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20年以上オンプレサーバで稼働し続けた SNSサービス「GREE」のクラウド移行を やりきったぞ!そしてコンテナ化! 株式会社グリー エンジニア 後藤 浩行 エンジニア 大迫 裕樹

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後藤 浩行 2013年にグリーに新卒入社。エンジニアとして、オ ンプレ環境のIaC導入、GREEサービスのクラウド 移行プロジェクトに従事したのち、ゲーム新規タイト ルのクラウドエンジニアリングを牽引 株式会社グリー リードエンジニア 2

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『GREEってオンプレで動いてるんですよね』 よく聞かれます 3

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1万台以上のサーバ群 クラウド移行やりきりました!!! 大変だった!! 4

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目次・アジェンダ ● GREEのサービスのインフラ構成 ● クラウド移行 ○ ゲームプロダクトのクラウド移行 ○ Platform機能のクラウド移行 ● クラウド最適化 5

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GREEのサービスのインフラ構成 6

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GREEのサービス 7 Avatar SNS Payment 3rd Sandbox 内製ゲーム 内製ゲーム 3rd様 ゲーム SNS Platform ゲーム 2004年から、20年以上開発運用中 ● 開発運用されるサービスとして大きく分けて3種類ある ○ SNS Platform : SNSおよびログインやコイン情報、ユーザ情報を扱う ○ ゲーム (内製ゲーム) : グリー社内で開発しているゲーム ○ ゲーム (3rd様ゲーム) : 他社企業さまによりGREE Platform上で提供されるゲーム

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3rd様 ゲーム GREEのサービス 8 Avatar SNS Payment 3rd Sandbox 内製ゲーム 内製ゲーム SNS Platform ゲーム 2004年から、20年以上開発運用中 ● 開発運用されるサービスとして大きく分けて3種類ある ○ SNS Platform : SNSおよびログインやコイン情報、ユーザ情報を扱う ○ ゲーム (内製ゲーム) : グリー社内で開発しているゲーム ○ ゲーム (3rd様ゲーム) : 他社企業さまによりGREE Platform上で提供されるゲーム 今回のクラウド移行の 対象となるサービス群

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オンプレでのインフラ構成 9 ● 各サービスは基本的に以下のような構成 (インフラ的にはフラット) ゲームA Proxy Webサーバ DB (Replica) KVS (Flare) KVS (Flare) Webサーバ Webサーバ Proxy DB (Source) SNS/Platform サービス Proxy Webサーバ DB (Replica) KVS (Flare) KVS (Flare) Webサーバ Webサーバ Proxy DB (Source) DC

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オンプレでのインフラ構成 10 ● 各サービスは基本的に以下のような構成 (インフラ的にはフラット) ゲームA Proxy Webサーバ DB (Primary) KVS (Flare) KVS (Flare) Webサーバ Webサーバ Proxy DB (Source) SNS/Platform サービス Proxy Webサーバ DB (Replica) KVS (Flare) KVS (Flare) Webサーバ Webサーバ Proxy DB (Source) ゲームサーバは、直接 PlatformのDBにアクセス する DC

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オンプレでのインフラ構成 11 ● オンプレサーバの構築・デプロイのために管理サーバもいる ゲームA Proxy Webサーバ DB (Replica) KVS (Flare) KVS (Flare) Webサーバ Webサーバ Proxy DB (Source) SSH踏み台 構成管理 Chef APTサーバ デプロイ元 監視サーバ DC

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オンプレでのインフラ構成 12 ● オンプレサーバの構築・デプロイのために管理サーバもいる ゲームA Proxy Webサーバ DB (Replica) KVS (Flare) KVS (Flare) Webサーバ Webサーバ Proxy DB (Source) SSH踏み台 構成管理 Chef APTサーバ デプロイ元 全サーバの状態を管理している、社内向けシ ステム - どのゲームで利用しているか - 状態を管理 - 初期化済み - 構築中 - 利用中 - 故障 - IPアドレス・ハードウェア情報など 構築ツールやデプロイで利用される 監視サーバ DC

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オンプレでのインフラ構成 13 ● オンプレサーバの構築・デプロイのために管理サーバもいる ゲームA Proxy Webサーバ Replica) KVS (Flare) KVS (Flare) Webサーバ Webサーバ Proxy DB (Source) SSH踏み台 構成管理 Chef APTサーバ デプロイ元 Githubからソースコードを取得し、各Web サーバにソースコードをデプロイする デプロイの流れ - ProxyからWebアプリケーションを振り 分け先から外す - Rsyncでコードをデプロイ - Proxyに戻す 監視サーバ DC

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オンプレでのインフラ構成 14 ● オンプレサーバの構築・デプロイのために管理サーバもいる ゲームA Proxy Webサーバ (Replica ) KVS (Flare) KVS (Flare) Webサーバ Webサーバ Proxy DB (Source) SSH踏み台 構成管理 Chef APTサーバ デプロイ元 サーバ内のコンフィギュレーション (設定) はChefで行っている 初期構築のみ行う形で割り切って使用して いる 監視サーバ DC

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クラウド移行 15

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クラウド移行タイムライン 16 ● ~2014 データセンタ(オンプレ)でGREEサービス群を運用 ● 消滅都市(2014リリース)においてクラウドを採用するなど知見が蓄積され、 GREEサービスでも部分的にクラウドの移行を開始(GPUインスタンス) ● 2016年頃ゲームサーバ (9サービス)の移設 ● 2019年頃よりPlatformサービス のサーバ移設を開始 ● 2025年 クラウド移行完了

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ゲームサーバ移行 (2016年~) 17

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クラウド移行方針 18 ● 移行を優先し、VMインスタンス(Web, DB)で移行する ○ サーバの構築はChefでAMIイメージを作成する形 ● オンプレとダイレクトコネクトで接続する ○ 変わらず、PlatformのDBとの通信 ○ オンプレ側の構成管理サーバを引き続き利用する ○ デプロイ(Rsync)はオンプレから行う ● クラウド切り替え手順 ○ 事前に移行先を構築しておく ○ (DBなどはオンプレ=>クラウドでレプリケーションしておく) ○ サービスをメンテナンスモードに入れ、DNSでLBの参照をクラウドに変更

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クラウドでのインフラ構成 19 クラウド Proxy Webサーバ DB (Replica) KVS (Flare) KVS (Flare) Webサーバ Webサーバ LB DB (Source) DB (Replica) KVS (Flare) KVS (Flare) DB (Source) DC ダイレクトコネクト 構成管理 デプロイ元

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クラウド移行で起こったこと 20 ● DBインスタンスの高負荷 オンプレはSSD, Fusion-IOもあったため、Disk I/O性能が足りず適切にスケー ルアップ ● ネットワーク遅延、寸断(1s以下) オンプレ側前提の監視条件だと敏感すぎた。継続時間を考慮しつつ一部緩和 ● デプロイ時間が長くなる ● その他アプリケーション起因の問題

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クラウド移行後の最適化でやったこと 21 ● マネージドDBの活用 ○ 文字コードとか、ストレージエンジンとかを調整 ● Webサーバのスケジュールベースのスケールの導入 ○ オンプレ側の構成管理サーバに依存しているため、情報更新・デプロイ・Proxyのフリ理 由変更などをすべて自動化する仕組みを内製 ● ダイレクトコネクト メンテナンス対応自動化 ● ゼロトラスト的踏み台サーバ

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Platform サーバ移行 (2019年~) 22

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(再掲) オンプレでのインフラ構成 23 ● オンプレサーバの構築・デプロイのために管理サーバもいる SNS/Platform Proxy Webサーバ DB (Primary) KVS (Flare) KVS (Flare) Webサーバ Webサーバ Proxy DB (Source) SSH踏み台 構成管理 Chef APTサーバ デプロイ元 監視サーバ DC

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(再掲) オンプレでのインフラ構成 24 ● オンプレサーバの構築・デプロイのために管理サーバもいる SNS/Platform Proxy Webサーバ DB (Primary) KVS (Flare) KVS (Flare) Webサーバ Webサーバ Proxy DB (Source) SSH踏み台 構成管理 Chef APTサーバ デプロイ元 監視サーバ こっちはゲームサーバと同じように クラウド移行 DC

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(再掲) オンプレでのインフラ構成 25 ● オンプレサーバの構築・デプロイのために管理サーバもいる SNS/Platform Proxy Webサーバ DB (Primary) KVS (Flare) KVS (Flare) Webサーバ Webサーバ Proxy DB (Source) SSH踏み台 構成管理 Chef APTサーバ デプロイ元 監視サーバ こっちもVMインスタンスで そのまま移行 DC

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他にもあるサーバ群 26 ● メールサーバ ● 画像ストレージサーバ/キャッシュサーバ ● DB故障自動対応 ● NTPサーバ ● 監視サーバ ● LDAPサーバ ● Jenkinsサーバ ● Internal DNS サーバ ● 古い画像入稿サーバ

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全体を振り返って 27

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全体を振り返って 28 ● 勢いが大事!! ○ 移行手法を決めて、サービス単位ごとに切り替えていく ○ 構成を標準化し、手分けして推し進める ● 妥協したこと ○ 今までオンプレで作ってきた仕組みをインスタンスで移行する ○ 密結合してる部分はそのまま移行 ● とはいえ、クラウドに行って故障機対応やスケールはしやすくなって運用 負荷は激減!!

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全体を振り返って 29 ● 勢いが大事!! ○ 移行手法を決めて、サービス単位ごとに切り替えていく ○ 構成を標準化し、手分けして推し進める ● 妥協したこと ○ 今までオンプレで作ってきた仕組みをインスタンスで移行する ○ 密結合してる部分はそのまま移行 ● とはいえ、クラウドに行って故障機対応やスケールはしやすくなって運用 負荷は激減!! その他泥臭いあれこれは ブース コーナー にて!!!

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大迫 裕樹 2019年にグリー株式会社(現:グリーホールディン グス株式会社)へ新卒入社。 k8sやモニタリング領域 を中心に、クラウドインフラの設計・構築・運用に従 事。近年は GREE サービスのインフラ環境リアーキ テクトに携わる。 株式会社グリー リードエンジニア 30

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クラウド最適化 31

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クラウド移行後の課題 webサーバの運用負荷・サーバ費用 ● VM運用の複雑性 ○ 内製システム (デプロイ・サーバ管理) との連携 ○ AMI のメンテナンス (cookbook, CI) → 認知負荷上昇・属人化 ● 負荷ベーススケーリング利用不可のためコスト増 ○ 内製のデプロイシステムへの強い依存・オートスケールとの相性 → 過剰プロビジョニング ● 内製リリースシステムの運用保守 ○ 巨大なモノリスを内部サービス毎にリリース制御するために必須 ○ 保守コスト・属人化 32

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● web サーバ内の膨大なコンテンツ ○ 約 40 リポジトリ、60GB データ ○ 現在はデプロイサーバからの rsync で差分更新 ● サービス・関連チームが多い ○ ○ ○ ○ ○ 現在はリリース・デプロイ管理システムを内製することで、一元管理・排他制御 ○ 中央集権的なデプロイとオートスケールは相性が悪い リアーキテクトにおける壁 33 実際には更に細かく サービスが分かれている

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リアーキテクトで必要となる要件 ● ビルド時間・デプロイ時間が十分に短いこと ● 個別にリリース・ロールバックが制御できること ● 各サーバで使用するリポジトリを選択できること ● 現行運用と両立すること (段階的移行・運用変更は最小に) ● アプリケーション側の変更を必要としないこと (インフラレイヤで完結) → 既存の仕組みの改良で全条件を満たすのは困難 → 現代の技術スタックを活用してゼロベースで再設計 34

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アーキテクチャ 35

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アーキテクチャ (コンテナイメージ設計) ● コンテナイメージの分割 (リポジトリ単位) ○ ビルド時間短縮 ○ 一部をロールバックしても新規ビルド不要 ○ カナリアリリースの制御が容易 ■ 複数チームによる複数リリースが発生するケースに配慮 ● パッケージング方式としてのコンテナ (OCI artifact) ○ データの保持のみを目的とする ○ コンテナや k8s エコシステムの恩恵 (リトライ制御、キャッシュ etc.) ● レイヤ操作による単一イメージ化も検討   → 多チーム横断の細粒度リリース用パイプラインの構築・運用は困難 36

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コンテナイメージ間のファイルアクセス (1) sidecar + bind mount (mount propagation) ● Linux の shared subtree という仕組みを利用 ○ マウントポイント配下へのマウントイベントをマウント元に伝播 ● k8s では mountPropagation として設定 ○ サイドカー: emptyDir を Bidirectional でマウント       配下にサイドカー内のディレクトリを bind mount ○ メインコンテナ: emptyDir を HostToContainer でマウント ● Bidirectionl でマウントするには対象コンテナに特権が必要 ○ サイドカーは scratch ベースのイメージ ○ static ビルドした mount/umount/mountpoint、制御用の実行ファイルのみ (シェル無し) 37 FUSE や CSI ドライバで 使われている仕組み

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コンテナイメージ間のファイルアクセス (1) sidecar + bind mount のマニフェストイメージ 38 initContainers: - # ... restartPolicy: Always image: example.com/bindmount # mount --bind /data /shared-data を実行 args: - /data:/shared-data startupProbe: exec: command: [mountpoint, /shared-data] volumeMounts: - name: shared-data mountPath: /shared-data mountPropagation: Bidirectional # ... containers: - # ... volumeMounts: - name: shared-data mountPath: /shared-data mountPropagation: HostToContainer # ... volumes: - name: shared-data emptyDir: {}

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コンテナイメージ間のファイルアクセス (1) sidecar + bind mount のイメージ図 39 目的: サイドカーへの    ファイルアクセス ① サイドカー内で  bind mount ② ホスト側に伝播 ③ メインコンテナに伝播

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コンテナイメージ間のファイルアクセス (2) Image Volume (KEP-4639) ● OCI image/artifact を volume としてマウント ● β にはなったものの、多くのマネージド k8s でまだ利用できない ○ feature gate がデフォルトで disabled ● v1.35 での GA に期待 40 GREE サービスに限らず、 社内で利用中のデータサイドカーを 置き換えていきたい

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リアーキテクト後のスケール時間・コスト試算 ● スケールアウト時間 ○ 20~25分 (+ キュー待ち時間) → 5分前後 ○ 該当サーバには不要な一部のリポジトリを除去した構成 ○ イメージ pull 高速化のソリューション導入でさらに高速化可能 ■ クラスタ内キャッシュ、ストリーミング、P2P配布 etc. ● サーバ費用 ○ シミュレーション上で 50% 以上削減 ■ HPA target CPU 33% ■ 前週の 30 分後 (10050 分前) の負荷を参考に事前スケール ○ スケールが十分速ければ、spot インスタンス導入でさらなる削減も 41

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リアーキテクトまとめ ● web サーバの運用負荷とサーバ費用 ○ 運用の複雑性やオートスケール未対応に起因 ● CI/CD パイプライン上でモノリスを分割し、 個別のコンテナイメージを作成 ○ ビルド時間短縮・細粒度リリース制御 ● k8s 側で統合して単一の web サーバとして動作 ○ bind mount + mount propagation でコンテナ間ファイルアクセス ○ アプリケーション側の対応不要 → 高速かつ柔軟、コンテナや k8s の恩恵を最大限受けることができる 42

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ご清聴ありがとうございました 43

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