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企業研究会主催セミナー 経理業務におけるテレワーク導⼊の実践 〜 テレワーク導⼊の勘所と導⼊後のフォローアップ〜 公認会計⼠・公認情報システム監査⼈(CISA) 原 幹 2022年3⽉16⽇ 1

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⾃⼰紹介 原 幹 (HARA , Kan) 1992年 井上斎藤英和監査法⼈ 会計監査・コンサルティングサービス部⾨(現 PwCコンサルティング)の初期メンバーとして、主に製造業を対象とした 連結決算・グループ経営管理・活動基準原価計算などのシステム企画・設計・構築を⾏う 1998年 フューチャーシステムコンサルティング ビジネスアナリストとして、主に製造業・流通業を対象としたビジネスプロセスリエンジニアリング(BPR)実⾏⽀援・ システム化要件分析を⾏う 2001年 ウルシステムズ サービス業・流通業を対象としたビジネス要件分析・業務改⾰⽀援・システム要件分析を⾏う 2004年 NTTデータ システムデザイン 製造業を対象とした業務改⾰⽀援・プロジェクトマネジメント・定着化⽀援およびプロジェクト管理システムの 企画・設計・運⽤を⾏う 2007年 独⽴開業 現任 原幹公認会計⼠事務所 代表 https://harakancpa.com/ 株式会社クレタ・アソシエイツ 代表取締役 http://kleta.co.jp/ アガサ株式会社 社外監査役 https://agathalife.com/ 株式会社あしたのチーム 社外監査役 https://www.ashita-team.com/ • 常に実践的な課題解決を展開し、多くのプロジェクトにて⾼い顧客満⾜度を得る • 会計およびIT領域での豊富な経験を有し、主要な技術要素やコンサルティングメソッドにも精通 • 「経営に貢献するITとは︖」という⼀貫した視点に基づきキャリアを積む、翻訳書およびメディアでの連載実績多数 • 専⾨領域 連結会計・内部統制・国際会計(IFRS)・ITマネジメント • 保有資格 公認会計⼠・税理⼠・公認情報システム監査⼈(CISA)・公認不正検査⼠(CFE) 2

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⾃⼰紹介  「1冊でわかる! 経理のテレワーク」(中央経済社 2020年刊)  「ITエンジニアとして⽣き残るための会計の知識」(⽇経BP社 2015年刊)  「クラウド会計」が経理を変える︕(中央経済社 2015年刊)  IFRS のきほんがよくわかる本(⾃由国⺠社 2011年刊)  会計⼠さんの書いた 情シスのためのIFRS(共著・翔泳社 2010年刊) 3

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本⽇お伝えしたいこと  ⽇本におけるテレワーク普及率  テレワークの導⼊フローと留意点  テレワークの導⼊リスクと対応⽅法 4

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1. 我が国におけるテレワークの 実施状況 5

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(1) テレワークとは  場所や時間の制約を受けない勤労形態  ⾃宅やカフェなど、オフィス以外の場所で仕事をする  作業時間帯を柔軟に⾃⼰管理できる  さまざまな呼称がある  「リモートワーク」「在宅勤務」「モバイル勤務」 「サテライトオフィス勤務」などがある  総務省の定義  “ ICT(情報通信技術)を利⽤し、時間や場所を有効に活⽤できる 柔軟な働き⽅“  “ワークライフバランスの実現 、⼈⼝減少時代における労働⼒⼈ ⼝の確保、地域の活性化などへも寄与する、働き⽅改⾰実現の 切り札となる働き⽅でもある” http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/ 6

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(2) テレワークの分類と想定範囲  就業場所による分類  在宅型  従業員の⾃宅で作業する  通信環境は各従業員が⼿配する  サテライト型  会社が社外に設置したサテライトオフィス内で作業する  従業員が常駐しない場合や⽇中は無⼈であることも多い  モバイル型  移動先で作業する  ノートブックPCと通信環境でどこでも作業できる環境が実現する 7

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(2) テレワークの分類と想定範囲  就業形態による分類  雇⽤型  特定の企業の雇⽤契約を前提とし、就業時間帯や就業場所に柔軟性を持たせ た形態  ⾃営型  特定企業の契約に制約されず⾃由に就労する形態  SOHO・在宅ワーク・ノマドワークといった名称で近年注⽬され、就業⼈⼝ が増えている形態 8

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就業場所 在宅型 サテライト型 モバイル型 就業形態 雇⽤型 • 在宅勤務 • サテライトオフィス • シェアオフィス • コワーキングスペー ス • モバイルワーク ⾃営型 • 在宅ワーク • SOHO • シェアオフィス • コワーキングスペー ス • ノマドワーク (2) テレワークの分類と想定範囲 経理業務(事務職 等)におけるテレ ワーク テレワークの分類と経理業務におけるテレワークの範囲 9

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(3) 我が国におけるテレワーク導⼊状況  テレワーク導⼊の背景  就労⼈⼝減少と都市圏への⼈⼝集中  ⼟地価格⾼騰  雇⽤環境の変化  慢性的な⼈⼿不⾜、有効求⼈倍率の増加  会社で働くスタイルの多様化  労働参加率の増加  物理的な距離、時間の制約、リソース配分の変化  テクノロジーの発達  ITサービスやツールの機能向上  効率のよい働き⽅のバリエーションとしてテレワークが 注⽬されるようになってきた 10

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(3) 我が国におけるテレワーク導⼊状況 11 (出所:総務省「通信利⽤動向調査(2020年)」) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05a.html

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(3) 我が国におけるテレワーク導⼊状況 12 (出所:総務省「通信利⽤動向調査(2020年)」) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05a.html

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(3) 我が国におけるテレワーク導⼊状況 13  テレワークの導⼊⽬的 (出所:総務省「通信利⽤動向調査(2020年)」) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05a.html

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(3) 我が国におけるテレワーク導⼊状況 14  テレワーク導⼊の効果 (出所:総務省「通信利⽤動向調査(2020年)」) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05a.html

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(3) 我が国におけるテレワーク導⼊状況  テレワークを導⼊しない理由 15 (出所:総務省「通信利⽤動向調査(2020年)」) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05a.html

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(3) 我が国におけるテレワーク導⼊状況 16 (出所: テレワーク情報サイト(総務省)>テレワークの海外普及動向) http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/furusato-telework/diffusion-overseas/index.html  テレワークの導⼊状況(海外)

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 テレワークの実施状況 (3) 我が国におけるテレワーク導⼊状況 17 (出所: MF KESSAI「経理財務・会計担当者のテレワークの対応状況」に関する調査) https://mfkessai.co.jp/news/press-20200427

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参考: ハイブリッドワークのイメージ 18 オフィスワーク テレワーク 協働作業や対⾯ コミュニケーションを重視 集中作業や⾮対称 コミュニケーションを重視

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(4) 新型コロナウイルス対応におけるテレワーク導⼊の動向  緊急事態宣⾔前後(2020年4⽉-6⽉)で起きたこと  緊急事態宣⾔を機会にテレワークを初導⼊した企業が増えた  その後の企業の対応  解除後にテレワークも解除にして原則出社に戻す(6-7⽉頃)  解除後にテレワークを原則とし、恒久的テレワークを継続する(6⽉以降〜現在) オフィス ワーク テレワーク (⼀時対応) オフィス ワーク テレワーク (恒久化) 19

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(4) 新型コロナウイルス対応におけるテレワーク導⼊の動向  テレワーク導⼊における制約  原則として出社できないため、ほぼすべての業務を切り出して 社外で作業する必要が出た  業務に必要なデータは主に社内インフラに管理されている場合 はテレワークでアクセスできるように環境構築が必要になる  作業環境は⾃宅や外部オフィスという制約はあるが、原則とし て社内と同等の機能・環境が求められる  主なテレワーク⽀援施策  テレワーク環境整備のための機材購⼊⽀援(マイクなど)  テレワーク環境に合わせた什器備品の購⼊⽀援(デスクなど)  通信回線が協⼒でない環境に向けた回線費⽤の負担 20

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(4) 新型コロナウイルス対応におけるテレワーク導⼊の動向  テレワークに移⾏しなかった理由  トップ・ミドルマネジメントのテレワークへの理解が不⼗分  “社員の顔を⾒て仕事したいおじさん”の存在  現場が仕事のやり⽅を変えたがらない  “書類をデータ化できない”  “事務処理に捺印は「必須」なので無理“  「対⾯前提」の業務処理がテレワークを阻む 21

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(4) 新型コロナウイルス対応におけるテレワーク導⼊の動向  テレワーク移⾏レベルの検討  プランA  原則として出社を認めない  出社は上⻑の承認を必要とする  対外的な接客は原則オンラインとする。オフラインで接客する場合は上⻑の承認を必要 とし、所定の対策と講じて実施する  プランB  限定的な出社を許容する  出社は上⻑の承認を必要とするが、事後報告でもよい  対外的な接客は原則オンラインとする。オフラインで接客する場合は上⻑の承認を不要 だが、所定の対策と講じて実施する  主な判断検討要素  公共交通機関の稼働状況  ⾃治体の取組状況  同業他社の対応状況  従業員のテレワーク環境の習熟度やストレス 22

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 「避難的対応」テレワークにより起きたこと  慌てて環境準備  仕事のやり⽅は従来のまま、仕事が家庭に持ち込まれた  その後のテレワークの動向  テレワーク「徹底派」企業と テレワーク「やり過ごし派」企業の両極化  「徹底派」はIT企業を中⼼に「オフィスワーク」と 「リモートワーク」の共存を追求している  テレワークにおいてもオフィスワークと同等の⽣産性の維持を求める  「やり過ごし派」は「オフィスワーク」に回帰した  テレワークは例外のため、オフィスワークと同等の⽣産性を求めない (5) 「アフターコロナ」におけるテレワーク導⼊のその後 23

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参考: ヤフー 24 https://news.yahoo.co.jp/articles/db3845e8d27f7d97de4baf6072b9aaa36bd045dc

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参考: マイクロソフト 25 https://www.microsoft.com/ja-jp/biz/remotework

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2. 経理業務におけるテレワーク の導⼊ 26

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(1) テレワーク実施に向けた準備 導⼊検討 •導⼊⽬的検討 •導⼊範囲検討 •導⼊効果想定 業務環境整備 •定型/⾮定型業務の 区分 •導⼊範囲の決定 業務の調整 •就労ルール調整 •データ保管ルール 検討 ITインフラ 整備 •セキュリティ ポリシー⾒直し •オンプレミス 環境整備 •クラウド環境整備 •社内ネットワーク 設定 •アクセス権限付与 27

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(1) テレワーク実施に向けた準備  所要期間  1ヶ⽉〜2ヶ⽉程度  導⼊範囲に依存する  所要コスト  社内コスト  対応要員の調整  社外コスト(主に環境整備)  リモートアクセス環境  ネットワーク環境  作業⽤端末の⼿配 28

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(2) 導⼊検討  トップダウンでの推進が必要  全社的に影響がある  就労条件について労使合意も必要になる  局所的に⾏っても効果が出にくい  部署単位での実施・効果測定は有効  部⾨間の利害対⽴に留意する  ファイルの受渡しルール  会議の設定  ⽇程の共有  段階的な導⼊は可能  第⼀段階 時間はそのまま 場所を⾃由化  第⼆段階 時間も⾃由 場所も⾃由 29

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(3) 業務環境の整備・業務の調整  業務範囲設定が必要な理由  テレワークと相性の良い/悪い業務を識別するため  テレワークと相性の良い業務とは  定型業務である  作業⼿順が明確である  業務データを電⼦的に共有できる  データポータビリティを確保が必須  会社のデータ保管ルールとの競合に留意  テレワークと相性の悪い業務とは  ⾮定型業務  複雑・多⾯的な判断が必要  物理的に集まらないと進展がみられない作業 30

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(3) 業務環境の整備・業務の調整  できればテレワークvs原則テレワーク “できればテレワーク” “原則テレワーク” •出社が原則 •在宅勤務は例外 •主な情報は社内にあるので 会社に⾏かないと⾒られない •ミーティングは対⾯が原則 •成果物は社内サーバに保存 •テレワークが原則 •出社は例外(必要時のみ) •主な情報はクラウドにある どこでも⾒られる •ミーティングはリモート •成果物はクラウドに保存 31

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(3) 業務環境の整備・業務の調整 32 経費精算 •経費確認 •経費承認 •経費精算 請求 •請求書作成 •請求書承認 ⽀払 •⽀払⼀覧作成 •⽀払チェック •⽀払承認 •振込予約 仕訳登録 •仕訳明細作成 •仕訳登録 •仕訳承認 ⽉次報告・ 試算表作成 •資料作成 •資料承認 クラウド会計の活⽤により テレワーク可能な業務範囲はより広がる 従来 クラウド会計を 活⽤ テレワーク可能な業務の範囲の例

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(3) 業務環境の整備・業務の調整  労働時間  フレックス勤務対応(労使合意が必須)  休憩・移動・深夜時間の定義  深夜勤務⼿当は⽀払義務がある  データポータビリティの確保  社内ルールとの調整  持ち出し可否の確認  データ保管レベルの設定  経理業務の特性  承認処理が電⼦データで対応できるか  紙とデータの共存をどうするか  データ⼀元化を実現するための過渡的な施策の検討  電⼦帳簿保存法対応(制約が多い) 33

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(4) ITインフラの整備  想定される準備作業  セキュリティポリシー  ローカル作業の範囲検討  IT環境整備(オンプレミス)  IT環境整備(クラウド)  社内ネットワークの設定  アクセス権限付与 34

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(4) ITインフラの整備  セキュリティポリシー  ポリシーの⾒直しを⾏う  テレワークを想定した内容になっていなければ改定を検討する  情報資産のレベルを定義する  機密性の⾼いものについてテレワークで取扱可能にするか検討 35

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(4) ITインフラの整備  情報資産のレベル例  レベルA(漏洩した場合に事業継続が困難になるもの)  顧客情報(請求・⾒積・売上など)  顧客個⼈情報・従業員個⼈情報  取引記録・仕訳・明細資料  レベルB(業務上の秘匿性の⾼い情報)  個⼈を特定することができない属性情報  取引先コード・勘定科⽬コード  レベルC(業務上の秘匿性の低い情報)  公開情報以外の社内情報 36

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(4) ITインフラの整備  ローカル作業の範囲検討  作業端末内にデータを保管させることへの制限  理由 情報漏洩時のダメージを最⼩限にするため  紛失リスクへの対応  リモートワイプなど 37

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(4) ITインフラの整備  IT環境整備(オンプレミス)  作業⽤端末に業務ソフトウェアをインストール  業務ソフトウェア  クライアント⽤モジュール  リモートアクセス⽤モジュール  セキュリティソフトウェア 38

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(4) ITインフラの整備  IT環境整備(クラウド)  データやアプリケーションがクラウドから提供される  端末側の準備が少なくてすむ  データ管理の仕様がクラウドベンダーに依存するリスクがある  アプリケーションは端末側に保管、データはクラウドに保管  端末側のアプリケーション制御(インストール及び設定)が必要  クラウドでのデータ⼀元管理が可能  アプリケーション、データともクラウドに保管  アプリケーションの最新機能をクラウドで提供  クラウドでのデータ⼀元管理が可能 39

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会計システム(オンプレミスとクラウド) インターネット 会計システム VPN 社内 インターネット 会計システム (SaaS) VPN 社内 社外 社外 <オンプレミス> <クラウド> 40

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(4) ITインフラの整備  社内ネットワークの設定  不特定多数によるアクセスと従業員によるアクセスを識別する 必要がある  VPNの概要  擬似的に社内ネットワーク環境を再現する  トンネリング  パケットにIPヘッダを付加して End to Endの通信を実現する  暗号化  VPNデバイスを導⼊する  ルータ、ファイアウォール、セキュリティアプライアンスなど  VPNの種類  サイト間VPN  拠点間のVPNデバイスを接続する  リモートアクセスVPN  リモートクライアントとVPNデバイスを接続する 41

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(4) ITインフラの整備  社内ネットワークの設定  VPNの要件  機密性  データを盗聴されてもデータの中⾝を保護することができる  完全性  送信元から送信先への通信においてデータの改竄や⽋落がない  送信元認証  送信元が本当に想定した相⼿なのかを保証する  アンチリプレイ  リプレイ攻撃(正規のパケットをコピーして再送する)を防⽌する  代表的な技術としてIPSecがある 42

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(4) ITインフラの整備  アクセス権限付与  ERPパッケージ(オンプレミス)  ERRパッケージ(クラウド)  経理資料作成業務など(多くの場合EUCで対応) 43

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(5)テレワーク導⼊の実際 モデルケース(1)  経理リモートスタッフ(パートタイム)  稼働時間 9:00-18:00で4.0h以上  残業・⼟⽇作業なし  業務分掌  ⽀払/給与計算/源泉所得税/仕訳登録  作業スペースは主に⾃宅のリビング  プリンタに近いため  14-16時は集中作業の時間帯  家事対応のため⼣⽅は作業時間外  委託作業の期限  原則として1営業⽇以内  緊急時は随時調整(当⽇中など) 主な役割 作業環境 12:00 18:00 9:00 勤務 休憩 休憩 勤務 ⾮稼働時間 (家事等) 勤務 44

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(5)テレワーク導⼊の実際 モデルケース(1)  主にメールとグループウェアによる  緊急時はチャットや電話など  オンラインミーティングは⽉1回 第1⽉曜⽇  対⾯ミーティングは年1-2回程度  所在確認しにくい  デスクで作業しているかどうかを常に確認できない  急な依頼が必要になったときにその場にいるかどうかわからない  進捗状況の確認  完了連絡が⼊るまでは進捗状況を把握しにくい  並⾏作業が進んでいる場合にそれぞれの状況が⾒えにくい  To Doリストなどで別途管理している コミュニケーション⽅法 業務上のリスク 45

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(5)テレワーク導⼊の実際 モデルケース(2)  経理財務マネージャー(フルタイム)  東京本社と⾃宅を往復  本社への出社は⽉2回程度  稼働時間 ⽉-⾦ 9:00-18:00  残業・⼟⽇作業あり  業務分掌  経理業務全般(資⾦管理含む)  予算管理資料作成  ⾃宅近くのレンタルオフィスを利⽤  オフィス費⽤は会社補助あり  ほぼ会社にいるのと同じ作業環境  通信・電話環境など  昼休憩で帰宅する場合あり 主な役割 作業環境 12:00 18:00 9:00 勤務 休憩 休憩 勤務 ⼀時帰宅 勤務 朝会で 情報共有 残業発⽣ 46

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(5)テレワーク導⼊の実際 モデルケース(2)  朝会を毎⽇実施  オンラインおよびオフライン  連絡はメール・Slack・Webミーティングなど  相⼿により使い分けており、特に統⼀はしていない  急ぎの連絡は電話によるが、ほとんど使わない  所在確認しにくい  Slackのステータスでデスク作業しているかを確認する  ただし⼀時席外しなどあるので⽬安にとどまる  急な依頼が必要になったときに動けるかどうか確認する  集中時間帯を確保しにくい  ⼈が⾒ていないと集中しにくいときがある  セキュリティへの配慮が必要  PCの持ち歩きが多く、紛失した場合の対応が必須 コミュニケーション⽅法 業務上のリスク 47

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(6) テレワーク導⼊のフォローアップと⽣産性向上のポイント  マルチモニタ環境  ⼀⼈当たりの安価な投資で⾼⽣産性を実現  「まずはデータ化」する習慣  ⼤量の証憑書類をだれがデータ化するのか  電⼦帳簿保存法への対応 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/index.htm 48

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(6) テレワーク導⼊のフォローアップと⽣産性向上のポイント 請求データ 請求書 請求システム 発⾏・登録 請求書 郵送 印刷・捺印 印 印 ⽀払データ ⽀払システム 登録 ⼊⼒ <取引先> <⾃社> • 時間がかかる… • ⼊⼒間違い起きる… • 出社しないと捺印できない… • 印刷しないといけない… • 時間がかかる… データからデータに 連携可能 49

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(6) テレワーク導⼊のフォローアップと⽣産性向上のポイント  業務処理を“データドリブン”で⾏う  データ作成→印刷→郵送→開封→データ化の意味は︖  メール添付ファイルの習慣を⾒直そう  クラウドストレージへの保存&リンクの共有  やめましょう“PPAP”  Password付きzipファイルを送ります  Passwordを送ります  An号化(暗号化)  Protocol(プロトコル)  それでも残る「ハンコ出社」  ローテーション出社  捺印承認のハードルを上げるには •Pen •Pineapple •Apple •Pen 50

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(6) テレワーク導⼊のフォローアップと⽣産性向上のポイント https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2011/17/news150.html 51

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(6) テレワーク導⼊のフォローアップと⽣産性向上のポイント https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2012/07/news060.html 52

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(6) テレワーク導⼊のフォローアップと⽣産性向上のポイント https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/12243/ 53

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(6) テレワーク導⼊のフォローアップと⽣産性向上のポイント • ⽇付順にソート • ポケットファイルに保存 • 画像データ変換後は基本的に参照しない 証憑ファイリングの例 54

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 テレワークのフォローアップ実施へ (6) テレワーク導⼊のフォローアップと⽣産性向上のポイント 55 テレワーク中⽌ テレワーク継続 フォローアップ なし フォローアップ あり テレワーク 続ける︖

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 成功要因  導⼊後のIT部⾨における細かいフォロー  コミュニケーションチャネルの統⼀  社内はSlack、社外はメール、電話や対⾯は原則なし  環境要因での差異をなくす⼯夫  オフィスワークでも全員オンライン参加する  失敗要因  環境構築は従業員まかせ  コミュニケーションチャネルの不統⼀  「とにかく電話」「とにかく対⾯」派の存在  環境要因での差異を放置する  ⼤会議室で俯瞰カメラのみだと、話し⼿の特定が困難になる (6) テレワーク導⼊のフォローアップと⽣産性向上のポイント 56

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 テレワークの定着に向けた視点  従業員のテレワーク環境は各⾃異なることを理解する  働き⽅の時間帯やスタイルも異なることを理解する  働き⽅の「多様性」を認め「寛容さ」を持つ  今後の社会の在り⽅は︖  (年齢・性別・国籍・職歴問わず)誰もが社会参加する  誰もがどのタイミングでも業務に関与するようになる (6) テレワーク導⼊のフォローアップと⽣産性向上のポイント 57

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参考: 電⼦帳簿保存法の全体像 58 種類 内容 例 国税関係帳簿 • データ⼊⼒段階から会計帳簿段階に⾄るまで全て コンピュータで処理することを想定する書類 • 従来「書⾯」での保存が前提だったものを、事前 の承認⼿続きを経ることで電⼦的に保存すること が「容認」された • 仕訳帳(原則として全て保存) • 総勘定元帳(原則として全て保存) • 補助簿(必要なものについて保存) 国税関係書類 • 経理事務の過程で⽣成された各種書類 データ保存(データとして作成された書類をそ のまま保存する) スキャナ保存(紙で⽣成された書類をスキャン しデータとして保存する) のいずれかより保存形式を選択できる • 決算関係書類(決算作業に際して作成 された書類) • 貸借対照表、損益計算書、棚卸表、そ の他決算書類など • 取引関係書類(取引の過程において作 成された書類) • 会社が発⾏した契約書、請求書、⾒積 書、領収証など • 会社が受け取った契約書、請求書、⾒ 積書、領収証など 電⼦取引 • EDIやインターネットを介した電⼦商取引におい てやりとりされた取引情報を電⼦データとして保 存したもの • 発⽣から消滅までの⼀連の取引を全て電磁的に保 存することが義務付けられる • 保存期間は7年(電⼦署名やタイムスタンプの付与 など⼀定の要件がある) • 注⽂書 • 契約書 • 送り状

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参考: 電⼦帳簿保存法改正の4つのポイント POINT 項⽬ 内容 規制の⽅向性 電⼦取引のデータ保存義務化 • 電⼦取引により授受したデータを書⾯で なくデータで保存する 強化 検索要件の緩和 • 検索条件を限定する • 検索範囲の範囲指定や複合検索の要件を 不要とする 緩和 タイムスタンプ付与要件の緩和 • 電磁的記録に真実性や可視性を担保する ためにタイムスタンプを付す期限を延⻑ する 緩和 事前⼿続きや整備ルールの廃⽌ • 帳簿や書類の電磁的記録での保存に税務 当局への届出を不要とする • 適正な事務処理を⾏うための体制整備を 不要とする 緩和 4 2 3 1 59

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(適⽤時期)  事前承認制度の廃⽌  2022年1⽉1⽇以降に備え付けを開始する事業年度等に係る国税関係帳簿から  国税関係帳簿に係る電磁的記録の保存  2022年1⽉1⽇以降に備え付けを開始する事業年度等に係る国税関係帳簿から  国税関係書類に係る電磁的記録の保存  2022年1⽉1⽇以降に⾏うスキャナ保存を⾏う国税関係書類から (経過措置)  国税関係帳簿  改正前の同法適⽤済み企業は取りやめの届出を提出する必要なし  2022年1⽉1⽇以後に備付けを開始する場合は 2021年9⽉30⽇までに届出が必要  国税関係書類  改正前の同法適⽤済み企業は取りやめの届出を提出する必要なし  2022年1⽉1⽇以後にスキャナ保存を開始する場合は 2021年9⽉30⽇までに届出が必要 参考: 電⼦帳簿保存法改正の適⽤時期及び経過措置 60

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 令和4年税制改正⼤綱(2021年12⽉10⽇公表) 参考: 電⼦帳簿保存法改正の適⽤時期及び経過措置 61 出典 https://www.jimin.jp/news/policy/202382.html

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 令和4年税制改正⼤綱(2021年12⽉10⽇公表) 参考: 電⼦帳簿保存法改正の適⽤時期及び経過措置 62 出典 https://www.jimin.jp/news/policy/202382.html

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 寛恕規程の解釈  「やむを得ない事情があると認め」  「質問検査権に基づく当該電磁的記録の出⼒書⾯の提⽰⼜は提 出の求めに応じることができるようにしている場合」  ⼀定の要件を満たす場合のみ、書⾯保存が引き続き認められる  「改正法対応を延期できる」とはされていないので注意 参考: 電⼦帳簿保存法改正の適⽤時期及び経過措置 63

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参考: 電⼦帳簿保存法改正が実務に与える影響  対応スケジュール  新しい保存要件に基づく電⼦帳簿の保存開始 →2022年1⽉1⽇  新しい保存要件に基づく電⼦帳簿の想定利⽤期間 →2023年1⽉1⽇以降  上記から逆算し、寛恕規程を考慮すると、電⼦帳簿保存法改 正に向けた対応は2022年の前半に準備を始めるのが現実解 になる  過去に税務調査が⾏われていない/最後の税務調査から⻑期間 経過している企業は早期の準備が求められる 64

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参考: 電⼦帳簿保存法改正が実務に与える影響  スキャナ保存書類の扱い  データ保存⽅法  タイムスタンプを付す⽅法及びタイミング  電⼦取引の扱い  データ保存⽅法  タイムスタンプを付す⽅法及びタイミング  業務フローの整備や⾒直し  ⼿動でタイムスタンプを付す⽅法は⾮現実的  事務処理規程との整合 65

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3. テレワークにおけるリスクと対応 66

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テレワークで想定すべきリスク  想定するべきリスクとは  緊急時の対応  労務管理と給与計算  仕事の評価  情報漏洩とデータの散逸  担当者のITリテラシー 67

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テレワークで想定すべきリスク(1) 緊急時の対応  リスク  緊急時にリモート環境の従業員と連絡がとれなくなる  システムトラブルにより業務が継続できなくなる  対応  BCP(業務継続計画)の策定  定期的なテストの実施  就業状況の確認  代替連絡ルートの確保  ITインフラがダウンした場合に連絡がつくようにする  業務継続するための代替⼿段検討  サービスの⼆重化  社内作業を部分的に残す 68

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テレワークで想定すべきリスク(2) 労務管理と給与計算  リスク  フレキシビリティのある働き⽅の反⾯、時短や残業に対する⽅ 針も柔軟性が求められる  開始終業管理が厳密に実施できなくなる  原則として⾃⼰申告によるため  対応  勤務実態の把握  勤怠打刻情報の⼊⼿徹底  ただし就業状況を完全にモニタリングするのは限界がある  勤務状況モニタリング  サンプル抽出で定期的に確認する 69

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テレワークで想定すべきリスク(3) 仕事の評価  リスク  テレワークによるネガティブリスク  コミュニケーション品質の劣化  成果による評価不⾜  対応  ポジティブリスクへの転換  環境改善による品質維持  ⼈事制度への影響  経理業務の場合  量のリスク  質のリスク 70

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テレワークで想定すべきリスク(4) 情報漏洩とデータの散逸  リスク  アクセス権限  端末紛失  対応  「なくさないようにする」でなく「なくすことが前提」の対応 策を検討する  アクセス管理ポリシーの厳格化(社外ユーザーの端末特定、権限の制約)  端末暗号化(紛失しても漏洩させない)  パスワード強制変更、リモート削除など(悪意のユーザーに使⽤させない) 71

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テレワークで想定すべきリスク(4) 情報漏洩とデータの散逸  リスク  メール添付による散逸  メールサーバへの恒久的保存  対応  ファイル添付の廃⽌  業務データのストレージ等での⼀元管理 72

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テレワークで想定すべきリスク(5) 担当者のITリテラシー  リスク  セキュリティポリシー  クラウドサービスの利⽤  情報資産の管理  アカウント管理  対応  リテラシー教育  周知啓蒙 継続教育 73

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テレワーク実施に向けたマインドセット  短期間でのテレワーク導⼊による結果、多くの課題が認識された  現実には、中⼩企業の64%がテレワークを許可していない  今後は「会社に出社して仕事する」環境に戻るか︖  今までの働き⽅に戻ることはない  多くの⼈がテレワークの便利さを実感することができた  テレワークを基本とする仕事の進め⽅が世の中のスタンダードになる  これまでテレワークに挑戦してきた企業  より⽣産性の⾼い組織に向かい「分散」「協働」を前提として実績を上げる  テレワークに背を向けている企業  いたずらに従業員を疲弊させ、⽣産性を⾼められず競争に勝ち残れなくなる  ただし表⾯的にテレワークを導⼊するだけでは効果が薄い  フローを⾒直さないと出社前提の業務フローに戻ってしまう  テレワークは業務設計と組み合わせて初めて⼤きな効果を発揮する (出所:テレワークに関するアンケート調査) https://corp.freee.co.jp/news/telework_report-10161.html 74

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参考: ⽇本経済新聞 2022/3/7記事 75

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テレワーク実施に向けたマインドセット  経理部⾨としてどのようにテレワークを活⽤するべきか︖  「データ」を扱う場⾯が多く、テレワークへの親和性が⾼い  業務プロセスの⼯夫次第で⽣産性を引き上げることが可能  バックオフィス業務を不採算部⾨ではなく「情報に付加価値をつける仕事」に ⾼めることが可能になり、テレワーク時代にはさらに存在価値が⾼まる  ただし、テレワークを前提として経理業務を再設計する必要がある  経理部⾨にテレワークが定着した姿とは  テレワークを前提とした業務フローが確⽴し「紙」や「ハンコ」を前提とした フローから解放される  オフィスの出社は必要最⼩限、ただしオフィスの利⽤は残る  在宅勤務を原則とした結果、公共交通機関による通勤の負荷やストレスが緩和される  ストレスの少ない業務で⽣産性が上がる 76

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4. テレワークと内部統制 77

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内部統制報告制度  ⾦融商品取引法における内部統制報告制度  財務報告に係る内部統制の適切な整備及び運⽤を義務づけられ る  事業年度末の状況に対応した内部統制報告書を発⾏する  ただし猶予措置あり(上場後3年間は内部統制監査が不要)  テレワークにより運⽤ルールが変更される場合は 変更点を中⼼に評価する 78

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(1) 内部統制への影響範囲  決算・財務報告プロセス  IT業務処理統制  IT全般統制  システム運⽤・管理  安全性の確保  EUC統制 79

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(2) 決算・財務報告プロセス  テレワークにより影響を受ける作業  社外からのデータ操作  更新履歴の保持  統制上の対応  社外作業と社内作業の連携が⽀障なく進められるかどうか 80

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(2) 決算・財務報告プロセス 統制評価項⽬ テレワークにおける留意点 決算業務に関する職務分掌が適切になされている テレワークを想定した職務⽂書の⾒直しを⾏っている か 決算に係る関連⽂書及び電⼦データを網羅的且つ正確 に⼀元管理することによって、適切に保管する 業務データを社外から追加・変更する場合に変更履歴 が正しく保持されるか 決算整理・決算処理事項はすべて適切な権限者により 査閲されることが規程・制度として確⽴している 社外からの承認処理が⾏われる場合に社内と同等の制 約がかけられているか 決算作業(注記情報の作成を含む)の⽇程(⼯程表)と各 担当者の役割、責任と権限を明確に定め、決算作業の 進捗状況を把握し、適切な時期までに適切な決算作業 を⾏う テレワーク従事者の進捗状況の管理⽅法や報告⼿段が 明確になっているか ⼊⼿した各関係部署からの決算資料は、適切な責任者 により承認された最終版であることを保証する⼿続が ある 業務資料の更新履歴が正しく保持されるか 正当な担当者のみが決算振替伝票の⼊⼒が可能であり、 その職務は適切に分離されている 社外からの⼊⼒が⾏われた場合も証跡が正しく残され るようになっているか 連結パッケージが、根拠資料から漏れなく正確に転記 されていることを、作成担当者以外の者が確認してい る 連結パッケージおよび根拠資料の提出状況や変更履歴 が正しく保持されるか、経理担当者による確認を証跡 として残しているか 81

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(3) IT業務処理統制  テレワークにより影響を受ける作業  ⾃動⽣成データについて社外からの参照が困難  データの制約により、業務効率にマイナス影響が出る  統制上の対応  作業場所を問わず同じ品質のデータを操作できる環境の準備 82

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(4) IT全般統制(システム運⽤・菅理)  テレワークにより影響を受ける作業  社外からの従業員のアクセス  想定していなかったシステム運⽤の追加  統制上の対応  社外からのデータ操作モニタリング  機密データへのアクセスへの適切な制限 83

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(4) IT全般統制(システム運⽤・菅理) 統制上の⽬標 テレワークにおける留意点 システム運⽤規程が遵守され、証跡が作成される 社外からのデータ操作にかかるモニタリングを⾏う環 境が想定されているか データ管理⽅針が策定されている データ管理レベルが定義され、重要度の⾼いデータに ついて社外からの利⽤を適切に制限するルールになっ ているか データが適切にバックアップ、保管されている テレワークでローカルデータを扱う場合にバックアッ プが適切に⾏われるか 84

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(5) IT全般統制(安全性の確保)  テレワークにより影響を受ける作業  社内ネットワークへの不正アクセスリスクが⾼まる  統制上の対応  主にネットワーク環境における不正アクセスリスクを軽減する  セキュリティポリシー  端末のアクセス制御、ウィルス対策等  ネットワークの常時監視 85

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(5) IT全般統制(安全性の確保) 統制評価項⽬ テレワークにおける留意点 情報セキュリティポリシーが策定・承認されている テレワークを想定したセキュリティポリシーの⾒直し を⾏っているか アプリケーションシステムのアクセス権限を適切に設 定し、承認している テレワーク作業を⾏う端末のアクセス権限を適切に設 定しているか アプリケーションシステムのアクセス権限は適切に管 理し、アクセス状況を管理・監視する テレワーク作業を⾏う端末のアクセス権限を監視する 仕組みが確⽴しているか 社内ネットワークの設計・変更に対し適切なセキュリ ティを導⼊している 社外からのアクセスを想定したセキュリティの変更を ⾏っているか 外部から社内システムへの不正アクセスを防御するた めのセキュリティ管理が存在する 不正アクセスと認証された端末からのアクセスを識別 し、不正アクセスを適切に防御できるか 外部ネットワークからのアクセス情報を管理・監視し ている 認証された端末からのアクセス履歴を適切に保持して いるか ウィルス等によるデータ破壊のリスクを軽減するため にアンチウィルスソフトを導⼊している テレワーク作業を⾏う端末へのウィルス対策を徹底し ているか 86

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(6) IT全般統制(EUC統制)  テレワークにより影響を受ける作業  作業ファイルの仕様がブラックボックス化しやすい  テレワークによりこのような傾向が加速する  場所が離れていることからコントロールしにくい  統制上の対応  ファイルの集中管理  オンラインスプレッドシートの利⽤  Microsoft 365 / Googleスプレッドシートの利⽤検討 87

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OneDriveのファイル共有の仕組み ¥¥Company¥Acc¥Expense.xlsx https://sample.sharepoint.com/:w:/r/sites/ sample/Shared%expense.xlsx • 閲覧期限 • アクセス権限 を設定 ファイル閲覧・編集 リンク⽣成 リンクをクリック • リンクを共有する • 実体ファイルは送信しない • 閲覧権限を柔軟に設定可能 88

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(6) IT全般統制(EUC統制) 統制評価項⽬ テレワークにおける留意点 スプレッドシート等を財務情報に利⽤する場合には、 財務情報の完全性、正確性、正当性に関する⽅針と ⼿続があり、順守されている テレワーク作業により作成された資料についても左記 の⽅針および⼿続が同様に適⽤され、順守することが できるか 作成したスプレッドシートとデータのバックアップを ⾏い、安全に保管する テレワークでローカルデータを扱う場合にバックアッ プが適切に⾏われるか スプレッドシート等に完全性、正確性、正当性を検証 できる仕組(検算できる等)が組み込まれているか、 もしくは⼿計算で検算する テレワーク作業を⾏うファイルについて左記の検証が 可能になっているか 89

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まとめ  ⽇本におけるテレワーク普及率  低⽔準だが、今後伸びる余地がある  社会基盤や企業インフラの整備が肝要  テレワークの導⼊フローと留意点  トップダウンでの推進が必要  オンプレミス志向かクラウド志向か  テレワークの導⼊リスクと対応⽅法  業務リスクがもっとも⾼い、特に緊急時対応と労務管理  テレワーク導⼊は「監視強化」ではない  外形的なテレワーク導⼊では効果が出にくい  多様なスタイルに対応した働き⽅を考えよう  これからの働き⽅のスタンダードを考える  必要な施策はテレワーク「のみ」ではない  従業員エンゲージメントを⾼めるためにテレワークを活⽤しよう 90

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まとめ  参考: テレワーク成熟度指標 レベルc 意識 制度 ツール 体制 その他 レベルV 社員の家族や取引先に も好影響を与えている 継続的にPDCAが回っ ている 常に最先端のツールを 選定し活⽤している 活性度に応じて柔軟な 体制が組まれている レベルIV 全社員の意識が⾼く、 前向 きである チームメンバーがどこ にいても、業務管理に ⽀障がない チームメンバーがどこ にいても、業務遂⾏に ⽀障がない 事務局から、テレワー クの仕組みを改善する 提案が出される この仕組みがあること で優秀な⼈材が集まる レベルIII トップの理解があり、 全社で進めようとして いる 在宅勤務制度が整って いる オフィス外でも、業務 遂⾏に必要なファイル にアクセスできる 運営事務局がある 失敗しても乗り越えた 経験がある レベルII ⼀部の有識者が取り組 もうとしている 勤務時間を選択できる 制度が導⼊されている オフィス外でもメール やスケジューラを⾒ら れる仕組みがある 運営担当者がいる 取組みをドキュメント として整理したことが ある レベルI 知識もない 有効な制度が整ってい ない オフィスにいないと業 務が進まない ない (出所:佐々⽊康浩「テレワーク成熟度モデルの提案」) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasmin/2015s/0/2015s_237/_pdf/-char/ja 91

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5. 質疑応答 92

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