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みんなに愛されて20年! 「Developers Summit」オーガナイザー としてやったこと、考えたこと 2022.08.20 @kondoyuko [SHOEISHA Co.,Ltd.] オープンセミナー岡山2022 #OSO2022

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私は帰ってきた!!!(気持ちだけは岡山に)

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自己紹介 近藤佑子 aka @kondoyuko / ゆうこりん • 岡山県備前市生まれ • 所属:株式会社翔泳社 – CodeZine編集部 編集長 – Developers Summit オーガナイザー • 開発者と一緒に踊る、キャッチコピーは「踊る編集者」 • 好きなゲーム:星のカービィ • マイブーム:洋裁 kondoyuko516 kondoyuko

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自己紹介のつづき • 予備校生まで岡山で過ごす • 学部で京都、修士で東京に引っ越し • 学生時代の専攻は建築(建築史) • SNSでエンジニアと友達になったり、ギークハウスに出入り したりしていた • プログラミングを勉強をし、IT企業で働くことを志す→挫折 • 文章を書くこと、インターネットで発信することも好きで、 専門系編集者の道へ

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私がメインで関わっている仕事 CodeZine: 2005年から続くソフトウェア開発者向けメディア Developers Summit: 2003年から続くソフトウェア開発者向けカンファレンス

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Developers Summit(デブサミ)とは • 翔泳社が主催するITエンジニア向 けカンファレンス • ベンダー中立、幅広いトピック • 2003年から毎年開催 • 会場はホテル雅叙園東京 →コロナ禍よりオンライン開催 • 5トラック2日間のセッション +企画が基本

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今日のテーマ 20周年を迎えるITエンジニア向けカンファレンス 「Developers Summit(デブサミ)」のこれまでと オーガナイザーである私のストーリーを織り交ぜて

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目次 • デブサミの始まり • デブサミのこれまでと私の旅 • デブサミオーガナイザーとしての現在地

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目次 • デブサミの始まり • デブサミのこれまでと私の旅 • デブサミオーガナイザーとしての現在地

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https://codezine.jp/devsumi/2003/ • 第1回は2003年2月に開催 • 会場は青山ダイヤモンドホール • 外部の有識者を交えて コンテンツ委員会を組織 • 多くの技術コミュニティと連携 フォーカスする技術は違えど 現在も基本的な部分は変わらず Developers Summit 2003

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デブサミ初開催当時の状況 “岩切氏が最初のデブサミの準備を始めたのは2002年4月。(中 略)開発者向けの大規模なカンファレンスといえば,ベンダー が自社のサービスや製品を売り込むことを最終的な目的とした ものだけで,技術を中立の立場で取り上げるカンファレンスは なかった。” 「開発者の祭りを通して世の中を変える」,翔泳社の岩切氏が開発者向けカンファレンス「デブサミ」への思いを語る 2008/04/29 日経エレクトロニクス https://tech.nikkeibp.co.jp/it/article/NEWS/20080429/300291/

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デブサミ初開催当時の状況 “岩切氏が最初のデブサミの準備を始めたのは2002年4月。(中 略)開発者向けの大規模なカンファレンスといえば,ベンダー が自社のサービスや製品を売り込むことを最終的な目的とした ものだけで,技術を中立の立場で取り上げるカンファレンスは なかった。” 「開発者の祭りを通して世の中を変える」,翔泳社の岩切氏が開発者向けカンファレンス「デブサミ」への思いを語る 2008/04/29 日経エレクトロニクス https://tech.nikkeibp.co.jp/it/article/NEWS/20080429/300291/ デベロッパーの交流と 知のシェアをすることで 世の中を変えたい

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さまざまなスピンオフイベントも生まれた デブスト関西(若手向け) デブサミ夏 デブサミウーマン デブサミ関西 デブスト(若手向け) デブサミ福岡

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目次 • デブサミの始まり • デブサミのこれまでと私の旅 • デブサミの現在地

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デブサミの歴史と私との関わり デブサミ 2003年        2011年 2012年  2015年    2018年 2019年 2020年 2021年  デブサミ関西 デブサミ夏 デブサミ福岡 デブスト デブスト関西 デブサミ ウーマン

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デブサミの歴史と私との関わり デブサミ 2003年        2011年 2012年  2015年    2018年 2019年 2020年 2021年  デブサミ関西 デブサミ夏 デブサミ福岡 デブスト デブスト関西 デブサミ ウーマン 2014年 翔泳社 入社 CodeZine の編集者 2017年 CodeZine編集者 (2020年より編集長) + デブサミ オーガナイザー 岡山 2006年 京都 大学生 2011年 東京 大学院生

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デブサミオーガナイザーの仕事 • コンテンツ委員を招集する • イベントの全体テーマを決める • テーマの世界観を表すようなビジュアルを作成する(ディレクション) • 公募を募集する • 全体テーマをもとに、セッション案と講演者を考える • 講演者に打診する • 公募を選考する • タイムテーブルを組む • 懇親会などのその他の企画も行う • Webサイトを公開し、広く告知する • 本番の運営を行う • ふりかえりやベストスピーカーの発表を行う

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2017年 デブサミオーガナイザーになった年

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2018年、当時を振り返って書いた記事 https://www.e-aidem.com/ch/listen/entry/2018/08/15/110000

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記事から引用 “ある大きな仕事(注:デブサミ)の担当者が退職すると聞い たとき、「この仕事は私がやりたい」という使命感が降って 湧いたのです。しかし、その仕事をやらせてほしいと勇気を 出して伝えたものの、希望は聞き入れてもらえませんでし た。(中略)その日の夜、参加予定だった勉強会に泣きなが ら行き、Facebookにこう書いたのでした。” 2018/08/15 会社員になって丸くなってしまった「ヤバイ就活生」のゆくえ https://www.e-aidem.com/ch/listen/entry/2018/08/15/110000

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記事から引用 “5分でも10分でもいいから、登壇の機会を増やそう。私、開 発者(ITエンジニア)じゃないから面白い話できないな〜と 思うんじゃなくて、できるように日々を頑張ろう” 2018/08/15 会社員になって丸くなってしまった「ヤバイ就活生」のゆくえ https://www.e-aidem.com/ch/listen/entry/2018/08/15/110000

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当時感じたこと • 学びの機会は外に得る しかない • ネットワークを外で作る しかない

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その結果 • 目標として掲げた10回の登壇を達成 • 新しく勉強会を作ってみた • デブサミの企画でも、自分がリーダーシップを取る 場面を増やしていく – 「これやっときますね~」「MTG仕切りますね~」 と言うなど • 「私、オーガナイザーですよね!?」状態に持っていく

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そんな最初からうまくはいかない • イベントのテーマがなかなか考えられない • 「近藤さんはデブサミをどんな場にしたいのか」 と問われ、うまく答えられず • スケジュールもギリギリになっていく・・・

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それでもイベントの本番は最高! • 初めてメインで仕切ったデブサミ2017関西で、 満席の基調講演会場に涙する • 毎回「これ以上いいものはできない」と感じるのに 回を重ねるごとにどんどん良くなっていく • 「なんかデブサミ変わったね」と言われたときには 「私ならではのものができたのかも?」と安堵

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デブサミ初期からの状況の変化 開催当初は中立的なカンファレンスが少なかった状態だが、 今はさまざまなイベントがある • ユーザーコミュニティ主催カンファレンス • 言語やテクノロジーカットのカンファレンス • 総合テックカンファレンス • 企業主催テックカンファレンス・・・など デブサミの価値は相対的に低くなったのでは?という不安も

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デブサミ初期からの状況の変化 開発者自身が開発者向けにコンテンツを作る状況が さらに加速している • 勉強会 • カンファレンス • ブログ • 同人誌

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「イベントが無事できるのか?」のその先の不安 開催当初は中立的なカンファレンスが少なかった状態だが、 今はさまざまなイベントがある • ユーザーコミュニティ主催カンファレンス • 言語やテクノロジーカットのカンファレンス • 総合テックカンファレンス • 企業主催テックカンファレンス・・・など デブサミの価値は相対的に低くなったのでは?という不安も

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開発者じゃない立場で何ができるのだろうか デブサミに対して感じていた不安 • 「自分たちはレガシーでイケてないのでは」 • 「もっとキラキラしたイベントにならなくては」 技術同人誌界隈を見て • 開発者自身で売れる本が作れている • 出版社・編集者はもはやいらないのでは?

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「踊る編集者」 • 2019年に「技術書典に同人誌 を出そう」と思いやってみた • 技術書典6の経験をLTした際の 発表タイトル • 開発者自身がアウトプットする 時代において、編集者の存在を 不安視しつつも「楽しそうだか ら一緒になって踊りたい」 https://speakerdeck.com/kondoyuko/an-editor-who-dances-with-engineers

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2019年の私:楽しそうだから飛び込んでみよう 登壇10回以上、技術書典で単著執筆、勉強会グラレコ約20本 勉強会・イベントの主催を4回、3か月連続でAWS/GCP/Azureの資格を取る

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踊ってみて見えてきた自分のあり方 • 開発者と一緒になって楽しむ ↓↑  • その先に、開発者ではないならではの業界への貢献の 仕方が見えてくる

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編集者ならではの知見が活かせていると思うこと • テーマ・ビジュアルに こだわりを持つ – 1年を切り取るテーマ – ポップでかわいい • 1つのイベントで幅広い テーマを扱う • アウェー感と内輪感の バランスの妙

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参加者の声 デブサミがエンジニア人生を変 えてくれました! デブサミがきっかけで勉強会に 行くようになりました!

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「デブサミをどんな場にしたいか」の私なりの答え • さまざまな課題感の方に参加していただていることは デブサミの強み • 一人でも多くの開発者のきっかけになりたい • 日本中のデベロッパーをスターにする!

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Developers Summit 2020

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Developers Summit 2020 イベントのテーマ「ともにつくる」に呼応した 多くのセッションが寄せられる →デブサミによって世の中をいい方向に変えられるかも? オフラインのデブサミは一つの集大成へ

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Developers Summit 2020 • 2020年2月13、14日の当日は、 なんとかギリギリ会場で開催できた • その翌週より技術カンファレンス・勉強会の 中止が相次いだ • 技術イベントはどんどんオンラインへ • デブサミも2020年度よりオンライン化が決定

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デブサミのオンライン開催なんてやれるのだろうか? • リアルの会場や双方向の交流がないデブサミには、 誰も参加の価値を感じてくれないのではないか • スピーカーやコンテンツ委員といった方々の 協力が得にくいのではないか • コロナ禍で自分のインプットが減っているなか、 企画が作れないのではないか

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実際やってみると • オンラインのいい面もある – 地方から視聴できる – 仕事や家庭との都合が つけやすい – チャットなどで交流の総数 は増えた? – 多くの方に参加いただけた (リアル会場の1.5倍程度) 動画

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コロナ禍のデブサミで新しく取り組んだこと • ミッションの策定 • 双方向のコミュニケーションの実現 • Women Developers Summitの開催

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ミッションの策定 • デブサミという場の意義に自信は持っているが 「リアルに集う」体験ができないデブサミに 果たして協力してくださる方はいるのか? ↓ ミッションを言語化しよう!

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ミッションの策定

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ミッションの策定 • サイトに掲載し、コンテンツ委員会の依頼資料、 登壇依頼資料などに掲載 • 「こんな思いで企画しているから協力してほしい」 という気持ちで伝えた • 企画をする上でも「ミッションを体現できているか」 と考えながら進めることができた

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双方向のコミュニケーションの実現 • 一方的にセッションを視聴するだけでは面白くないと さまざまな取り組みをしてみた – 従来のTwitterハッシュタグ+チャット – MCが入る形式でのAsk the Speaker – オンライン懇親会

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双方向のコミュニケーションの実現:チャット • 配信画面の横にチャットを設ける (Ask the Speakerの質問もここから) • 登壇者によってはチャットで意見を募ったり、 アンケートサービスやMiroなどのツールを活用したり • 事前収録の場合は登壇者自らチャットサポートも • リアルではできなかった双方向性を実現

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双方向のコミュニケーションの実現:Ask the Speaker • リアル会場でのAsk the Speaker: セッション終了後の1対1の質問や名刺交換 • オンラインでのAsk the Speaker: チャットやTwitterの質問・反響を拾い、司会が質問

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双方向のコミュニケーションの実現:オンライン懇親会 • oViceを使い、懇親会を実施 – スピーカーの挨拶コーナー – 歓談コーナー – フォトスポット – 集合写真 • リアルで集まっているのと 近い体験だったという意見も

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Women Developers Summit • 「デブサミ」シリーズの新イベント • 2トラック全20セッション • 登壇者はすべて女性(「自分は女性である」と思って いるすべての方) • 参加者は男女どなたでも – 「女性のためのイベント」とはしていない

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Women Developers Summit開催の背景 • IT企業・コミュニティに女性が少ない課題がある • IT業界において多様性を尊重する動きが高まっている • デブサミでも女性登壇者が増えてほしいと思いつつも なかなか抜本的なアクションができていなかった ↓ 活躍している女性エンジニアの存在が感じられるだけでも いい連鎖になるのでは?

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Women Developers Summit企画時の工夫 • 公募の募集要項を工夫 • 行動規範を目立たせ 申し込み時に必ず 確認してもらうように

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Women Developers Summitの反響 • 公募に40件以上の応募が集まった • 事前申し込みの男女比は3:7(女性は500人以上) • スポンサー企業の反響も大きかった • さまざまな意見 – 🌞女性エンジニアはこんなに多いんだ!/女性の定義がいい – ☔男女の分断にならないか?/自分には必要ない • 必要としてくれる方、勇気づけられる方は多くいた

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目次 • デブサミの始まり • デブサミのこれまでと私の旅 • デブサミオーガナイザーとしての現在地

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毎年何かしらの新しい挑戦をやってこれた 2017年 まずはデブサミをがんばって企画する 2018年 若手向け新シリーズ「Developers Boost」の立ち上げ 2019年 関西版若手向けイベントの「Developers Boost KANSAI」の開催 2020年 イベントのオンライン化を実現 2021年 女性エンジニアを応援する「Women Developers Summit」の開催 2022年 Developers Summitの20回目

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新しい挑戦をするうえで意識していたこと • 新しいイベント・小さいイベントで実験する – 新イベント開催時に新しい趣向を取り入れる →良いものは別のイベントにも適用 (スタッフTシャツの導入、行動規範を目立たせる) – Ask the Speakerの司会はまず自分がやってみる →大きなイベントに向けて運用や台本を検討 • 毎度全力を尽くす – 来年以降ネタがなくなりそうといって出し惜しみしない

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最近はチームで企画にあたるようになった • Developers Boostは2020年より 若手メンバーへオーガナイザーを引き継いだ • デブサミ夏も、2021年より 若手メンバーが主導して企画を進めている • 私はデブサミの他のシリーズを仕切りつつ、 若手メンバーが企画を推進できるようにサポート

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私の次のチャレンジ CodeZineやデブサミ に触れた方が 組織やコミュニティで 前向きな行動を起こし CodeZineの著者や デブサミ登壇者になり CodeZine Academy の講師になる 翔泳社のプロダクト横断で 開発者のさまざまなきっかけになりたい

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デブサミオーガナイザーとしての現在地 • 20年で、世の中やエンジニアを取り巻く状況が 大きく変化してきた • デブサミも、大切にしてきたところはそのままに 時代にあわせてチャレンジし続けてこれたと思う • 今後も「デブサミのおかげでいまの自分がある」と 思ってくださる方が増えるようにやっていきます!