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サステナビリティと 価格の壁 超訳!「GXリーグ グリーン商材の付加価値付け検討WG 最終報告書」 松村 ⼤貴 / @dmattsun 1

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「グリーン商材の付加価値付け検討WG」について 各社の排出削減施策が、製品やサービスの経済的価値に結び付くた めの仕組みについて、具体商材のユースケースを想定しながら検討 を⾏うWGです。 グリーン商材の価値創出に関して、幅広い業界で応⽤可能な考え⽅ についての提⾔をアウトプットとして策定します。 https://gx-league.go.jp/news/2023120401/ 2

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企業の積極的なグリーン投資 ↓ 脱炭素+循環経済 の実現を加速させたい 3

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企業のグリーン投資が進みづらい ↓ 脱炭素+循環経済 の実現がなかなか進まない 4 持続可能な商材の 製造‧流通に 追加コストがかかる 販売価格を 上げにくい 測定‧評価制度 が使いづらい 投資しても 回収できるか不透明

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について議論され、提⾔がまとめられている 5 グリーン インセンティブ 評価指標 とラベル表⽰ toC 消費者⽀援 toB 企業⽀援 解決策として、

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6つの提⾔と今後の展開(資料から転載) • 提⾔1 企業の脱炭素等の取組みを進めるため、商材のグリーン価値が市場から適切に評価され、経済活 ⽤される仕組みづくりを⾏うこと。 • 提⾔2 グリーン商材の普及を推進するため、これまで着⽬されてきた CO2 排出の絶対量に加え、基準 値からの排出削減量(以下、ΔCO2)を指標として適切に認識‧活⽤すること。その際、「マスバランス ⽅式」の考え⽅を参考に、グリーン商材への投資を促すなど ΔCO2 のグリーン価値を有効活⽤すること。 • 提⾔3 サプライチェーン全体のグリーン価値を評価すること。特に、調達、製造、製品利⽤における ΔCO2を評価に組みこむこと、プラスチックなどのリサイクルにおけるΔCO2排出量についてライフサイ クル全体での評価が重要であること。 • 提⾔4 CO2 削減を推進する上で重要⾦属資源の資源セキュリティーが益々重要となること。特に、⽇本 では、域内循環を⽀援することが重要であること。 • 提⾔5 グリーン商材の市場拡⼤に向けては、カーボンプライシングの導⼊以外にも様々なインセンティ ブの仕組みが必要であること。 • 提⾔6 グリーン商材に関するルールについては、本提⾔をベースとして、業界ごとの取組みや国際標準 化の取組みにつなげていくこと。 6

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課題の構造を整理する (個⼈的な解釈です) 7 1.

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グリーン商材が浸透しない課題構造(仮説) 8 企業の積極的なグリー ン投資が増えない 産業のグリーン 変⾰が進まない 流通する商材のグリー ン⽐率が上がらない リサイクル‧資源循環 率が上がらない 投資回収が 不透明 価格転嫁が 難しい グリーンプレミアム (持続可能な商材 の追加コスト) グリーン商材の 規模の経済が働かない 消費者‧企業の 購⼊シフトが進まない

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価格転嫁がなぜ難しいか (グリーンな商材を⾼めの価格で販売すること) 10 個⼈ 企業 持続可能な製造‧流通に 切り替えても 商材によっては 機能的価値が変わらない (例:鉄鋼) 気候変動などの 良い結果も悪い結果も 全員に降りかかる (外部性がある) (規制‧炭素税がなければ) 従来品が まだ安く変える ▼ 積極的に購⼊する個⼈‧企業が得をする、評価制度‧インセンティブを設計する必要がある あえて⾼い⽅を 買う理由が (感情‧倫理⾯しか) ない‧‧‧

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提⾔で⽬指す変化と施策 11 企業の積極的なグリー ン投資が増える 産業のグリーン 変⾰が進む 流通する商材のグリー ン⽐率が上がる リサイクル‧資源循環 率が上がる 投資回収の 期待ができる 価格転嫁が 進む グリーンプレミアム (持続可能な商材の追加 コスト)が減る グリーン インセンティブ グリーン ファイナンス 納得感のある測 定‧評価制度 グリーン商材の 規模の経済が働く 消費者‧企業の 購⼊シフトが進む カーボンクレジット ‧優先調達 ΔCO2、削減貢献量 エコラベル 購⼊補助⾦ サステナビリティ‧リ ンク‧ファイナンス

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加えられる視点‧アイディア (ここからは提案です) 12 2.

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ワーキンググループで議論‧整理されたことに 同感‧リスペクトしつつ、 より成功確度を⾼めるために、 追加できそうな視点 13

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追記版‧課題構造(仮説) 14 企業の積極的なグリー ン投資が増えない 産業のグリーン 変⾰が進まない 流通する商材のグリー ン⽐率が上がらない リサイクル‧資源循環 率が上がらない 投資回収が 不透明 価格転嫁が 難しい グリーンプレミアム (持続可能な商材 の追加コスト) グリーン インセンティブ 納得感のある測 定‧評価制度 グリーン商材の 規模の経済 消費者‧企業の 購⼊シフトが進まない みんなで負担の 合意形成が難しい 社会‧経済の不安 可処分所得縮⼩ 政治信頼感‧推せ るビジョンの不⾜ ⾼齢化‧ ⼈⼝動態の変化 ⼈⼿不⾜‧ 専⾨⼈材不⾜ 組織ケイパビリ ティの不⾜ グリーン ファイナンス 変わる世代‧ 価値観&⾏動変容の可能性 背景にある社会‧経 済モデルの課題 問題の種類とアプ ローチの整合性 ⼈材‧組織開発 の課題

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制度確⽴のためには合意形成が必要 全体的な機運‧ムード不⾜も無視できない フランス「⻩⾊いベスト運動」 化⽯燃料からのシフトを⽬的に掲げていた燃 料税の引き上げ 税収の⼀部しか環境問題に使われない ↓ フランス全国で⼤規模な抗議運動に発展 15 背景にある社会‧経 済モデルの課題 CC 表⽰-継承 https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=74483210 施策の公平感‧納得感に細⼼の注意が必要

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経済の先⾏き不安や⾼齢化を抱え、 政治の信頼感が⾼くない状態で “みんなで負担”の合意形成は どうすれば可能だろうか? 16 背景にある社会‧経 済モデルの課題

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頭と⾝体で考える、感じる、 “ボトムアップの⺠主主義”に可能性 全員が納得し、“推せる”トップ ダウンの社会Visionを描くこと が難しいならば ひとりひとりが⼿を動かし始め、 ⾃分なりのVision(より良い未 来像)を描ける社会‧機会を⽬ 指すのが良いかもしれない 17 背景にある社会‧経 済モデルの課題 『実験の⺠主主義 』宇野重規 『クリエイティブデモクラシー 「わたし」 から社会を変える』 ⼀般社団法⼈ 公共とデザイン

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購⼊シフトがどう進むかも、 2040~2050年の価値観を想像して考える 18 変わる世代‧ 価値観&⾏動変容の可能性 ベビーブーマー世代 (≒団塊世代) X世代 (≒団塊ジュニア) Y世代(ミレニアル) Z世代 α世代 ベビーブーマー世代 (≒団塊世代) X世代 (≒団塊ジュニア) Y世代(ミレニアル) Z世代 α世代 ??世代 各産業の中核を担うのはミレニアル世代‧Z世代となっていく ▼ 例えば「GXリーグ U-40」(40歳以下の分科会‧勉強会)をやってみるのはどうか

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制度だけでなく、組織‧⼈材にも⽬を向ける 価格転嫁も、グリーン投資も、 ⽀援策があればすぐに実⾏で きるわけじゃない 元々企業努⼒で我慢していたグリーン化のコストを 価格に転嫁しても「便乗値上げ」と批判されるかも しれない環境で、フェアな値上げは進められるだろ うか? インセンティブプランに加えて、各社の⼈材‧ 組織開発の課題解決にも注⼒したい 19 ⼈材‧組織開発 の課題 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221016/k10013860801000.html

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施策が散発的にならないよう、 全体をシステムとして捉え、取り組んでいく 20 『⾏政とデザイン: 公共セクターに変化を もたらすデザイン思考の使い⽅』 アンドレ・シャミネー 利⽤できる情報 が豊富 知識の不⾜ コンセンサス がない コンセンサス がある 単純な問題 ▼ カイゼン・効率化 倫理的な問題 ▼ 話し合い・調整 科学的/専⾨的な問題 ▼ ロジカルシンキング ・仮説検証 複雑/厄介な問題 ▼ ︖︖︖ 問題の種類とアプ ローチの整合性 複雑な問題には新しい アプローチが必要 「施策ありき」「個別に実 験」という進め⽅にならない よう、 システムチェンジやデザイン の専⾨家をプロジェクトに⼊ れていく

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⾃分⾃⾝のコミットメント、貢献できること 21 正解のない問題に 取り組む ファシリテーション ⾏動変容の ワークショップ、 プロジェクト⽀援 持続可能性と利益を 両⽴する 価格戦略の⽀援

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より詳しい⽅法論に興味のある⽅は、 過去のスライドもご覧ください 22 ⇤⇧⇥⌅ ⌃ ◆ # .( ) ⇣⇢⇧ 1 ⇥ ✓ ⇡⌃.()+ & ⌧1 ⇤ *0,$ )⌥⌧✏⇠% ⌘⌦⌧1 ⌅ -'-/ .( )⌥⌧ 1 ⌫↵ .()+ "! ⌧ 1 ⇤ ⇥ ⇧ ⌅ ⇤⌃ ⇥⌥⌦ ↵ ⌦ ⇥⌅⇧⇤ ⌥ ⌃ ⾏動変容 ⾃分と世界を変える技術 https://speakerdeck.com/dmattsun/behavior-change-techniques

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CEO CEO https://twitter.com/dmattsun https://note.com/mattsun https://www.linkedin.com/in/daikimatsumura/ 23

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最後までお読みいただきありがとうございました。 松村 ⼤貴 / @dmattsun 24