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2025-11-21 pmconf2025 @Osaka Hiroki Noguchi 孤軍奮闘PMへ— 経営陣を巻き込み、組織の未来を 切り拓くための「覚悟と実践知」

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2 自己紹介 野口 大貴(Hiroki Noguchi) アンドエル株式会社取締役COO。 大阪府貝塚市出身。京都大学文学部卒業後、ベンチャー企業での Webマーケティング業務を経て、Retty株式会社に転職。 8年半在籍し、新卒採用責任者やプロダクトマネージャーを経て、 執行役員VPoPとしてプロダクト組織を管掌。 2023年アンドエル株式会社を共同創業。 セッション資料あります pmconf2021

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3 「安堵を得る」でアンドエル

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4 近年、経験豊富なPMを何人も抱え、プロダクトマネジメントを当たり前の ように実践できる企業が増えてきました。 一方で、師匠となる先輩がおらず、同僚PMもほとんどいない中で、 組織の壁に挑み続ける——そんな「孤軍奮闘PM」が数多く存在。 孤軍奮闘PMへ ※プロダクトマネージャー=PMとして略 A B 少人数の組織なので、1人PM 大きな組織だけどプロダクトマネジメントの理解がなく、孤軍奮闘

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5 孤軍奮闘PMのよくある悩み 思いついたアイデアを そのまま検証なく開発しちゃう... PMスキルアップのために 壁打ちしてもらえる上司・ 先輩がいない... ジリ貧のKPIを追い続ける。 プロダクトの構造やビジネスモデルを 変えに行く必要があるが、 組織に理解してもらえない...

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6 孤軍奮闘PMのよくある悩み 思いついたアイデアを そのまま検証なく開発しちゃう... PMスキルアップのために 壁打ちしてもらえる上司・ 先輩がいない... ジリ貧のKPIを追い続ける。 プロダクトの構造やビジネスモデルを 変えに行く必要があるが、 組織に理解してもらえない... プロダクトマネジメントの知識があっても、実績が足らず 信頼度が低いため、組織に適用・実践するハードルが存在

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7 © 2025 AndL Inc. All Rights Reserved. PMのスキルをどう組織に適用・浸透し、 組織をいかに変革していくか。 プロダクト、そして事業を成功させるために、 “孤軍奮闘PM”から一歩踏み出し、 “未来に挑む”きっかけになるような話をします。

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8 © 2025 AndL Inc. All Rights Reserved. PMとしてやりたいこと・あるべき動きが 理解されない・伝わらない... 組織や上司が変わってくれない...

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9 © 2025 AndL Inc. All Rights Reserved. なんでみんなわかってくれへんねん!!! なんでやねん!!!

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10 リーダーと組織のメンバーが変革を成し遂げることを 妨げている要因は、基本的に意志の欠如ではない 本当の問題は、自分が本心からやりたいと望んで いることと実際に実行できることの間にある大きな溝 やる気がない、変わりたい意思がないわけではない なぜ人と組織は 変われないのか

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11 相手が受け入れたくない理由=「抵抗」があるから 惰性:自分が馴染みのあることにとどまろうとする欲求   労力:変化を実行するために必要な努力やコスト   感情:提示された変化に対する否定的な感情   心理的反発:変化させられるということに対する反発   上司や同僚が受け入れたくない理由がある 「変化を嫌う人」 を動かす

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12 相手が受け入れたくない理由=「抵抗」があるから 惰性:自分が馴染みのあることにとどまろうとする欲求  例)会社の今までの方針への惰性 労力:変化を実行するために必要な努力やコスト  例)新しいことやるためにかかる労力 感情:提示された変化に対する否定的な感情  例)優秀すぎるアイデアや新メンバーへの拒否感 心理的反発:変化させられるということに対する反発  例)今まで自分間違ってた?説得されてる?ことへの反発 上司や同僚が受け入れたくない理由がある 「変化を嫌う人」 を動かす

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13 ①いきなり「本質から変えに行く」 ・OKRをアウトカムドリブンにしたい ・プロダクトマネジメントに即した職種評価グレードを作ってほしい →”惰性”・”心理的反発”が出やすい。また未成熟な組織では、正しい目標設計や 評価基準の構築が難しい。組織施策は時間軸的に即実行〜完了できない場合も。 ②ステークホルダーの「労力」を読めていない ・営業の失注記録を顧客管理表に残してください ・採用のためにブログ書いてください →”労力”から反発を受ける。やったことによる成功イメージが湧かない。 「抵抗に遭って、失敗するパターン」

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14 ③PM完結プロジェクトになってしまい、他部署のステークホルダーを巻き込めない PM   「顧客セグメント分析→特定顧客層に刺さる商品を作り、拡張していきたい」 営業役員 「やってみなはれ」 →PMでインタビュー分析するにとどまり、成果もなく営業組織も巻き込めず、 絵に描いた餅で終わる。 ④正論をそのまま主張する PM 「良いプロダクトの組織はこうあるべきです」「業界では当たり前です」 上司「また言うてる」「わかるけど難しいやん?」「それより指示通りやってや」 →”感情”が動かず、共感されない。 「抵抗に遭って、失敗するパターン」

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15 © 2025 AndL Inc. All Rights Reserved. 上司・組織をいかに動かすべきか

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16 クルト・レヴィン 「三段階組織変革プロセス」 現在の水準を解凍 危機的状況を認識・共有。 目的や目標の設定。 解凍 Unfreezing 移行 Moving 再凍結 Refireezing 新しい水準へ移行 方向性を示しながら 変化を推進。 新しい水準で組織を再凍結 変革の成果を定着・ 習慣化させる。 参考)Lewin(1947) / 古野庸一・今城志保・武藤久美子『組織変革の教科書』

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17 ボトムアップ起点に組織の未来を切り拓く三段階ステップ ③組織体制・目標・評価を変える 移 行 ①現状を認識し、動きを変え、小さな成果で方向性を示す 解 凍 ②同志を集め、学習し、試行錯誤する 再 凍 結 一人でやれるが、上司や周囲にアピールする 上司を巻き込んで、上司や組織も含めたミッションとして進める 同僚を巻き込みながら、引き続き上司にアピール

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18 ①現状を認識し、動きを変え、小さな成果で方向性を示す 解 凍 やることイメージ ・上司や周囲に現状の課題感と やるべき打ち手を共有し、刷り込む ・最初は変化しやすい箇所から着手 ・施策を勝手に進める。勝手に進める ための時間は何としても確保する ・小さくて良いので成果を出す。周囲 に成功しそう・楽しそうだから参加 したいと思わせ、モメンタムを作る 効果 小さな成果で期待感→惰性を壊し、 ネガティブな感情をほぐす 実際の事例 ・スクラムを1チームで始め、うまく いってから多チーム展開 ・新プロダクトを自分で営業して、 売る→売り方を営業チームに展開 ・CSオンボーディングで成 功 事 例を 自ら作り、型化する 一人でやれるが、上司や周囲にアピールする ボトムアップ起点に組織の未来を切り拓く三段階ステップ

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19 時間を無理やり作り、勝手に成果を出して、認めさせる 新しいことをやるために、組織で時間なんて取れない 20%ルール設けられていますか?そんなに余裕ないですよね? でも変革のためにしっかり自分の時間は確保。 時間を死守しないと、変化の兆しは作れない。 勝手にやる。勝手にやって成果を出して、 上司を、周囲を認めさせる。 小さな成果を出すための時間を死ぬ気で作る 解 凍

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20 ②同志を集め、学習し、試行錯誤する やることイメージ ・小さな成果を元に、社内外の仲間を 募る。採用する。外部の有識者と壁打 ち、顧問になってもらう ・勉強会等で学習を促進する ・仲間を増やして、少し大きな組織で 施策を回し、試行錯誤していく 効果 個人の小さな成果をチームの大きな 成果に変え、組織としての成功 セオリーを目指していく。 実際の事例 ・PM以外の同僚も集めて社内勉強会 ・営業メンバーとプロダクト ディスカバリー ・初期プロダクトの外部有識者壁打ち ・思想の合う開発人員を自分で採用 移 行 同僚を巻き込みながら、引き続き上司にアピール ボトムアップ起点に組織の未来を切り拓く三段階ステップ

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21 © 2025 AndL Inc. All Rights Reserved. そもそもPMは孤軍奮闘すべきでない

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22 社内に仲間を作るべし ・PM以外のメンバーと、勉強会・プロダクトディスカバリーを協働 ・プロダクトマネジメントを共に体現できそうなエンジニアやBizメンバーを採用 ✅ 今のチームでは、エンジニア・デザイナー合計4名は全員自分で採用した。 社外のPMを頼るべし ・カンファレンスで登壇した人に声かける ・SNSで絡んでみる ✅ 創業期、勢いで”ヘルスケアスーパーアプリ”を作りかけたが、シニアPMたちに 壁打ちしてもらい軌道修正。既存SaaSを組み合せた最小限のMVPで立ち上げた ことで、大きく工数を無駄にすることなく、ミニマムなオンライン診療プロダクト から現在の法人向けサービスまでスムーズに展開できた。 PMは一人じゃない 移 行

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23 社内に仲間を作るべし ・PM以外のメンバーと、勉強会・プロダクトディスカバリーを協働 ・プロダクトマネジメントを共に体現できそうなエンジニアやBizメンバーを採用 ✅ 今のチームでは、エンジニア・デザイナー合計4名は全員自分で採用した。 社外のPMを頼るべし ・カンファレンスで登壇した人に声かける ・SNSで絡んでみる ✅ 創業期、勢いで”ヘルスケアスーパーアプリ”を作りかけたが、シニアPMたちに 壁打ちしてもらい軌道修正。既存SaaSを組み合せた最小限のMVPで立ち上げた ことで、大きく工数を無駄にすることなく、ミニマムなオンライン診療プロダクト から現在の法人向けサービスまでスムーズに展開できた。 PMは一人じゃない 移 行 登壇を聞くだけではだめ、参加して交流する。悩みを打ち明ける と相手にも気づきがあり、GIVEになることも。踏み込むべし。

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24 再 凍 結 ③組織体制・目標・評価を変える やることイメージ ・これまでの方針に従って、 組織体制を変える ・週・月・四半期・半期など 各サイクルの組織目標・OKR等を 変える ・プロダクトマネジメントの成功指標 を評価や給与グレード等に盛り込む ・ちゃんと上司と合意した上で、 組織の目標・方針として進めて もらう 効果 成果を連続して出せるようになって きたため、大上段を固めても大外しが ない。固めることで習慣化し、文化と して定着を狙う。 実際の事例 ・プロダクトゴールをアウトプット→ アウトカムドリブンに ・誰にどんな価値を提供するか明確に なったので、ミッションをリニューアル 上司を巻き込んで、上司や組織も含めたミッションとして進める ボトムアップ起点に組織の未来を切り拓く三段階ステップ

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25 上司を説得して味方に チェンジしたい内容を四半期等の目標設定に盛り込んでもらい、 上司を握った上で進めていく。社長や本部長等、 トップが変えようと言う方が伝わります。 他の文脈と合わせる ✅ 前職でPM独自の評価制度を導入した時は、他職種でも 給与グレード見直しの機運が高まっており、 そちらと同時におこなった。 組織を変革できる人は文脈を捉えるのが上手い。 トップダウンで進めてもらうよう暗躍すべし 再 凍 結

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26 改めて、ボトムアップ起点に組織の未来を切り拓く三段階ステップ ③組織体制・目標・評価を変える 移 行 ①現状を認識し、動きを変え、小さな成果で方向性を示す 解 凍 ②同志を集め、学習し、試行錯誤する 再 凍 結 一人でやれるが、上司や周囲にアピールする 上司を巻き込んで、上司や組織も含めたミッションとして進める 同僚を巻き込みながら、引き続き上司にアピール

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27 プロダクトを成功させるために上司、そして組織を変える覚悟。 相当な努力が必要。でも成功すると 自分のレベルも気づいたら上がってる。 恐れない。諦めない。挫けない。 小さな成果を武器に、共に良くしたいという想いと リスペクトを胸に、上司・経営陣と向き合おう。 プロダクトを成功するために、変革への覚悟

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28 © 2025 AndL Inc. All Rights Reserved. プロダクトと組織の未来を 自らの手で切り拓く

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29 続きは懇親会、そしてPittaでお話ししましょう!! Pitta

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30 © 2025 AndL Inc. All Rights Reserved.

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31 © 2025 AndL Inc. All Rights Reserved. 安堵を得られましたか? 孤軍奮闘せず、みんなで全力で 未来に挑戦しましょう!