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AIをエンジニア採用にどの ように馴染ませていくか AIとエンジニアと人間らしさ Hack@DELTA v25.07_タイミー×スマートバンク×ヘンリーと考えるエンジニア採用

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松木 雅幸 (@songmu) ● フルサイクル開発組織支援 / OSS作家 ○ 株式会社ヘンリー フェロー ○ MOSH株式会社 技術顧問 ○ 株式会社DELTA 技術顧問 ● 200+ OSS Developer / 3 Times ISUCON Winner ● Blogger: ○ 今はまだ生成AIに自分の文章を書かせたくない ○ gopkg.in/yaml のアーカイブと乗換先やメンテナンス継承議論 ● Podcaster: ○ 趣味でOSSをやっている者だ Profile

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Claude Code Maxを個人契約してOSS開発に活用中 中毒性の高さに驚いている ● Songmu/action-create-branch ● k1LoW/deck ○ このスライドはdeckで作成されています 最近の個人的Vibe Coding事情

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製品の紹介

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やってます! https://open.spotify.com/show/3CYYXQV02da04F0QKbc4tq ヘンリー理想駆動ラジオ

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6 エンジニア採用歴

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本発表は、ヘンリーの意見というより、私個人の見解です。 Disclaimer

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● なんだかんだで10年以上 ○ 500人以上とのカジュアル面談・述べ100人以上の社員登用に関わる ● 採用歴 ○ 2014 - 2019: はてな ■ チーフエンジニアとして本格的にエンジニア採用に関わり始める ■ 担当事業のエンジニア以外の新規ポジション採用にも関わる ○ 2019 - 2021: Nature株式会社 ■ 取締役CTOという何でも屋として全社採用フロー策定やATS導入を実施 ■ エンジニア以外の全職種の採用に関わる ○ 2023 - 2025: 株式会社ヘンリー ■ 人事本部所属のVPoEとしてエンジニア採用や制度設計に携わる ■ (現在は非常勤のフェローで、エンジニア採用に直接は関わっていない) ○ 2025-: 1社でエンジニア採用に関するアドバイザーをしている ジンジニア経験

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● AIの時代 ● 組織と採用要件のアップデート ● 選考体験の重要性 ● 「人」に向き合う ● AIによるオペレーションエクセレンス アジェンダ

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10 AIの時代

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● いわゆるキャズム超え ● ChatGPTやPerplexityを生活の中で当たり前のように使っている 一般人も増えてきた ○ TVなどでの言及 ● 開発においては、ここ1,2ヶ月でギアがさらに上がった感が凄い ○ 中毒性の高い開発体験向上 もう不可逆な地点にいる

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どの辺りから活発に議論がされ始め、キャズムを超えたか。 (ちょっと恣意的な区切りなのはご容赦) ● 1990-1995: パーソナルコンピューター ● 1995-2000: インターネット ● 2000-2005: 検索エンジン ● 2005-2010: ソーシャルメディア ● 2010-2015: スマートフォン ● 2015-2020: クラウドコンピューティング ● 2020-2025: 機械学習・生成AI 過去の類似現象

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● 「一人一台業務パソコンが必要か」 ● 「業務パソコンをインターネットに繋ぐかどうか」 ● 「検索エンジンなどへのアクセスを禁止するかどうか」 ● 「業務にチャットを使うかどうか」 AIも使うのが前提で「何を・どのように使うのか」というフェーズに 入っている。 今からするとナンセンスな議論

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● 余りにも強力な道具を手に入れてしまった ● 自分の足を撃ちかねない ● 適応していく必要がある ● 事故らない「ドライビングスキル」を身に付ける AIに怖さを感じるのは正常な反応

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● 知らず知らずのうちに加速している ○ パソコンがそうであったように ● 急かされている感 ● 人間らしさの見直しが大事 ○ 「自分達のペースを守ること」 仕事の密度の増加

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16 組織と採用要件のアップ デート

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● 「インターネット革命期」と同じ議論 ○ より少人数での組織運営ができるように ○ 「全員」にAIを使ってもらう ● AIによる一人当たりの業務カバー範囲を広げられる ○ 反面リスクも大きくなる ○ 意図せぬ事故も増えやすくなる ● 性善説・信頼前提の運用でどこまで行けるか ○ 伽藍とバザールのバザールモデル ○ "Trust, but verify" / verifyコストを下げる ● 「自由を与えないこと」「縛ること」は愚か ○ 「信頼していない」というメッセージになってしまう ● Lean (筋肉質) にする まずは組織の再設計

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● 使っていない企業は働く選択肢に入らなくなる ○ 「パソコンを支給しない」のと同じ ● ツールやサービスの入れ替わりが激しく、統制の悩ましさ ● 逆に個人的にフリーランスとしては選定の自由が利く点は有利だ と感じている ● -> 企業としてはスピード差を付けられてしまいかねない ○ 典型的なイノベーションのジレンマ AIツール活用前提

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● 過剰なコントロールを避け、現状を受容して適応する必要がある ○ IaC (Infrastructure as Code) のように ○ サーバー台帳を正とするか、自動スケーリングされた現状を正とするか ● 新しいツールを先んじて社員に使ってもらえる様に ● 「ブレーキは速く曲がるための物」 "The map is not the territory." -- Alfred Korzybski ルール整備が先か・現状が先か

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AI時代に合わせて求める人物像もアップデートする必要がある。 ● 本質は余り変わらないのではないか ○ 変化への適応力 ○ 不確実性への耐性 (ネガティブケイパビリティ) ○ 粘り強い問題発見・解決能力 (GRIT) ○ リーダーシップ ● より「プロフェッショナル」な人材 ○ 自分の専門性への誇りと倫理観と価値提供への拘り "The only constant in life is change." -- Heraclitus 求める人材像は変わるのか

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結局変化への適応力が大事 ● ヤングジュニアは問題ない ● ロートルジュニアは困ってしまうかも とは言え余り心配していない。 (余談) AI代替問題

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● 8時間労働は画期的だった ○ 1919年当時 (100年以上前!) 神戸市:神戸を知る 8時間労働発祥の地 神戸「八時間労働発祥之地」記念碑

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● 寧ろ「つくり過ぎ」状態 ● 分配が上手くいっていない 出典: Our World Data 世界の生産カロリーは充分に足りている

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● 電話交換手 ● 計算手 消えた職業

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● AIが世界の生産性を増加させてくれるなら歓迎 ○ 後は再分配の問題 ● 格差是正やエネルギー問題に課題 ○ この辺りにAI活用が求められる ○ 特に今のAIはエネルギーを使いすぎなので… ● 8時間労働は当時は画期的だったが今はどうか ○ 6時間労働など ○ 6時間労働記念碑が求められる(?) どうせ人間は働き続ける

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26 選考体験の重要性

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● 企業側も「選んでもらう立場」であることを強く意識する ● エンジニアが特殊に見えるかも知れないが、実はエンジニアに限 らず当たり前のこと ● フェアで対等な選考を心がける 採用は双方が選ぶ立場である

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流石にこんな光景は減ってきたと思うけど ● 会社側が上だという暗黙的な権威勾配 ○ 会社が選ぶ側 ○ 候補者は選んでいただく側 ● 会社からの理不尽は受け入れる ○ 会社の言うことは絶対 ○ 給料は苦役に対する我慢料 双方のマインドチェンジが必要 旧来の採用での光景

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● https://x.com/richardbranson/status/449220072176107520 ○ Virginグループの創始者 ● 市場価値がある人材として従業員が活躍できる環境を整える 転職できるぐらい人を訓練し、転職したいと思わない くらいに厚遇せよ

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引く手数多な人材に選ばれる 企業になる

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"採用プロセスでは『序盤から1位』を目指さないと、途中からの逆転 は困難" ● 「採りたくても採れない時代」に必要な『アトラクト採用』ソ リューションを立ち上げた背景と想い。|Hiroshi Hirata ● 選考体験を良くすること ● 関わった人全員にファンになってもらうこと 第一志望群であり続ける必要性

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● 最初から第一志望群であり続けるために、採用広報が必要 ○ ソーシャルメディアでの露出を増やすことによる「単純接触効果」 ● 企業の「第一印象」としてのカジュアル面談 ○ 「第一印象」は人間関係でもめちゃくちゃ大事なのはご存知の通り ● この段階から「選考体験」は始まっている 採用広報やカジュアル面談が重要である理由

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● 採用フローは「疑陰性フィルター」に倒した方が良い ○ もちろん真陽性フィルターに近いことが理想 ○ フィットする人をお見送りすることより、フィットしない人を採用するリス クを恐れる ○ ミスマッチな人が入社することはお互いにダメージが大きい ● 最後まで残った人に選んでもらえる事が尚更大事 内定承諾率の重要性

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● The Engineering Leader, Cate Hutson, O'Reilly Media, Inc. ● 「候補者にもっと作業を求めることは、より資格のある人や熱心 な人を得ることを意味するのではなく、多くの場合その逆です。- ただ暇な人が採用できるだけです。」 見極めるために選考体験と志望度を落とすのは悪手 Asking candidates for more work doesn’t mean we get more qualified or engaged people but often the opposite — we just get people with more time.

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35 「人」に向き合う

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● 決断力 ● 推進力 ● 合意形成力 ● 説得力 ○ 誰が言っているかがより重要になる可能性 ○ これは怖さもあるが… より「人」が重要になる時代

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https://x.com/t_wada/status/1937712692091048391 境界付けされたコンテキスト概念的個人の例

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● 意外とウェット ○ ミッション共感・ミッションドリブンを重視 ● 意外とコラボレーションを大事にする ○ チーム開発前提で個人プレー文化ではない ● 意外と業務内容より事業内容を知りたがる ○ 自分の専門性がどのように価値に繋がるのか気になる 実は当事者からすると別に意外ではない。 スタートアップに興味を持つエンジニア

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● 「人」としてのコミュニケーションを大事にする ● 「エンジニアさん」と呼んで個別の理解を放棄しない ○ 「属性」+ 「さん」の不躾さ ● ちゃんと個々に向かっていく必要がある ○ エンジニアに限った話ではない 話が通じる生き物である

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● 採用フローのどこかでテンプレ対応だと思われたら負け ● 機械的対応にならないように ● 「大事に・尊重されているか」 「あなたが必要なんです」が伝わるように

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● スカウトの粗製乱造が企業のブランドを毀損する ○ 返信されなかった悪いスカウトは企業に長期的にダメージを与える ○ 返信数だけではなく「返信されなかったスカウト」数も注視する ● 「失礼な営業」を想像すると良い ○ 強引な営業電話 ○ 封書のダイレクトメール ○ 「あなたへの特別オファー」 ● 「ファンになってもらえるか」はここから始まっている ○ ファンになってもらえないスカウトでは意味がない スカウト失敗が企業に与えるダメージ

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「自分が」読んで欲しいメッセージじゃなくて、「相手が」読みたい と思えるメッセージを ● べたべた関連リンクを貼りまくらない ● エレベーターピッチと同じ ○ スマートフォン一画面に収まるか ○ 500文字程度 興味を持てば先方が調べてくれる。AIも使うでしょう。 スカウト文面

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テンプレスカウトで人材を採用するより、そのレベルの仕事はAIに やってもらえば良い 寧ろテンプレスカウトは不要に

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採用業界では採用人事やRPOが当たり前のように、CEOやCTOの名前 を騙ることが常態化している。 ● 名義貸ししない ○ 「こんにちは!○○株式会社 CTOの△△です」 ○ 嘘をつくところからスタートするコミュニケーションが良いはずがない ● しかもバレバレである ○ そんな愚かな人達と働きたくない ● 悪評はエンジニアコミュニティで広がる ● テンプレっぽいメールや妙に整ったメールは名前貸しと疑われる リスクも高まる スカウトで嘘をつかない

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候補者と向き合う時間を増や すためにAIを活用する

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● 投網漁は魚を傷つけることで知られている ○ AIで投網漁をやりたくなる誘惑にあらがう 投網漁ではなくて一本釣り漁

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47 AIによるオペレーションエ クセレンス

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● ちゃんと人に向き合って丁寧にやるため ● AIを使うことで人に向き合う時間を増やす ● できれば選考フローをオーダーメイドする AIによるオペレーション支援

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"初めて会う人の情報は「Perplexity」で「その方についての必読 記事はなんですか」と聞いて、そのURLをすべて 「NotebookLM」にアップします" ● DeNA南場智子が語る「AI時代の会社経営と成長戦略」全文書き 起こし | フルスイング by DeNA ● お互いAIを使うことがあたりまえになっていく ● 企業側もAIに拾ってもらいやすい情報公開が大事になる ○ すでに出来ていることよりも、やりたいことを伝えることが大事 ○ 正直であること・オープンであること・透明性が高いことがより武器になる 相互理解の為のAI活用

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● 忌避感とのバランス ○ だんだん受け入れられていくはず ○ 相手が、どれくらい「慣れている」かを探り・合わせる ● 透明性重要 ○ どこにどのようにAIを使っているかの表明 AIがどれくらい受け入れられていくか

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● 採用でメッセージングは重要だし分量も多い ○ スカウト ○ オファーレター ○ フィードバック ○ 求人票 ● 慎重に適用する ○ AI臭さ・機械的な文章は避ける ■ そうなってないつもりでもなっていることも ○ 使わないことが差別化になっている例も ■ 過渡期だとは思う ○ 壁打ち等で使うのは当たり前に受け入れられてきている所感 AIによる文章作成支援

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● 質とスピード両方を向上させる ● リマインドや日程調整・フォローアップの自動化 ● 抜け漏れ防止 AIによる選考体験の向上

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● 機械がやることで逆にカドが立たなくなることがある ○ 開発におけるlinter, CI ○ 介護ロボットで守られる尊厳 ● 選考でも「機械的に」やれた方が双方の心理的負担が少ないこと もある ○ 日程調整やアンケートなど ○ なんとなく「聞きづらいこと」「答えづらいこと」 ■ 志望度や希望給与、他社状況など 寧ろAIにやってもらった方が良いこと

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● 完了時点でのアンケート ○ 内定承諾・辞退・お見送り ○ 全てのケースで候補者に回答を求める ○ 選考の感想や良かった点・悪かった点を挙げてもらう ○ ボランタリーな回答を後押しする程度のインセンティブを用意する ■ 少額のギフト券など ● こういう細かいところを詰めていく フィードバックループを回す

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ここはかなり改善されて欲しい(願望交じりの意見) ● Markdownで一元管理して各種採用媒体に自動反映される夢 ○ サイトコントローラ ● LAPRAS社の利用者向けMCP Server提供は面白い取り組み ○ GitHub - lapras-inc/lapras-mcp-server: lapras.com 公式MCP Server ○ 採用企業向けにも提供してもらって、そういう流れができると嬉しい ○ AI Friendlyなインターフェースを採用媒体が備えること ● AIによる社内向けのChrome拡張作成 ○ Markdown管理された求人票を、媒体に反映する拡張など ○ 小回りの利く社内ツールをAIにバンバン作ってもらえると嬉しそう 求人票・採用媒体管理

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● AI活用はもう不可逆な地点にいる ● 組織と採用要件のアップデートが必要 ● 本質的な所は余り変わらない ● 「人」に向き合うことがより重要になる ● AIを使うことで人に向き合う時間を増やす ● AIで選考体験の質とスピードを向上させる まとめ

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