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最高のステークホルダーになるために / Striving to be the best sta...

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July 19, 2025

最高のステークホルダーになるために / Striving to be the best stakeholder

スクラムフェス大阪2025のクロージングキーノートの資料です。
https://confengine.com/conferences/scrum-fest-osaka-2025/schedule

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iwashi

July 19, 2025
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  1. 2

  2. 9 本キーノートのゴール • ステークホルダー(マネージャー)の人 ◦ 特に、こうやって良かった、あるいはこれはうまくいかなかった → これを来週からの活動に活かしてもらうこと • マネージャー以外のステークホルダーの人

    ◦ マネージャーのペインを知ってもらい、道の舗装手段を知ること • プロダクトチームの中の人 ◦ 双方の視点でコミュニケーションできるようになること ◦ 必要に応じて適宜、手を差し伸べられるようになること
  3. 10 • 岩瀬 義昌 (@iwashi86) / Yoshimasa Iwase • 本業

    ◦ NTT ドコモビジネス(社名が変わりました) にて 生成AI向け技術開発PJのEM/PdM ▪ rokadoc (RAGなどの精度を高める情報構造化技術) ▪ chakoshi(生成AI向けのガードレール) • サイドワーク ◦ 大小問わずエンジニア組織支援 ◦ 非常勤講師(プログラミング) ◦ Podcaster ◦ 翻訳者
  4. 11

  5. 12 今日の全体像 • ステークホルダーマネジメント※ ◦ マネージングダウン ◦ マネージングアップ ◦ チェンジマネジメント

    ◦ 他組織との向き合い方 • セルフマネジメント ※ 本資料での「ステークホルダーマネジメント」は、 ステークホルダーに対して、あるいはステークホルダーからのマネジメントを全て含みます
  6. 15 「明確さ」を生み出すこと • 本当にこれがすべて ◦ 目標、プロセス、プロダクトのwhy、etc… • なぜか? ◦ 上位の戦略は抽象的

    ◦ モノづくりには複雑さや不確実性に溢れている ▪ 何を、なぜ作るのか? ▪ どうやって作るのか? • どの技術、どういう設計?
  7. 16 「明確さ」を生み出すこと • 本当にこれがすべて ◦ 目標、プロセス、プロダクトのwhy、etc… • なぜか? ◦ 上位の戦略は抽象的

    ◦ モノづくりには複雑さや不確実性に溢れている ▪ 何を、なぜ作るのか? ▪ どうやって作るのか? • どの技術、どういう設計? + コードの生成まで不確実に
  8. 20 どうやって明確さを生み出すのか? • 基本は意思決定 ◦ 一人で決める方法 ◦ 合議で決める方法 • 例:「チームが進むべき方向・全体感」

    ◦ もちろん、チームで対話するのも大事 ◦ チーム外の同僚に壁打ちするのも大事 ▪ だが、いずれにせよ「合議にせよ」と言っているわけではない • 当たり前と思われるかもしれないが、思ったより「個人での意思決定は大事」 → 怖いかもしれないが、いいから決める
  9. 22 注:個人を追い込みすぎない > 「個人での意思決定は大事」 • PO や PdM は、その役割上、一人であることが多い ◦

    その仕組み上、対立構造が生まれてしまうことがある ◦ 結果、意思決定をする PO や PdM が孤立しがち PO Dev Dev Dev SH SH
  10. 23 注:個人を追い込みすぎない > 「個人での意思決定は大事」 • PO や PdM は、その役割上、一人であることが多い ◦

    その仕組み上、対立構造が生まれてしまうことがある ◦ 結果、意思決定をする PO や PdM が孤立しがち • そこで、PdM の置かれている状況を理解する、 四半期に一度でもいいから優先度付けを一緒にやる、 PdMやPOのコミュニティなど
  11. 25 意思決定してコンテキストを絞り込む • コンテキストエンジニアリング ◦ “コアとなるスキル、つまり、LLM によってタスクが 妥当に解決可能となるようにすべてのコンテキストを提供する技術” ◦ 一般に生成AIを利用したコーディング文脈で語られる

    • でも、業務プロセス全般でも変わらない ◦ 意思決定をしつつコンテキストを絞り込み 明確さを生み出してチームを導く https://simonwillison.net/2025/Jun/27/context-engineering/#atom-everything
  12. 31 チーミング(2/3) • 明示的なチーミング ◦ スクラムにおけるレトロスペクティブ ◦ チームビルディング(e.g. ドラッカー風エクササイズなど) •

    暗黙的なチーミング ◦ 日々のhuddle雑談 ◦ slackでのチャットやリアクション ◦ times でのつぶやき
  13. 36 ゆるやかな文化づくり • 小さな創業者のような気持ちで文化を作る • 大切にしたい文化を言葉で示して行動に起こす ◦ ドキュメントを書くこと ◦ ふりかえりをすること

    ◦ (意図的に)対話をすること ▪ 特に出社時・対面時 • 「仕事はいいから話そう」 あるマネージャーに言われたこと: 「岩瀬さんが作った文化が まだ残って効いている」 文化づくりは最高の サクセッションの1つ
  14. 38 トランスレーション • 組織で働く以上、上位下達の指示がある ◦ 組織としてベクトルを合わせて力を最大化するためには当然 • ただし、大きな組織ほど指示は「抽象的」 ◦ どう解釈してチームに伝えるか?

    ▪ 他責っぽく「〜さんはこう考えているけど知らん」はNG ▪ 「私は〜と解釈した。具体的にはチームの〜という活動に  アラインしており、〜が全体方針に寄与する。」
  15. 40 ブランディング • チーム内部の状態が良かったとしても さらに責務を広げる + 価値を出すためには チーム外からの認知獲得が重要 • そのためには「ブランディング」も厭わずすべき

    ◦ 安定して成果を出しているチームに関わる人も 周囲から好印象を抱かれるようになる ◦ ただし、現実との乖離に注意。これが大きいとみんな不幸に。
  16. 42 象さんから目を背けない • アジャイル開発に適していないリリースチェックリスト • 過度に詳細さを求められる提出必須なドキュメント • Coding Agent の導入にまつわる諸々

    • 足りないヘッドカウント • 組織間の縦割り • etc… これ自分の仕事ではないのでは......? と思いがち →マネージングアップやチェンジマネジメントへ
  17. 59 寝技/根回し/下ネゴは? • 理想 ◦ さまざまな議論はオープンな場で実施すべき ◦ 議論や経緯が追えるし、誰にでも発言チャンスがある • 現実

    ◦ 様々な制約が絡む交渉・意思決定では 少人数(特に抵抗しそうな人を含む)との個別打ち合わせは プロセスを滑らかに進めるために、根回しなどは十分効果的 ▪ 出社したらとりあえず近くに行って話しておく 等
  18. 61 定石の8ステップ? • 危機意識を高める。なぜ変革が必要なのか、切迫した理由を明確にする。 • 変革を推進する強力なチームを作る • ビジョンと戦略を策定する。変革後の目指す姿と、そこに至るまでの道筋を 明確にする。 •

    変革のビジョンを周知する。全従業員に変革の必要性とビジョンを伝え、理 解と協力を得る。 • 行動を妨げる障害を取り除く。組織内の障壁や抵抗を特定し、排除する。 • 短期的成果をあげる。目に見える小さな成功を積み重ね、変革への自信とモ メンタムを維持する。 • 変革をさらに推進する。短期的成果を足がかりに、さらなる変革を進める。 • 新しいアプローチを組織文化に定着させる。変革によって生まれた新しい行 動や規範を組織の文化として根付かせる。 (上記はコッターの例。他にも、ADKARモデルや、レヴィンの3段階モデルとか)
  19. 62 定石の8ステップ? • 危機意識を高める。なぜ変革が必要なのか、切迫した理由を明確にする。 • 変革を推進する強力なチームを作る • ビジョンと戦略を策定する。変革後の目指す姿と、そこに至るまでの道筋を 明確にする。 •

    変革のビジョンを周知する。全従業員に変革の必要性とビジョンを伝え、理 解と協力を得る。 • 行動を妨げる障害を取り除く。組織内の障壁や抵抗を特定し、排除する。 • 短期的成果をあげる。目に見える小さな成功を積み重ね、変革への自信とモ メンタムを維持する。 • 変革をさらに推進する。短期的成果を足がかりに、さらなる変革を進める。 • 新しいアプローチを組織文化に定着させる。変革によって生まれた新しい行 動や規範を組織の文化として根付かせる。 危機意識を高めすぎて麻痺していないか? 「我が社には今年こそ変革が必要......」 「今は〜の元年」 と毎年言ってない?
  20. 63 定石の8ステップ? • 危機意識を高める。なぜ変革が必要なのか、切迫した理由を明確にする。 • 変革を推進する強力なチームを作る • ビジョンと戦略を策定する。変革後の目指す姿と、そこに至るまでの道筋を 明確にする。 •

    変革のビジョンを周知する。全従業員に変革の必要性とビジョンを伝え、理 解と協力を得る。 • 行動を妨げる障害を取り除く。組織内の障壁や抵抗を特定し、排除する。 • 短期的成果をあげる。目に見える小さな成功を積み重ね、変革への自信とモ メンタムを維持する。 • 変革をさらに推進する。短期的成果を足がかりに、さらなる変革を進める。 • 新しいアプローチを組織文化に定着させる。変革によって生まれた新しい行 動や規範を組織の文化として根付かせる。 危機意識を高めすぎて麻痺していないか? 「我が社には今年こそ変革が必要......」 「2025年は、〜〜元年だ!」 と毎年言ってない?
  21. 79 [余談] ベースとしてのファシリテーションスキル • 兆候 ◦ 6-8人の会議なのに「AさんとBさんだけが話して終わる」 ◦ ミーティングの後に「やっぱりこう思う」が出てくる •

    これだけは抑えてほしい3点 ◦ 発散は非同期で(同期でやらない) ◦ 収束方法もざっくり決めておく(Voteで絞り込むのか、委譲するのか) ◦ 同じ画面をみて話す ▪ リモートなら、カメラ無し + マイクのみ + メモ無し、は厳しい
  22. 87 燃え尽きない / 自分の身を守る・限界を知る • 自分の調子がおかしくなったことは? • 私の場合 ◦ level

    1: 肩がこる、目が疲れる ◦ level 2: 長めに睡眠しても疲れ・だるさが残る
  23. 88 燃え尽きない / 自分の身を守る・限界を知る • 自分の調子がおかしくなったことは? • 私の場合 ◦ level

    1: 肩がこる、目が疲れる ◦ level 2: 長めに睡眠しても疲れ・だるさが残る ◦ level 3: まぶたが変にピクピクし始める → 自分に特性に応じた対応方法を備えておく
  24. 96 卑下しすぎない(2/3) • プロダクト開発作りは忙しい ◦ ユーザーインタビューいかなきゃ、バックログをリファインしなくちゃ、 実装もなくちゃ、CIが壊れたので直さなきゃ、...... ◦ やることは無限に湧いてくる •

    そんな時にカンファレンスの色々な講演を聞くと「刺さる」 ◦ みんなすごい! ▪ でも自分はあれもこれもできてない...... ◦ 何よりアジャイルコーチの話は正論!
  25. 119 本キーノートのゴール • ステークホルダー(マネージャー)の人 ◦ 特に、こうやって良かった、あるいはこれはうまくいかなかった → これを来週からの活動に活かしてもらうこと • マネージャー以外のステークホルダーの人

    ◦ マネージャーのペインを知ってもらい、道の舗装手段を知ること • プロダクトチームの中の人 ◦ 双方の視点でコミュニケーションできるようになること ◦ 必要に応じて適宜、手を差し伸べられるようになること
  26. 121 本キーノートのゴール • ステークホルダー(マネージャー)の人 ◦ 特に、こうやって良かった、あるいはこれはうまくいかなかった → これを来週からの活動に活かしてもらうこと • マネージャー以外のステークホルダーの人

    ◦ マネージャーのペインを知ってもらい、道の舗装手段を知ること • プロダクトチームの中の人 ◦ 双方の視点でコミュニケーションできるようになること ◦ 必要に応じて適宜、手を差し伸べられるようになること ありがとうございました! 引き続き対話しましょう!