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なぜセキュリティ人材育成の研究者が 小学校の情報モラル教材を 開発しているのか 2021.10.13 花田経子(Kyoko HANADA) 岡崎女子大学 [email protected]

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自己紹介 • 花田 経子(Kyoko Hanada) • 岐阜県各務原市(かかみがはら)出身 • 岡崎女子大学 子ども教育学部 講師 • 2002年 愛知大学大学院経営学研究科博士後期課程満期退学 • 2002~2015年 新島学園短期大学キャリアデザイン学科専任講師 • 外部役員等(一部) • 愛知県青少年保護育成審議会 審議委員 • 文部科学省enPiT-Security アドバイザリー委員 • 愛知県警 中小事業者情報セキュリティ対策支援ネットワークアドバイザー • 情報セキュリティワークショップin越後湯沢 大会副委員長 • 研究分野 • 情報システム監査の監査人のキャリア形成と人材育成 • 情報セキュリティ人材のキャリア形成と人材育成 • 初等教育における情報教育と情報セキュリティ教育のための人材育成 • その他 • デジタルネイティブ&“推し元素がニホニウム”な小学校5年生を育てる母親

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情報セキュリティワークショップin越後湯沢2021 ご参加いただいた皆様、ありがとうございました

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ごく普通に生きている 一般のご家庭の主婦です。 逸般の誤家庭の主腐

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平日の20時代… 一般のご家庭の主婦はご飯作って出してる時間w LTのスライドより豚汁が重要 それが主腐の実態 味噌は、八丁味噌をベースに した赤だしじゃないとダメ

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何をしている人間か 教員養成校の教員 (保育士・幼稚園教諭・小学校教諭のコア科目) (高等学校『情報』教科免許関連) 情報システム監査および情報セキュリティ人材の キャリア形成と人材育成に関する研究 初等教育における情報教育と情報セキュリ ティ教育のための人材育成

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高校の先生・生徒向け『情報Ⅰ』教材 • IPSJ【情報通信ネットワークとセキュリティ】の講師をしています。 • https://sites.google.com/a.ipsj.or.jp/mooc/list/C4-2

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愛知県警察『サイバーポリスゲーム』 小学校5年生以上の 子どもたちの学習に 使えるような すごろくゲーム 2018年2月に公開

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デジタルネイティブを育てています 今の子どもたちがインターネットに触れる年は何歳か? 0歳 デジタルとアナログの 区別をつけることが そもそもない世代 保育の現場は、アナログ・紙至上主義 教育の現場は、GIGAスクールで変化しつつ混乱中

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教職課程の現場の激しい誤解 ICTを教育活動に使うと 学習・健康によろしくない ICTを教育活動にじゃん じゃん使おうぜ! ガッチリ制限かけましょ! ゆるゆる管理で使い倒そう! 上手に使わせつつ安全を守る方向になぜ倒さないのか

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なんだろう・・・ こう・・・ センスがない・・・の?

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何をしている人間か(もう一度) 教員養成校の教員 (保育士・幼稚園教諭・小学校教諭のコア科目) (高等学校『情報』教科免許関連) 情報システム監査および情報セキュリティ人材の キャリア形成と人材育成に関する研究 初等教育における情報教育と情報セキュリ ティ教育のための人材育成

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自分の肩書き・経歴と世間のギャップ 子ども教育学部の教員 →情報セキュリティ?? 大学教員でセキュリティの研究者 →セキュリティ人材が育つ?? 経営学部卒 →業績がおかしくない? 情報教科を教えている →セキュリティは教えてない?

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なぜセキュリティを始めたか① 大学院進学時になぜか【システム監査】へ 情報教育を教えつつシステム監査の研究 ある日突然、情報セキュリティワークショップ in越後湯沢の実行委員になっていた

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なぜセキュリティを始めたか② 所属大学の都合で【キャリアデザイン】へ とがった人材を発掘して育成する事業に参加 セキュリティを教える大学の仕組みに関与

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なぜセキュリティを始めたか③ 転職を機に教員養成に関与するように 学習指導要領変更とGIGAスクールなどの影響 で子どもたちの情報セキュリティに関する項目 が増えてそっち方面の内容を強化

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ライフワークとしてのキャリア調査 • 2008年ぐらいから、現役のエンジニアやそれに類する人たち などさまざまな人のキャリアを調査し始めた • セキュリティエンジニア • システム監査人・セキュリティ監査人 • インフラ担当 • 学校教育・大学教員・研究職 • 現状では無職の人(過去やってた人) • 地方でセキュリティ業務に少しだけでもかすっている人

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偶然を無視してキャリア を考えるのは多分無理

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キャリアとキャリアデザイン •キャリアデザイン(Career Design) • Career(キャリア)・・・ライフキャリアとワークキャリ ア • ワークキャリア・・・仕事に関するキャリア • ライフキャリア・・・人生の歩み(ワークキャリアを含む) • Design(デザイン)・・・設計 「意識化」(自分のための表現) 人生や仕事を意識化すること=キャリアデザイン

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キャリアとキャリアパス • キャリアの分類と対象 • キャリアパス • ワークキャリアを明示的にたどった経路 • 職務履歴:ワークキャリアの外的キャリアの経路 外的 内的 ワーク (Work) 職務・肩書 動機付け・役割・目的 ライフ (Life) 生い立ち・冠婚等 動機付け・役割・目的

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内的キャリアの内容が 働く人のキャリア全体に 結果的に大きな影響を持つ

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キャリアデザインの分類 A 目標逆算型 人生を企業戦略同様に、計画的 に設計する B 偶然活用型 予期していない偶然の出来事に 積極的に対応する C 節目重視型 節目はデザインし、他の時期は ドリフトする D 意味発見型 創造価値、体験価値、態度価値 をみいだす • キャリアデザインを類型化すると4パターン(山口[2008])

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キャリアツリーモデル① ディシジョンフォーク 自らの意思で意思決定をすることの できるキャリア チャンスフォーク 何らかの形で受動的に与えられた キャリア 与えられた選択肢から 選択する/選択させられる 構造にあるのがキャリア 自身の価値基準は?(アンカー) 選択肢を創造できるか? 望まない事象に対する対策は?

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キャリアツリーモデル② ①自身のキャリアは偶然に左右される ②次にどのようなチャンスフォークが出現する かは、過去のキャリアパスと当事者の行動・コ ンピテンシーが影響する しかし!

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スキルの習得方法 (a)教育や研修を通じて身 につける手法 (a-1)自発的に習得 (a-2)受動的に習得 (b)業務プロセスを通じて 身に付ける手法 (b-1)無意識に習得

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習得方法別の特徴 (a-1)教育・研修型 自発的習得 (a-2)教育・研修型 受動的習得 (b-1)業務プロセス による無意識習得 体系的な理解 度 高い 高い 低い モチベーショ ン 高い 低い 不明 他者への伝達 能力 体系的に伝達 体系的に伝達 経験値による伝達

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自分自身のスキルの図式化→客観視点を持つ 自発的 計画的 受動的 無計画 直接的 間接的 図式化すると自分のキャリアを 客観視できるかもしれない

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セキュリティのキャリアを図式化してみた

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情報セキュリティ人材の世代分類 世代 セキュリティ職務の担当時期(現在のおお よその年齢) SEC第1世代 1990年代以前(現在おおよそ60歳前後) SEC第1.5世代 1990年~1995年ごろ(現在おおよそ50 歳代) SEC第2世代 1995年~2003年ごろ(現在おおよそ40 歳代) SEC第3世代 2004年以降(現在おおよそ20〜30歳代)

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キャリアパス 第1世代 • 第1世代はIT技術者の 一般的キャリアパスと 変化はない • 第1.5世代は、 第1世代型と 第2世代型に分かれる。

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キャリアパス 第2世代 • 最も特徴的なキャリアパ ス • フロンティアとしての 領域 • 技術者としての延命措置 • その後マネジメント側に いくことが可能か否か

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キャリアパス 第3世代 • 第1世代、第1.5世代、 第2世代とは全く異なる • 若い時分から発掘される ケースあり • 後から情報科学の知識を学ぶ (大学等/資格取得) • この層は現在増加している • 学習機会が増えたため 今後の研究データを 集めたい部分

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習得スキルと経験は、 年代でかなり異なる →これがどう今後に影響するか

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女性人材は男性とは違うのか? •女性の方が専門職として有利に •ライフキャリア(結婚/出産/育児/介護)と のバランスをどう取るかが重要 •コロナ禍の働き方はかなり大きな影響を与えて いるはず(まだ未調査) キャリア上での違いはほとんどない

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地方(東海)と首都圏の相違 •スキル習得まではほぼ同じ •首都圏での勤務経験があることが多い •部下を持つ形での業務経験者は首都圏より も多い キャリアパスには相違がない 調査後のキャリアには大きな変化

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大きな流れとしては、 セキュリティに関するスキルを 特別なものとして扱うケースは 減っていくだろう。

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これからの人を育てる分野にこそ セキュリティの重要性を理解した 人材が携わるべきだと 本気で思っています

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なぜセキュリティ人材育成の研究者が 小学校の情報モラル教材を開発しているのか 誰もやってくれないからです💢 教材はたくさんあっても、教員に使いやすくないものが多い 教材は開発されても、アップデートされないものも多い 教員に使ってもらえるものを用意することが必要

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愛知県警察:サイバーポリスゲーム ①すごろくの盤面 ②さいころ・コマ・ 取扱説明書 ③問題発生カード ④クイズカード ⑤インターネット 5つの約束 ⑥ワークシート ⑦解説 ・盤面(教員用) ・クイズ(児童用) ・問題発生カード (教員用)

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『セキュリティなぞときスタンプラ リー』の公開 SNSに投稿した内容が どのような影響をもたらすかを 考えさせる教材として開発 R01より開発開始 シヤチハタ株式会社、 DSInnovation株式会社、 慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 ネットワークメディア プロジェクト、 情報経営イノベーション専門職 大学(iU) 山内研究室 岡崎女子大学花田ゼミ

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インターネット5つの約束 ①人を傷つけない LINEやツイッターなどのSNSで、悪口を書 き込むことや、人の嫌がることをしてはい けません。 ②自分の情報を教えない インターネットで知り合った人に、自分の 名前、住所、連絡先などを教えないように しましょう。 ③インターネットで知り 合った人と会わない 悪い大人が仲良しのふりをしているかもし れません。「会いたい」と言われても、会 いに行ってはいけません。 ④人のパスワードなどを勝 手に使わない 人のIDやパスワードを勝手に使ってログイ ンすることは犯罪です。自分のIDやパス ワードを人に教えてはいけません。 ⑤困ったことが起きたらす ぐに大人に相談する インターネット上でいやがらせや、困った ことがあったら、すぐに保護者や身近な大 人に相談しましょう。