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補足:フィリピン人講師
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羽井佐昭彦教授
相模女子大学 学芸学部 英語文化コミュニケーション学科
フィリピン人講師の使う英語がわかりやすい理由は、言語的側面、談話的側面から説明することができます。言語的側面では、学習者のレベ
ルに合わせた発話速度の調整、自己訓練による聞き取りやすい発音での授業、レベルに応じたシンプルで分かりやすい文法使用といった特徴
があります。
談話的側面では、難しい表現を簡単な表現に換えて説明する「言い換え」や、具体例を示して描写する「例示」を巧みに使用しています。ま
た、上手く答えられずに詰まっていると、回答を推測して「代弁」する様子も多くみられています。これもまた「わかりやすさ」を補完し、
学習者にとって大きな学びになっているポイントです。
「驚くほど、英語をわかりやすく教えられる」
出典:羽井佐昭彦 (2018)「フィリピン英語留学における教室内談話の分析:共通語としての英語使用の観点から」相模女子大学文化研究第36号, 25-40.
花元准教授
東京電機大学 理工学部 共通教育群
「身振りや表情で日本人の発話を引き出せる」
フィリピン人講師の特徴として、非言語的リソースである、身振り・身体動作・身体接触・笑い・沈黙などを、意味交渉時において多く利用
している点があります。また、言語による意思疎通が難しいとき、言語面の修正を直接または間接的に伝えるとき、そして関係性構築のため
に、身振りを使用していることが明らかになっています。
このように、コミュニケーション上の問題を修復する際、言語以外の様々なリソースを用いて共同的に会話を構築しているのがフィリピン人
講師です。だからこそ、英会話レッスンの中でも、実践的なコミュニケーションを行い、意味をしっかり理解しながら、英語力を伸ばしてい
くことができます。
出典:Hanamoto. H. (2020). Gesture sequences and turn-taking strategies in communication settings in the multilingual Philippines. In P. Romanowski & M. Guardado (Eds.), The many faces of multilingualism: Language
status, learning and use across contexts (Series: Trends in applied linguistics [TAL] 33) (pp. 63-83). Boston & Berlin: De Gruyter Mouton. http://doi.org/10.1515/9781501514692-005 Hanamoto, H. (2020). Communicative
functions of pointing gestures: A case study in one-on-one setting. Proceedings of the 7th Gesture and Speech in Interaction (GESPIN 2020), 1-5.