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2025/11/18 クラスメソッド株式会社 AI事業本部 ⽣成AIインテグレーション部 Bizチーム 洲崎 義⼈ AIエージェント時代の業務効率化の考え⽅

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タイムテーブル 2 時間 タイトル 登壇者 13:00〜 13:20 AIエージェント超⼊⾨:AIエージェントとは何なのか? 製造ビジネステクノロジー部 部⻑ ⼤橋⼒丈 13:20〜 13:40 AIエージェント時代の業務効率化の考え⽅ AI事業本部 ⽣成AIインテグレーション部 Bizチーム 洲崎義⼈ 13:40〜 14:00 質疑応答

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⽣成AIの営業として、このような企業を数多く⾒てきました。 ‧「検討したけど、導⼊に進めなかった」 ‧「PoCで終わってしまった」 今⽇は、その原因と 成功するために⼤事な「考え⽅」をお伝えします。 AIエージェントの導⼊について 3

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⾃⼰紹介 4 ● 2018年9⽉ ⼊社 AWS営業部 ○ クラスメソッドメンバーズ 営業 ● 2021年7⽉ AWS事業本部 コンサルティング部 ○ AWSソリューションアーキテクト ● 2024年11⽉ AI事業本部 Bizチーム ○ ⽣成AI営業‧事業開発‧研修講師など ● その他 ○ 2023 - 2024 Japan AWS Top Engineers ○ 2023 - 2024 Japan AWS All Certifications Engineers ○ 2025 AWS Community Builders (AI Engineering) ○ AWSの知識地図 第2章 執筆 ● 部署 ○ AI事業本部 ⽣成AIインテグレーショ ン部 Bizチーム ● 名前 ○ 洲崎 義⼈ ● 出⾝‧住まい ○ 神奈川 / 福岡 ● 最近の運動 ○ キックボクシング ○ ランニング

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今⽇お伝えしたいこと ● 導入時によくある失敗パターン ● 業務の見直しの重要性 ● 2つの導入アプローチ(実例付き) ● エージェント導入の判断基準 ● AIエージェントとうまく付き合うコツ 5 © Classmethod Inc.

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本セッションのゴールと対象者 ● ゴール ○ AIエージェント導⼊の考え⽅と判断基準を⾝につける。 ● 対象者 ○ AIエージェントの導⼊を検討しているが、何から始めるべきか悩んでいる⽅。 ● 注意事項 ○ 本セッションは「導⼊の考え⽅」に特化しています。 ○ 技術的な実装⽅法は11/27(⽊)の開発編で詳しく解説します。 6 © Classmethod Inc.

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まず、こんなことができます

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AIエージェントの活⽤例 リサーチ‧情報収集 競合分析、市場調査、業界動 向のモニタリング カスタマーサポート 問い合わせ対応、FAQ検索、 回答⽣成 資料作成 議事録、レポート、データ分 析資料の⾃動⽣成 データ分析 Excel分析、可視化、 インサイト抽出 コーディング⽀援 コード⽣成、レビュー、 テスト作成 © Classmethod Inc. 8

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よくある落とし⽳

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落とし⽳① ⾃律性への過度な期待 よくある誤解 「AIエージェントに任せれば全部やってくれる」 現実 エージェントは「指⽰の範囲内」でしか動けない。曖昧な指⽰は予期しない動作を引き起こす 対策 タスクの範囲を明確に定義し、⼈間による適切な監視と介⼊、フィードバックループを設ける © Classmethod Inc. 10

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落とし⽳② タスク定義の曖昧さ 問題 「良い感じに処理して」「適切に判断して」といった、判断基準が不明確な指⽰ 結果 想定外の動作、エラーの頻発、成果物の品質がバラバラになる 対策 具体的な成功基準を設定する。 ⼊⼒と期待する出⼒を明確にし、例外処理の⽅法も定義する © Classmethod Inc. 11

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落とし⽳③ コストとセキュリティ管理 APIコストの爆発 エージェントが無制限にAPI呼び出し トークン消費量の⾒積もり不⾜ 過度な思考ループ ⽉末に想定外の請求額 セキュリティリスク 機密情報への過度なアクセス権限 外部APIへのデータ送信リスク ⾮公式のMCPサーバーによるデータ漏洩 ログ管理の不備 © Classmethod Inc. 12

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Good/Bad 具体例で⾒る導⼊パターン

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パターン① ユースケース不明確の罠 Bad:とりあえず導⼊ 明確な課題がないまま導⼊ (機能ありきで選定) デモでは動くが、実業務に合わない 誰も使わず、効果も測れない 改善の⽅向性が分からず、放置される Good:課題を明確にしてから導⼊ 解決すべき課題が明確 (レポート作成を2時間→30分など) 実業務に合わせて設計される 継続的に利⽤され、効果も測定できる 改善の⽅向性が明確で、さらに進化する © Classmethod Inc. 14

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パターン② 精度追求の罠 Bad:100%の精度を⽬指して複雑化 あらゆる例外ケースに対応しようと複雑なルー ルを⼤量追加 メンテナンス困難、少しの変更が全体に影響す る 結局、⼈間が常に監視‧修正で⼯数増 Good:80%で⼗分な業務を選定 最初から80%の精度で価値が出る業務を選ぶ シンプルな仕組み、残り20%は⼈間がカバー メンテナンスが容易で現実的な運⽤ © Classmethod Inc. 15

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業務の⾒直しから始めよう

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「AIで⾃動化」の前に問うべきこと そもそも、その業務は必要ですか? — AIに任せる前に、業務そのものを⾒直す © Classmethod Inc. 17

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必須要件の特定⽅法 AIエージェントの導⼊を検討するのは、このステップの後です 1 業務の棚卸し: 現在の業務フローを可視化する 2 ⽬的の確認: 各作業の「なぜ」を問い、本質的な⽬的を再確認する 3 必須要件の抽出: 法的要件、顧客価値など、ビジネス価値のある項⽬のみ残す 4 簡素化: 残った業務をシンプルなフローに再設計する © Classmethod Inc. 18

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エージェント導⼊の判断基準

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「何を作りたいか」を明確にする 曖昧なまま進めるとコスト増と失敗を招く © Classmethod Inc. 20 「何を作りたいか」「どう作るべきか」が明確でないと、良いエージェントは作れない 曖昧なまま進めると、⽬的とズレたものができ、必要以上に複雑化する 実装前に、以下の7項⽬を整理することが不可⽋

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決めるべき7つの項⽬(1/2) ⽬標、現状、利⽤シーン、課題を整理 1. ⽬標(中⻑期‧短期) どの業務をどれくらい改善したいのか、 具体的なゴールを設定 2. 現状の把握 現在の業務プロセス、体制、リソース、 システム環境の理解 3. 利⽤シーン 誰が、いつ、どのような状況でエージェントを 使うのか 4. 課題(中⻑期‧短期) 現状の何が問題で、 何を解決する必要があるのか © Classmethod Inc. 21

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決めるべき7つの項⽬(2/2) 制約、ゴール、マイルストーンを定義 5. 制約条件 予算、期限、既存システム連 携、体制などの制限事項 6. 期待する成果 何をもって「成功」とする か、定量‧定性の両⾯で定義 7. マイルストーン 段階的な達成⽬標があれば設 定し、進捗を管理 © Classmethod Inc. 22

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AIエージェント導⼊の2つのアプローチ

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アプローチ① 体系的な導⼊ 業務全体を俯瞰して優先順位を付ける 特徴: 組織的に業務要件を洗い出し、ROI(投資対効果)が⾼いものから着⼿ メリット: 全体最適を⽬指せる、組織的な合意形成がしやすい 向いている状況: 経営層の⽀援がある、組織変⾰を⽬指す、中⻑期的な効果を求める場合 © Classmethod Inc. 24

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体系的導⼊の実例(某社の取り組み) 業務要件を洗い出し、効果と実現可能性で評価 施策 課題 期待効果 実現可能性 問い合わせ回答精度向上 複数データソースの 統合困難 ⾼ 可 FAQ⾃動⽣成‧更新 問い合わせ傾向分析の属 ⼈化‧⼿作業の更新 中 可 顧客の声の⾃動分析 ⼿作業による分類‧集計 中 要確認 シフト管理表作成 個別判断の複雑性 中 要確認 © Classmethod Inc. 25

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アプローチ② 機会主義的な導⼊ ⼩さく始めて、個⼈の⽣産性から改善する 特徴: 適したタイミングで、適した業務に、個⼈の裁量でAIを適⽤する メリット: ⼩さく素早く始められる、成功体験を積みやすい、⾮定型業務に強い 向いている状況: 初めてのAI導⼊、現場主導の改善、柔軟に試したい場合 © Classmethod Inc. 26

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機会主義的導⼊の実例 クラスメソッド ⽥部井(てぃーびー)さんの事例:⽬標設定業務の効率化 © Classmethod Inc. 27 課題と対象 年次の⽬標設定業務。 ⾮定型かつ属⼈化しており標準化が困難だった。 解決策(技術) Gemini Gems + NotebookLMを使⽤。 1⼈で約1.5か⽉で開発。 導⼊効果 ⽬標設定にかかる負荷を⼤幅に軽減。 成功モデルとして確⽴。 成功ポイント ⼤規模な変⾰ではなく個⼈の⽣産性向上に着⽬ スピード重視で実装。

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(参考)てぃーびーさんの登壇資料 28 【イベントレポート】『 Gemini と NotebookLM を組み合わせて 目標設定の負荷を軽減する方法』の登壇と補足

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2つのアプローチの使い分け 状況に応じて最適な戦略を選択する 体系的アプローチ 経営層の⽀援がある 組織全体の効率化が⽬標 予算‧リソース確保済み 中⻑期的な効果を重視 機会主義的アプローチ まずは⼩さく始めたい 個⼈‧チームの裁量重視 ⾮定期‧属⼈化業務がある 早期の成功体験が欲しい © Classmethod Inc. 29

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AIエージェントとうまく付き合うコツ

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Do's(やるべきこと) 成功への3つの原則 ⼩さく始める 1つの業務から試す ⽬的の明確化 成功基準を定める 効果測定 定量指標で評価 © Classmethod Inc. 31

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AIエージェント導⼊の成功パターン 業務の⾒直し 不要な業務を削減‧簡 素化 必須要件の明確化 本当に必要な機能だけ に絞る スモールスタート ⼩さく始めて徐々に拡 ⼤ 継続的な改善 効果測定と改善を繰り 返す © Classmethod Inc. 32

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まとめ

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キーメッセージ 本⽇持ち帰っていただきたいポイント 要件定義が成功の鍵: 「何を作りたいか」「どう作るべきか」を最初に明確にする 2つのアプローチ: 組織主導の「体系的」と、現場主導の「機会主義的」を使い分ける スモールスタート: まずは機会主義的に⼩さく成功体験を積み、徐々に拡⼤する シンプルイズベスト: 機能を詰め込みすぎず、使いやすさとメンテナンス性を優先する © Classmethod Inc. 34

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次回開催のお知らせ

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AIエージェント〜開発編〜 2025年11⽉27⽇(⽊)12:00-13:00 テーマ: 現場で活きる作り⽅と使い⽅(Amazon Bedrock AgentCore等) 内容: エージェント設計のベストプラクティスと本番運⽤の注意点 対象: AIエージェントの開発‧設計‧運⽤に関わるエンジニア、開発者 本⽇は「考え⽅」でしたが、次回は「作り⽅」に踏み込みます。ぜひご参加ください! © Classmethod Inc. 36

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(宣伝)クラスメソッドができること

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こんなご相談をお待ちしています まずはお気軽にご相談ください! 貴社の課題に合わせて最適なAIソリューションをご提案いたします。 AIチャットボット開発 ● 社内⽣成AIチャットボッ トの構築 ● RAGの精度改善コンサル ● ⽣成AI利⽤定着の教育 AI駆動開発の導⼊⽀援 ● 開発者向けAIツール導⼊ ● AI駆動開発プロセスへの 移⾏コンサル ● 開発チーム向けQA‧ト レーニング 業務効率化AIエージェント ● 競合分析の⾃動化 ● ドキュメント‧ファイル 解析 ● レポート⾃動⽣成 ● 定型業務のAI化 © Classmethod Inc. 38

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