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GraphQLを 使い続けて気づいたこと 〜マンガノでの活用事例から〜 id:miki_bene Hatena Engineer Seminar #21 2022/09/07 1

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自己紹介 ● id:miki_bene ● マンガ投稿チーム ● Webアプリケーションエンジニア ○ マンガノ / ジャンプルーキー! / あしたのヤングジャンプ 2

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今日の発表 ● マンガ投稿チームで開発している マンガノというサービスの話 ● 開発の当初からGraphQLを使っている ○ 約2年ほどになる ● GraphQLについて 開発を続けて気づいた点を紹介 3

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● マンガノについて ● GraphQLについて ● GraphQLの開発を続けて気づいたこと ● まとめ 4 今日の発表

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5 マンガノについて

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マンガノについて 6 ● はてなと株式会社集英社の少年 ジャンプ+編集部が協業し提供す るマンガ投稿サービス ● 2021/04よりサービス開始 ● 作品の販売機能 / 様々なWEBマ ンガ公開プラットフォームのURL を整理・公開できるポートフォリ オ機能など

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7 GraphQLについて

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GraphQL について ● API向けのクエリ言語 ● サーバーで取得可能なリソースをスキーマ定義 ● クライアントはほしいデータのクエリを書き取得 8

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GraphQL について 9 スキーマ クエリ 取得できるデータ

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GraphQL の特徴 ● 公式サイトによると ○ クライアントがほしいデータだけを返せる ○ 1回のリクエストで様々なデータを返せる ○ 強力な開発者ツール ○ etc… 10

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11 GraphQLの開発を続けて 気づいたこと

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開発を続けて気づいたこと GraphQLのスキーマ設計によって、 フロントエンド - バックエンドの両方にとって 無理のない実装が可能になっている 12

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無理のない実装が可能 フロントエンド - バックエンドの実装上の都合を、 片方に押し付け合わないで済む 13

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フロントエンドの実装上の都合 14 ● フロントエンドの都合 ○ 1つのAPIから様々なデータがほしい ○ 画面に表示する分のデータだけ返してほしい

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バックエンドには不都合 15 ● これを満たすAPIはバックエンドにとって不都合 ○ 1つのAPIの処理で様々なデータを集める ○ 多くのパラメータを考慮する ● バックエンドの実装が複雑になる

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バックエンドの実装上の都合 ● REST APIのように作りたい ○ バックエンドの提供するリソースや操作に対して エンドポイントを作成 ○ バックエンドは秩序立ったAPIに 16

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フロントエンドには不都合 ● フロントエンドにとって不都合 ○ 表示したいリソースを取得するため、 何度もAPIリクエストを行う ○ 表示しないデータまで取得してしまう ● 実装が複雑化・パフォーマンスに影響 17

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実装上の都合 ● これまでのAPI開発 ○ フロントエンド - バックエンドの都合を 同時に満たすことが難しい ○ 片方が不都合な実装になりがち 18

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GraphQLが実装上の都合を解消する ● 実装上の都合を解消するGraphQLの特徴 ○ フロントエンドがほしいデータを返せる ○ 1回のリクエストで返せる ● フロントエンドは都合を満たせ、バックエ ンドは不都合な実装をせずに済む 19

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20 タグ機能開発での スキーマ設計の例

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タグ機能について 21

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タグのタイトルについての仕様 22 #Engineer #Engineer 作品A 作品B 同じタグと識別されたいので テキストを正規化して保持 = システム内

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23 作品に紐づく形でタグを表示する際は ユーザーが元々入力したものを表示 タグのタイトルについての仕様 画面表示上 #Engineer #Engineer 作品A 作品B

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画面からスキーマを検討 24 #タグ1 作品 #タグ2 #タグ3 作品に紐づけられた タグを一覧できる

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25 #タグ 作品A 作品B 作品C タグが付いた作品を 一覧できる 画面からスキーマを検討

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GraphQLスキーマの例 26 タグや作品をスキーマで表すとこう

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27 作品に紐づくタグ一覧 タグを付けた作品一覧 クエリを書いてみるとこう GraphQLスキーマの例

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タグの仕様を思い出す 28 このtitleのフィールドに ユーザーが元々入力した タイトルが入る 作品に紐づく形でタグを表示する際は ユーザーが元々入力したものを表示

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29 作品に紐づく形でタグを表示する際は ユーザーが元々入力したものを表示 ● フロントエンドは返ってきた データを表示するだけ ● バックエンドは返すデータを 作品によって出し分ける必要 があり、やや煩雑 タグの仕様を思い出す

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30 作品に紐づく形でタグを表示する際は ユーザーが元々入力したものを表示 ● バックエンド側が 仕様の都合を背負う形に ● できればフロントエンド- バックエンドの両方で無理の 無い形で実装したい タグの仕様を思い出す

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WorkTag を登場 31 作品に紐づくタグを表す WorkTag を登場 ● DBの中間テーブルのようなType ● WorkTag にユーザーが元々入力 したタイトルを持たせる ● Work は Tagの代わりに WorkTag の配列を返す

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WorkTag を登場 32 WorkTag 登場時のクエリ 以前のクエリ ● フロントエンドのクエリは以 前とほぼ変わらない ● バックエンドは中間テーブル のデータを出すだけで済む フィールドの出し分けが不要 自然な実装に

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両方無理のない実装が可能に ● このようにGraphQLのスキーマ設計によって、 フロントエンド - バックエンドで無理のない実装 が可能になった ● スキーマ設計時の考慮が効いた ○ フロントエンドがほしいデータだけでなく ○ バックエンドの実装上の都合も考慮した 33

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GraphQLのお陰で無理ない実装が可能 ● フロントエンド - バックエンドの実装の詳細から 一歩引いた立場で設計することになる ○ 詳細をそのままスキーマにしない ○ 片方の都合によらない ■ フロントエンドがほしいデータを返せる ■ バックエンドが提供するリソースを表現できる 34

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35 スキーマ設計を 上手く回せている理由

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回せている理由 1. 開発者がフロントエンド-バックエンド両方担当 2. 以前からワイヤーフレームを元に開発を開始してきた 36

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フロントエンド-バックエンド両方担当(1/2) ● 全員がフロントエンド-バックエンド両方を担当 ○ 画面でほしいリソースを理解 ○ バックエンドの実装や都合にも通じている ● スキーマを設計する際も、 自然と両方の都合を考慮できている 37

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フロントエンド-バックエンド両方担当(2/2) 38 ● マンガ投稿チームでは全員でスキーマ設計を行う ○ スキルやドメイン知識を補完し合える ● よりよいスキーマ設計に繋がる

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ワイヤーフレームを元に開発開始 (1/2) ● マンガ投稿チームでは、ワイヤーフレームを元に機能開 発を開始するのが主流 ○ JSON API / テンプレートエンジンでHTMLを返す ● GraphQLでも自然とワイヤーフレームを元にスキーマ設 計が出来た ○ ワイヤーフレーム=>リソース検討=>スキーマ設計 39

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● ユーザーが見るものから検討を始める ○ GraphQLに限った話ではない ○ JSON API / テンプレートエンジンのときもそうだった ○ GraphQLよりも良い技術が出てきても適応できるだろう 40 ワイヤーフレームを元に開発開始 (2/2)

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41 まとめ

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まとめ ● GraphQLのスキーマ設計によって、 フロントエンド-バックエンドの両方にとって いいバランスで実装が可能 ● マンガ投稿チームでは上手くスキーマ設計が出来 ている ○ 開発者がフロントエンド-バックエンド両方の開発を担当 ○ ワイヤーフレームを元に開発を開始 42

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GraphQL API を採用してわかったこと ● APIの実装で困ったことはほぼ無く、 それ以外の課題にフォーカスできている ● フロントエンドだけでなく、 バックエンドの開発にとってもメリットがある 43