 やることリスト 稼働日数で請求 できないか?

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顧客にとってのメリット • 実績のあるチームでの仕事に よって見積もり精度が高く、品 質も安定している。 • 継続的なOJT教育が行われてい るため、スキルが安定している。 • 複数案件を並行作業しているの で、得意分野に強み。 • 継続契約によって保守も安定。

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提供企業にとってのメリット • 継続的な雇用を維持することで、 OJT教育しやすい。 • 複数案件を並行作業しているので、 案件の変化に強い。 • コミュニケーションロスが少ない。 • おそらくバグは少なく品質高い。 • いつもより高く売れるはず。 (ただしすでに高めに売ってしまっ ている可能性はある)

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別解: ペアアサイン • 2001年から受託開発を行っている メンローイノベーションズ社 • ペアを日単位でアサインする料金体系に している。ペアを選ぶことはできない。 ペアはほぼ毎日組み替えて属人性を抑止。 • ペアは毎朝バイキングのヘルメットの角 を一つずつ持ち、今日の作業を宣誓する • 別にプロジェクトマネージャがおり、 スケジュール管理をする。

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エクストリームプログラミングの原動力のひとつ は、ビジネスとテクノロジーの間の溝を癒すこと でした。私は、一般的に言われている2つのグ ループが激しく対立し、協力する方法を見つけて も必要なものが得られないという状況を目の当た りにしてきました。つまり、自分には納期を決定 する力があると思っている人が、その力の幻想を 手放そうとしなかったのです。そこにエクスト リーム・プログラミングが登場し、一連の人間関 係とそれを支える儀式、そしてそれらの儀式や人 間関係を支える技術的な慣習を提示しました。そ して、その代償として、締め切りを指示すること ができなくなりました。 (Kent Beck 2021年7月のAgile 2021でのトークより) https://ja.wikipedia.org/wiki/ ケント・ベック

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それを良しとする人もいました。そして、そのよ うなチームはとてもうまくいきました。しかし、 一般的には、力関係は変わっていません。つまり、 インセンティブが変わっていないのです。だから、 行動は変わらない。だから結果も変わっていない。 私は、これはペアプログラムをするかしないかと いう問題ではなく、意思決定をスキル・情報・結 果に向けて動かす意思があるかどうかという問題 だと思っています。 (Kent Beck 2021年7月のAgile 2021でのトークより) https://ja.wikipedia.org/wiki/ ケント・ベック

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要因に分解する? 動くものを 組み合わせる?

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すでに動く実績 のあるものを 再構成し、少しだけ 内容を変えながら 新しいものを作る。

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https://www.amazon.co.jp/dp/4532318416 構想力とは、 問題を限定する能力である。

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何を固定し、 どう全体を作るか?

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しかし、もし私が一つの教訓を選ぶとしたら、 他の何よりも多くの組織が失敗していると思うことは、 グループサイズです。リチャード・ハックマンの言葉を 借りれば、チームが5,6,7,8人よりも大きくなり、 10人近くになると、物事が本当に悪くなるという 証拠がたくさんあります。 基本的には、10人、あるいは11人になると、 調整のための雑務に費やす時間が増え、 実際に仕事をする時間が減っていきます。 もう1つは、人間関係の問題が発生することです。 ディナーに行って10人、11人と会話をするのは 不可能に近いですよね。 ロバート・サットン スタンフォード大学経営学部教授

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https://www.scaledagileframework.com/ SAFeも基本的には チームを基調に 組まれています。 Dean Leffingwell は マルチチームのスクラム をやったときに チームは成功したけど、 全体的に失敗したので SAFeを作り始めた、 と言ってました。

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上位下達型の組織 教育リソースが限られている場合に、 必要なトップ層を中心に教育を行い、 部下の指導を通じてユニバーサル サービスを実現した。ルールを守って 適切に。目標達成と信賞必罰によって コントロール。 チーム中心の組織 実務者によって顧客やユーザーへの サービスが行われている、組織界面に 必要なリソースを集める組織。教育リ ソースが十分に行き渡っている専門家 を現場に。マネジメントは現場を支援 するためにある。

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https://agilemanifesto.org/ アジャイルマニフェスト

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https://agilemanifesto.org/ アジャイルソフトウェア開発宣言 私たちは、ソフトウェア開発の実践 あるいは実践を手助けをする活動を通じて、 よりよい開発方法を見つけだそうとしている。 この活動を通して、私たちは以下の価値に至った。 プロセスやツールよりも個人と対話を、 包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、 契約交渉よりも顧客との協調を、 計画に従うことよりも変化への対応を、 価値とする。すなわち、左記のことがらに価値があることを 認めながらも、私たちは右記のことがらにより価値をおく。 https://agilemanifesto.org/iso/ja/manifesto.html

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https://agilemanifesto.org/principles.html アジャイル宣言の背後にある原則 私たちは以下の原則に従う: 顧客満足を最優先し、 価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供します。 要求の変更はたとえ開発の後期であっても歓迎します。 変化を味方につけることによって、お客様の競争力を引き上げま す。 動くソフトウェアを、2-3週間から2-3ヶ月という できるだけ短い時間間隔でリリースします。 ビジネス側の人と開発者は、プロジェクトを通して 日々一緒に働かなければなりません。 意欲に満ちた人々を集めてプロジェクトを構成します。 環境と支援を与え仕事が無事終わるまで彼らを信頼します。 https://agilemanifesto.org/iso/ja/principles.html

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https://agilemanifesto.org/principles.html 情報を伝えるもっとも効率的で効果的な方法は フェイス・トゥ・フェイスで話をすることです。 動くソフトウェアこそが進捗の最も重要な尺度です。 アジャイル・プロセスは持続可能な開発を促進します。 一定のペースを継続的に維持できるようにしなければなりません。 技術的卓越性と優れた設計に対する 不断の注意が機敏さを高めます。 シンプルさ(ムダなく作れる量を最大限にすること)が本質です。 最良のアーキテクチャ・要求・設計は、 自己組織的なチームから生み出されます。 チームがもっと効率を高めることができるかを定期的に振り返り、 それに基づいて自分たちのやり方を最適に調整します。 https://agilemanifesto.org/iso/ja/principles.html

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https://kawaguti.hateblo.jp/entry/20110213/1297531229 私たちはすぐに、 それぞれ推奨しているもの同士が とても似通っているのは偶然ではない、 という結論に至った。 そこには何か根底に流れる共通性があり、 それが何であるかを 見つける必要があると思われた。 なぜなら、日々や分単位のプロジェクトの進め方には、 食い違っている点があり、まだ解消していなかったからだ。 このような食い違いがあるにもかかわらず、 私たちには「私たち以外の人々とは違う」と言える、 とても強い共通性が存在した。

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スクラム、 リーンは 日本の製造業から 影響を受けている

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https://www.infoq.com/presentations/The-Roots-of-Scrum/ スクラムの源流 • チームプロセス – シリコンバレーの起業家たち • 竹内・野中 – 日本の製造業 • 世界をもっとよい場所に – 内なるビジョン • オブジェクト技術とEasel社のSmallTalkプロダクト • オブジェクト指向アーキテクチャ 設計ツールの専門家、ベンダー、顧客 • 進化生物学と複雑適応系 • プロセスと生産性の研究 • ソフトウェア生産性の研究 • 外科手術チーム(人月の神話, IBM) • 邪悪な問題、正しい解決 • ボーランド Quattro Pro プロジェクト • iRobot -サブサンプション・アーキテクチャ

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https://www.infoq.com/presentations/The-Roots-of-Scrum/ トヨタウェイ : Learn by Doing 張富士夫 : 代表取締役社長 2002 • 私たちが一番重視するのは、実際に実践し、 行動すること アジャイル原則#1 • わかっていないことはたくさんある。だから 「とにかくまずやってみよう」アジャイル原則#3, #11 • 自分の知識の少なさに気づき、自分の失敗に 直面して、もう一度やり直し、2回目の試行で また別の失敗に気づく。そしてもう一度やり 直す。アジャイル原則#11, #12 • 絶え間ない改善によって、より高いレベルの 実践と知識に至る。アジャイル原則#3

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竹内野中論文(1986)が示した マネジメントスタイル • Type A NASAのウォーターフォール型 • 要求、分析、設計、実装、試験と、 順に次の工程の部署に引き渡される • Type B 富士ゼロックスのサシミ型 • 前工程と後工程が同席する • Type C ホンダのスクラム型 • 一時は全工程が同席する Jeff SutherlandはこのType Cから、 自らのフレームワークの名前を とった。 https://www.infoq.com/presentations/The-Roots-of-Scrum/

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コマンド&コントロールを打ち破る • 旧来の企業では、戦略は中央で作られる • それぞれの現場で、創発的な戦略が自己 組織される • 分散化された認知とアクション • スクラムチームは、 自己組織化を許されなければならない • 自働的 Autonomous • 卓越的 Transcendent • 他家受粉 Cross-fertilization • チームは自らの仕事を選択する • それぞれの個人は自らの仕事を管理する • マネジメントを排除する 竹内野中 https://www.infoq.com/presentations/The-Roots-of-Scrum/

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https://www.infoq.com/presentations/The-Roots-of-Scrum/ 多様な観点 • 職能横断チーム (クロスファンクショナル) • スクラムチームは(すべての職能を)持つ。 プロダクトの知識、業務分析、UIデザイ ン、ソフトウェアエンジニア、品質保証 • さらに進んだスクラムではもっとステー クホルダーを巻き込む ー 経営陣、顧客、 インストール担当、サポート担当

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上位下達型の組織 教育リソースが限られている場合に、 必要なトップ層を中心に教育を行い、 部下の指導を通じてユニバーサル サービスを実現した。ルールを守って 適切に。目標達成と信賞必罰によって コントロール。 チーム中心の組織 実務者によって顧客やユーザーへの サービスが行われている、組織界面に 必要なリソースを集める組織。教育リ ソースが十分に行き渡っている専門家 を現場に。マネジメントは現場を支援 するためにある。

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イノベーションのジレンマ 既存の企業からみると 「とるに足らない」 規模や品質の技術が いつのまにか 顧客にとって 必要十分な技術になる。

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https://web.cr-sis.com/seminar/20210727/ スクラム同士が、毎日会いながら、 白板を前にして、徹底的に、 いまここで過去をふりかえると同時に、 一人一人が、昨日何が起こったかを しゃべる。 しかし、ムダな時間はない。一分。 そうすると本質を考え抜く。 これが一巡すると、先が見えちゃう。 全員白板を前に起立している。 すぐ動けるように。

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https://web.cr-sis.com/seminar/20210727/ 全員がこの一ラウンド終わった瞬間に いまここで先行きが見えちゃって、 すぐ動く。 そこで、その時に ペアプログラミングをやるんですよ。 まず二人でやってみろと。 開発者と品質管理、ペアで。 そこで、実際のコアモデルが 出来ちゃうわけ。 それをみんなで共有して完成させる。

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https://web.cr-sis.com/seminar/20210727/ その背後には理論があって、単なる ソフトウェア開発の手法ではない。 SECIモデルも単なるイノベーション の作法ではない。 人間の生き方なんだと。これは。 絶えず現実のただなかで、新しい意味、 価値を続けていって、 全員がプロフェッショナルになるんだ。 っていう、生き方なんだと言っている。 まさに戦略の基本は生き方だ。

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https://web.cr-sis.com/seminar/20210727/ 利益とハピネス(共通善) 両者をうまくバランス させていくのが まさに実践知だと。 真剣に戦う。

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変化の先を読みながら、 できていることを確認し、 いま、必要な準備を 一つ一つやってみるのが 大事かなと思います!