Slide 1

Slide 1 text

技術広報の役割を定義してみた 2022年春 メルカリの技術広報のお仕事

Slide 2

Slide 2 text

Who am I ?? ■Name :  木下 雄策(33歳・from 福岡)   @afroscript10 ■Career :  九州大学大学院で宇宙の研究  2013.04 ~ Leverages: Levtech(営業) -> teratail (DevRel->事業部長)  2019.03 ~ メルカリ: Engineering Office (Internal Engagement / DevPR) ■Work :  日本発のグローバルテックカンパニーをつくる!    → MercariのEngineering Office ■Others :  ・Swift愛好会の運営 (その他いろんなコミュニティの勉強会やってました )  ・Gs' ACADEMY2期生  ・スノボとバスケと宇宙と Three.jsが好き  ・2歳娘のパパ

Slide 3

Slide 3 text

今日話すこと 会社の技術発信を支える「技術広報」という職種はやることが多岐にわたるので、 「結局何する人なの?」と、自分の中でもよく分からなくなることがあります。 なので、2022年春時点での自分の中での技術広報の役割を定義をしてみました。 その定義とともに、メルカリを例として技術広報が具体的にどんなことをしているかを紹介し ます。

Slide 4

Slide 4 text

Agenda ● 技術広報って何する人? ● 技術発信の効果 ● 技術広報の具体的な取り組み例(メルカリの例) ● 技術発信のKPIは? ● まとめ

Slide 5

Slide 5 text

技術広報って 何する人?

Slide 6

Slide 6 text

技術広報って何する人?

Slide 7

Slide 7 text

技術広報って何する人? ↓ 技術ブランディングする人

Slide 8

Slide 8 text

技術広報って何する人? ↓ 技術ブランディングする人 ん? じゃあ「技術ブランディング」ってなんだ?

Slide 9

Slide 9 text

技術ブランディングの全体像 Facts 発 信 External Engineers Internal Engineers Output on Work additional Output Company Mission (存在意義) Product開発 への取組み/成果 - XXX - XXX 組織づくり への取組み/成果 - XXX - XXX コミュニティ貢献への取組み /成果 - XXX - XXX Missionの先に具体的にどんな世界を描いているか? Vision実 現への取 り組み よい口コミ メディア (取材等) CSR as a tech company Engineerコミュニティへの貢献・還元 啓蒙・浸透 (発信) How?? - Blog - 登壇 - ペーパー - Youtube - Conference - etc... X社のエンジニア組織は ●●なイメージで、 いい感じのとこだな〜 Vision Product Vision (どのようなプロダクト /サー ビスを目指すのか?) 組織Vision (どのような組織を目指すの か?)

Slide 10

Slide 10 text

まとめると... 技術ブランディング || 自社のMission / VisionやFactを継続的に発信することで、 世のエンジニアに 自分たちが持ってほしい組織のイメージを持ってもらうこと

Slide 11

Slide 11 text

技術ブランディング: 「継続的な発信」 -> 「イメージ形成」

Slide 12

Slide 12 text

技術広報って結局何する人? ↓ 技術ブランディングする人 ↓ 自社が継続的に技術発信できるように あれこれする人

Slide 13

Slide 13 text

技術発信の効果

Slide 14

Slide 14 text

技術広報 || 技術ブランディングを目指して、 自社が継続的な技術発信できるように頑張る人 …と今定義した。だが、しかし!

Slide 15

Slide 15 text

じゃあ 技術ブランディングのために技術発信しようぜ!!

Slide 16

Slide 16 text

じゃあ 技術ブランディングのために技術発信しようぜ!!

Slide 17

Slide 17 text

技術ブランディングのためだけに 技術発信しようとするのはちょっと違う。 技術発信の効果はもっとたくさんあるし、 むしろ技術ブランディングは副次的効果。

Slide 18

Slide 18 text

技術発信の効果ってなんだ?

Slide 19

Slide 19 text

技術発信の効果 組織の技術ブランディング (知名度->好感度->独自メージの 確立) 採用ブランディング (転職候補に入る率up) タレントプールの増加 採用数増加 エンジニアのスキルアップ /個人ブ ランディング エンジニア組織のレベルアップ 技術発信 採用効率の向上 (スカウト効率や内定承諾率増 / ミ スマッチ減) エンジニアコミュニティへの還元 リファラル増 社内エンゲージメント向上 よりよいProduct は長期的/間接的な効果 は短期的/直接的な効果

Slide 20

Slide 20 text

FYI: ちょうどおととい広木さんのいい記事が出てた 人間の脳みそは管のようなところがあって、 アウトプットがな いとインプットがはかどらないところがあります。アウトプット するところを決めると、そのためにインプットが自然とできた り、逆にインプットが多くなると自然とアウトプットしたくなるも のです。 このような学習のサイクルの中で技術的なブログは執筆さ れ、多くの人に役に立つことが生まれフィードバックを受けて さらに書きたくなるというサイクルの中で技術コミュニティは 育ってきたところがあります。

Slide 21

Slide 21 text

技術発信の効果はけっこう複雑で広範囲。 そして技術発信 -> 技術ブランディングは 効果はあるが、あくまで長期的な効果。 だから、技術広報は基本的には地味な長期戦。 継続的な技術発信が大事! (継続こそ正義! もはや継続させることが技術広報のゴール! と言っても過言ではない...)

Slide 22

Slide 22 text

継続的な技術発信 -> 技術ブランディング 技術発信 -> 技術ブランディング

Slide 23

Slide 23 text

(再掲) 技術広報って結局何する人? ↓ 技術ブランディングする人 ↓ 自社が 継続的に 技術発信できるように あれこれする人

Slide 24

Slide 24 text

技術広報の具体的な 取り組み (メルカリの例)

Slide 25

Slide 25 text

継続こそ正義!!!! …と言いつつ、 継続的発信に絶対的に効果がある手法があるわけではない。 会社の状況によって何が最適かは異なると思うので、 あくまでここで紹介する取り組みは参考ということで。

Slide 26

Slide 26 text

技術広報の取り組みは主に4種類 0. 発信する文化づくり 1. 発信しやすい環境づくり 2. 発信する場所をつくる 3. 自ら発信する

Slide 27

Slide 27 text

「0. 発信を促す文化づくりの取り組み」の例

Slide 28

Slide 28 text

メルカリ初代CTO  の社内文書 おそらくメルカリ初期から当時のCTOの継続的な啓蒙活動があったっぽい(過去のドキュ メントやSlackなどを見る限り) 2016年に書かれた社内向け「CTO通信」に以下のようなことが明記されている - そもそもエンジニアブログは、書くことそのものが目的である、と言っても過言では無い - アウトプットは正義 - 副次的効果はたくさんある (技術ブランディング / 社内ブランディング / 思考整理や学習フィードバック効 果) - 勉強会やカンファレンスでの発表、エンジニアブログに記事を書いていくエンジニアは明確に 評価しま す。 - "アウトプットする人にはインプットする機会を与える "

Slide 29

Slide 29 text

現在も「技術広報の方向性について」という社内文書を作成 して社内公開している 以下のようなことが書いてある - - エンジニア組織の発信において大切にしていること - 1. メルカリ、メルペイのエンジニアは新しい技術への挑戦を通じ「お客さまの課題をテクノロジーで解決 し、新しい価値を提供する」ことを第一に目指す - 2. 『技術の発信が産業への還元』サイクルを通じエンジニア業界の技術発展への貢献を目指す - 3. 変化する新しいエンジニア組織を目指す - 発信を通じて副次的に目指していきたい姿 - 1. 外部のエンジニアに「メルカリやメルペイで働きたい」と思ってもらえる状態 - 2. メルカリ、メルペイのエンジニア組織=技術力が高いという認知 - 3.個 人の思考整理による技術力の向上 - メルカリエンジニア組織の発信をする際に大切にしている価値観・姿勢 etc…

Slide 30

Slide 30 text

上層部からしっかり 「アウトプット推奨」と明言してくれてると みんな安心してアウトプットできる。 それが続けば文化になる。 文化ができてるととても強い。 実際のところ、 メルカリでは特にDevPRがなにかしなくても、 グループ全体で毎月3~5本/月くらいはリリースされる

Slide 31

Slide 31 text

「1. 発信しやすい環境づくり」の例

Slide 32

Slide 32 text

各種ガイドラインの整備 - Engineering Blogの作成/公開ガイドライン - 勉強会開催のガイドライン - カンファレンス / イベントのスポンサーのガイドライン - twitter@mercaridevjp への投稿依頼のガイドライン - etc…

Slide 33

Slide 33 text

ブログのレビュー - レビューする人: 書き手のチームメンバー + 技術広報 + 有志 - 必要に応じて、PR / IP / Securityのチェックもいれる - 技術広報が見ているポイント - おもに構成 - 読みやすい構成になっているか?テクニカルライティングの観点からレビュー - 「てにをは」や誤字脱字などの基本的なところももちろん見る - が、細かく修正しすぎない。書き手の文調を大事にする

Slide 34

Slide 34 text

ブログのレビュー - レビューする人: 書き手のチームメンバー + 技術広報 + 有志 - 必要に応じて、PR / IP / Securityのチェックもいれる - 技術広報が見ているポイント - おもに構成 - 読みやすい構成になっているか?テクニカルライティングの観点からレビュー - 「てにをは」や誤字脱字などの基本的なところももちろん見る - が、細かく修正しすぎない。書き手の文調を大事にする → ブログのレビューは単に記事のクオリティを担保するだけでなく、社内外イベントや Gears(後述のYoutubeチャ ンネル)のネタ収集にもなる。 組織規模がわりと大きいので、おもしろいネタはあの手この手で発信していき、 社内外に知ってもらう。

Slide 35

Slide 35 text

「2. 発信するきっかけ/場所をつくる」の例

Slide 36

Slide 36 text

Blogイベントを開催する 技術広報が主導で行っているもの - Mercari Advent Calendar - Merpay Tech Openness Month チーム主導で行ったもの(最近行われ始めた) - Blog Series of Introduction of Developer Productivity Engineering at Mercari - Security Tech Blog Series: Spring Cleaning for Security * 記事書くことは通常業務の中だとついつい後回しになりがち イベントごとにするととみんなしっかり記事書いてくれる * EMの協力を仰ぐの大事。この規模なると、DevPRの個人パワープレーで動かすのに は限界ある。

Slide 37

Slide 37 text

Mercari Gears - メルカリでは今はカンファレンスはやっていない (メルペイはやってる) - が、カンファレンスのような大舞台でのアウトプットの場は必要 - オンライン開催だと、あとで見ればいいかなとなりがち - であれば、継続的に発信し続ける形式がいいのでは?ということで始めた - (とはいえ、そろそろカンファレンスやりたい!!)

Slide 38

Slide 38 text

「3. 自ら発信する」の例

Slide 39

Slide 39 text

記事作成 インタビュー記事 - 例: メルカリCTO / VP / Directorsがふりかえる2021年 イベントの記事化 - 例: 【書き起こし】プロダクト開発体制を一挙公開 – メルカリプロダクト開発体制本音 トーク 翻訳記事の作成

Slide 40

Slide 40 text

技術発信のKPIは?

Slide 41

Slide 41 text

技術発信のKPI (今のところ) 数字的なKPIは特にもってない 「継続させるための仕組み」「発信しやすい状況」を整えることが目標 そのための施策に関するOKRを設定している (例: 「翻訳フローの整備を完了させる」「インタビュー記事を月●本作成する体制をつくる フ」「記事のデータをみんなが分かりやすく見えるようにする」etc…) merpayは各チームと発信計画を立てて、それを実行できているかどうかを見てたりする

Slide 42

Slide 42 text

FYI: 「技術広報のゴールはアウトプットの文化を作 ること」アスクルのEMが... 「KPIはいらない。とにかく全部やる。」 (略) 何よりも大事なのは、アウトプットをしていくアクションをとに かく全部やること。 全部やった結果、社内エンジニアとして 「アウトプットすること が文化になること」がゴールです 。

Slide 43

Slide 43 text

まとめ

Slide 44

Slide 44 text

まとめ - 技術広報 = 技術ブランディングする人 = 技術発信が継続的に行われるためにあ れこれする人 - 技術発信の効果はいろいろある (技術ブランディングだけじゃない) - 技術ブランディングのために技術発信するのはちょっと違う - 技術ブランディングは長期戦。 継続的な技術発信が必要。 - 技術広報の取り組みは主に4種類 - 0. 発信する文化づくり - 1. 発信しやすい環境づくり - 2. 発信する場所をつくる - 3. 自ら発信する - KPI - 数値はない - 「継続する仕組みをつくる」が基本的な目標

Slide 45

Slide 45 text

継続こそ正義!! ご清聴ありがとうございました。 継続 is JUSTICE!!