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© DMM © DMM CONFIDENTIAL 頼られるのが大好きな 皆さんへ - 支援相手との期待の合わせ方、突き放し方 - 合同会社DMM.com 内藤 聡

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© DMM 内藤 聡 (X: naiban @sasatoshin3104) 所属: 合同会社DMM.com 開発統括本部 データ基盤開発部 CDPグループ アクティベーションチーム チームリーダー 兼 VPoE室 VPoEグループ 経歴: • GA/GTMを軸にしたMOpsをやりつつ、 スクラムマスターやアジャイルコーチとして 様々なチームへのチームビルディング支援や アジャイルチーム化支援を実施中 • Certified ScrumMaster® • Google Analytics Certification • Zenn: zenn.dev/naiban 自己紹介 2

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© DMM はじめに 頼られるのが大好きな皆さんへ 5

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© DMM ■頼られるのが大好きな皆さんへ 6 このような経験はありますか? • 1聞かれただけなのに、ついつい4,5くらい答えちゃった • その後、相談者の顔色が曇り、いつしか疎遠になった(気がする) →まさに私。 例)相談が尻すぼみになり、いつの間にか立ち消えた   コーチング支援終了を切り出された

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© DMM ふりかえりして気付いたこと • 相手の状況を理解していない自分 • 自分の言いたいことばかり言う自分 → 問題は相手ではなく、自分 → 「ひとりよがり」な自分を変える必要性を痛感  →失敗と試行錯誤を経て、現在の型に落ち着いた ■なぜ支援終了になったか、ふりかえった 7 本日は、現在の型 と そこに至るまでのしくじり をご紹介します

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© DMM ■本日お伝えしたいこと 8 お伝えしたいこと (結論) 頼られるのが大好きな皆さんが 「ひとりよがり」にならないために、 ● まずは、傾聴と問いで相手の反応を見る ● それから、話す内容・量・タイミングを決める ターゲット ● 頼られるのが大好きで、誰かの支えになりたいけど、 ついつい聞かれた以上を伝えてしまい、相手に煙たがられ た経験のある方、それを修正したい方 アウトカム ● 傾聴と問いを用いて相手の状況を把握し、 相手の許容量や期待を考慮した支援ができるようになる

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© DMM 9 相談相手 ● 早く不安な状態/問題から抜け出したい! ● 色々手は打ってみたけど、参考までに話を聴 いてもらいたい ● 開発チームのDev兼SMのため、改善時間の 確保が難しいと感じている ※具体的な特定個人・組織ではなく、傾向を集約 したもの 私 ● 問題解決に協力したい! ● 相談相手とは初めまして状態 ● 他に主務があるため、改善推進は対象チーム 自身にできるだけ委ねたい ■本日のお話し 背景/前提

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© DMM 「ひとりよがり」にならないために 目次 10 まずは、傾聴と問いで相手の反応を見る それから、話す内容・量・タイミングを決める

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© DMM 「ひとりよがり」にならないために 目次 11 まずは、傾聴と問いで相手の反応を見る それから、話す内容・量・タイミングを決める

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© DMM 傾聴と問いで相手の反応を見る 相手の状況 相手の期待 相手の許容量 を確かめる 12

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© DMM 傾聴と問いで相手の反応を見る 相手の状況 を聴き 相手の期待 を探る 相手の許容量 を確かめる 13

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© DMM ▼よく喋る壁(造語) 壁打ち相手として、相手の反応を見な がら相手に傾聴しつつ問いを投げるこ と 単なる壁打ちだけではなく、 傾聴しつつ、相手とリズムよく対話し ていき、相手が対話にこなれてきたら 相手に気付きが生まれることを期待し て以下を投げていく • 理解を言い換え • 「それってつまり●●ですか?」 • 深堀りの問い • 「やってみた結果どうでした?」 14 photo by Sven Mieke on Unsplash 「よく喋る壁」になる

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© DMM ▼よく喋る壁(造語) 壁打ち相手として、相手の反応を見な がら相手に傾聴しつつ問いを投げるこ と 単なる壁打ちだけではなく、 傾聴しつつ、相手とリズムよく対話し ていき、相手が対話にこなれてきたら 相手に気付きが生まれることを期待し て以下を投げていく • 理解を言い換え • 「それってつまり●●ですか?」 • 深堀りの問い • 「やってみた結果どうでした?」 15 photo by Sven Mieke on Unsplash 「よく喋る壁」になる ここに至るまでの「私のしくじり」ふりかえり 相手がこなれてくる前から、自分の疑問解消の質問 をしてしまい、話しの腰を折っていた →「よく喋る壁」を通り越して、 ただの自己満おしゃべり野郎に

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© DMM 壁打ち時に行き詰まったときはこんな質 問もあり 「この問題、制約を無くせたとしたら、 あなたが思う『こうなったらいいなとそ の理由』は?」 →気になり、目的目標、期待を深掘る とっかかりになる 続けて、 「いいですね!どこまでだったら出来そ うですか?」 →なるべく自分で決めてもらう 問い:「こうなったらいいな」 16 そっかー。 前提とっぱらいで、 「こうなったらいいの になー」ってある? いやもう...。 ホントどうしたら...。 うーん…。 ●●がXXになってくれ たら、とかかな...。

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© DMM 話題を問題そのものから、問題の 周辺へと広げる 相談のテーマが人間関係に関わる 場合、特に気をつけてヒアリング する ※チームの問題には、多かれ少な かれ人間関係も関わってくる印象 はあります 問い:相手の立ち位置と周辺 17

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© DMM 相手が長考に入ったり、時間が必 要な瞬間がある 反応がなくなっても、あわてて質 問を重ねなくて大丈夫 そんなときは少し待つのが吉 分からないときは、相手からも分 からないシグナルが出てくる 問い:質問せず待つ 18 消化中 なんだな …。 分かりにく かったかも? …。 …。

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© DMM 傾聴と問いで相手の反応を見る 相手の状況 相手の期待 相手の許容量 を確かめる 19

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© DMM 傾聴と問いで相手の反応を見る 相手の状況 相手の期待 相手の許容量 とは何か を確かめる 20

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© DMM 許容量:人は話しを聴くだけでいっぱいになる ▼ここでの許容量: 物理的な記憶容量だけでなく、 記憶→理解→腹落ちに至るための知 識や意欲も含む 許容量が減っていると、今伝えても 受け止めきれないかもしれない →最初から全部伝えようとせず、 伝える前に集中して状況を聴く →聴くときは、相手の「スキル及び 能力」だけでなく、 相手の「利用可能なリソース」 (=許容量)にも注目して聴く 21 photo by Cody Chan on Unsplash

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© DMM 許容量:人は話しを聴くだけでいっぱいになる ▼ここでの許容量: 物理的な記憶容量だけでなく、 記憶→理解→腹落ちに至るための知 識や意欲も含む 許容量が減っていると、今伝えても 受け止めきれないかもしれない →最初から全部伝えようとせず、 伝える前に集中して状況を聴く →聴くときは、相手の「スキル及び 能力」だけでなく、 相手の「利用可能なリソース」 (=許容量)にも注目して聴く 22 photo by Cody Chan on Unsplash ここに至るまでの「私のしくじり」ふりかえり 相手の許容量や可処分時間を意識せず、 「aの問題ならAをやるとよさそう」 「Aの前提としてBとCも考えたほうがいいよ」 と一方的にまくし立ててしまった

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© DMM 聴くときは「貯めずに書き出す」 23 photo by Jason Goodman on Unsplash ▼自分自身が 「話しを聴くだけでいっぱい」に 陥らないよう、双方が読める場所 へ書き出す(miroやslackなど) →相手も書き出されたメモを見な がら追加説明しやすくなる ▼メモに書き出された問題・相手 の状況・期待は「データ」 →データ間の構造と因果関係が整 理されることで、徐々に意思決定 に役立つ「情報」になっていく

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© DMM 聴くときは「貯めずに書き出す」 24 photo by Jason Goodman on Unsplash ▼自分自身が 「話しを聴くだけでいっぱい」に 陥らないよう、双方が読める場所 へ書き出す(miroやslackなど) →相手も書き出されたメモを見な がら追加説明しやすくなる ▼メモに書き出された問題・相手 の状況・期待は「データ」 →データ間の構造と因果関係が整 理されることで、徐々に意思決定 に役立つ「情報」になっていく ここに至るまでの「私のしくじり」ふりかえり メモを取らず、双方で記憶だけを頼りに会話を続け た結果、お互い疲弊・混乱しまくった

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© DMM ここまでの おさらい ここまでの話: • よく喋る壁【傾聴(言い換え+問い)】 • 期待の把握、問題の整理 • 許容量の話 • 書き出しの話 ここからの話: • 相手の許容量と期待に合わせた伝え方 25

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© DMM 「ひとりよがり」にならないために 目次 26 まずは、傾聴と問いで相手の反応を見る それから、話す内容・量・タイミングを決める

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© DMM 「ひとりよがり」にならないために 目次 27 まずは、傾聴と問いで相手の反応を見る それから、話す内容・量・タイミングを決める

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© DMM ■話す内容・量・タイミングを決める流れ 28 Input 相手の期待・許容量 【よく喋る壁】 傾聴・問い・メモ Process 話す内容・量・時期 の決定 【SL理論の応用】 Output 伝え方 【山本五十六方式、3分 クッキング方式、少し無 責任な提案】

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© DMM ■話す内容・量・タイミングを決める流れ 29 Input 相手の期待・許容量 【よく喋る壁】 傾聴・問い・メモ Process 話す内容・量・時期 の決定 【SL理論の応用】 Output 伝え方 【山本五十六方式、3分 クッキング方式、少し無 責任な提案】

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© DMM • シチュエーション・リーダーシップ理論 • 組織の成熟度(開発レベル)の高まりに合わせて、リーダーシップのスタ イルを指示型→コーチ型→支援型→委任型、とリーダーシップのスタイル を変えながら行動を管理する。(wikipediaより) • とはいえ、緊急時などはケースバイケース • 応用して、相談相手の状況・状態を見ていく • 問題解決への意欲があるか • 問題解決への知識があるか • アドバイスを受け入れる許容量があるか(コーチャブルか) SL理論の応用 30

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© DMM SL理論の応用 31 S3 参加的 S2 支援的 S4 委任的 S1 教示的 支 援 的 行 動 意 欲 指示的行動 高 低 高 低 相談相手 側 私 側 消化不良 知識

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© DMM 相談に来る方々 ≒ 右半分 特に、右上は消化不良の懸念 S2支援的アプローチが効果的な相談 相手 =一度挫折して意欲低下中の初〜中 級者 →受け止めきれず消化不良になって しまう懸念 SL理論の応用 32 相手の許容量(意欲・消化力)で 伝える量・タイミングを決める

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© DMM ■話す内容・量・タイミングを決める流れ 33 Input 相手の期待・許容量 【よく喋る壁】 傾聴・問い・メモ Process 話す内容・量・時期 の決定 【SL理論の応用】 Output 伝え方 【山本五十六方式、3分 クッキング方式、少し無 責任な提案】

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© DMM ■話す内容・量・タイミングを決める流れ 34 Input 相手の期待・許容量 【よく喋る壁】 傾聴・問い・メモ Process 話す内容・量・時期 の決定 【SL理論の応用】 Output 伝え方 【山本五十六方式、3分 クッキング方式、少し無 責任な提案】

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© DMM 山本五十六方式 いわゆる「やってみせ」 • SMとペアワークしながら勘所 のやってみせ • スクラムイベントやリファイ ンメントなど、MTGのファシ リやってみせ 35  ※ 「やってみせ 言って聞かせて させてみて 褒めてやらねば 人は動かじ」(wikipedia)

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© DMM 程よいタイミングで、 事前に仕込んだ参考情報を出す • アクティビティのログ • 説明資料 • 参考スライドURL • など →「一歩だけ先を行く」(Zuzi) 3分クッキング方式 36 いいの あるよ あ。

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© DMM 少し無責任な提案をする理由は、 こちらが主体的積極的すぎると相手の自 立自走を邪魔するため =「情報整理までが私の仕事、課題解決 は相手の仕事」がスタンス →許容量を見つつ、チームに委ねた提案 をする • こういうアイディアもあるよ • やるかどうかはチームで相談を • 全てがチームに合うとは限らないか ら そのうえで「じゃあまたxxx後くらいにお 話ししましょう!」として 少し間をあけ、ゆとりを持たせる 少し無責任な提案 37 でもチーム で相談して 決めてね ●●やXXと いう手もあ るよ もしやれたら 1ヶ月後にま た聞かせて

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© DMM おさらい 38

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© DMM ■本日お伝えしたいこと(再掲) 39 お伝えしたいこと (結論) 頼られるのが大好きな皆さんが 「ひとりよがり」にならないために、 ● まずは、傾聴と問いで相手の反応を見る ● それから、話す内容・量・タイミングを決める Input 相手の期待・許容量 【よく喋る壁】 傾聴・問い・メモ Process 話す内容・量・時期 の決定 【SL理論の応用】 Output 伝え方 【山本五十六方式、3分 クッキング方式、少し無 責任な提案】

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