Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
OSSの怖い話(ホントハコワクナイヨ
Search
Naruhiko Ogasawara
August 20, 2021
Technology
0
690
OSSの怖い話(ホントハコワクナイヨ
納涼! 本当にあった怖いIT話 LT会 ~SHIFT EVOLVE Presents LT Vol.3~ でしゃべった内容です。
Naruhiko Ogasawara
August 20, 2021
Tweet
Share
More Decks by Naruhiko Ogasawara
See All by Naruhiko Ogasawara
COSCUP2024 OSPN Japan Special Track - Greeting from Naruhiko 挨拶二日目
naruoga
0
14
Let's tackle open-source supply chain issues with open source
naruoga
0
21
We already have a new, modern and secure print experience
naruoga
0
33
LOUCA23に行ってみた
naruoga
1
170
About the Activities of the Language Community: Activities of the Japanese Community
naruoga
0
1.9k
Happy Software Freedom Day 2023!
naruoga
0
130
Linux Desktop Printing Systems in the 2020s
naruoga
2
75
2022's Ubuntu Desktop Printing Technology
naruoga
1
170
OSS enthusiast's days at a Japanese security vendor
naruoga
0
76
Other Decks in Technology
See All in Technology
Goで作って学ぶWebSocket
ryuichi1208
1
1.3k
【Developers Summit 2025】プロダクトエンジニアから学ぶ、 ユーザーにより高い価値を届ける技術
niwatakeru
2
1.4k
偶然 × 行動で人生の可能性を広げよう / Serendipity × Action: Discover Your Possibilities
ar_tama
1
1.1k
ビジネスモデリング道場 目的と背景
masuda220
PRO
9
540
データ資産をシームレスに伝達するためのイベント駆動型アーキテクチャ
kakehashi
PRO
2
540
RECRUIT TECH CONFERENCE 2025 プレイベント【高橋】
recruitengineers
PRO
0
160
Developers Summit 2025 浅野卓也(13-B-7 LegalOn Technologies)
legalontechnologies
PRO
0
730
OpenID Connect for Identity Assurance の概要と翻訳版のご紹介 / 20250219-BizDay17-OIDC4IDA-Intro
oidfj
0
280
Tech Blogを書きやすい環境づくり
lycorptech_jp
PRO
1
240
クラウドサービス事業者におけるOSS
tagomoris
2
840
Helm , Kustomize に代わる !? 次世代 k8s パッケージマネージャー Glasskube 入門 / glasskube-entry
parupappa2929
0
250
一度 Expo の採用を断念したけど、 再度 Expo の導入を検討している話
ichiki1023
1
170
Featured
See All Featured
Into the Great Unknown - MozCon
thekraken
35
1.6k
Making the Leap to Tech Lead
cromwellryan
133
9.1k
ReactJS: Keep Simple. Everything can be a component!
pedronauck
666
120k
Building a Scalable Design System with Sketch
lauravandoore
461
33k
Build your cross-platform service in a week with App Engine
jlugia
229
18k
Helping Users Find Their Own Way: Creating Modern Search Experiences
danielanewman
29
2.4k
Easily Structure & Communicate Ideas using Wireframe
afnizarnur
193
16k
Designing for humans not robots
tammielis
250
25k
Thoughts on Productivity
jonyablonski
69
4.5k
Producing Creativity
orderedlist
PRO
344
39k
Building an army of robots
kneath
303
45k
Practical Orchestrator
shlominoach
186
10k
Transcript
OSSの怖い話 (ホントハコワクナイヨ おがさわらなるひこ オープンソースソフトウェア愛好家 SHIFT SECURITY INC.
Who Am I おがさわらなるひこ Twitter: @naru0ga (株)SHIFT
SECURITYの社員 だけど今日は一介のOSS愛好家として Disclaimer 今日お話しする内容はフィクションです。 実在の組織・人物とは関係ありません。
ところでOSSとは Open Source Software 日本語だと「オープンソース」と呼ばれる ただの「ソースコードが公開されてる無償ソフト」 ではないです!
「オープンソースの定義」に従ったソフト くわしくは https://opensource.jp/osd/osd19/ を読もう 別の言い方をすれば「オープンソースの定義」に従った 「オープンソースライセンス」のもとで 配布されているソフトウェア
ところでOSSとは Open Source Software 日本語だと「オープンソース」と呼ばれる ただの「ソースコードが公開されてる無償ソフト」 ではないです!
「オープンソースの定義」に従ったソフト くわしくは https://opensource.jp/osd/osd19/ を読もう 別の言い方をすれば「オープンソースの定義」に従った 「オープンソースライセンス」のもとで 配布されているソフトウェア
と、 ここまでは前 振り
怖い話① 「GPLって何?」
某メーカーA社にて 某製品をB社から仕入れで購入してラベルを張りかえ て販売することに B社担当 「この商品はLinuxを使ってるのでGPLの要請に従わな いといけないのですが御社は大丈夫ですか?」
A社担当、「ただ仕入れて売るだけでしょ?」と 思っており意味が分からないのでずーーーっとスルー 発売一か月前にそれを聞いたA社担当の同僚が慌てて 知り合いの技術者に電話「ねえ、これって大丈夫?」
某メーカーA社にて 某製品をB社から仕入れで購入してラベルを張りかえ て販売することに B社担当 「この商品はLinuxを使ってるのでGPLの要請に従わな いといけないのですが御社は大丈夫ですか?」
A社担当、「ただ仕入れて売るだけでしょ?」と 思っており意味が分からないのでずーーーっとスルー 発売一か月前にそれを聞いたA社担当の同僚が慌てて 知り合いの技術者に電話「ねえ、これって大丈夫?」 大丈夫なわけ ないだろ !!!!!1
その機器が使ってた基本ソフトLinux(リナックス)のライセン スGPLは「ソフトウェアのユーザーが求めた場合ソースコード を渡す」義務がある それを認識せず「ソースコードは弊社の知的財産であり開示で きません」とやると、だいたい炎上して火消しに苦労する (今もけっこうある) この件の場合は突貫で発売前にソースコード配布ページを作り 落着したそうです
OSSは「OSSライセンスに従って使えるソフト」だから、OSSを 使う場合、どんなライセンスで配布されてるか、そのライセン スが何を求めているか確認し理解しておく必要がある OSSというものの存在を意識していれば、確認のしようがある ので必要に応じて確認すればOK (確認できる有識者とか部署があればモアベター) 「これまずいかも」って嗅覚があって、きちんと決まりを調べ それを守ればコワクナイヨ!
怖い話② OSSの公開が 企業のイメージを 傷つける?
「なんか自社でOSS公開したってなるとクールじゃな い?」って話に → 担当者が頑張って作って社名入りで公開 それを継続してメンテするための体制については議論されず、 担当者は多忙になってしまいそのOSSは放置 周辺ソフトの進化に置いて行かれデータ消失バグが発生する も気づかないままそのまま配布継続 「こいつを使ったらデータを全部消された! こんなソフトを公開してる会社はクソだ!」
OSSを 作って組 織として 公開しよ うとする 姿勢は素 晴らしい ……けど 組織の名前を冠してOSSを公開する
とき、組織として体制を作らずに個 人の頑張りに依存すると、結局その OSSはメンテされない日が来て死ぬ 死んだOSSを公開し続けることは組 織のマイナスイメージになるリスク も 組織としてOSS活動をアピールした いなら、継続性をどう保証するかを しっかり考えて始めよう 組織としてちゃんと取り組めば コワクナイヨ!
怖い話③ 正式リリースでは 直ると思ってた 今度はOSSを作る側にとってのコワイ話
多くのOSSは、メジャーリリース前に「テスト版」を 出す それで問題なかろうとなったら、正式リリースされる あるOSSで、 「こんなバグ入りのリリースは使えない! このバグはテスト版から存在していた! 正式リリースでは直ると思っていたのに!」
と騒ぐ人が
多くのOSSは、メジャーリリース前に「テスト版」を 出す それで問題なかろうとなったら、正式リリースされる あるOSSで、 「こんなバグ入りのリリースは使えない! このバグはテスト版から存在していた! 正式リリースでは直ると思っていたのに!」
と騒ぐ人が コノヤロー なんで手間暇かけて テスト版出してるの かわかってるの か??
なぜコストをかけてテスト 版をリリースするのか? 不具合を見つけたら報告してほしいから 多くのOSSでは、ユーザーからのフィードバックを以てQAプロセス としているので、報告されない不具合は存在しないものと一緒 存在しない(と思われてるもの)が直るわけがない だから間違いを見つけたら適切に報告する それさえ守ればコワクナイヨ!
最後に OSSだって人間が作ってる
人間がやることなので こじれる原因はしばしば敬意の欠落 OSSを作る人、使う人、周りの人、 そしてOSSを取り巻く文化、 お互いに敬意をもって尊重しあえば たいていのことはコワクナイ! OSSに関するルール(定義とかライセンスとか)は 敬意を持つ者同士が円滑に共同作業するための 道具に過ぎない Love!
OSS!
おしまい。