Slide 1

Slide 1 text

生成AI活用の本質的理解: 大学DXを加速する 「プロトタイプ起点業務」 2025.10.27 金沢大学令和7年度DX研修(生成AI活用(応用編))

Slide 2

Slide 2 text

生成AI関連 2019年4月~2021年10月 東京都市大学 総務部管理課 専任事務職員 2021年11月~2025年1月 九州大学 IR室 学術推進専門員 2022年7月-8月 画像生成AI Midjourney/Stable Diffusionを使い始める 歌詞を元に画像を生成・画像を元にMV作成 2023年1月-3月 ChatGPTを使い始める 架空の大学職員を生成して実験したり業務への影響を考えたり 2023年4月 大学が公表した生成AIポリシーをデータベース化・公開(継続) 大学教職員向け講演・研修・ワークショップに多数登壇 その他…個人開発、プロンプトガイド構築(P4Us)、調査、執筆 森木 銀河 モリキ ギンガ @gmoriki @pogohopper8 図 形 中 程 度 の 精 度 で 自 動 的 に 生 成 さ れ た 説 明 • 佐賀県佐賀市 出身 • 修士[教育学] • クジラとゾウが好き AIとヒトをつなぐ人 2025年2月~ 某民間企業 社内の生成AI推進担当者 個人事業主 大学/教育機関等の生成AI活用支援

Slide 3

Slide 3 text

Agenda AI活用の「次の一手」を定義する60分 1 現状の壁:「チャットAI」利用の限界 2 認識の転換:AIは「道具」から「異質な知性」へ 3 協働の鍵:「プロトタイプ思考」と「反脆さ」 4 新アプローチ:「プロトタイプ起点業務」 5 実践価値:大学業務にもたらす3つの変革 6 結論:みなさんが今すぐ始めるべきこと © gmoriki 1

Slide 4

Slide 4 text

01 現状の壁: 「チャットAI」利用の限界 © gmoriki 2

Slide 5

Slide 5 text

AI活用の「レベル1」で止まっていませんか? 「試したが、実務には役立たない」と感じるビジネスパーソンの本音 よくあるAI利用シーン(レベル1) 簡単な質問を投げかける 回答をコピー&ペーストする イベントの企画書(のたたき台)作成 要約や翻訳をさせる 現場のリアルな所感 「結局、質問に答えるだけ」 「業務の本質的な改善には繋がらない」 「AIは所詮、補助的なツールに過ぎない」 「むしろ手直しに時間がかかる」 © gmoriki 3

Slide 6

Slide 6 text

大学職員のあるある © gmoriki 4

Slide 7

Slide 7 text

大学職員のあるある 具体的な業務シーンで感じる「あと一歩」の物足りなさ 広報担当者 「オープンキャンパスのキャ ッチコピー案を出してもらっ たが、大学の理念が反映され ておらず、結局ゼロから考え 直した」 教務担当者 「履修案内のFAQを作らせた が、例外規定や前提条件が抜 け落ちており、そのままでは 公開できなかった」 研究支援者 「科研費申請書の要約を頼ん だが、専門用語のニュアンス がズレており、研究の独自性 が伝わらなくなった」 © gmoriki 4

Slide 8

Slide 8 text

一方で、成果は既に出ている(先行事例) 国内大学では、AI活用が具体的な業務削減効果を実証している 北海道大学 15.6時 間/月 平均業務時間削減 滋賀大学 国内初 ChatGPT Education導入 東北大学 約1/4に 短縮 会議録作成時間 千葉大学 約92% 削減 文献選別時間 © gmoriki 5

Slide 9

Slide 9 text

なぜ「レベル1」の壁を越えられないのか? 2つの構造的要因:AIへの「関係性」の誤解と組織の「完璧主義」 © gmoriki 6 • AIを「単に質問に答えるチャットボット」 と捉えている • 「指示→回答」という一方向の関係性から 抜け出せない • 「AIが悪いよーAIが」 1. AIとの関係性の誤解 2. 組織・個人の完璧主義 • AIの回答が「不完全」だとすぐに「使えな い」と判断してしまう • 「100点の答え」を最初から期待してしまい、 70点のたたき台から育てる発想がない • 「やっぱAIはまだまだやねw」

Slide 10

Slide 10 text

なぜ「レベル1」の壁を越えられないのか? 2つの構造的要因:AIへの「関係性」の誤解と組織の「完璧主義」 © gmoriki 6 • AIを「単に質問に答えるチャットボット」 と捉えている • 「指示→回答」という一方向の関係性から 抜け出せない • 「AIが悪いよーAIが」 1. AIとの関係性の誤解 2. 組織・個人の完璧主義 • AIの回答が「不完全」だとすぐに「使えな い」と判断してしまう • 「100点の答え」を最初から期待してしまい、 70点のたたき台から育てる発想がない • 「やっぱAIはまだまだやねw」 AIはただの便利な対話型チャットツールではない いま・不完全なAIを育てる (どうせ将来えげつない影響を与えるので媚売っておきましょう)

Slide 11

Slide 11 text

壁の正体:AIとの「関係性」の誤解 2025年、私たちが向き合うのは「チャットボット」ではない レベル1で止まる最大の原因は、AIを「チャットボット」と捉えている点にあります しかし、私たちの職場に現れつつあるのは 自律的に業務を遂行し、 プロトタイプを生成し、私たちと協働する「AIエージェント」です この新しいパートナーとの「付き合い方」、 すなわち「関係性の再定義」こそが、レベル2へ進む鍵となります © gmoriki 7

Slide 12

Slide 12 text

02 認識の転換: AIは「道具」から「異質な知性」へ © gmoriki 8

Slide 13

Slide 13 text

AIを「人工知能」と翻訳しない(今は) © gmoriki 9 ペンシルベニア大学ウォートン校 イーサン・モリック教授の提唱 AIの正しいアナロジーは人間ではなく、独自の能力と限界 を持つエイリアン・インテリジェンス(Alien intelligence) である。AIと人間は類似したタスクを実行できることもある が、その根底にある「認知」プロセスは根本的に異なる。 — イーサン・モリック (Ethan Mollick)

Slide 14

Slide 14 text

AIの新たなアナロジー AIを「人工知能」と訳すことを、一旦やめてみる 旧来の認識:人間(の代替) 人間の脳のメカニズムを参考 人間の思考を「模倣」するもの 「便利だが不完全な道具」という見方 できる/できないを人間基準で比較 新しい認識:異質な知性 ペンシルベニア大学 E.モリック教授が提唱 「エイリアン・インテリジェンス」 人間とは根本的に異なる論理体系を持つ 独自の秩序で、人より優れたり、常識を誤った りする © gmoriki 9

Slide 15

Slide 15 text

「エイリアン・インテリジェンス」の特性 AIは「人間のような」万能選手ではなく、「異質な」専門家である 人間より得意なこと(例) 人間より不得意なこと(例) 処理速度・量 ◎ 膨大で迅速な処理 △ 常識的な物理法則 パターン発見 ◎ パターン発見・抽出 × 暗黙知・文脈の理解 スケーラビリティ ◎複製・展開が容易 × 倫理観・価値判断 記憶 ◎ 24時間稼働の記憶容量 △ 一貫性のない推論 © gmoriki 10

Slide 16

Slide 16 text

認識変革がDXにもたらすインパクト 「道具」として見ると「効率化」に留まり、「知性」として見ると「変革」が始まる © gmoriki 11 既存業務を「どう効率化するか」 (例:会議の議事録作成、翻訳) AIを「道具」と見る場合(レベル1) AIを「異質な知性」と見る場合(レベル2+) 既存業務を「どう再設計(リデザイン)するか」 (例:AIの生成物を基に、申請プロセス自体を見 直す)

Slide 17

Slide 17 text

大学DX担当者が持つべき視点 「使いこなす」から「協働する」へ AIを「便利な道具」として「使いこなす」という発想を転換し、 AIを未知の知性を持つ「エイリアン」として捉え、 いかに「協働するか」を設計すること これこそが、チャットAIの壁を越えるための核心的スキルです では、この理解不能なエイリアンと、どうすれば上手く付き合えるのでしょうか? © gmoriki 12

Slide 18

Slide 18 text

03 協働の鍵: 「プロトタイプ思考」と「反脆さ」 © gmoriki 13

Slide 19

Slide 19 text

エイリアンと協働するための2つの鍵 「プロトタイプ思考」と「反脆さ(Antifragility)」の関係性 プロトタイプ思考 AIの生成物は「たたき台」で ある 反脆さ (Antifragility) 不完全さ(ストレス)から学 ぶ力 エイリアンとの協働 (新しい働き方の実現) © gmoriki 14

Slide 20

Slide 20 text

概念1:プロトタイプ思考 AIの生成物は、「最終的な製品やサービスの、初期段階における具体的なモデル(試作品・ 原型)」=プロトタイプである 従来のチャット(一方通行) AIは「答え」をくれる存在 指示を出して、結果を受け取る 生成物が不完全だと「使えない」と判断 プロトタイプ思考(双方向) AIは「たたき台」をくれる存在 対話を重ねて、共に創る 生成物の不完全さこそが、思考の出発点 © gmoriki 15

Slide 21

Slide 21 text

大学業務における「プロトタイプ」とは? 「たたき台」として活用できる具体的な生成物 企画・立案系 新入生オリエンテーションの企画案、オープンキャンパスの体験授業シラバス案、地域連携イベント の骨子 広報・募集系 大学案内パンフレットの構成案、学部紹介動画のシナリオドラフト、受験生向けDMの文面パターン 業務改善系 学生支援窓口の業務フロー図案、複雑な申請手続きの簡略化プロセス案、FAQの網羅的なリストアッ プ © gmoriki 16

Slide 22

Slide 22 text

大学業務における「プロトタイプ」とは? 「たたき台」として活用できる具体的な生成物 文書・規定系 各種規程の改定案、委員会への提出資料の構成案、学内公募要領のドラフト データ分析系 学生アンケートの自由記述欄の傾向分析、中退予備軍の要因仮説リスト、IRデータの可視化レポート 案 教育・研究系 新カリキュラムの科目構成案、アクティブラーニングの授業デザイン案、研究シーズと社会課題のマ ッチングリスト © gmoriki 17

Slide 23

Slide 23 text

プロトタイプ = 文章のたたき台、ではない © gmoriki 7

Slide 24

Slide 24 text

大学業務における「プロトタイプ」とは? 【Webサイト】オープンキャンパス特設サイトの「動く」モックアップ © gmoriki 17

Slide 25

Slide 25 text

大学業務における「プロトタイプ」とは? 【業務フロー】経費精算プロセスの「可視化」シミュレーション © gmoriki 17 https://ai.studio/apps/drive/1roNwFAaOO6xvCms1vrceHeVFeiJn857H

Slide 26

Slide 26 text

概念2:反脆さ (Antifragility) © gmoriki 9 思想家ナシーム・タレブの提唱 反脆さとは、レジリエンス(回復力)や頑健性を超えるもの だ。レジリエンスのあるものは衝撃に抵抗して元のままで いるが、反脆いものはより良くなる。 ショックやストレスを糧にして、より良く、より強くなるもの。 — ナシーム・タレブ(Nassim Taleb)

Slide 27

Slide 27 text

概念2:反脆さ (Antifragility) 思想家ナシーム・タレブが提唱した「ストレスから利益を得る」性質 「反脆さ」とは、不確実性やストレスに晒されることで、かえって強くなる性質を指します (例:衝撃に「耐える」頑健さとは異なり、衝撃を「糧」にして、より良くなる) 風はろうそくの火を消すが、炎をさらに燃え上がらせる。 エイリアン(AI)との対話は、まさにこの「反脆さ」を鍛える絶好の機会です AIの不完全なプロトタイプという「ストレス」を受け入れ、 そこから学ぶことで、職員も組織もより強靭で創造的になれるのです © gmoriki 18

Slide 28

Slide 28 text

反脆い (Antifragile) AI導入における組織の「脆さ」 AIの「不完全さ」というストレスに、あなたの組織はどう反応しますか? 脆い (Fragile) AIの不完全な回答(ストレ ス)に直面し、混乱する。 「AIは使えない」と判断し、 以前のやり方に戻ってしまう 頑健 (Robust) AIの不完全さを「想定内」と し、ストレスに「耐える」。 AIを補助的なツールとして、 限定的に利用する(レベル1 で停滞) AIの不完全さ(ストレス)を 「学びの機会」と捉える。そ こから対話が生まれ、業務プ ロセス自体の改善や革新に繋 げる © gmoriki 19

Slide 29

Slide 29 text

04 新アプローチ: 「プロトタイプ起点業務」とは何か © gmoriki 20

Slide 30

Slide 30 text

「プロトタイプ起点業務」の定義 © gmoriki 9 わたしの提唱 完璧な計画を立ててから実行するのではなく、まずAIに不 完全なプロトタイプを生成させ、それを起点として対話と改 善を重ねながら業務を進めていく業務改善アプローチ — 森木 銀河

Slide 31

Slide 31 text

「プロトタイプ起点業務」の事例 © gmoriki 9 https://www.itmedia.co.jp/aiplus/articles/2507/04/news070.html https://type.jp/et/feature/29402/

Slide 32

Slide 32 text

「プロトタイプ起点業務」の定義 完璧な計画から始めるのではなく、不完全な試作品から始めるアプローチ AIにまず不完全なプロトタイプ(試作品・たたき台)を生成させる それを「起点」として、人間がAIと対話と改善を重ねていく これは単なる業務効率化の手法ではありません これは、組織を開発する力であり、職員が成長する能力そのものです © gmoriki 21

Slide 33

Slide 33 text

業務フローの変革 従来の「計画起点」から「プロトタイプ起点」へ 従来型 (計画起点) 完璧な計画立 案 (人間がゼロ から) 実行・開発 レビュー(手 戻り発生) 新型(プロト タイプ起点) AIがプロトタ イプ生成 (数分) 人間とAIが対 話・改善 本質的な議 論・実行 高速リリー ス・改善 © gmoriki 22

Slide 34

Slide 34 text

プロトタイプ起点業務の4ステップ AIとの「双方向」の対話サイクルを回す STEP 1 【目的設定】(人間) AIに「何を作ってほしいか」の目的・意図・期待を伝える(オープンな指示) STEP 2 【プロトタイプ生成】(AI) AIが指示に基づき、不完全なたたき台(プロトタイプ)を高速で生成する STEP 3 【検証・対話】(人間) 専門家として内容を精査(クローズドな検証)。 「なぜこうなった?」とAIに対話し、改善を指示 STEP 4 【改善・実行】(AI+人間) AIが改善案を再生成。人間が最終判断し、実行に移す(またはステップ3に戻る) © gmoriki 23

Slide 35

Slide 35 text

実践プロセス © gmoriki 23 事例:広報部門「新入生向けキャンパスツアー動画の企画」 https://ai.studio/apps/drive/11DAGuXIFAIHIIIMK46dM-DY9qEj8M_Ob

Slide 36

Slide 36 text

実践プロセス(よくある例) 事例:広報部門「新入生向けキャンパスツアー動画の企画」 © gmoriki 24 STEP 1 【目的設定】(人間) AIに「新入生向けキャンパスツアー動画の企画」を依頼 STEP 2 【プロトタイプ生成】(AI) AIが数分で「動画企画プロトタイプ」を提示(シナリオ、スケジュール案) STEP 3 【検証・対話】(人間) 職員が確認 →「学生の動線を考慮していない」「撮影許可が必要」など問題が続出 STEP4 使えないなあ… プロトタイプ思考

Slide 37

Slide 37 text

実践プロセス(目指したい姿) 事例:広報部門「新入生向けキャンパスツアー動画の企画」 24 STEP 1 【目的設定】(人間) AIに「新入生向けキャンパスツアー動画の企画」を依頼 STEP 2 【プロトタイプ生成】(AI) AIが数分で「動画企画プロトタイプ」を提示(シナリオ、スケジュール案) STEP 3 【検証・対話】(人間) 職員が確認 →この「ストレス」を「学びの機会」と捉える 「なぜAIはこの順序を提案したのか?」「我々が当然と思っている暗黙知は何か?」 STEP 4 【改善・実行】(AI+人間) 対話の中で「そもそも動画は必要なのか?」「VRツアーの方が効果的ではないか?」 といった、より本質的な問いが生まれる © gmoriki 反脆さ プロトタイプ思考

Slide 38

Slide 38 text

プロトタイプがもたらす「二重の成長」 AIの不完全さが、組織と個人を同時に鍛える訓練場となる 組織の成長(文化醸成) 失敗を恐れず、素早く試す文化 部門間の壁を越えた対話の活性化 業務プロセスの継続的な改善 反脆い組織文化の醸成 個人の成長(スキル向上) 業務や暗黙知の「言語化能力」 AIの出力を評価する「批判的思考」 未知の提案に対応する「柔軟性」 AIとの協働スキルの習得 © gmoriki 26

Slide 39

Slide 39 text

05 実践価値: プロトタイプ起点業務が 大学業務にもたらす3つの変革 © gmoriki 29

Slide 40

Slide 40 text

オープンな指示、クローズドな検証 エイリアン・インテリジェンスとの協働に不可欠な「使い分け」 ① 指示段階:オープンに (O) AIの創造性を最大化する 「こうあるべき」という先入観を捨てる 目的・意図・期待を伝え、 AIの多様な可能性を引き出す 「プロンプトエンジニアリング」に囚われない ② 検証段階:クローズドに (C) 人間の責任を担保する 厳格に、批判的な目で精査する 「情報は正確か」「個人情報保護は」「倫理的 に問題ないか」 おもちゃの後片付けまでが遊び © gmoriki 37

Slide 41

Slide 41 text

人間の役割はどう変わるか? 「指示者」から「協働パートナー」へ 対話者(Communicator) AIの「異質さ」を理解し、そ の能力を引き出す「問い(目 的)」を立てる 編集者(Editor) AIが生成した70点のプロトタ イプを、専門知識と文脈理解 で100点に磨き上げる 検証者(Validator) AIの出力を鵜呑みにせず、倫 理・正確性・ブランドの観点 で厳格に評価・判断する © gmoriki 27

Slide 42

Slide 42 text

プロトタイプ思考がもたらす3つの価値 AIとの協働が「たたき台」の質とスピードを変革する 1. 高速化 アイデアを即座に可視化し、開 発プロセスを異次元の速度にす る 2. 円滑化 「動く試作品」が共通言語とな り、合意形成コストを劇的に下 げる 3. 増幅 人間の固定観念を破る「たたき 台」が、職員の創造性をブース トする © gmoriki 30

Slide 43

Slide 43 text

価値1:業務の高速化 事例:広報業務を効率化するための独自アプリ開発 Before(従来) 企画書作成、要件定義、開発ベンダー選定、開発...。数ヶ月のプロセスと多額の予算が必要 After(プロトタイプ起点) 「漠然としたアイデア」をAIに投げる → 数分で操作可能な試作品が生成 → それを基に「本当に必要 な機能は何か」という本質的な議論が始まる © gmoriki 31

Slide 44

Slide 44 text

例:AI広報文案ジェネレータ © gmoriki 32 https://aistudio.google.com/apps/drive/1jS5PqMThTn3GdC5gDlUX2hOe7BXN29wl?showPreview=true&showAssistant=true

Slide 45

Slide 45 text

価値2:合意形成の円滑化 事例:学生課として抱える悩みを解決したいが伝わらない Before(言葉での説明) 「新入生がサークル選びに苦労している」「ミスマッチで早期退部する学生がいる」といった報告は、 上層部にとって「学生の努力不足」「従来のやり方で問題ない」と受け止められやすく、具体的な施 策の必要性が伝わりにくい。 After(プロトタイプでの提示) プロトタイプを提示し、職員や上層部自身に「何も情報がない状態から、この診断を経ることで数秒 で最適な答えが得られる」という体験の差を実感してもらう。「AIが学生に迷いを起こさせない理想 の申請フロー(=最適なサークルとの出会い)」を動く形で示すことで、システム導入後の学生満足 度の向上と大学のイメージアップを直感的に理解させる。 © gmoriki 33

Slide 46

Slide 46 text

例:新入生応援!ぴったりサークル マッチング診断 © gmoriki 32 https://aistudio.google.com/apps/drive/1BytnxbDM7rmSYvLly-cBYUYCzxyB05Ln?showPreview=true&showAssistant=true

Slide 47

Slide 47 text

価値3:アイデアの増幅 事例:「AI活用を促進するポータルサイトの案を作って見せて」と上司に言われた Before(人間の固定観念) 「ポータルサイトが欲しい」とあいまいなこと言われても…。 「AI活用推進ポータル」と言われても、結局「eラーニングポータルみたいなもの」など、過去の成功 体験や既存のシステムに引きずられた企画しか思いつかない。 After(エイリアンの思考を活用) AIが提案する複数の「プロトタイプ案」を比較検討することで、職員は**多様な視点(エイリアンの思考) **を取り込み、真に革新的で効果的な企画を選択・実行できる。 © gmoriki 35

Slide 48

Slide 48 text

例:プロトタイプを作るためのプロンプトを作る © gmoriki 32 https://ai.studio/apps/drive/1ufsxcXu8GKRdRaWMup5cVSYG8H_hAtyE

Slide 49

Slide 49 text

06 結論: みなさんが 今すぐはじめるべきこと © gmoriki 39

Slide 50

Slide 50 text

AI時代の組織競争力モデル 3つの概念の相互関係(まとめ)を理解する プロトタイプ起点業務 (実践アプローチ) 反脆さ (組織・個人のスキル) エイリアン・インテリジ ェンス (AIへの正しい認識) © gmoriki 40

Slide 51

Slide 51 text

みなさんが今すぐ始めるべきこと 「反脆い」組織文化を醸成するためのファーストステップ Step 1: 宣言 AIは「チャット」ではなく 「エイリアン」であると定 義し、AIの「不完全さ」は 「学びの機会」であるとト ップダウンで宣言する Step 2: 小さく試す 「反脆さ」を持つ意欲 的な部門・チームを選 び、「プロトタイプ起 点業務」のパイロット 運用を開始する(例: 広報部、DX推進室) Step 3: 成功の共有 「AIの70点のたたき台 から、人間が100点に した」という具体的な 「プロトタイプ成功事 例」を収集し、学内に 広く共有する Step 4: 横展開 成功事例を基にガイド ラインを整備し、他部 門へ横展開。AIとの 「協働」を組織文化と して根付かせる © gmoriki 41

Slide 52

Slide 52 text

鍵は「成功事例」の共有 「完璧なAI活用」ではなく「不完全さから学んだ事例」こそが組織を変える 「AIを使ったら自動で完璧なものができた」という事例は、 再現性がなく、他部門の参考になりません 共有すべきは、「AIが70点の不完全なプロトタイプを出してきた」→「人間が専門性を 発揮し、対話と改善を重ねた」→「結果、100点の成果と業務改善が生まれた」というプ ロセスそのものです この「不完全さからの成功体験」こそが、 組織の「反脆さ」を育て、レベル1の壁を越える原動力となります © gmoriki 42

Slide 53

Slide 53 text

結論:私たちは「お客様」ではない AIと共に学び、試行錯誤し、価値を創造する「当事者」である AIが生成するものは、完成品ではなく「プロトタイプ(種)」です この認識を組織全体で共有することが、全ての始まりです この認識の転換が、私たちの立ち位置を、 AIに指示を出す「お客様」から、AIと共に価値を創造する「当事者」へと変えます プロトタイプ起点業務は、この「当事者意識」を日々の業務で実践するための 極めて具体的な方法論として、5年後も役立にたちます © gmoriki 43

Slide 54

Slide 54 text

生成AI活用の本質的理解: 大学DXを加速する 「プロトタイプ起点業務」 2025.10.27 金沢大学令和7年度DX研修(生成AI活用(応用編))