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OSSの怖い話 (ホントハコワクナイヨ おがさわらなるひこ オープンソースソフトウェア愛好家 SHIFT SECURITY INC.

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Who Am I  おがさわらなるひこ  Twitter: @naru0ga  (株)SHIFT SECURITYの社員  だけど今日は一介のOSS愛好家として Disclaimer  今日お話しする内容はフィクションです。 実在の組織・人物とは関係ありません。

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ところでOSSとは  Open Source Software  日本語だと「オープンソース」と呼ばれる  ただの「ソースコードが公開されてる無償ソフト」 ではないです!  「オープンソースの定義」に従ったソフト  くわしくは https://opensource.jp/osd/osd19/ を読もう  別の言い方をすれば「オープンソースの定義」に従った 「オープンソースライセンス」のもとで 配布されているソフトウェア

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ところでOSSとは  Open Source Software  日本語だと「オープンソース」と呼ばれる  ただの「ソースコードが公開されてる無償ソフト」 ではないです!  「オープンソースの定義」に従ったソフト  くわしくは https://opensource.jp/osd/osd19/ を読もう  別の言い方をすれば「オープンソースの定義」に従った 「オープンソースライセンス」のもとで 配布されているソフトウェア

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と、 ここまでは前 振り

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怖い話① 「GPLって何?」

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 某メーカーA社にて  某製品をB社から仕入れで購入してラベルを張りかえ て販売することに  B社担当 「この商品はLinuxを使ってるのでGPLの要請に従わな いといけないのですが御社は大丈夫ですか?」  A社担当、「ただ仕入れて売るだけでしょ?」と 思っており意味が分からないのでずーーーっとスルー  発売一か月前にそれを聞いたA社担当の同僚が慌てて 知り合いの技術者に電話「ねえ、これって大丈夫?」

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 某メーカーA社にて  某製品をB社から仕入れで購入してラベルを張りかえ て販売することに  B社担当 「この商品はLinuxを使ってるのでGPLの要請に従わな いといけないのですが御社は大丈夫ですか?」  A社担当、「ただ仕入れて売るだけでしょ?」と 思っており意味が分からないのでずーーーっとスルー  発売一か月前にそれを聞いたA社担当の同僚が慌てて 知り合いの技術者に電話「ねえ、これって大丈夫?」 大丈夫なわけ ないだろ !!!!!1

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その機器が使ってた基本ソフトLinux(リナックス)のライセン スGPLは「ソフトウェアのユーザーが求めた場合ソースコード を渡す」義務がある それを認識せず「ソースコードは弊社の知的財産であり開示で きません」とやると、だいたい炎上して火消しに苦労する (今もけっこうある) この件の場合は突貫で発売前にソースコード配布ページを作り 落着したそうです

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OSSは「OSSライセンスに従って使えるソフト」だから、OSSを 使う場合、どんなライセンスで配布されてるか、そのライセン スが何を求めているか確認し理解しておく必要がある OSSというものの存在を意識していれば、確認のしようがある ので必要に応じて確認すればOK (確認できる有識者とか部署があればモアベター) 「これまずいかも」って嗅覚があって、きちんと決まりを調べ それを守ればコワクナイヨ!

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怖い話② OSSの公開が 企業のイメージを 傷つける?

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「なんか自社でOSS公開したってなるとクールじゃな い?」って話に → 担当者が頑張って作って社名入りで公開 それを継続してメンテするための体制については議論されず、 担当者は多忙になってしまいそのOSSは放置 周辺ソフトの進化に置いて行かれデータ消失バグが発生する も気づかないままそのまま配布継続 「こいつを使ったらデータを全部消された! こんなソフトを公開してる会社はクソだ!」

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OSSを 作って組 織として 公開しよ うとする 姿勢は素 晴らしい ……けど  組織の名前を冠してOSSを公開する とき、組織として体制を作らずに個 人の頑張りに依存すると、結局その OSSはメンテされない日が来て死ぬ  死んだOSSを公開し続けることは組 織のマイナスイメージになるリスク も  組織としてOSS活動をアピールした いなら、継続性をどう保証するかを しっかり考えて始めよう  組織としてちゃんと取り組めば コワクナイヨ!

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怖い話③ 正式リリースでは 直ると思ってた 今度はOSSを作る側にとってのコワイ話

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 多くのOSSは、メジャーリリース前に「テスト版」を 出す  それで問題なかろうとなったら、正式リリースされる  あるOSSで、 「こんなバグ入りのリリースは使えない! このバグはテスト版から存在していた! 正式リリースでは直ると思っていたのに!」 と騒ぐ人が

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 多くのOSSは、メジャーリリース前に「テスト版」を 出す  それで問題なかろうとなったら、正式リリースされる  あるOSSで、 「こんなバグ入りのリリースは使えない! このバグはテスト版から存在していた! 正式リリースでは直ると思っていたのに!」 と騒ぐ人が コノヤロー なんで手間暇かけて テスト版出してるの かわかってるの か??

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なぜコストをかけてテスト 版をリリースするのか? 不具合を見つけたら報告してほしいから 多くのOSSでは、ユーザーからのフィードバックを以てQAプロセス としているので、報告されない不具合は存在しないものと一緒 存在しない(と思われてるもの)が直るわけがない だから間違いを見つけたら適切に報告する それさえ守ればコワクナイヨ!

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最後に OSSだって人間が作ってる

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人間がやることなので こじれる原因はしばしば敬意の欠落 OSSを作る人、使う人、周りの人、 そしてOSSを取り巻く文化、 お互いに敬意をもって尊重しあえば たいていのことはコワクナイ! OSSに関するルール(定義とかライセンスとか)は 敬意を持つ者同士が円滑に共同作業するための 道具に過ぎない Love! OSS!

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おしまい。