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最高のステークホルダーに なるために Scrum Fest Osaka 2025 Closing Keynote 2025年7月 岩瀬 / @iwashi86

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1 ステークホルダー

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3 マネージャー

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4 “自己組織化されたチームがいる世界で、 マネージャーの居場所はあるのだろうか? もちろん存在する。 スクラムフレームワークではマネージャーという役割を 明確にはとりあげていないが、 アジャイルな組織においてマネージャーの果たす役割は重要だ。 結局のところ、組織内にはスクラムとは関係ない役割がいろいろあって、 それらがなければ組織が回らないのだ ”

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5 今日の概要 ● 私は、現時点でアジャイル開発にがっつり入った役割ではない ● ただ、やりたいのは一緒 「顧客が必要とする価値を見出し、  それを顧客に届けることで、対価として自社に価値をもたらすこと」 ● 上記を実現するために「あれやこれや」していることのお話 ○ 体系的というよりは「効果があった!」と思っていること中心 ○ だいぶ棚に上げている🙏

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6 今日 話さないこと ボトムアップで取り組んできた組織変革のあれこれ。 各種プロセス改善やイベントは↓を参照🙏 https://speakerdeck.com/iwashi86/the-reason-why-changing-organization-is-so-hard-what-i-thought-and-faced-for-more-than-several-years

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7 本キーノートのゴール ● ステークホルダー(マネージャー)の人 ○ 特に、こうやって良かった、あるいはこれはうまくいかなかった → これを来週からの活動に活かしてもらうこと

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8 本キーノートのゴール ● ステークホルダー(マネージャー)の人 ○ 特に、こうやって良かった、あるいはこれはうまくいかなかった → これを来週からの活動に活かしてもらうこと ● マネージャー以外のステークホルダーの人 ○ マネージャーのペインを知ってもらい、道の舗装手段を知ること

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9 本キーノートのゴール ● ステークホルダー(マネージャー)の人 ○ 特に、こうやって良かった、あるいはこれはうまくいかなかった → これを来週からの活動に活かしてもらうこと ● マネージャー以外のステークホルダーの人 ○ マネージャーのペインを知ってもらい、道の舗装手段を知ること ● プロダクトチームの中の人 ○ 双方の視点でコミュニケーションできるようになること ○ 必要に応じて適宜、手を差し伸べられるようになること

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10 ● 岩瀬 義昌 (@iwashi86) / Yoshimasa Iwase ● 本業 ○ NTT ドコモビジネス(社名が変わりました) にて 生成AI向け技術開発PJのEM/PdM ■ rokadoc (RAGなどの精度を高める情報構造化技術) ■ chakoshi(生成AI向けのガードレール) ● サイドワーク ○ 大小問わずエンジニア組織支援 ○ 非常勤講師(プログラミング) ○ Podcaster ○ 翻訳者

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12 今日の全体像 ● ステークホルダーマネジメント※ ○ マネージングダウン ○ マネージングアップ ○ チェンジマネジメント ○ 他組織との向き合い方 ● セルフマネジメント ※ 本資料での「ステークホルダーマネジメント」は、 ステークホルダーに対して、あるいはステークホルダーからのマネジメントを全て含みます

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13 マネージングダウン

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14 「明確さ」を生み出すこと ● 本当にこれがすべて ○ 目標、プロセス、プロダクトのwhy、etc…

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15 「明確さ」を生み出すこと ● 本当にこれがすべて ○ 目標、プロセス、プロダクトのwhy、etc… ● なぜか? ○ 上位の戦略は抽象的 ○ モノづくりには複雑さや不確実性に溢れている ■ 何を、なぜ作るのか? ■ どうやって作るのか? ● どの技術、どういう設計?

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16 「明確さ」を生み出すこと ● 本当にこれがすべて ○ 目標、プロセス、プロダクトのwhy、etc… ● なぜか? ○ 上位の戦略は抽象的 ○ モノづくりには複雑さや不確実性に溢れている ■ 何を、なぜ作るのか? ■ どうやって作るのか? ● どの技術、どういう設計? + コードの生成まで不確実に

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17 https://en.wikipedia.org/wiki/Cynefin_framework

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18 https://en.wikipedia.org/wiki/Cynefin_framework この領域、 どんどん 広がってない? (生成AI全盛の 時代)

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19 どうやって明確さを生み出すのか? ● 基本は意思決定 ○ 一人で決める方法 ○ 合議で決める方法

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20 どうやって明確さを生み出すのか? ● 基本は意思決定 ○ 一人で決める方法 ○ 合議で決める方法 ● 例:「チームが進むべき方向・全体感」 ○ もちろん、チームで対話するのも大事 ○ チーム外の同僚に壁打ちするのも大事 ■ だが、いずれにせよ「合議にせよ」と言っているわけではない ● 当たり前と思われるかもしれないが、思ったより「個人での意思決定は大事」 → 怖いかもしれないが、いいから決める

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21 参考:チームで対話しつつ Outcome を作る方法 「Outcomeの設計と計測のやり方」 https://www.docswell.com/s/yohhatu/5W41P1-2025-07-19-082439#p57

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22 注:個人を追い込みすぎない > 「個人での意思決定は大事」 ● PO や PdM は、その役割上、一人であることが多い ○ その仕組み上、対立構造が生まれてしまうことがある ○ 結果、意思決定をする PO や PdM が孤立しがち PO Dev Dev Dev SH SH

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23 注:個人を追い込みすぎない > 「個人での意思決定は大事」 ● PO や PdM は、その役割上、一人であることが多い ○ その仕組み上、対立構造が生まれてしまうことがある ○ 結果、意思決定をする PO や PdM が孤立しがち ● そこで、PdM の置かれている状況を理解する、 四半期に一度でもいいから優先度付けを一緒にやる、 PdMやPOのコミュニティなど

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24 意思決定してコンテキストを絞り込む ● コンテキストエンジニアリング ○ “コアとなるスキル、つまり、LLM によってタスクが 妥当に解決可能となるようにすべてのコンテキストを提供する技術” ○ 一般に生成AIを利用したコーディング文脈で語られる https://simonwillison.net/2025/Jun/27/context-engineering/#atom-everything

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25 意思決定してコンテキストを絞り込む ● コンテキストエンジニアリング ○ “コアとなるスキル、つまり、LLM によってタスクが 妥当に解決可能となるようにすべてのコンテキストを提供する技術” ○ 一般に生成AIを利用したコーディング文脈で語られる ● でも、業務プロセス全般でも変わらない ○ 意思決定をしつつコンテキストを絞り込み 明確さを生み出してチームを導く https://simonwillison.net/2025/Jun/27/context-engineering/#atom-everything

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26 https://en.wikipedia.org/wiki/Cynefin_framework コンテキストを絞り込み 扱える範囲に押し込んでいく (少しでも明確さを生み出す)

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27 向かうべき先を イテレーティブに方向修正して定めつつ......

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28 「集中」する時間を作り出す ● スクラムの価値基準の1つ ● 「集中」する時間をどれだけ作り出せるか

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29 チーミング(1/3) “もっとうまい仕事のやり方を考え出しながら、 仕事を片付けてしまう方法である。 すなわち、実行と学習を同時に実現する手法” “チーミングは「チームのあり方」や 「メンバーの間の関係性」に目を向けるもの でありますが、そこに止まるものではなく、 「プロセス」や「ラーニング」にも影響を与えるもの”

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30 チーミング(2/3) ● 明示的なチーミング ○ スクラムにおけるレトロスペクティブ ○ チームビルディング(e.g. ドラッカー風エクササイズなど)

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31 チーミング(2/3) ● 明示的なチーミング ○ スクラムにおけるレトロスペクティブ ○ チームビルディング(e.g. ドラッカー風エクササイズなど) ● 暗黙的なチーミング ○ 日々のhuddle雑談 ○ slackでのチャットやリアクション ○ times でのつぶやき

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32 チーミング(3/3) ● スクラムチームでは各スプリントのケイデンスがある。 レトロスペクティブはイベントがあるとして、 チームビルディングはどれぐらいの頻度でやったら良い?

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33 チーミング(3/3) ● スクラムチームでは各スプリントのケイデンスがある。 レトロスペクティブはイベントがあるとして、 チームビルディングはどれぐらいの頻度でやったら良い? → 頻度 ■ メンバーの増減タイミング ■ 増減なくとも「月1」で実施してもペイする印象

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34 ゆるやかな文化づくり ● 小さな創業者のような気持ちで文化を作る

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35 ゆるやかな文化づくり ● 小さな創業者のような気持ちで文化を作る ● 大切にしたい文化を言葉で示して行動に起こす ○ ドキュメントを書くこと ○ ふりかえりをすること ○ (意図的に)対話をすること ■ 特に出社時・対面時 ● 「仕事はいいから話そう」

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36 ゆるやかな文化づくり ● 小さな創業者のような気持ちで文化を作る ● 大切にしたい文化を言葉で示して行動に起こす ○ ドキュメントを書くこと ○ ふりかえりをすること ○ (意図的に)対話をすること ■ 特に出社時・対面時 ● 「仕事はいいから話そう」 あるマネージャーに言われたこと: 「岩瀬さんが作った文化が まだ残って効いている」 文化づくりは最高の サクセッションの1つ

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37 トランスレーション ● 組織で働く以上、上位下達の指示がある ○ 組織としてベクトルを合わせて力を最大化するためには当然

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38 トランスレーション ● 組織で働く以上、上位下達の指示がある ○ 組織としてベクトルを合わせて力を最大化するためには当然 ● ただし、大きな組織ほど指示は「抽象的」 ○ どう解釈してチームに伝えるか? ■ 他責っぽく「〜さんはこう考えているけど知らん」はNG ■ 「私は〜と解釈した。具体的にはチームの〜という活動に  アラインしており、〜が全体方針に寄与する。」

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39 ブランディング ● チーム内部の状態が良かったとしても さらに責務を広げる + 価値を出すためには チーム外からの認知獲得が重要

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40 ブランディング ● チーム内部の状態が良かったとしても さらに責務を広げる + 価値を出すためには チーム外からの認知獲得が重要 ● そのためには「ブランディング」も厭わずすべき ○ 安定して成果を出しているチームに関わる人も 周囲から好印象を抱かれるようになる ○ ただし、現実との乖離に注意。これが大きいとみんな不幸に。

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41 象さんから目を背けない ● アジャイル開発に適していないリリースチェックリスト ● 過度に詳細さを求められる提出必須なドキュメント ● Coding Agent の導入にまつわる諸々 ● 足りないヘッドカウント ● 組織間の縦割り ● etc…

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42 象さんから目を背けない ● アジャイル開発に適していないリリースチェックリスト ● 過度に詳細さを求められる提出必須なドキュメント ● Coding Agent の導入にまつわる諸々 ● 足りないヘッドカウント ● 組織間の縦割り ● etc… これ自分の仕事ではないのでは......? と思いがち →マネージングアップやチェンジマネジメントへ

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43 マネージャー

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44 “マネジャーにとって最も大切なのは、 「チームや部下にとってやりがいのある仕事が、  毎日少しでも進捗するよう支援する」こと” テレサ・アマビール; スティーブン・クレイマー; 中竹竜二. マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力 (p. 8). (Function). Kindle Edition.

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45 “マネジャーにとって最も大切なのは、 「チームや部下にとってやりがいのある仕事が、  毎日少しでも進捗するよう支援する」こと” テレサ・アマビール; スティーブン・クレイマー; 中竹竜二. マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力 (p. 8). (Function). Kindle Edition. 妨げるものがあれば取り除く

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46 マネージングアップ

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47 https://www.youtube.com/watch?v=-dBIhshIAck

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48 スクラムフェス大阪 2023 Day1 キーノート マネージングアップの guru

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49 スクラムフェス大阪 2023 Day1 キーノート マネージングアップの guru 3年連続 マネージングアップの話!

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50 そ の 日 人 類 は 思 い 出 し た

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51 メテオフォールマネジメント(1/2) ● メテオ=差し込みによる急な指示・依頼 ○ 本当に大事なものもたくさんある ○ 一方で「ん?」と思うものもたくさんある

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52 メテオフォールマネジメント(1/2) ● メテオ=差し込みによる急な指示・依頼 ○ 本当に大事なものもたくさんある ○ 一方で「ん?」と思うものもたくさんある ● 悩ましいポイント ○ 理想:Disagree and Commit

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53 メテオフォールマネジメント(1/2) ● メテオ=差し込みによる急な指示・依頼 ○ 本当に大事なものもたくさんある ○ 一方で「ん?」と思うものもたくさんある ● 悩ましいポイント ○ 理想:Disagree and Commit ○ 現実:Disagree するための議論の時間すらないことも。

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54 メテオフォールマネジメント(2/2) ● 対応パターン ○ メンバーに全く影響がでない範囲でステークホルダー間で解決する

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55 メテオフォールマネジメント(2/2) ● 対応パターン ○ メンバーに全く影響がでない範囲でステークホルダー間で解決する ○ あるいは受け取った風にしておく ■ 「あー、そうですね!いいですね!」 から滑らかのバックログの一番下に差し込む ■ 某製造のR&Dのマネージャも同じ行動をしていた ● ここ一ヶ月で再現性 n=2

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56 できるだけ橋を渡って考えてみる ● リーダーシップ陣の置かれている立場をできるだけ理解する ○ 「〜を必達せよ」とさらに上位から言われているかもしれない

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57 できるだけ橋を渡って考えてみる ● リーダーシップ陣の置かれている立場をできるだけ理解する ○ 「〜を必達せよ」とさらに上位から言われているかもしれない ● そのためにできるだけ相手のコンテキストを抑えておくと良い ○ (ただし、わかることによる逆のフォースもある)

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58 寝技/根回し/下ネゴは? ● 理想 ○ さまざまな議論はオープンな場で実施すべき ○ 議論や経緯が追えるし、誰にでも発言チャンスがある

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59 寝技/根回し/下ネゴは? ● 理想 ○ さまざまな議論はオープンな場で実施すべき ○ 議論や経緯が追えるし、誰にでも発言チャンスがある ● 現実 ○ 様々な制約が絡む交渉・意思決定では 少人数(特に抵抗しそうな人を含む)との個別打ち合わせは プロセスを滑らかに進めるために、根回しなどは十分効果的 ■ 出社したらとりあえず近くに行って話しておく 等

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60 チェンジマネジメント

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61 定石の8ステップ? ● 危機意識を高める。なぜ変革が必要なのか、切迫した理由を明確にする。 ● 変革を推進する強力なチームを作る ● ビジョンと戦略を策定する。変革後の目指す姿と、そこに至るまでの道筋を 明確にする。 ● 変革のビジョンを周知する。全従業員に変革の必要性とビジョンを伝え、理 解と協力を得る。 ● 行動を妨げる障害を取り除く。組織内の障壁や抵抗を特定し、排除する。 ● 短期的成果をあげる。目に見える小さな成功を積み重ね、変革への自信とモ メンタムを維持する。 ● 変革をさらに推進する。短期的成果を足がかりに、さらなる変革を進める。 ● 新しいアプローチを組織文化に定着させる。変革によって生まれた新しい行 動や規範を組織の文化として根付かせる。 (上記はコッターの例。他にも、ADKARモデルや、レヴィンの3段階モデルとか)

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62 定石の8ステップ? ● 危機意識を高める。なぜ変革が必要なのか、切迫した理由を明確にする。 ● 変革を推進する強力なチームを作る ● ビジョンと戦略を策定する。変革後の目指す姿と、そこに至るまでの道筋を 明確にする。 ● 変革のビジョンを周知する。全従業員に変革の必要性とビジョンを伝え、理 解と協力を得る。 ● 行動を妨げる障害を取り除く。組織内の障壁や抵抗を特定し、排除する。 ● 短期的成果をあげる。目に見える小さな成功を積み重ね、変革への自信とモ メンタムを維持する。 ● 変革をさらに推進する。短期的成果を足がかりに、さらなる変革を進める。 ● 新しいアプローチを組織文化に定着させる。変革によって生まれた新しい行 動や規範を組織の文化として根付かせる。 危機意識を高めすぎて麻痺していないか? 「我が社には今年こそ変革が必要......」 「今は〜の元年」 と毎年言ってない?

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63 定石の8ステップ? ● 危機意識を高める。なぜ変革が必要なのか、切迫した理由を明確にする。 ● 変革を推進する強力なチームを作る ● ビジョンと戦略を策定する。変革後の目指す姿と、そこに至るまでの道筋を 明確にする。 ● 変革のビジョンを周知する。全従業員に変革の必要性とビジョンを伝え、理 解と協力を得る。 ● 行動を妨げる障害を取り除く。組織内の障壁や抵抗を特定し、排除する。 ● 短期的成果をあげる。目に見える小さな成功を積み重ね、変革への自信とモ メンタムを維持する。 ● 変革をさらに推進する。短期的成果を足がかりに、さらなる変革を進める。 ● 新しいアプローチを組織文化に定着させる。変革によって生まれた新しい行 動や規範を組織の文化として根付かせる。 危機意識を高めすぎて麻痺していないか? 「我が社には今年こそ変革が必要......」 「2025年は、〜〜元年だ!」 と毎年言ってない?

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64 組織的対話の場を作る ● 幹部と現場が継続的に話す場を作る ○ お互いの情報の非対称性という実在する社員ペインに注目

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65 https://speakerdeck.com/sasakendayo/motuto-qi-yue-jiao-she-yorimogu-ke-tonoxie-diao-wo-xie-diao-wozhu-keruqi-yue-toguan-xi-dukuri?slide=34

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66 組織的対話の場を作る ● 幹部と現場が継続的に話す場を作る ○ お互いの情報の非対称性という実在する社員ペインに注目 ● kurumaza.exe という 幹部と現場の対話会 https://www.ntt.com/content/dam/nttcom/hq/jp/about-us/csr/report/pdf/sr2021_management.pdf

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67 組織的対話の場を作る ● 幹部と現場が継続的に話す場を作る ○ お互いの情報の非対称性という実在する社員ペインに注目 ● kurumaza.exe という 幹部と現場の対話会 ● 続けていると・・・ https://www.ntt.com/content/dam/nttcom/hq/jp/about-us/csr/report/pdf/sr2021_management.pdf

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68 ボトムアップ (Unofficial) トップダウン (Official) 継続したボトムアップ活動は(すべてではないが) どこかのタイミングでflipする(ことがある)

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69 非公式なインフルエンサーを大事にする ● 必ずしも「役職者」ではないけど 声の大きい人 あるいは 活動量がある人

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70 非公式なインフルエンサーを大事にする ● 必ずしも「役職者」ではないけど 声の大きい人 あるいは 活動量がある人 ● 彼ら・彼女らを盛り立てることで 実現したいボトムアップのアプローチを加速できる ○ ひたすらスポンサリング・後押ししていく

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71 他組織との向き合い方

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72 相手の立場とゴールを徹底的に知る ● スタッフ系組織(法務、知財、広報、経理、...)は 一定規模の企業であればどの会社にも存在

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73 相手の立場とゴールを徹底的に知る ● スタッフ系組織(法務、知財、広報、経理、...)は 一定規模の企業であればどの会社にも存在 ● オフェンシブな側面もあれば 法令遵守などの点から、企業に必要なディフェンシブな側面もある

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74 相手の立場とゴールを徹底的に知る ● スタッフ系組織(法務、知財、広報、経理、...)は 一定規模の企業であればどの会社にも存在 ● オフェンシブな側面もあれば 法令遵守などの点から、企業に必要なディフェンシブな側面もある → 何を、なぜ気にしているのか? を理解する

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75 理解するために ● どんな手段であれ、会話の物量が確保できると良い (飲み会とかができるのであれば最高)

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76 理解するために ● どんな手段であれ、会話の物量が確保できると良い (飲み会とかができるのであれば最高) ● 相手組織の事業計画資料などがあれば読み込んでおくと良い ○ 力点がわかる

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77 理解するために ● どんな手段であれ、会話の物量が確保できると良い (飲み会とかができるのであれば最高) ● 相手組織の事業計画資料などがあれば読み込んでおくと良い ○ 力点がわかる ● (より大きな視点で見れば) 人事異動プロセスで、意図的にジェネラリストを動かす

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78 [余談] ベースとしてのファシリテーションスキル ● 兆候 ○ 6-8人の会議なのに「AさんとBさんだけが話して終わる」 ○ ミーティングの後に「やっぱりこう思う」が出てくる

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79 [余談] ベースとしてのファシリテーションスキル ● 兆候 ○ 6-8人の会議なのに「AさんとBさんだけが話して終わる」 ○ ミーティングの後に「やっぱりこう思う」が出てくる ● これだけは抑えてほしい3点 ○ 発散は非同期で(同期でやらない) ○ 収束方法もざっくり決めておく(Voteで絞り込むのか、委譲するのか) ○ 同じ画面をみて話す ■ リモートなら、カメラ無し + マイクのみ + メモ無し、は厳しい

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80 https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/%E6%B0%B4%E9%9D%A2%E3%81%AB%E5%BA%A7%E3%82%8B%E7%94%B7-F8sCVSW4t4E こうなることもある...

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81 セルフマネジメント

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82 レビューの理想と現実 ● よくある話 「コードレビュー※はあくまでコードの品質を  向上させるための行為であり、  レビュー対象者の人格を否定するものではありません。」 ※ コードに限らず他のレビューでも

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83 レビューの理想と現実 ● よくある話 「コードレビューはあくまでコードの品質を  向上させるための行為であり、  レビュー対象者の人格を否定するものではありません。」 ● さて、皆さんはどうでしょうか?

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84 レビューの理想と現実 ● よくある話 「コードレビューはあくまでコードの品質を  向上させるための行為であり、  レビュー対象者の人格を否定するものではありません。」 ● さて、皆さんはどうでしょうか? ● 私はどうしても切り離せないタイプ ○ 頭ではわかっていても、心拍数が上がっている

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85 燃え尽きない / 自分の身を守る・限界を知る ● 自分の調子がおかしくなったことは?

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86 燃え尽きない / 自分の身を守る・限界を知る ● 自分の調子がおかしくなったことは? ● 私の場合 ○ level 1: 肩がこる、目が疲れる

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87 燃え尽きない / 自分の身を守る・限界を知る ● 自分の調子がおかしくなったことは? ● 私の場合 ○ level 1: 肩がこる、目が疲れる ○ level 2: 長めに睡眠しても疲れ・だるさが残る

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88 燃え尽きない / 自分の身を守る・限界を知る ● 自分の調子がおかしくなったことは? ● 私の場合 ○ level 1: 肩がこる、目が疲れる ○ level 2: 長めに睡眠しても疲れ・だるさが残る ○ level 3: まぶたが変にピクピクし始める → 自分に特性に応じた対応方法を備えておく

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89 卑下しすぎない

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90 https://x.com/SahilBloom/status/1941476005459226752 M「奥さんに会わなかったら、あなたの人生はどうなっていたと思いますか?」 R「妻と過ごした日々を一日たりとも後悔していない」 R「20年前にバーで会った、話しかけなかったことを   ずっと後悔している女性の話なんか、俺はしていない。   俺はナンシーと結婚していた18年間を後悔していない。   彼女が病気になってカウンセリングをやめなければならなかった6年間も、   そして彼女が本当に病気になった最後の数年間も後悔していない。   そして、あの試合を見逃したことも、断じて後悔なんかしていないんだ。」

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91 卑下しすぎない(1/3) ● 普通なら「あの時違う選択をしていれば」と後悔するところを、 セラピストは自分が実際に歩んだ人生、苦しい部分も含めて誇りに思っている

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92 卑下しすぎない(1/3) ● 普通なら「あの時違う選択をしていれば」と後悔するところを、 セラピストは自分が実際に歩んだ人生、苦しい部分も含めて誇りに思っている ● 私たちは、他の可能性を想像する時、 そこにあったであろう困難や不確実性を全部取り除いて、 完璧なストーリーを作り上げてしまう

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93 卑下しすぎない(1/3) ● 普通なら「あの時違う選択をしていれば」と後悔するところを、 セラピストは自分が実際に歩んだ人生、苦しい部分も含めて誇りに思っている ● 私たちは、他の可能性を想像する時、 そこにあったであろう困難や不確実性を全部取り除いて、 完璧なストーリーを作り上げてしまう ● 一方で、実際に選んだ道の欠点や苦労は全部知っているから、 比較が不公平になってしまう → 自分の選んだ道を誇っていいし、卑下しすぎなくていい

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94 卑下しすぎない(2/3) ● プロダクト開発作りは忙しい ○ ユーザーインタビューいかなきゃ、バックログをリファインしなくちゃ、 実装もなくちゃ、CIが壊れたので直さなきゃ、...... ○ やることは無限に湧いてくる

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95 卑下しすぎない(2/3) ● プロダクト開発作りは忙しい ○ ユーザーインタビューいかなきゃ、バックログをリファインしなくちゃ、 実装もなくちゃ、CIが壊れたので直さなきゃ、...... ○ やることは無限に湧いてくる ● そんな時にカンファレンスの色々な講演を聞くと「刺さる」 ○ みんなすごい! ■ でも自分はあれもこれもできてない......

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96 卑下しすぎない(2/3) ● プロダクト開発作りは忙しい ○ ユーザーインタビューいかなきゃ、バックログをリファインしなくちゃ、 実装もなくちゃ、CIが壊れたので直さなきゃ、...... ○ やることは無限に湧いてくる ● そんな時にカンファレンスの色々な講演を聞くと「刺さる」 ○ みんなすごい! ■ でも自分はあれもこれもできてない...... ○ 何よりアジャイルコーチの話は正論!

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97 卑下しすぎない(3/3) ● 現場でモノづくりをしている 人は素晴らしい

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98 卑下しすぎない(3/3) ● 現場でモノづくりをしている 人は素晴らしい ● 1人以上に売れているなら 本質的にエンドユーザーに 価値を生み出していることを誇っていい

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99 卑下しすぎない(3/3) ● 現場でモノづくりをしている 人は素晴らしい ● 1人以上に売れているなら 本質的にエンドユーザーに 価値を生み出していることを誇っていい ● 最善を尽くしてきている!

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100 最後に (RSGT2023でも話したこと)

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101 IMD「世界競争力年鑑」各年版より三菱総合研究所様が作成されたもの https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/20231024.html 世界競争力年鑑 総合順位(日本)

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2025年時点、日本はテック業界で苦戦している ● 自分の子供たちや未来を考えると 少しでも良い方向に動かせれば良いと思う

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2025年時点、日本はテック業界で苦戦している ● 自分の子供たちや未来を考えると 少しでも良い方向に動かせれば良いと思う ● 40歳前後という年齢だとして 今と同じだけの力で働けるのはあと何年だろう?

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104 常に立ち返る問い 「自分は今、 何を成し遂げたくて 働いているのだろう?」 「そこに(自らが共感する)大義 はあるだろうか?」

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105 ● NTTグループは日本の中でも巨大企業グループ ○ NTTドコモビジネスだけでも1兆円を超える売上がある (大変だけど)こんなに面白いことはないから

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106 (大変だけど)こんなに面白いことはないから ● NTTグループは日本の中でも巨大企業グループ ○ NTTドコモビジネスだけでも1兆円を超える売上がある ● NTTドコモビジネスが変わると、NTTグループが変わる

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107 (大変だけど)こんなに面白いことはないから ● NTTグループは日本の中でも巨大企業グループ ○ NTTドコモビジネスだけでも1兆円を超える売上がある ● NTTドコモビジネスが変わると、NTTグループが変わる ● NTTグループが変われば日本が変わる (=私の大義)

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108 (大変だけど)こんなに面白いことはないから ● NTTグループは日本の中でも巨大企業グループ ○ NTTドコモビジネスだけでも1兆円を超える売上がある ● NTTドコモビジネスが変わると、NTTグループが変わる ● NTTグループが変われば日本が変わる (=私の大義) この起点となるために  自らチーム組成&プロダクト開発をして成功例を作り  組織に根付く価値観・文化を変えていきたい と言いながら転職する可能性もある

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109 ボトムアップ (Unofficial) トップダウン (Official) 継続したボトムアップ活動はどこかの タイミングでflipする(ことがある)

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110 マネージャー

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111 価値

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ただちょっと(?)だけ、難しいゲームなだけ

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ただちょっと(?)だけ、難しいゲームなだけ https://www.taito.co.jp/classics/takechou 今だと攻略サイトの無しのダークソウルとか?

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114 本編はここまで

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115 QAの前にチェックアウト

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116 チェックアウト! ● Discord の #801-8f-main ch に現時点で 考えていること・思っていること・やってみたいこと を書いておきましょう! (全体で最大2分程度、様子をみて切ります)

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117 というわけで まとめ

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118 本日お話ししたこと ● ステークホルダーマネジメント ○ マネージングダウン ○ マネージングアップ ○ チェンジマネジメント ○ 他組織との向き合い方 ● セルフマネジメント

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119 本キーノートのゴール ● ステークホルダー(マネージャー)の人 ○ 特に、こうやって良かった、あるいはこれはうまくいかなかった → これを来週からの活動に活かしてもらうこと ● マネージャー以外のステークホルダーの人 ○ マネージャーのペインを知ってもらい、道の舗装手段を知ること ● プロダクトチームの中の人 ○ 双方の視点でコミュニケーションできるようになること ○ 必要に応じて適宜、手を差し伸べられるようになること

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120 キーメッセージ ● 明確さを作り出す。いいから決める ● 象さんから目を背けずに、 チェンジマネジメントやマネージングアップに向き合う ● 卑下しすぎない。今選んだ道に誇りを持っていい

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121 本キーノートのゴール ● ステークホルダー(マネージャー)の人 ○ 特に、こうやって良かった、あるいはこれはうまくいかなかった → これを来週からの活動に活かしてもらうこと ● マネージャー以外のステークホルダーの人 ○ マネージャーのペインを知ってもらい、道の舗装手段を知ること ● プロダクトチームの中の人 ○ 双方の視点でコミュニケーションできるようになること ○ 必要に応じて適宜、手を差し伸べられるようになること ありがとうございました! 引き続き対話しましょう!