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イベント趣旨 Recoilがリリースされてから2年半が経った。 これだけ経てば使っている人も結構多いはず。 しかし、そのわりに具体的な「事例」が世に出ていない気がする。 今回は、Recoilを使いこなしている皆さんにお越しいただいて、 事例を語ってもらうことにした。

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イベント趣旨 Twitterで何となくRecoil勉強会したいな~と言ったところ、 話したい人・聞きたい人がいたため開催に繋げることができた。 ありがとうございます こんな勉強会をしてほしい等のアイデアも募集中!

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事前アンケート結果 参加者の皆さんにアンケートに答えていただきました。 Recoil使われていますか? 使って みたい 194 使って いる 160 使う予定はない 19

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事前アンケート結果 参加者の皆さんにアンケートに答えていただきました。 RecoilとJotaiのどちらがお好きですか? Recoil 142 わから ない 202 Jotai 29

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事前アンケート結果 参加者の皆さんにアンケートに答えていただきました。 RecoilとJotaiのどちらがお好きですか? Recoil 142 わから ない 202 Jotai 29 Recoilが優勢だが、浮動票が多くJotaiも 巻き返しのチャンス。 ※本イベントはRecoilをテーマにしていますが、 Jotaiもかなり似たライブラリですので、 Jotai派の方は脳内変換しながらお聞きください。

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ステート管理を超える Recoil運用の考え方 Harajuku.ts Meetup ~Recoilの事例集めました~ uhyo (株式会社バベル プリンシパルエンジニア)

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登壇者紹介 uhyo 2022年10月から株式会社バベル勤務。 最近サーバーサイドを見ていることも 多いが、心はフロントエンドエンジニア。 TypeScript入門書 好評発売中!→

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商談解析クラウド では、フロントエンドに ReactとともにRecoilを使用。 移行が終わっていないため他の状態管理手法と混ざっているが、 Recoilに寄せていく狙いがある。 Why? How? をお話しします aileadとRecoil

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このトークの要約 • 実はFluxって天才だったのでは? • Recoilくんとならやり直せる気がする

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事の発端 公式サイトによれば、Reactは “A JavaScript library for building user interfaces” である。 https://reactjs.org/ より引用

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事の発端 公式サイトによれば、Reactは “A JavaScript library for building user interfaces” である。 ということは、UIを構築する以外の仕事をさせないほうが筋が いいのでは? UI以外のことはReactから切り離したい。

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UI以外のことの例 • 外部からのデータの読み込み • アプリケーションの状態の保持 • ビジネスロジックの計算

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理想的と思われるアーキテクチャ React層 コア層 • 状態の保持 • 状態遷移の定義 • DOMへの最適化された レンダリング 整形層 • 外部からの データの読み込み • UI用にデータを整形 UIへの入力

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どこかで見たような…… React層 コア層 整形層 https://facebook.github.io/flux/docs/in-depth- overview/ から引用

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Fluxとどこが違うのか? Fluxだと「Store」となっているところ が、コア層と整形層に分離した。 単純なFluxだと成果物が「でかい状態 の塊」になってしまうのでつらい。 そもそも、コアな状態は少なければ 少ないほどいい。 (useMemoで済むのにuseStateを使うべきではない のと同様) あと、アクションの概念は要らない。 React層 コア層 整形層

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Recoil運用のアイデア ここをRecoilにやってもらうのが 良いのでは? React層 コア層 整形層

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Recoilの良いところ atom(自身で状態を保持する)とselector(ほかの状態を見て計算する) があり、コアな状態(atom)がどれなのかを設計上明らかに しやすい。 非同期ネイティブであり、非同期処理もselectorとして扱える。 (データ読み込みの結果や進捗などはコアな状態として扱う必要がない) 思想がReactと近い。「ロジック用のReact」のような使い心地。 • イミュータブル・冪等性が前提のAPI • 計算結果の一貫性保証

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atomとselectorの使い分け 他に従属しない状態がatom。それ以外は何が何でもselectorに する。 例: 検索画面 • 検索条件: atom (ユーザーが独立に変更できるため) • ページ数: atom (ユーザーが独立に変更できるため) • 検索結果: selector (上2つ(+サーバーの状態)から計算できるため) ※ページングがカーソルベースだった場合はすこし迷うが、サーバーから可能な 選択肢を取得してそのなかから選んだと考えてカーソルをatomに保存するか

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Recoil層とReact層のつなぎ込み React層 コア層 整形層 出力用フック 入力用フック Recoil層とReact層の境界は当然 フック。 出力用フックは無くてもいいという 説もあるが、useMemoやuseEffect が必要になったときのエスケープ ハッチとしては有用か。

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具体例 React層 検索 条件 ページ 数 検索 結果 useSearchResult useSearchQuery usePagination atomから始まるデータの流れが RecoilのAPIを用いて定義される。 (データフローグラフ)

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具体例 React層 検索 条件 ページ 数 検索 結果 useSearchResult useSearchQuery usePagination React層からの入力は基本的にコア 状態の変更として作用するので、 入力用フックを介してコア状態を 更新する。 グローバルなアクションといった 概念は存在せず、ユースケースに 応じた個別の入力用フックがある。 入力用フックもコア層の一部と して扱うのが筋良さそう

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具体例 React層 検索 条件 ページ 数 検索 結果 useSearchResult useSearchQuery usePagination Reactコンポーネントツリーの 上から下にデータが流れる様子に 似ているが、 Recoilを使う場合はReactに入る前 に計算が終わっているという 点が異なる。

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Reactにロジックを乗せると良くない点 ReactにUI以外のことを無理にやらせると、アプリケーションの 整合性を保つのが困難になる。 例: Reactでやる場合 const [検索条件] = useState(); useEffect(() => { 検索結果取得(); }, [検索条件]); 検索条件変更 ↓ レンダリング ↓ useEffect発火 ↓ 検索結果取得開始 ↓ …

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Reactにロジックを乗せると良くない点 ReactにUI以外のことを無理にやらせると、アプリケーションの 整合性を保つのが困難になる。 例: Reactでやる場合 const [検索条件] = useState(); useEffect(() => { 検索結果取得(); }, [検索条件]); 検索条件変更 ↓ レンダリング ↓ useEffect発火 ↓ 検索結果取得開始 ↓ … 検索条件が変わったのに 検索結果が前のままと いう中途半端な状態が レンダリングされて しまっている

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Reactにロジックを乗せると良くない点 ReactにUI以外のことを無理にやらせると、アプリケーションの 整合性を保つのが困難になる。 例: Recoilでやる場合 検索条件変更 ↓ 検索結果取得開始 ↓ レンダリング Recoil内部で整合性の とれた状態を計算し 終わってからReactに ステートが伝達される 検索 条件 ペー ジ数 検索 結果

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ReactとRecoilの整合性保証 Reactの整合性保証 レンダリングの際は、 ある瞬間の状態がコンポーネント ツリー全体に反映される。 古い状態と新しい状態が 画面上で混在することはない。 状態→画面の整合性 Recoilの整合性保証 グラフの状態計算の際は、 ある瞬間の状態がグラフ全体に 反映される。 古い状態と新しい状態が React上で混在することはない。 グラフ→状態の整合性

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ReactとRecoilの整合性保証 ここの整合性をRecoilが担当 ここの整合性はReactが担当 React層 コア層 整形層

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Recoilを活用するデータフロー設計 Recoilの魅力は、atomやselectorをはじめとする シンプル・ローレベルなAPIから構成されているところ。 これらを組み合わせることで独自の機能を持ったノードを作ること ができる。 さらに、Reactよりも無理がきかない(エスケープハッチが無い)。 望ましい設計を保ちやすい。

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Recoilを活用するデータフロー設計 例: 検索 条件 Graph QL GraphQLリクエストを行う selector 検索 条件 ページ 数 他の状態が変化したら リセットされるatom

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まとめ Recoilをロジックに用いる設計を試している。 改めて見てみると、Fluxの良いところを受け継ぎつつ良くない ところを直したような構成になっている。 ReactはそろそろUIライブラリに専念させてあげたい。 文章で読みたい方はこちらもどうぞ(宣伝): Recoilにロジックを載せる運用戦略 https://zenn.dev/babel/articles/recoil-for-babel