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© asken.inc 作曲家がボカロを使うようにPdMはAIを使え バージョン1を作れるPdMになろう 伊藤 拓哉 株式会社asken AX推進部 シニアプロダクトマネージャー

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© asken.inc 2 自己紹介 伊藤 拓哉 AX推進部 シニアプロダクトマネージャー 経歴 ● 2014年: 博報堂アイ・スタジオ入社 (Webディレクター) ● 2017年: 博報堂 出向 (コンサルタント) ● 2019年: asken 入社 (マーケター) ● 2021年: マーケターからプロダクトマネージャーに転向 ● 2025年: AX推進部が発足し所属 趣味 ● DTM (Macを使って作曲) ● キーボード演奏 ○ 自分で作った曲をバンドで演奏 ○ YOASOBIを40分間で9曲、ぜんぶ人力で演奏

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© asken.inc 3 アジェンダ 1. 「作曲家がボカロを使うように、PdMはAIを使え」とはどういうことか? 2. AIによりPdMの働き方はどう変わるか? 3. askenの実業務においてどうAIを活用しているか? 4. どう行動を変えていくべきか? 5. まとめ

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© asken.inc 4 「作曲家がボカロを使うように、PdMはAIを使え」 とはどういうことか?

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© asken.inc 5 音楽業界におけるデモ音源の制作技術 「自分で演奏はできないけど誰かに演奏してほしい音」を 機械に再現させてデモ音源を作るのは当たり前に行われている YOASOBIの作曲を担当するAyaseさんは、 自身のデモ音源をすべてボーカロイドで制作している レコーディングしたら1発で何百万円かかる音が ソフトウェア音源で打ち込み可能

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© asken.inc 6 打ち込みでデモ音源を制作する意義 全演奏者とゴールイメージを精緻に共有することで、 より良いものに仕上がる確率を上げることができる 楽譜だと、各パートがどう組み合わさって どういう音楽を作り出したいのか?が伝わりづらい バーチャルではあるが楽器の音でデモがあると 作曲家や編曲家の意図がわかりやすい

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© asken.inc 7 プロダクト開発となんの関係があるの? 自分では出せない音を機械に頼り、デモ音源を制作する 自分では書けないコードをAIに頼り、プロトタイプを実装してみる 個人的に、下記は似ている感覚がある

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© asken.inc 8 AIによりPdMの働き方はどう変わるか?

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© asken.inc 9 ひとことで言うと... PdMが「バージョン1」を作り、 価値の検討を高度化・活性化すべきだと思う

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© asken.inc 10 「バージョン1」とは? 実際のデバイスで、実際のデータを使って、実際のユースケースで使えて、 実際に役に立つ!役に立たない!を実感できるもの × プロトタイプ プロトタイプでユーザーテストをして価値を見極めるというの はよくある手法だと思うが、特に生活に密着しているプロダク トだと、本当の価値は見極められないのではないか? △ MVP なにがミニマムでなにがマキシマムなのか?を机上でシャープ に定義するのは難しいのでは?「ミニマム」を狙う必要がある のか?

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© asken.inc 11 「価値の検討を高度化・活性化する」とは? チームで考える問いのレベルを上げ、その頻度も増やすこと ● 「ただ作る」ことのハードルは当然に下がる。 ● そのため、今後の世の中は、「作ってみました」レベルのプロダクトで溢れか えることになる。 ● このなかで抜きん出るためには、いかに良質な問いに対して、良質な解を出せ ているか?が試される。 「AIが進化すると、エンジニアの仕事が奪われるのではないか?」 →「奪われるというより、高度化する」と思う

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© asken.inc 12 PdMがバージョン1を作るべき理由 「作れてしまう環境が整ってきたから」というのは大前提として、 下記の理由からPdMが「バージョン1を作る人」になるべきだと考えます 1. 全体最適化をミッションとする役割だから 2. 自問自答することでスピードを上げられるから 3. チームの勢いを作り出せるから

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© asken.inc 13 プロダクト企画/開発における2つの壁 やり始める壁 やり抜く壁 とあるイシューが大事そうだと思っていても、 実際に重要度の高さを証明・実感できないと、 組織のなかで取り組む機運が生まれない ある程度のところまで価値を磨き込まないと、 「なんか違うな...」というフェーズを超えられず、 様々なことが起こる開発現場においてはうやむやになり 本来は良い仮説だったとしてもそれをホールドしきれない PdM自らが迅速にバージョン1を作り、磨き込むことで、 良いアイデア・良い仮説が葬られるリスクを減らしたい

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© asken.inc 14 askenの実業務においてどうAIを活用しているか?

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© asken.inc 15 「話して記録(仮称)」とは? AIが食品の検索を代行

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© asken.inc 16 AIツールを活用しPdMが「バージョン1」を実装 「バージョン1」を作る 「バージョン1」を ユーザーさんに使ってもらう 価値の検討を高度化/活性化 「バージョン2」へ 各種AIツールを用いてPdM(伊藤)自ら実装 →社内ハンズオンを数日単位で実施し、 イテレーションを回す。 新機能をWebViewベースで利用できる 「あすけんラボ」で、ユーザーさんに 使っていただきFBを収集。オフラインイ ベントでも生の声を聞いた。 バージョン1を基に、UI/UXデザイナー ・エンジニア・栄養士と議論を重ね、 提供価値をさらに磨いた「バージョン 2」を実装。

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© asken.inc 17 どう行動を変えていくべきか?

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© asken.inc 18 とにかく、「まず作れないか?」を考える ● 「作ればいいじゃん」と思ってみるマインドセット ○ アイデアを思いついたらとりあえずプロンプトを書いてみる。 ○ 仕事に関係ないことでもいいので、作ってみる。 ■ 例えば「あったらいいな」というChrome拡張機能を気軽に作ってみたり ● 「自分はエンジニアじゃないし...」という、 尊敬のような、遠慮のような、逃げのような、そういう感情は捨てる ● PdMがバージョン1を作ることは、 チームにとっても、プロダクトにとっても絶対に有意義なことだと信じる

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© asken.inc 19 信頼されながら「作っちゃいました」するために ● 自社のAPI・データベース・インフラを調べて、詳しくなる。 ● エンジニアに聞く前にAIと壁打ちして、技術の仕組みを理解するよう努める。 ● 特にセキュリティに対する勘所をおさえ、相談しながら進める。 「AIブームに乗じてPdMが暴走し始めた」と思われないために 下記のようなことに気を付けています

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© asken.inc 20 AIに頼むコツ:要件を分解する AIは万能ではないので、作りたいものの理想像だけを伝えても どこかで破綻してしまい、技術的素養がないと直せなくなり、心が折れやすい →積み重ねのプロンプトで徐々に動作確認しながら作り上げる! なんでも作る よ〜 空を自由に 飛びたいな ユーザーに出せるレベルまで スケールせず破綻するパターン 実用に耐えうる バージョン1までスケールしていけるパターン なんでも作るよ〜 竹とんぼの羽が自動で回るようにして 揚力を得られるようにパワーを増強し て 頭に吸着できるようにして 羽は触っても怪我しないようにやすり をかけて 黄色いデザインにして 光沢をつけて

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© asken.inc 21 おわりに

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© asken.inc 22 まとめ ● 作曲家がボカロを使うように、PdMはAIを使いましょう! ● PdMは胸を張って「バージョン1」を「作っちゃいました」しちゃえばいい。 ● それはエンジニアの仕事を奪う越権行為とかではなく、 チームがより高度な問いに取り組むために必要なアクションだと認識する。

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© asken.inc 23 今後の課題 ● 作ったバージョン1を活用し、どうチームを巻き込み、どう議論を活性化させるか? ファシリテーション的な部分はもっと突き詰めていきたい。 ● この辺りについて、またどこかで共有させてください。 ○ いまさらXもはじめましたので、ぜひフォローしてください! ○ Connpassのプロフィール欄からリンクがございます

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© asken.inc 24 さいごに AI時代になると、いよいよ人間の身体や脳のパフォーマンスが資本 ストレートネックに気をつけてください!! 3, 4日間激痛に襲われ Vibe Codingどころでは なくなります(実体験)

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© asken.inc 25 Thank you!