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https://foundx.jp/ Takaaki Umada / 馬田隆明 東京大学 FoundX(インセプションプログラム) https://foundx.jp/ スタートアップの仮説思考 (1) 仮説思考入門

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スライドが本になりました 本スライドを基にした書籍 『仮説行動』発売 2 第1部 仮説行動を理解する なぜ仮説は重要なのか 仮説行動の全体像 第2部 仮説を強くする 仮説を生成する 仮説を検証する 仮説マップを生成/統合する ループの停滞を回避する 第3部 仮説を現実にする 仮説を評価する 決断する 仮説を実行する 第4部 大胆な未来を実現する 影響度の大きな仮説を目指す 目次

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3 なぜスタートアップでは 仮説思考 がより重要なのか?

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4 スタートアップが挑む領域は が高い

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5 スタートアップのビジネス環境は極端に が高い

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6 スタートアップの挑む領域に 既存の答えや正解は (領域によってはベストプラクティスも少ない)

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7 自分で を探して確かめる必要がある

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8 そこで

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A Scientific Approach to Entrepreneurial Decision Making: Evidence from a Randomized Control Trial 9 実際 科学的思考(仮説思考)を 学んだ起業家群はそうでない群よりも パフォーマンスが高かった

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仮説思考を学んだ起業家グループはその後の売上が高い 通常のビジネストレーニングに加え て、科学的思考(仮説思考+データ に基づく意思決定)を学んだ起業家 群は、そうでない群と比べて約 1 年 後の売上が大幅に違った。 この原因は仮説検証の結果、ピボッ トの回数が増えて、より良いアイデ アに辿り着いたためと分析されてい る。 A Scientific Approach to Entrepreneurial Decision Making: Evidence from a Randomized Control Trial, Small Changes with Big Impact: Experimental Evidence of a Scientific Approach to the Decision-Making of Entrepreneurial Firms, Adam Grant “Think Again”, 10 $255.40 $12,071.81 コントロール群 科学的思考群 科学的思考(仮説思考)を学んだ群とそうでない 群の翌年の平均売上比較(実験結果)

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仮説とは何か 11

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12 仮説とは 仮に立てた説

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13 ビジネスにおける仮説 こうすればビジネスが 前に進むという仮の答え

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ビジネス、特にスタートアップにおける仮説 スタートアップは以下のようなことを考えながらビジネスを進 める。 14 • 顧客はこの製品/機能を欲しがっている • 顧客は大勢いる • このチームなら製品を作れる • この価格で売れる • このビジネスモデルでいける • この戦略なら勝てる

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ビジネス、特にスタートアップにおける仮説 しかしこれらは「未確定」の仮説であり、「はず」という言葉 が語尾につくべき言説。 15 • 顧客はこの製品/機能を欲しがっている(はず) • 顧客は大勢いる(はず) • このチームなら製品を作れる(はず) • この価格で売れる(はず) • このビジネスモデルでいける(はず) • この戦略なら勝てる(はず)

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16 明確に「仮説」とは言われないけれど 実質的に「仮説」である言葉や概念が ビジネスの領域では結構ある

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ビジネスにおける「仮説」に類する言葉 ビジネスでは仮説 (hypothesis) の意味に近い多数の言葉がある。 17 仮説に類似する概念 説明 仮定 (assumption) 説を支える証拠が「仮説」より弱いときに使われる アイデア アイデアも一種の仮説であることが多い 洞察 洞察と呼ばれるものも一種の仮説であることが多い 見立て 見立てという言葉で仮説が言及されることもある スタンス 特定の見方に立つための答え(仮説)を持っている状態 ポジションを取る 特定の立場を取ること、そのための仮説を持っている状態 ストーリー ストーリーは仮説の集合として扱われることも多い 当たりをつける 一種の仮説を持って取り組むということ 〇〇だと思う こうした言葉を使うときも仮説であることが多い

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18 いわゆる “アイデア” も仮説

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ビジネスにおける「仮説」に類する言葉 ビジネスでは仮説 (hypothesis) の意味に近い多数の言葉がある。 19 仮説に類似する概念 説明 仮定 (assumption) 説を支える証拠が「仮説」より弱いときに使われる アイデア アイデアも一種の仮説であることが多い 洞察 洞察と呼ばれるものも一種の仮説であることが多い 見立て 見立てという言葉で仮説が言及されることもある スタンス 特定の見方に立つための答え(仮説)を持っている状態 ポジションを取る 特定の立場を取ること、そのための仮説を持っている状態 ストーリー ストーリーは仮説の集合として扱われることも多い 当たりをつける 一種の仮説を持って取り組むということ 〇〇だと思う こうした言葉を使うときも仮説であることが多い これらはあっているかどうか分からない 検証することで確からしさが上がる

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20 仮説は 間違っている可能性が 常に存在する

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21 あなたが どんなに業界経験が長くても 仮説は間違う可能性がある

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業界の大御所でも仮説が間違っていた例 業界の重鎮であっても仮説は間違う。特に新製品に関しては間 違うことが多い。 22 Quibi ショート動画配信サービス。 ディズニー映画部門の責任者とマーケティ ング統括者が起業して、1,800 億円調達し、 2020 年 4 月にサービスを開始したものの、 同年 10 月にサービス終了した。 Essential Android の父と言われる Andy Rubin 氏が 2015 年に作ったスマートフォン開発会社。 総額約 350 億円を調達したものの、2017 年にスマートフォンを一つ発売して、その 後新製品を出せず 2020 年に閉鎖した。

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23 仮説が確かではない状態で リソース (時間やお金) を 大きく投資することには リスクがある (間違っていたらお金の無駄や損害が出るかもしれない)

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24 無駄な投資が起こらないよう 仮説を検証することが 仮説思考の重要な点となる (後述)

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仮説を持つべき理由 25

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26 仮説を持つべき

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仮説を持つべき理由: スピードと全体像 27 意思決定 が 早くなる 全体像と の整合性 が上がる

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仮説を持つべき理由: スピードと全体像 仮説を中心に考えることで、単に情報収集や闇雲に分析をする よりも素早く意思決定と行動に移せる。 28 意思決定が早くなる 仮説は最終的に意思決定と行動のために用 いられる。闇雲に情報を集めるだけでは、 意思決定と行動へとつながる情報を得るこ とが難しくなる。 一方、仮説があれば作り上げた仮説を中心 に検証をすることで、基本的には仕事が早 くなる。 全体像との整合性が上がる 部分の集合が全体になるとは限らない。部 分となる情報を集めていったときに、全体 像や全体のストーリーと整合するものにな らないときもある。 一方、仮説を予め決めて進めることで、全 体のストーリーラインとの整合性を保ちな がら進めることができる。

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29 仮説や結論を最初から決めてかかるのは 多くの人にとって気持ち悪い ただしその分、検証に力を入れて 自分の仮説に過剰な負荷をかける ことでバランスを取れる

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30 仮説や結論を最初から決めてかかるのは 多くの人にとって気持ち悪い ただしその分、検証に力を入れて 自分の仮説に負荷をかける ことでバランスを取るようにする

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31 仮説思考で仕事は早くなるが その検証プロセスの中で 「自分の答え」を多く否定される (結構つらい )

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仮説の特徴 32

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33 仮説は 事実 × 推論 で生まれる

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仮説は事実を用いた推論によって生まれる 34 事実 推論 仮説

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例)雲→雨→傘という仮説生成 「雲がある」という事実から「雨が降るかもしれない」と推論 して、「傘を持って行くと良い」という仮説を生む例。 35 ⛆ 雲がある (事実) 雨が降るかもしれない (推論) 傘を持っていくと良いだろう (仮説)

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仮説の二つの特徴 ビジネスにおける仮説の特徴として大きく二つのものがある。 36 仮説は 0 or 1 ではない 仮説は 積み 重なる

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まずは仮説が 0 or 1 でないことから 37 仮説は 0 or 1 ではない 仮説は 積み 重なる

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38 仮説の確からしさは 0 か 1 ではない

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仮説の確からしさ(確度)にはグラデーションがある 39 100% 0% 仮説の確からしさ

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例)課題仮説の確からしさ たとえば、お金を想定以上に払ってくれたら課題はありそうな ので、課題仮説の確からしさは 90% になる、など。 40 100% 0% 90% 想定していた 以上の金額を 払ってくれた 仮説の確からしさ

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Y Combinator のオフィスアワー 41 Y Combinator によれば 「買う」という口約束が実際の契約に辿り着くのは %

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例)課題仮説の確からしさ 買う約束が契約に辿り着くのが 10% 程度とのことなので、買 う約束自体は課題を 10% 程度検証できたものとする。 42 100% 0% 90% 想定していた 以上の金額を 払ってくれた 仮説の確からしさ 10% 買う約束 をして くれた

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例)課題仮説の確からしさ 欲しいという言葉は「買う」という口約束よりも低いはずと考 えると 5% 程度。 43 100% 0% 90% 想定していた 以上の金額を 払ってくれた 仮説の確からしさ 5% 欲しいと 言ってくれた 10% 買う約束 をして くれた

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例)課題仮説の確からしさ 書面でしてくれたらもう少し確度を高める。 44 100% 0% 90% 想定していた 以上の金額を 払ってくれた 仮説の確からしさ 5% 欲しいと 言ってくれた 10% 買う約束 をして くれた 25% お金を払う 約束を書面で してくれた

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例)課題仮説の確からしさ 覚書 (LOI) まで用意してくれたら確度はさらに高まり、課題は あるらしいことが分かる。 45 100% 0% 90% 想定していた 以上の金額を 払ってくれた 仮説の確からしさ 5% 欲しいと 言ってくれた 10% 買う約束 をして くれた 25% お金を払う 約束を書面で してくれた 40% お金を払う 約束を覚書で してくれた

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46 覚書をもらうまで 課題が十分に検証できた とは言えない

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例)課題仮説の確からしさ 本当にお金を払ってくれたのであれば、おそらく課題は存在す るだろうと考えられるため、さらに確度を高める。 47 100% 0% 90% 想定していた 以上の金額を 払ってくれた 仮説の確からしさ 5% 欲しいと 言ってくれた 10% 買う約束 をして くれた 25% お金を払う 約束を書面で してくれた 40% お金を払う 約束を覚書で してくれた 60% 想定していた 金額を払って くれた

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例)課題仮説の確からしさ 買ってくれた顧客が、さらにそれを宣伝してくれているのであ れば、かなりの確度で課題があって解決できている。 48 100% 0% 90% 想定していた 以上の金額を 払ってくれた 仮説の確からしさ 5% 欲しいと 言ってくれた 10% 買う約束 をして くれた 25% お金を払う 約束を書面で してくれた 40% お金を払う 約束を覚書で してくれた 60% 想定していた 金額を払って くれた 80% 顧客が宣伝 してくれて いる

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例)課題仮説の確からしさ 「顧客にこの課題がある」という仮説の確からしさにも段階が ある。 49 100% 0% 40% お金を払う 約束を覚書で してくれた 80% 顧客が宣伝 してくれて いる 60% 想定していた 金額を払って くれた 90% 想定していた 以上の金額を 払ってくれた 25% お金を払う 約束を書面で してくれた 5% 欲しいと 言ってくれた 10% 使う約束 をして くれた 仮説の確からしさ

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50 仮説の確からしさは グラデーション 白黒はっきりする ものではない

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Q. 51 なぜ仮説の確度が低い状態で 進めるとまずいのか?

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A. 52 無駄が発生する かもしれないから

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確度が低い状態で進めたときに起こりうる無駄 仮説を検証せず、確からしさが低いまま進めてしまったときに は、様々な無駄が発生する可能性が高まる。 53 時間の無駄 たとえば顧客が欲しがると 思って、半年間を使って 作った製品が使われなかっ たとしたら、その半年間の 時間が無駄になる。 時間の無駄は、寿命が短い スタートアップにとっては 一番痛い無駄。 お金の無駄 その製品を作ったのにつか われなかった場合、製品開 発にかかったコストは大き なお金の無駄になる。 人の無駄 採用した人のスキルが十全 に活かさなかったりするこ とは、才能の無駄使いにな る。

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54 初回の起業家は 自分の仮説の確度を 甘く見積もりがち (既に仮説の確度が高いと思って大きな資金調達などを目指してしまう)

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次に仮説の積み重ねについて 55 仮説は 0 or 1 ではない 仮説は 積み 重なる

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56 仮説は 積み重なる

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まずは事実がある 事実は事実としてある(※ただし事実の認識の仕方は異なる場 合もあるので注意) 57 顧客はこの 行動をして いる 事実

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事実を前提にして、推論を行う 推論の正しさは保証されないことが多いため、仮説の確からし さは下がる。 58 顧客には この課題が ある (はず) 顧客はこの 行動をして いる 推論 事実 仮説 A (40% の確からしさ)

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さらにある仮説を前提として、推論を重ねていく 仮説 A に基づいて推論すると、推論によってさらにその確から しさは下がる。 59 この製品を 作るべき (のはず) 顧客には この課題が ある (はず) 顧客はこの 行動をして いる 推論 推論 仮説 A (40% の確からしさ) 仮説 B 事実

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ある仮説を前提として、さらに推論を重ねていく さらに仮説 B の裏が成り立つには、仮説 A 以外の仮説が前提と して入ってくるため、さらに確からしさは下がる。 60 この製品を 作るべき (のはず) 顧客には この課題が ある (はず) 顧客はこの 行動をして いる 推論 合理的なコ ストで作れ る(はず) 推論 事実 仮説 A’ 仮説 A (40% の確からしさ) 仮説 B

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ある仮説を前提として、さらに推論を重ねていく さらに様々な前提や仮定が入り込む。 61 この製品を 作るべき (のはず) 顧客には この課題が ある (はず) 顧客はこの 行動をして いる 推論 合理的なコ ストで作れ る(はず) 推論 開発人材を 獲得できる (はず) 事実 仮説 A’’ 仮説 A’ 仮説 A (40% の確からしさ) 仮説 B

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ある仮説を前提として、さらに推論を重ねていく その結果、最終的な仮説の確からしさは下がっていく。 62 この製品を 作るべき (のはず) 顧客には この課題が ある (はず) 顧客はこの 行動をして いる 推論 合理的なコ ストで作れ る(はず) 10% 推論 開発人材を 獲得できる (はず) 事実 仮説 A’’ 仮説 A’ 仮説 A (40% の確からしさ) 仮説 B (10% の確からしさ)

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63 仮説は 積み重なる そのたびに 脆くなる

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ビジネスでは複数の仮説がジェンガのように重なる 様々な仮説の上に仮説が成り立っていく。 64 仮説 A 仮説 B 仮説 C 仮説 D 仮説 E 仮説 F 仮説 G 仮説 H 仮説 I 仮説 J 仮説 K

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ビジネスでは複数の仮説がジェンガのように重なる 仮説の上の仮説の上の仮説に基づいて、最終的に意思決定する ことになる。 65 仮説 A 仮説 B 仮説 C 仮説 D 仮説 E 仮説 F 仮説 G 仮説 H 仮説 I 仮説 J 仮説 K だからこうしよう (意思決定)

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ビジネスでは複数の仮説がジェンガのように重なる その下に脆い仮説があると、最終的な意思決定も間違う。 66 仮説 A 仮説 B 仮説 C 仮説 D 仮説 E 仮説 F 仮説 G 仮説 H 仮説 I 仮説 J この仮説がぐらついており この仮説が間違っていたら 上の仮説はすべて崩壊する 仮説 K

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脆さにも種類がある 仮説は重なるとはいえ、重なり方によってその脆さは異なる。 67 基盤がグラグラ 仮説 A -> B の間の推論が飛び過ぎている 場合、土台からぐらついていることになる。 基盤がしっかり 最後のほうの積み上げはぐらついているが、 基盤の仮説の積み上げはしっかりしている。 仮説 A 仮説 B 仮説 C 仮説 D 仮説 E 仮説 F 仮説 G 仮説 H 仮説 A 仮説 B 仮説 C 仮説 D 仮説 E 仮説 F 仮説 G 仮説 H

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68 検証して 確からしさを 上げるなら 「顧客の課題」 の仮説から 仮説 A 仮説 B 仮説 C 仮説 D 仮説 E 仮説 F 仮説 G 仮説 H 仮説 I 仮説 J 仮説 K

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ビジネスにおける仮説の 2 つの特徴 ビジネスにおける仮説にはいくつかの特徴がある。 69 0 or 1 ではない 仮説の確からしさは 0 or 1 ではない。仮説 は常に批判に開かれていて、100% 正しい 仮説は存在しない。 仮説は積み重なる 仮説が一つで機能する場面は少ない。多く のビジネスの意思決定は、仮説の上の仮説 の上の仮説の上の……と、複数の仮説で成 り立っている。 その中でも最も基盤にある仮説は顧客の課 題の仮説。

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Q. 70 スタートアップに関係する 仮説には どんなものがあるのか?

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A. 71 たくさんある

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スタートアップの仮説の種類 72

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スタートアップの代表的な仮説 初期のスタートアップには検証するべき様々な仮説がある。 73 課題仮説 解決策仮説 価値仮説 製品仮説 (機能・体験) 製品の 実現性仮説 市場仮説 成長方法仮説 実行仮説 創業チーム 仮説 組織仮説 ビジネスモデ ル仮説 戦略仮説 ファイナンス 仮説

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スタートアップの代表的な仮説 課題、解決策、価値の仮説から順に解説をしていく。 74 課題仮説 解決策仮説 価値仮説 製品仮説 (機能・体験) 製品の 実現性仮説 市場仮説 成長方法仮説 実行仮説 創業チーム 仮説 組織仮説 ビジネスモデ ル仮説 戦略仮説 ファイナンス 仮説

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課題解決に関する仮説 75 課題仮説 • どの顧客 • 課題があるかどうか • 課題はどの程度大きく、 緊急性が高いか • 顧客はこの課題の解決に どの程度お金を払うか 解決策仮説 • この解決策で課題は解決 できるか • 解決策を提供できるか ※解決策仮説と製品仮説は異なる ものとして扱っている。 価値仮説 • 課題を解決して価値があ ると感じてもらえるか • どの程度の価値があるか (≒どの程度のお金がも らえるか) • ユニークな価値提案は何 か ※課題を解決できても価値を生ま ない課題もあるため、一つの仮説 として独立させている。

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スタートアップの代表的な仮説 76 課題仮説 解決策仮説 価値仮説 製品仮説 (機能・体験) 製品の 実現性仮説 市場仮説 成長方法仮説 実行仮説 創業チーム 仮説 組織仮説 ビジネスモデ ル仮説 戦略仮説 ファイナンス 仮説

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製品に関する課題群 77 製品仮説 • 製品は解決できるか • どのような体験が最適か • どのようなデザインが必要か • どの機能を優先して作るべきか • 機能は課題を解決できるか 製品の実現性仮説 • 製品は期日内に実現できるか • コスト内に実現できるか • 量産を実現できるか • 規制がある場合は対処できるか ※特にハードテック系の場合は重要

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スタートアップの代表的な仮説 78 課題仮説 解決策仮説 価値仮説 製品仮説 (機能・体験) 製品の 実現性仮説 市場仮説 成長方法仮説 実行仮説 創業チーム 仮説 組織仮説 ビジネスモデ ル仮説 戦略仮説 ファイナンス 仮説

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市場に関する仮説 79 市場仮説 • 大きな市場はあるか • 市場は成長しているか

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スタートアップの代表的な仮説 80 課題仮説 解決策仮説 価値仮説 製品仮説 (機能・体験) 製品の 実現性仮説 市場仮説 成長方法仮説 実行仮説 創業チーム 仮説 組織仮説 ビジネスモデ ル仮説 戦略仮説 ファイナンス 仮説

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成長と実行に関する仮説群 81 成長方法仮説 • どうすれば事業は成長できるか • どのようにマーケティングをするか • 適切なチャネルは何か • セールスプロセスやサポートの体制はど のようにしていくか • ユニットエコノミクスはどう健全化でき るか • 提携などをどう行っていくか 実行仮説 • 戦略や成長計画を実行できるか • 実行の徹底ができるか • 実行の精度は十分か

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スタートアップの代表的な仮説 82 課題仮説 解決策仮説 価値仮説 製品仮説 (機能・体験) 製品の 実現性仮説 市場仮説 成長方法仮説 実行仮説 創業チーム 仮説 組織仮説 ビジネスモデ ル仮説 戦略仮説 ファイナンス 仮説

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チームと組織の仮説 83 創業チーム仮説 • 創業チームは盤石か(ケンカをせず崩壊 をしないか) • 会社の成長とともに創業者も成長してい けるか • Founder/Market Fit があるか • 創業チームは実行力があるか 組織仮説 • 採用できるか • 組織をうまく構築できるか • 組織をうまく運用できるか

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スタートアップの代表的な仮説 84 課題仮説 解決策仮説 価値仮説 製品仮説 (機能・体験) 製品の 実現性仮説 市場仮説 成長方法仮説 実行仮説 創業チーム 仮説 組織仮説 ビジネスモデ ル仮説 戦略仮説 ファイナンス 仮説

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ビジネスの仮説 85 ビジネスモデル仮説 • どのようにお金を稼ぐか • コスト構造は健全か • どのようなメトリクスを 設定するか 戦略仮説 • 競争優位性や壕 (moat) をどう作るか • ポジショニングをどこに するか • どのような順序で攻めて いくか • どのような付加価値活動 を行うか ファイナンス仮説 • 上場までの資本政策をど のように進めるか • どのタイミングで資金調 達をするか • どのようにお金を使って いくか

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スタートアップの代表的な仮説 これらすべての仮説を順次検証していく 86 課題仮説 解決策仮説 価値仮説 製品仮説 (機能・体験) 製品の 実現性仮説 市場仮説 成長方法仮説 実行仮説 創業チーム 仮説 組織仮説 ビジネスモデ ル仮説 戦略仮説 ファイナンス 仮説

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ラウンドと仮説検証の状況の対比 エンジェル 投資到達時 シード調達 到達時 シリーズA 到達時 シリーズ B 到達時 シリーズ C 到達時 課題仮説 解決策仮説 価値仮説 製品仮説 製品実現性仮説 市場仮説 成長方法仮説 実行仮説 創業チーム仮説 組織仮説 ビジネスモデル仮説 戦略仮説 ファイナンス仮説 それぞれのラウンドで求められる仮説検証の程度も異なる。

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ラウンドと仮説検証の状況の対比 エンジェル 投資到達時 シード調達 到達時 シリーズA 到達時 シリーズ B 到達時 シリーズ C 到達時 課題仮説 解決策仮説 価値仮説 製品仮説 製品実現性仮説 市場仮説 成長方法仮説 実行仮説 創業チーム仮説 組織仮説 ビジネスモデル仮説 戦略仮説 ファイナンス仮説 シード到達時にはいくつかの仮説の検証が進んでいる。

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ラウンドと仮説検証の状況の対比 エンジェル 投資到達時 シード調達 到達時 シリーズA 到達時 シリーズ B 到達時 シリーズ C 到達時 課題仮説 解決策仮説 価値仮説 製品仮説 製品実現性仮説 市場仮説 成長方法仮説 実行仮説 創業チーム仮説 組織仮説 ビジネスモデル仮説 戦略仮説 ファイナンス仮説 シリーズ A では、それぞれの仮説の検証がさらに済んでいる。

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ラウンドと仮説検証の状況の対比 エンジェル 投資到達時 シード調達 到達時 シリーズA 到達時 シリーズ B 到達時 シリーズ C 到達時 課題仮説 解決策仮説 価値仮説 製品仮説 製品実現性仮説 市場仮説 成長方法仮説 実行仮説 創業チーム仮説 組織仮説 ビジネスモデル仮説 戦略仮説 ファイナンス仮説 シリーズ B では実行さらに進んで検証も進む。

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ラウンドと仮説検証の状況の対比 エンジェル 投資到達時 シード調達 到達時 シリーズA 到達時 シリーズ B 到達時 シリーズ C 到達時 課題仮説 解決策仮説 価値仮説 製品仮説 製品実現性仮説 市場仮説 成長方法仮説 実行仮説 創業チーム仮説 組織仮説 ビジネスモデル仮説 戦略仮説 ファイナンス仮説 シリーズ C では更なる成長の伸びしろなどが必要になってくる。 更なる成長のために プラットフォーム化や マルチプロダクト化 が求められ始める

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ビジネスの仮説をまとめるためのツールの例 以下のようなツールはこうした仮説の一部を図としてまとめる The Lean Canvas / The Value Proposition Canvas 92 リーンキャンバス Running Lean などで紹介されているもの。 多くの仮説をカバーしている。またビジネ スモデルキャンバスをベースにしている。 Value Prop Canvas 特に課題仮説や解決策仮説を深く検討する ときの仮説群を整理する。

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ビジネスの仮説をまとめるためのツールの例 以下のようなツールはこうした仮説の一部を図としてまとめる The Lean Canvas / The Value Proposition Canvas 93 リーンキャンバス Running Lean などで紹介されているもの。 多くの仮説をカバーしている。またビジネ スモデルキャンバスをベースにしている。 Value Prop Canvas 特に課題仮説や解決策仮説を深く検討する ときの仮説群を整理する。 これらもあくまで「仮説の集合」

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94 仮説といえば

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仮説思考と科学的思考 95

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96 仮説思考と科学的思考は 似ている

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97 科学の方法の流れ

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まず現象が発生する THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 98 現象

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現象を観察する THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 99 現象 観察

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仮説を生成する THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 100 現象 観察 仮説 生成

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仮説の検証のために実験を行い、データを取る THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 101 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ

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データを分析する THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 102 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析

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データ分析の結果をもって、仮説の検証を行う THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 103 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証

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もし仮説を支持する結果がでれば確からしさが高まる THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 104 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 確認

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しかし一度でうまくいくことは少ない THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 105 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 確認

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検証の結果、間違っていたら仮説は棄却される THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 106 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 反駁 仮説はどうやら 間違いだった…

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実験で得たデータを基に、さらに仮説を洗練させる THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 107 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 反駁 仮説の 洗練 仮説はどうやら 間違いだった…

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何度も仮説生成から検証を繰り返して THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 108 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 反駁 仮説の 洗練

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ようやく検証に耐えうる良い仮説ができて確認できる THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 109 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 確認 仮説の 反駁 仮説の 洗練

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こうした確からしい仮説の束が「理論」となる THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 110 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 確認 仮説の 反駁 仮説の 洗練 理論化

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理論があることで、私たちは予測ができるようになる THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 111 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 確認 仮説の 反駁 仮説の 洗練 理論化 予測

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その結果、現象を新しい視点で見れるようにもなる THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 112 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 確認 仮説の 反駁 仮説の 洗練 理論化 予測

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113 スタートアップの 仮説検証の流れ

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まず顧客や社会に関する現象が発生する THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 114 現象 顧客や 社会の

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顧客の行動を観察したり、言葉を引き出す THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 115 現象 観察 顧客の 顧客や 社会の

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顧客の行動や言葉から課題や解決策の仮説を生成する THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 116 現象 観察 仮説 生成 顧客の 顧客や 社会の

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仮説の検証のために実験を行い、データを取る THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 117 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ 顧客の 顧客を 通した 顧客や 社会の

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118 自然現象ではなく 顧客を通して 仮説検証を行うのがビジネス

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データを分析する THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 119 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 顧客の 顧客を 通した 顧客や 社会の

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データ分析の結果をもって、仮説の検証を行う THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 120 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 顧客の 顧客を 通した 顧客や 社会の

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もし仮説を支持する結果がでれば確からしさが高まる THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 121 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 確認 顧客の 顧客を 通した 顧客や 社会の

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しかし一度でうまくいくことは少ない THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 122 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 確認 顧客の 顧客を 通した 顧客や 社会の

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検証の結果、間違っていたら仮説は棄却される THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 123 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 反駁 仮説はどうやら 間違いだった… 顧客の 顧客を 通した 顧客や 社会の

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実験で得たデータを基に、さらに仮説を洗練させる THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 124 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 反駁 仮説の 洗練 仮説はどうやら 間違いだった… 顧客の 顧客を 通した 顧客や 社会の

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何度も顧客に関する仮説生成と仮説検証を繰り返して THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 125 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 反駁 仮説の 洗練 顧客の 顧客を 通した 顧客や 社会の

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ようやく検証に耐えうる良い仮説ができて確認できる THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 126 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 確認 仮説の 反駁 仮説の 洗練 顧客の 顧客を 通した 顧客や 社会の

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確からしい仮説の束を仕組にしていくのがビジネス THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 127 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 確認 仮説の 反駁 仮説の 洗練 仕組み 化 顧客の 顧客を 通した 顧客や 社会の

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仕組みがあることでやり方を繰り返せるようになる THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 128 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 確認 仮説の 反駁 仮説の 洗練 仕組み 化 予測や 繰返し セールスプロセス 製品開発プロセス

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その結果、社会を変えて新たな社会で新たな機会を得る THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 129 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 確認 仮説の 反駁 仮説の 洗練 仕組み 化 予測や 繰返し 顧客や 社会の

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130 科学もビジネスも 仮説思考はほとんど同じ

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A Scientific Approach to Entrepreneurial Decision Making: Evidence from a Randomized Control Trial 131 実際 科学的思考(仮説思考)を 学んだ起業家群はそうでない群よりも パフォーマンスが高かった

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132 とはいえ 科学とビジネスの 仮説思考には違いがある

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ビジネスの仮説検証の特徴 133

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ビジネスと科学の仮説検証の大きな違い 3 つ 134 意思 決定 実験 コスト 時間 制限

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135 (1) 科学とビジネスの大きな違い ビジネスでは最終的に仮説は 意思決定 に使われる

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136 特にスタートアップの仮説は 極端に不確実性が高い

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137 仮説が合っているかは 分からない中で 意思決定をして 先に進む必要がある

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138 意思決定は暗闇の中での跳躍

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139 「このアイデアで跳んでも大丈夫だ」 「このアイデアにお金と時間をかける」 というのも仮説

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140 情報収集や仮説検証をすることで ちょっとだけ周りが見えるようになる

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141 そして意思決定を行って跳ぶ

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142 情報収集の後にすぐに跳躍するよりも 飛び先に氷があるかどうか 十分に分厚いかどうかを 確認したほうがより安全になる

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143 意思決定のために 仮説を作り仮説検証するのが ビジネス 検証方法も科学と少し異なる

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144 (2) 科学とビジネスの大きな違い ビジネスは実験(仮説検証)コストを 安く早く できる(工夫すれば)

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科学とビジネスの仮説検証のプロセスの違い 科学は実験コストが重くなりがちなことが多い。 145 実験コストが重いとき 科学的実験の一部ではありがち。 検証のための実験などにコストや時間がか かるときは、仮説の精度を高めるほうに時 間をかけることが多い。

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実験コストが重いと仮説の精度を上げることになる 実験コストが重いと 146 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 確認 仮説の 反駁 仮説の 洗練 理論化 ここがボトルネックになり、慎重な仮説生成が必要になる

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仮説検証のプロセスの違い 147 実験コストが重いとき 科学的実験の一部ではありがち。 検証のための実験などにコストや時間がか かるときは、仮説の精度を高めるほうに時 間をかけることが多い。 実験コストが軽いとき 検証コストが軽いと、何度も仮説検証のサ イクルを回すことができる。 ビジネスの仮説の多くは実験コストが軽い 場合が多い。また、検証コストを軽くする ための「ハック」を思いついて解決する場 合もある。

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仮説検証コストが低いと何度も検証サイクルを回せる THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 148 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 確認 仮説の 反駁 仮説の 洗練 仕組み 化 顧客の 顧客を 通した 顧客や 社会の

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149 氷は見えたけれど この氷って安全なんだっけ?

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150 跳ぶ前に確かめたい

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151 科学だと手続きに沿った 慎重な実験が必要になる

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152 しかしビジネスの場合 科学ほどしっかりとした 検証をしなくても…

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153 岩を投げつけることで 氷の硬さが分かるかも えいっ

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154 仮説検証にかかるコストによって 一回の仮説検証に 求められる仮説の精度も異なる

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仮説検証の軸: 時間とやりやすさ 仮説検証には検証までの時間と、検証のやりやすさ(コストや 計測のしやすさ)の 2 軸がある。 155 1 秒後 1 分後 1 時間後 1 日後 1 か月後 1 年後 10 年後 仮説検証の難しさ (コスト、計測の難しさ) 検証にかかる時間 (結果が出るまでの時間) 難しい

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仮説検証の難しさは領域によって異なる どの領域の仮説かによって、検証の時間ややりやすさは一般的 に異なる。 156 1 秒後 1 分後 1 時間後 1 日後 1 か月後 1 年後 10 年後 仮説検証の難しさ (コスト、計測の難しさ) ゲーム 検証にかかる時間 (結果が出るまでの時間) 政策 教育 都市開発 (一般の) ビジネス (スタートアップ的な) ビジネス ツイート プログラミング 試験勉強 難しい

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仮説の精度が必要な領域もある 時間がかかるものや測定コストがかかるものは、一度の仮説に 精度が必要な場合もある。 157 1 秒後 1 分後 1 時間後 1 日後 1 か月後 1 年後 10 年後 ゲーム 検証にかかる時間 (結果が出るまでの時間) 政策 教育 都市開発 (一般の) ビジネス (スタートアップ的な) ビジネス ツイート プログラミング 試験勉強 仮説の精度が 求められる領域 仮説検証の難しさ (コスト、計測の難しさ) 難しい

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仮説検証のサイクルを回しやすい領域 短時間で分かり、検証結果も分かりやすものは仮説検証のサイ クルを回しやすい。 158 1 秒後 1 分後 1 時間後 1 日後 1 か月後 1 年後 10 年後 ゲーム 検証にかかる時間 (結果が出るまでの時間) 政策 教育 都市開発 (一般の) ビジネス (スタートアップ的な) ビジネス ツイート プログラミング 試験勉強 仮説検証を何度も回せる領域 仮説検証の難しさ (コスト、計測の難しさ) 難しい

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工夫すれば仮説検証コストと時間を押さえることも可能 検証しやすい領域に持ってきて、サイクルを何度も回すことで 仮説はどんどんと良くなる。 159 1 秒後 1 分後 1 時間後 1 日後 1 か月後 1 年後 10 年後 ゲーム 検証にかかる時間 (結果が出るまでの時間) 政策 教育 都市開発 (一般の) ビジネス (スタートアップ的な) ビジネス ツイート プログラミング 試験勉強 小さな 事業実験 仮説検証の難しさ (コスト、計測の難しさ) 難しい

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160 科学と比べると ビジネスは工夫をすることで 仮説検証(実験)を 安く早く済ませることも可能 (ただしその分、確からしさは下がり、その分のリスクを取ることになる)

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実験(仮説検証)を短くするための工夫の例 161 顧客インタビュー 顧客にインタビューをする ことで素早く仮説の検証が できる。 同僚との壁打ちなども一つ の手。 MVP 顧客に MVP を提供するこ とで、提供価値やニーズの 検証などができるようにな る。 “ハック” 本当は時間がかかる手法を 何かしらの手段で素早く検 証する。 たとえばデジタル広告を 1 万円分だけ出して反応を見 るなど。

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実験を工夫することで、何度も仮説検証を回せる THE SCIENTIFIC METHOD (AGW Falsified) by Dr. Vincent Gray 162 現象 観察 仮説 生成 実験⇒ データ データ 分析 仮説の 検証 仮説の 確認 仮説の 反駁 仮説の 洗練 仕組み 化 顧客の 顧客を 通した 顧客や 社会の

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163 ただし数多くの検証プロセスの中で 「自分の答え」を多く否定されて 悲しみに包まれることも多い (否定との闘いでもある)

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164 (3) 科学とビジネスの大きな違い ビジネスの仮説思考は 時間制限 との闘い (科学も多少は論文出版の速さは競い合う部分も多い)

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165 今日合っていた仮説も 明日は間違っているかもしれない (突然競合が類似製品を出してきた、など)

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166 網羅的な情報収集と分析から 仮説を導こうとすると 時間との闘いに負けがち

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時間制限を意識しながら仮説を作る 時間の制約の範囲内であれば、様々な手を打てるのがビジネス でもある。 167 仮説を作り、”否定” する 情報をたくさん集めて良い仮説を作るので はなく、検証可能な仮説を素早く立てるほ うが、情報収集の方向性も決まって素早く 動くことができる。 また生成した仮説を肯定するような情報だ けを集めるのではなく、否定するような情 報を積極的に集めて仮説を否定するように するとバランスよく進めることが可能。 (仮説が大きく間違っていたらすぐに分か る。) 何度でも試せる 時間の制限はあるものの、その範囲内やリ ソースの範囲内であれば、何度でも仮説検 証ができる。 また人の力を借りて進めることも、時間の 制約の範囲内なら可能。

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ビジネスと科学の仮説検証の大きな違い 3 つ 以下の三つについて解説した。 168 意思 決定 実験 コスト 時間 制限

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仮説思考の全体像とステップ 169

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170 仮説思考には 4 つのステップ がある

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(1) まず仮説を生成する 仮説生成のための探索などを行った後、仮説を生成するところ から始まる。 171 1. 仮説生成

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(2) 次に仮説を選択する 生成された複数の仮説の中から、優先順位の高い一つもしくは 少数の仮説を選ぶ。 172 1. 仮説生成 2. 仮説選択

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(3) 選択した仮説を検証する 選んだ仮説を検証して確からしさを確認したり、上げたりする。 173 1. 仮説生成 2. 仮説選択 3. 仮説検証

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(4) 仮説や学びに基づいて意思決定を行う 最後に仮説に基づいて意思決定を行う。 174 1. 仮説生成 2. 仮説選択 3. 仮説検証 4. 意思決定

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仮説検証の四段階(改めて) 仮説検証には以下の四段階がある。 175 1. 仮説生成 2. 仮説選定 3. 仮説検証 4. 意思決定

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(1) 仮説生成 まず複数の仮説を生む仮説生成のプロセス。 176 1. 仮説生成 仮説を探索・生成す るプロセス。情報収 集なども含む。 漠然としている仮説 を具体的な仮説に落 とし込んだり、結果 が予想できないため に一度やってみるこ とも。仮説探索の結 果、複数の仮説を得 る。 2. 仮説選定 3. 仮説検証 4. 意思決定

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(2) 仮説選定 次にその中から検証するべき仮説の優先順位をつける選定のプ ロセス。 177 1. 仮説生成 仮説を探索・生成す るプロセス。情報収 集なども含む。 漠然としている仮説 を具体的な仮説に落 とし込んだり、結果 が予想できないため に一度やってみるこ とも。仮説探索の結 果、複数の仮説を得 る。 2. 仮説選定 生成された複数の仮 説の中で、今最も必 要とされている、重 要な仮説を選ぶ。 3. 仮説検証 4. 意思決定

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(3) 仮説検証 そして実際に仮説を検証して確からしさを知ったり、新たなこ とを学ぶプロセス。 178 1. 仮説生成 仮説を探索・生成す るプロセス。情報収 集なども含む。 漠然としている仮説 を具体的な仮説に落 とし込んだり、結果 が予想できないため に一度やってみるこ とも。仮説探索の結 果、複数の仮説を得 る。 2. 仮説選定 生成された複数の仮 説の中で、今最も必 要とされている、重 要な仮説を選ぶ。 3. 仮説検証 重要な仮説の確実性 の程度を調べたり、 学びを得るプロセス。 仮説検証を通して新 しい情報が手に入り、 仮説生成に貢献する こともある。 検証の結果、学びを 得る。 4. 意思決定

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(4) 意思決定 最後に仮説や学びを使って意思決定を行うプロセス。 179 1. 仮説生成 仮説を探索・生成す るプロセス。情報収 集なども含む。 漠然としている仮説 を具体的な仮説に落 とし込んだり、結果 が予想できないため に一度やってみるこ とも。仮説探索の結 果、複数の仮説を得 る。 2. 仮説選定 生成された複数の仮 説の中で、今最も必 要とされている、重 要な仮説を選ぶ。 3. 仮説検証 重要な仮説の確実性 の程度を調べたり、 学びを得るプロセス。 仮説検証を通して新 しい情報が手に入り、 仮説生成に貢献する こともある。 検証の結果、学びを 得る。 4. 意思決定 仮説検証の学びを 持って、 • 仮説を変える • 今の仮説で進め る などを決める。 意思決定をした結果、 社会や顧客の状況が 変わるので、新たに 仮説を探索する。

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実験と意思決定 大きく実験プロセスと意思決定プロセスに分かれる。 180 1. 仮説生成 仮説を探索・生成す るプロセス。情報収 集なども含む。 漠然としている仮説 を具体的な仮説に落 とし込んだり、結果 が予想できないため に一度やってみるこ とも。仮説探索の結 果、複数の仮説を得 る。 2. 仮説選定 複数得られた仮説の 中で、今最も必要と されている、重要な 仮説を選ぶ。 3. 仮説検証 重要な仮説の確実性 の程度を調べるプロ セス。 検証の結果、学びを 得る。 仮説検証を通して新 しい情報が手に入り、 仮説生成に貢献する こともある。 4. 意思決定 仮説検証の学びを 持って、 • 仮説を変える • 今の仮説で進め る などを決める。 意思決定をした結果、 社会や顧客の状況が 変わるので、新たに 仮説を探索する。 これらを 実験 と呼ぶときもある (特に何か物を作るとき。「一度やってみる」のも実験)

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スタートアップが仮説検証サイクルで気を付けるべき点 各ステップでスタートアップが意識するべきポイントは以下。 181 仮説の鋭さ 仮説が鋭くなくても リソースの投入で何 とかゴリ押しできる 大企業とは異なり、 スタートアップは初 期からある程度鋭い 仮説が必要。 選択の適切さ 全ての仮説が検証で きるわけではないた め、スタートアップ は現在最も検証が求 められている仮説を 慎重かつ大胆に選ぶ 必要がある。 仮説検証の速さ 大企業では間違って いれば評価が落ちる かもしれないが、ス タートアップでは最 後に正解に到れるか の勝負。 仮説検証のサイクル が早まると、初期の 仮説が間違っていて も挽回できる。 意思決定の的確さ 最終的に仮説の確か らしさは 100% に はならない。どこか で十分検証できたと 判断して、リスクを 取って意思決定を行 う。

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一度の仮説思考のサイクルでうまくいくパターン 182 1. 仮説生成 2. 仮説選択 3. 仮説検証 4. 意思決定

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一度目の仮説でうまくいくことはほとんどない 183 1. 仮説生成 2. 仮説選択 3. 仮説検証 4. 意思決定

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184 そもそも 「最初から仮説が完璧」 という人なんていない 成功した起業家でも 初期の仮説は驚くほど間違っていた

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時間 「生成」「選択」「検証」を何度も行い、意思決定する つまりこのプロセスを何度も回していき、最後に良い仮説に辿 り着けばよい。 185 1. 仮説 生成 2. 仮説 選択 3. 仮説 検証 4. 仮説 棄却 1. 仮説 生成 2. 仮説 選択 3. 仮説 検証 4. 意思 決定

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時間 サイクルの回数が多くても、同じ時間で辿り着けば良い 普通より多いサイクルでも、同じ時間で最終的に良い仮説に辿 り着いて意思決定できれば良い。 186 1. 仮説 生成 2. 仮説 選択 3. 仮説 検証 4. 意思 決定 1. 仮説 生成 2. 仮説 選択 3. 仮説 検証 4. 仮説 棄却 1. 仮説 生成 2. 仮説 選択 3. 仮説 検証 4. 仮説 棄却 1. 仮説 生成 2. 仮説 選択 3. 仮説 検証 4. 仮説 棄却

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時間 サイクルの回数が多くても、同じ時間で辿り着けば良い 普通より多いサイクルでも、同じ時間で最終的に良い仮説に辿 り着いて意思決定できれば良い。 187 1. 仮説 生成 2. 仮説 選択 3. 仮説 検証 4. 意思 決定 1. 仮説 生成 2. 仮説 選択 3. 仮説 検証 4. 仮説 棄却 1. 仮説 生成 2. 仮説 選択 3. 仮説 検証 4. 仮説 棄却 1. 仮説 生成 2. 仮説 選択 3. 仮説 検証 4. 仮説 棄却 最後に 良い仮説に辿り着けていれば良い

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時間 時間 サイクルが多くても、短い時間で辿り着いた方が良い もし仮に 1 サイクル多く間違ったとしても、短い時間で回すこ とができて、より短い時間で良い仮説に辿り着いた方が良い。 188 1. 仮 説 生 成 2. 仮 説 選 択 3. 仮 説 検 証 4. 意 思 決 定 1. 仮 説 生 成 2. 仮 説 選 択 3. 仮 説 検 証 4. 仮 説 棄 却 1. 仮 説 生 成 2. 仮 説 選 択 3. 仮 説 検 証 4. 仮 説 棄 却 1. 仮 説 生 成 2. 仮 説 選 択 3. 仮 説 検 証 4. 仮 説 棄 却 1. 仮 説 生 成 2. 仮 説 選 択 3. 仮 説 検 証 4. 仮 説 棄 却

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時間 時間 勝負は 1 サイクルの仮説の精度ではなくサイクル全体 189 1. 仮 説 生 成 2. 仮 説 選 択 3. 仮 説 検 証 4. 意 思 決 定 1. 仮 説 生 成 2. 仮 説 選 択 3. 仮 説 検 証 4. 仮 説 棄 却 1. 仮 説 生 成 2. 仮 説 選 択 3. 仮 説 検 証 4. 仮 説 棄 却 1. 仮 説 生 成 2. 仮 説 選 択 3. 仮 説 検 証 4. 仮 説 棄 却 1. 仮 説 生 成 2. 仮 説 選 択 3. 仮 説 検 証 4. 仮 説 棄 却 一つの仮説の精度での競争ではなく より短い時間でより良い仮説 に辿り着けるかの競争

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190 1 年 に 1 回 の渾身の 仮説検証 サイクル 1 年 365 回 の数を打つ 仮説検証 サイクル

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191 1 年 に 1 回 の渾身の 仮説検証 サイクル 1 年 365 回 の数を打つ 仮説検証 サイクル どちらのほうが最終的に 良い仮説に辿り着くと思いますか?

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192 最適化するべきなのは 一つの仮説の質ではない 仮説を何個も生成・検証する前提で 仮説思考のサイクル全体 を最適化する

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193 仮説思考力とは このサイクル全体を最適化し 良い意思決定する力

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Q. 194 最後に…… なぜ仮説検証が スタートアップで 特に大事なのか?

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A. 195 不確実性が極端に高い中で 意思決定の大きなミスを 少なくするため

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196 不確実性の高い中で 意思決定をする際に 求められるのが「仮説」

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197 そしてビジネスの仮説検証は 顧客や社会との 共同作業 新しいアイデアを受け入れられるかどうかを作り手と受け手が一緒に模索していく

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まとめ 198

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四つのパートに分けて解説する 「仮説生成」「仮説選択」「仮説検証」「意思決定」のそれぞ れについて別スライドで解説を行う。 199 1. 仮説生成 2. 仮説選択 3. 仮説検証 4. 意思決定 スライド

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FoundX の紹介 201

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FoundX とは 202 東京大学 FoundX は東京大学 産学協創推進本部の下部組 織です。東京大学 本郷キャンパスの近くに 3 つの施設を構 え、起業志望者向けのプログラムを複数提供しています。 投資は行いませんが、無償での個室貸与やプログラムの提 供、起業家コミュニティへの参加を支援します。 興味 情熱 Fellows (6 か月) Pre-Founders (6 か月) Founders (9 か月) 共同創業者 の説得 有利な 資金調達 フル コミット ビジネス 実績 初契約 初売上 製品開発 と改善 助成金や コンテス ト 賞金の獲 得 Review, Resource, School 試行 錯誤 アイデア の種 検証された アイデア 起業家の 基礎知識 &スキル プロト タイプ 顧客イン タビュー

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FoundX の提供する起業家支援プログラム & リソース 主に東京大学の卒業生向けに、無償のスタートアップ支援プロ グラムや学習リソースを提供。 203 チーム向け Founders Program 事業と起業家の成長を、コ ミュニティを通して達成す るプログラム。個室を無償 で最大 9 か月間貸与。 Pre-Founders Program Founders Program に入る までの準備を行うプログラ ム。 個人向け Fellows Program スタートアップ的手法の実 践を通してアイデアを見つ け、育てるためのプログラ ム。 学習リソース FoundX Review 平日ほぼ毎日更新し、ス タートアップのノウハウ情 報を提供。カテゴリ別のま とめは FoundX Resource。 FoundX Online School 動画形式でスタートアップ の基礎を学べる。

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スライド著者 & FoundX 運営 馬田隆明 (東京大学 FoundX ディレクター) University of Toronto 卒業後、日本マイクロソフトでの Visual Studio のプロダクトマネージャーを経て、テクニカルエバンジェリス トとしてスタートアップ支援を行う。スタートアップ向けのスライド、 ブログなどの情報提供を行う。 サイト: https://takaumada.com/ 204 スタートアップの 方法論の基礎 Amazon (2017年3月) 起業環境の重要性と アクセラレーター の設計方法 Amazon (2019年4月) スタートアップの 公共や規制との 付き合い方 Amazon (2021年1月) スタートアップに ついてのスライド Slideshare SpeakerDeck

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205 https://foundx.jp/ ご応募お待ちしています