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トップマネジメントと コンピテンシーから考える エンジニアリングマネジメント 2026/03/04 EMConf JP 2026 Toru Yamaguchi (@zigorou)

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タイミーとは 2 「働きたい時間」と「働いてほしい時間」を マッチングするスキマバイトサービス 従来の「求人サイト」でも「派遣」でもない

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タイミーの特徴 3

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登録ワーカーの属性 4 年代‧職業問わず、幅広い属性が利⽤ 性別
 年代
 職業
 その他 
 2.4%
 男性 40.9%
 女性
 56.6%
 10代 15.5%
 20代 34.7%
 30代 17.7%
 40代 17.5%
 50代 11.7%
 60代以上 3.0%
 学生 31.8%
 会社員
 29.7%
 自営 業
 自由 業
 5.9%
 
 専業主婦 
 専業主夫 6.8%
 パート 
 アルバイト 16.8%
 その他 8.9%
 2024年12月時点

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登録ワーカーの属性 5

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優良ワーカーの獲得 6 72

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充実の労務機能 7

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タイミーの使われ方 働き手と雇い手がいるBtoCプラットフォームを提供しています。外からは見えづらいですが、スポットワークを実現するための雇い手 の手続きや課題は多く、そのプロセスのほとんどをシステム化しています。 8

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タイミーの実績 スキマ バイト No.1 ※1 調査委託先:マクロミル 調査方法:インターネット調査 調査時期: 2025年1月31日~2025年2月4日 調査対象:直近1年以内にスキマバイトを経験したことのある 18~69歳の男女 1033人 ※2 調査委託先:マクロミル 調査方法:インターネット調査 調査時期: 2025年1月31日~2025年2月4日 調査対象:直近1年以内にスキマバイトを経験したことのある 18~69歳の男女 1033人 ※直近 1年以内に 2回以上働いた経験があるスキマバイトサービスを聴取 ※3 2025年10月時点 ※ 4 2025年10月時点 利用率 ・リピート率 ※1 ※2 導入事業者数 215,000企業 ワーカー数 1,270万人 ※4 ※3

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業界を超えて広がるタイミー タイミーは多くの業界で活用されるサービスに成長し、物流/小売/飲食の各業界TOP10社の半数以上がタイミーを導入中。 現在導入事業者数は215,000企業、 417,000拠点以上※になり、様々な業界に広がっています。 10 ※2025年10月時点

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導入事業者様の業界属性 11

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業務プロセスを踏まえた提案( BPR) 12 STEP 1 STEP 2 STEP 3 各企業の業務プロセスを踏まえて、 業務カテゴリごとに区分け ワーカーがスポットでできる 業務を特定し、切り出し タイミーを利用した求人掲載を 拡大し、コスト削減を実現 ※物流事業者様の例

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Vision 一人ひとりの時間を豊かに 「人生の時間は有限である」 これは代表の小川が尊敬していた祖父の急逝をきっかけに得た教訓です。 有限だからこそ時間をより価値あるものにする方法をすぐに見つけられ すぐに実行できる世界をつくりたい。この想いから、 時間を豊かにする選択肢の一つとして、 好きな時間に働ける「タイミー」が着想されました。 私たちは「はたらく」に留まらない多様なアプローチで、 一人ひとりの時間が豊かになるきっかけを提供していきます。 13

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Mission 「はたらく」を通じて 人生の可能性を広げる インフラをつくる 時間にとらわれず、好きな場所で、好きな仕事を。 少し前には考えられないような自由な働き方を、タイミーは提供しています。 この新しい「はたらく」は、ただ自由であることにその魅力を留めません。 「働く」を通じた、多くの人との出会いと経験の積み重ねは、自分自身の新たな 価値を発見し、可能性を広げる糧になると私たちは信じています。 タイミーは、新しい「はたらく」インフラとして、一人ひとりが自分の可能性を広げていける 社会を目指します。 14

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目次 ■ EM向けドラッカー入門 ■ “マネジメント”をエンジニアリ ングマネジメントに落とし込む ■ Engineering Ladders から期待 役割とアウトカムを考える

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1 エンジニアリングマネー ジャー向けドラッカー入門 (マネジメント編)

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企業とは何か?

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目的は「顧客の創造」 ■ 企業の目的は「利益」ではなく、顧客を創造すること。 ■ 目的は企業の外(社会・市場)にあり、顧客が価値を認めて初めて事業が成立 する。 ■ 「何を価値とするか」を定義し、潜在的な欲求を需要に変えるのが企業の役 割。

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顧客を創る基本機能は2つ ■ 顧客創造の手段は マーケティング と イノベーション。 ■ マーケティング ○ 顧客の欲求・現実・価値から出発し、提供を合わせて「自然に売れる」状態をつくる。 ■ イノベーション ○ 新しい満足や能力を生み、変化と成長を起こす。

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投資・生産性・利益の位置付け ■ 顧客の創造 (マーケティングとイノベーション) には、資源 (人・物・金) への 投資 が不可欠。 ■ 投資効率を上げるには、コスト削減ではなく 生産性 (成果への結びつき) に注 目する。 ■ 利益 は原因ではなく 結果。不確実性への備えであり、次の成長への再投資の 原資。

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事業とは何か

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起点は「顧客・マーケット」 ■ 事業の定義は、会社の内側 (組織図・製品名) ではなく 顧客 と マーケット か ら始める。 ■ 顧客が満たそうとする 欲求 は何か。 ○ ジョブ理論や Value Proposition と同じような考え方です ■ その欲求を、どんな場面で、どんな代替 (Alternative) と比べて選ぶのか。

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顧客は誰か ■ 顧客は一種類とは限らない。 ■ 「支払う人」「使う人」「選ぶ人」が分かれることがある。 ■ 誰の、どの価値を最大化するかで、事業の境界が決まる。

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われわれの事業は何か (マーケティング) ■ いま、顧客が買っているのは何か (製品ではなく効用)。 ■ 顧客が価値を感じる「成果」「体験」は何か。 ■ 価値の定義に合わせて、提供・価格・チャネル・体験を整える。

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われわれの事業は何であるべきか (イノベーション) ■ 変化 (技術・制度・競争・顧客行動) を踏まえ、次の価値を設計する。 ○ PEST 分析や 5 forces 分析などを用いたりします ■ 顧客・市場の再定義が必要なら、事業の境界も更新する。 ■ 過去の延長ではなく、新しい機会を創る問いを持ち続ける。

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事業の8つの目標

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マーケティングの目標 ■ 顧客に選ばれ続けるために「どのマーケットに集中するか」「どのポジション を狙うか」を決める。 ■ 既存市場・新市場、新製品・既存製品、チャネル、アフターなどを目標に落と す。 ■ 最大ではなく、事業にとって 最適なマーケットポジション を狙う。

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イノベーションの目標 ■ 「事業は何であるべきか」を行動に落とし、新しい満足をつくる。 ■ 製品・サービスだけでなく、市場・顧客行動、提供プロセスも対象にする。 ■ 体系的に古いものを捨て、失敗を前提に 成功が全体を回収する つもりで設計 する。

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人的資源の目標 ■ 必要な人材を引きつけ、育て、定着させる。 ■ 仕事を「選ばれるもの」にする ○ 採用・配置・育成もマーケティング ■ 期待する成果に直結する能力と行動を明確にする。

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資金の目標 ■ 現在の事業運営と未来投資を両立できる資金を確保する。 ■ 投資家・金融市場にとって魅力あるストーリーと規律を持つ。 ■ 資金需要をマーケット環境と結びつけて計画する。

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物的資源の目標 ■ 土地・設備・IT基盤など、価値提供の土台を確保する。 ■ 取得して終わりではなく、成果に結びつく形で運用設計する。 ■ 資金・人と同様に「生産的な使用」を前提にする。

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生産性の目標 ■ 限られた資源 (人・物・金) を、成果に最大限つなげる。 ■ 部分最適ではなく、全体のアウトカムで測る。 ■ 生産性は方向づけとコントロールのための尺度になる。

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社会的責任の目標 ■ 社会から有用で生産的と認められる条件を満たし続ける。 ■ 影響(安全・信頼・公平など)を処理し、戦略に組み込む。 ■ 「善意」ではなく、存続の正統性をつくる目標として扱う。

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利益の目標 ■ 利益は目的ではなく 条件 であり、結果として得られる。 ■ リスクと不確実性に備え、事業を存続させるために必要な水準を計画する。 ■ 次の成長への 再投資の原資 として位置づける。

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マネジメントとは?

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マネジメントの三つの役割 ■ 使命の達成 ○ 組織特有の目的 (使命) を果たす ■ 人の活用 ○ 仕事を通じて、働く人に働きがいと自己実現の場を与える ■ 社会的責任 ○ 活動が社会に与える影響を処理し、社会問題の解決に貢献する

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時間の統合 / 管理的活動と起業家活動 ■ 時間の統合 ○ 「現在 (マーケティング) と未来 (イノベーション)」「短期と長期」を同時に扱い、基礎固めと投 資のバランスを取る ■ 管理的活動と起業家活動 ○ 管理的活動: 既存の事業や活動を管理し、今日の成果を最適化する (マーケティング) ○ 起業家活動: 昨日を捨て去り、新しい価値 (明日) を創造する (イノベーション)

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マネージャーとは何か

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マネージャーの定義と二つの役割 ■ 定義 ○ マネージャーは「命令する権限」ではなく、組織の成果 に対して 貢献する責任 で定義される ○ 部下の有無に関わらず、知識専門家を含む人々の仕事を成果につなげる。 ■ 役割1: 部分の和よりも大きな全体をつくる ○ 資源を統合し、チーム全体として成果を生み出す。 ■ 役割2: 現在と未来 (短期と長期) を調和させる ○ 目先の最適化と、将来への投資・変化を同時に扱う。

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マネージャーの5つの基本作業 ■ 目標を設定する ○ 何を成果とするかを定め、優先順位を決める。 ■ 組織する ○ 仕事を分解し、人と役割を配置し、仕組みに落とす。 ■ 動機づけ・コミュニケーションする ○ 情報を整え、協働を成立させ、意欲を引き出す。 ■ 評価測定する ○ 尺度を定め、自己管理できるように可視化する。 ■ 人材を開発する ○ 学習と成長を支え、次の責任を担える状態にする。

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組織の精神

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凡人が非凡な成果を出す ■ 組織は天才に頼るのではなく、凡人に非凡なことを行わせる ためにある。 ■ 精神の良否は「成果中心」で決まる。 ■ 焦点は問題ではなく 機会 に合わせる。 ○ Value Proposition における Pain/Gain のような事柄

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成果とは挑戦を含む ■ 成果は百発百中ではなく、長期的な打率。 ■ 失敗しない人は無難なことしかしないため、挑戦を評価しない組織は弱る。 ■ 優れた人ほど新しいことを試し、多くの間違いをおかす。

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人事決定と真摯さ ■ 配置・昇進などの人事決定は、人の行動に最も強く影響する管理手段。 ■ 組織が何を欲し、重視し、報いようとしているかを人事が伝える。 ■ マネージャー任命の絶対条件は 真摯さ ○ 真摯さの欠如は組織と人を破壊する

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管理

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管理の位置付け ■ 管理手段は「測定の道具」ではなく、行動を方向づける仕組み として設計す る。 ■ 焦点は内部 (コスト) ではなく、外部 (顧客にもたらす成果) に置く。 ■ 数値化できない重要事項 (ex. 人材の確保) にも管理は必要。

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管理手段の要件 ■ 効率的: 使う情報と手段は最小限にする。 ■ 意味がある: 成果に直結する重要事象に絞る。 ■ 対象に適した尺度: 表面値ではなく、原因や集中点が見える。 ■ 精度は適量: 無意味に細かい正確さより、実態が伝わる粗さ。 ■ 時間間隔は適量: 頻繁さが正義ではない (リアルタイムが有害な場合も)。 ■ 単純: 直感的に理解でき、説明できる。 ■ 行動に焦点: 情報収集ではなく、必要な行動が起こる設計にする。

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真の管理 ■ 真の管理は、個人の行動を方向づける 評価と価値観 の仕組み。 ■ 賞罰や環境構築を通じて、望ましい行動が選ばれる状態をつくる。

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経営科学

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経営科学の位置づけと基盤 ■ 位置付け ○ 経営科学は強力な道具だが、手法の適用が目的化 するとマネジメントの役に立たない。 ○ マネージャーは専門家になる必要はないが、何を期待し、どう使うかは理解しておく。 ■ 基盤 ○ 企業は 人から成るシステム であり、現実の企業活動を前提に公準を置く。 ○ 数学を借りるだけでなく、マネジメントの前提と目的そのものを分析対象にする。

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5つの公準 ■ 企業は社会・経済の生態システムの一員として、影響を受けつつ与える。 ■ 企業は「人が価値ありと認めるもの」を生み出す存在。 ■ 測定の尺度として「金」というシンボルを使う。 ■ 現在の資源を不確かな未来に投入し、リスクを冒す ことが基本機能。 ■ 企業は変化の主体で、適応 と 革新 の能力を持つ。

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リスクとマネージャーの責任 ■ 目的はリスクの排除ではなく、正しいリスクを冒せるようにする こと。 ■ 経営科学は計算の道具ではなく、診断を助ける分析の道具として使う。 ■ マネージャーが要求すべきこと ○ 仮定を検証する ○ 正しい問題を明らかにする ○ 答えではなく代替案を示す ○ 公式ではなく問題の理解に焦点を当てる

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2 “マネジメント”を エンジニアリングマネジメ ントに落とし込む

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エンジニアリング マネジメントを 事業として捉える

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エンジニアリングマネジメントにおける顧客は誰か? ■ 開発チームのリーダー (POやPdM) ○ 戦略の実現可能性と意思決定の精度を高めることで、投資対効果 (ROI) の最大化をもたらす。 ■ 開発チーム ○ 認知負荷の低減とチームフローを最適化することで、持続可能なデリバリー速度の向上をもたらす。 ■ エンジニア ○ 自己効力感と成長機会を高めることで、タレントの定着と自律的な組織文化の構築をもたらす。 ■ 事業部門 ○ 予測可能性と技術による競争優位を高めることで、市場の変化に対する適応力の向上をもたらす。 ■ エンドユーザー ○ プロダクトの信頼性と価値提供のスピードを高めることで、顧客満足度の向上とLTVの最大化をもたら す。

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エンジニアリングマネジメントによる価値提供 顧客 提供するソリューション 創出されるアウトカム 開発チームのリーダー (PO/PdM) 技術的負債の可視化とリソースの適正配分 戦略の実現可能性向上とROIの最大化 開発チーム 認知負荷の低減とチーム境界の保護 開発フローの純度向上とデリバリー速度の安定 エンジニア (個人) 心理的安全性の確保と成長機会のアサイン 離職率の低下と自律的な組織文化の醸成 事業部門 開発プロセスの透明化と技術による価値提案 市場変化への適応力向上と競争優位の確立 エンドユーザー エンジニアリング・スタンダードの維持向上 プロダクトの信頼性向上とLTVの最大化

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マーケティングの目標と エンジニアリング マネジメント

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マーケティングの目標における問いを翻訳する ■ 「どこに集中するか」 ○ 限られた開発リソースを、どの顧客価値 に寄せるか。 ■ 「どのポジションを狙うか」 ○ “選ばれる理由”を成立させる 運営能力 (速度・信頼・体験) をどうやって作るか。

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どこに集中するか ■ 戦略的意図を開発の言葉に翻訳し、投資配分 (新規/既存/信頼性/生産性など) を運用可能にする。 ■ 「やらないこと」を含む優先順位を維持し、割り込み・依存・負債で集中が崩 れない状態をつくる。 ■ 重要イニシアチブが着実に実行されるように、計画・人員・基盤を揃える。

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どのポジションを狙うか ■ 狙うマーケットポジションを、SLO/品質/リリース頻度などの サービスレベ ル に落とす。 ■ “自然に売れる”状態を支える非機能 (速度・安定・復旧・セキュリティ) を当 たり前品質にする。 ■ 仮説→実装→計測→学習のサイクルを短くし、学習速度で勝つ。

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チャネル・アフターまで含めた貢献 ■ 営業/CS/運用が顧客と約束できる前提 (変更容易性・可観測性・復旧容易性) を整える。 ■ 問い合わせ・障害対応に吸われる時間を減らし、重点投資に戻す。

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イノベーションの目標と エンジニアリング マネジメント

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イノベーションの目標における問いを翻訳する ■ 「事業は何であるべきか」 ○ 次の顧客価値 を定義し、継続的に実装・検証できる能力を作る。 ■ 「新しい満足をつくる」 ○ 新機能だけでなく、体験・運用・提供プロセスも含めて価値を更新する。 ■ 「古いものを捨てる」 ○ 陳腐化した仕組み・機能・負債を体系的に廃棄し、未来の投資余力を作る。

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探索→検証→拡大の実行力 ■ 仮説→実装→計測→学習のループを短くし、意思決定の精度を上げる。 ■ 実験を回せる基盤(可観測性、実験/フラグ、データ定義)を整え、学習速度 で勝つ。 ■ 事業横断の依存関係を整理し、新しい価値を最短距離で届けられる組織設計に する。

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成功率が低い前提でのポートフォリオ運用 ■ 失敗を前提に、探索・投資の枠を確保しつつ、主要な賭けに十分な厚みを持た せる。 ■ 成果の評価は「活動量」ではなく、学習とアウトカムで行う。

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体系的破棄 ■ レガシー機能/フロー/運用を棚卸しし、捨てる判断をルール化する。 ■ 技術的負債を“見える化”し、再投資 (返済) の優先順位を事業判断に接続す る。

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生産性の目標と エンジニアリング マネジメント

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イノベーションの目標における問いを翻訳する ■ 生産性は「人の頑張り」ではなく、投入資源 (人・物・金) を成果につなげる 仕組み。 ■ 目的はコスト削減ではなく、価値提供 (顧客アウトカム) への変換効率 を上げ る。 ■ 遅さの正体を「作業」ではなく 待ち (手戻り・依存・調整・切替) として扱 う。

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DORA Capabilities で作る “Flow” ■ 継続的デリバリー: 小さく安全に出せる(自動化、テスト、段階リリース、監 視)。 ■ 信頼性の設計: SLO とエラーバジェットで、速度と品質を同じ指標系で運用す る。 ■ 可観測性: 変更の影響と価値を計測できる(ログ/メトリクス/トレース、計測 設計)。 ■ 作業の見える化: WIP を抑え、ボトルネックを全社共通の言葉で議論できる。 ■ 学習文化: ポストモーテムで学びを蓄積し、再発防止を“仕組み”に落とす。

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ソーシャルダイナミズムを高める ■ ダイナミック・リチーミングは「チームを頻繁に組み替える手法」ではなく、チーム が変化する前提で扱う姿勢。 ■ まず チームのエコサイクルを観測 する (誕生→成長→成熟→硬直化の罠/貧困の罠 →再生) ○ 兆候例: 会話と学びが減る、意思決定が遅い、ミーティングが長い、変化に脆い。 ■ 次に ソーシャルダイナミズム を高める (新しい知識・視点の流入、学習機会、化学 反応) ■ 変化は“上から押し付ける”だけでなく、自由度のスペクトルを設計する。 ○ 例: 1on1 を起点にした異動支援、定期アンケート、志願制、自己選択イベント、チーム自身の再設計。 ■ 目的は、硬直化を避けつつ再生を促し、結果として生産性 (価値への変換効率) を上 げる こと。

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3 Engineering Ladders から EM に求められる期待役割 とアウトカムを考える

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Engineering Ladders の紹介

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Engineering Ladders とは? ■ EM がメンバーと 期待値をすり合わせ、キャリアプランを検討するためのフ レームワーク。 ○ 公式 ○ 日本語訳 ■ 役割 (Role) ごとのラダーと、評価軸 (Axes) の組み合わせで整理する。

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4つのラダー (Role) ■ Developer: 深い技術的専門性で価値を出す。 ■ Tech Lead: システムのオーナーとして設計・実装・運用をバランスさせる。 ■ Technical Program Manager: 複数チームに跨るイニシアチブを調整し、完 了まで推進する。 ■ Engineering Manager: 継続的デリバリー、キャリア成長、幸福度に責任を持 つ。

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5つの軸 (Axes) ■ Technology: 技術スタックとツールへの理解。 ■ System: システムへのオーナーシップ。 ■ People: 関係性と人の成長への関与。 ■ Process: 開発プロセスを機能させる力。 ■ Influence: 影響範囲 ○ サブシステム→チーム→複数チーム→会社→コミュニティ。

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Technology のレベル定義 ■ Adopts: 決められた技術を学び、使いこなす。 ■ Specializes: 特定領域の相談役になる。 ■ Evangelizes: 調査/PoC で導入をリードする。 ■ Masters: スタック全体を深く理解する。 ■ Creates: 新しい技術を設計・創出する。

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System のレベル定義 ■ Enhances: 追加/修正で改善する。 ■ Designs: 中〜大規模を設計し負債を減らす。 ■ Owns: 運用・監視に責任を持つ。 ■ Evolves: 将来を見据えアーキを進化させる。 ■ Leads: 技術的卓越性と障害低減を牽引する。

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People のレベル定義 ■ Learns: 学び、必要な時に踏み出す。 ■ Supports: 他者の成功を支える。 ■ Mentors: 成長を加速させる。 ■ Coordinates: 調整し、議論を前に進める。 ■ Manages: 期待値・成果・幸福に責任を持つ。

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Process のレベル定義 ■ Follows: プロセスに従い、継続的に出す。 ■ Enforces: 徹底し、理解を揃える。 ■ Challenges: 改善案を探し、問い直す。 ■ Adjusts: 変化を導き、調整する。 ■ Defines: 規律と俊敏性のバランスで定義する。

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Influence のレベル定義 ■ Subsystem: サブシステムへ影響する。 ■ Team: チーム全体へ影響する。 ■ Multiple Teams: 複数チームへ影響する。 ■ Company: 会社へ影響する。 ■ Community: コミュニティへ影響する。

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エンジニアリング マネージャーのラダー

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エンジニアリングマネージャーの定義 ■ EM は、一貫したデリバリー、メンバーのキャリア成長、幸福度 に責任を持 つ。 ■ Tech Lead が System を主に担うのに対し、EM は People を主に担う。 ■ 扱う領域(例) ○ キャリアプランニング、昇進、コーチング ○ 人員計画、採用 ○ 目標設定、フィードバック、1on1 ○ チームビルディング、文化醸成、チームの保護

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EMのラダーレベル別の要求水準 Axis EM5 EM6 EM7 Technology Evangelizes(Lv.3) Evangelizes(Lv.3) Evangelizes(Lv.3) System Owns(Lv.3) Evolves(Lv.4) Evolves(Lv.4) People Manages(Lv.5) Manages(Lv.5) Manages(Lv.5) Process Adjusts(Lv.4) Defines(Lv.5) Defines(Lv.5) Influence Team(Lv.2) Team(Lv.2) Multiple Teams(Lv.3)

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他職種との対比

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比較の仕方 ■ Engineering Ladders を使い、影響範囲 (Influence) を固定 して役割差分を 見る。 ■ 役割ごとの「専門性の重心」と「責任領域」を明確化する。

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比較1: Influence を Team (Lv.2) で固定 Axis EM5 TL5 D4 D3 Technology Evangelizes (Lv.3) Evangelizes (Lv.3) Evangelizes (Lv.3) Specializes (Lv.2) System Owns (Lv.3) Evolves (Lv.4) Owns (Lv.3) Designs (Lv.2) People Manages (Lv.5) Coordinates (Lv.4) Mentors (Lv.3) Supports (Lv.2) Process Adjusts (Lv.4) Defines (Lv.5) Challenges (Lv.3) Challenges (Lv.3) Influence Team (Lv.2) Team (Lv.2) Team (Lv.2) Team (Lv.2)

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比較2: Influence を Multiple Teams (Lv.3) で固定 Axis EM7 EM5 TPM4 TPM5 Technology Evangelizes (Lv.3) Evangelizes (Lv.3) Specializes (Lv.2) Specializes (Lv.2) System Evolves (Lv.4) Owns (Lv.3) Designs (Lv.2) Designs (Lv.2) People Manages (Lv.5) Manages (Lv.5) Coordinates (Lv.4) Coordinates (Lv.4) Process Defines (Lv.5) Adjusts (Lv.4) Adjusts (Lv.4) Defines (Lv.5) Influence Multiple Teams (Lv.3) Team (Lv.2) Multiple Teams (Lv.3) Multiple Teams (Lv.3)

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エンジニアリングマネー ジャーのアウトカム

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継続的デリバリーと技術的卓越性の両立 (Delivery) ■ ビジネス要求に対して、一貫したフローでデリバリーし続ける (速度と予測可 能性)。(Process/System) ■ リリース速度を優先しつつも、保守性・テスト品質 を落とさない。(System / Technology) ■ 技術負債を戦略的に制御 し、持続可能な開発ペースを維持する。 (System/Process)

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組織目標と個人の成長の統合 (Goals) ■ 組織ニーズと個人のキャリアが重なるように、意図的にアサイン する。 (People) ■ 期待値とパフォーマンスを把握し、適切なフィードバック で成長を加速す る。(People) ■ メンバーが自律的に挑戦できる 成長環境 を整える。(People / Influence)

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戦略的かつ柔軟な意思決定 (Planning) ■ 短期 (週次) を確実に完遂しつつ、長期 (四半期・年) と 整合 させる。 (Process / Influence) ■ クイックな一時凌ぎ (Spike) で凌ぐか、将来を見据えた堅牢な設計に投資する かを コンテキストで合理的に判断 する。(System / Process)

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自律的なチームの構築と適度な監督 (Oversight) ■ 権限委譲で自律性を高めつつ、マイクロマネジメントを避ける。(People / Process) ■ システム健全性と進捗を把握し、リスク時に即介入 できる状態を保つ。 (System / People)

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多角的なステークホルダー・マネジメント (Relationships) ■ 上位マネージャーへ透明性高く報告し、メンバーを保護して 垂直方向の信頼 を作る。(People / Influence) ■ 他チームEMやステークホルダーと協力し、依存関係リスクを最小化 する。 (Influence) ■ ユーザー・市場との対話で、チームの価値提供の方向性を 修正・強化 する。 (Influence / System)

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4 まとめ

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トップマネジメント視点で捉えるエンジニアリングマネジメント ■ エンジニアリングマネジメントは顧客 (事業) に価値を届け続けるためのマネ ジメント。 ■ 評価は「うまく管理できているか」ではなく、出せているアウトカムで決ま る。 ■ 生産性は根性では上がらない。 ○ チームのエコサイクルを観測する。 ○ ソーシャルダイナミズムを意図的に作る。 ○ 価値への変換効率として上げる。

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コンピテンシーと役割分担で捉えるエンジニアリングマネジメント ■ 必要なコンピテンシーは Engineering Ladders の 5軸 (Technology / System / People / Process / Influence) に分解できる。 ■ 役割は混ぜるより、境界を握って補完した方が強い。 ○ EM は People の最終責任を持つ (成長、幸福、期待値、組織能力)。 ○ TL と TPM は System と Process を高いレベルで前に進める (進化、定義、横断推進)。 ■ EM のアウトカムは 5つにまとめられる。 ○ Delivery / Goals / Planning / Oversight / Relationships ○ これらが揃うと、短期と長期、速度と品質、個人と組織を同時に成立させやすくなる。

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