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長期運用タイトルにおける AIを活用したテスト設計効率化の事例 株式会社WFS QAエンジニア 中野 玄真 山本 幸寛

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山本 幸寛 株式会社WFS QAエンジニア 家庭用ゲームやモバイルゲームのQA業務を経験 後、2021年グリー株式会社(現:グリーホール ディングス株式会社)に入社。入社後はライトフ ライヤースタジオのQAチームに所属し長期運用タ イトルのQA業務を担当。 合わせて上流工程からより品質を高めるためユー ザーテストに関連する対応も担当している。 2

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中野 玄真 株式会社WFS QAエンジニア 2021年にアルバイトとしてグリー株式会社(現: グリーホールディングス株式会社)に入社。ライ トフライヤースタジオにおける複数タイトルのテ スト業務を経て、現在は管理業務を担当。 障害削減による品質向上や、費用効率化などのコ スト最適化にも取り組んでいる。 3

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目次・アジェンダ ● はじめに ● AI活用事例の紹介 ● 活用しての効果 ● 今後の展望 4

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はじめに 5

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発表の背景 対象タイトル:アナザーエデン 来年10周年を迎えるシングルプレイ専用スマートフォンRPG ©WFS Developed by WRIGHT FLYER STUDIOS 6

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発表の背景 体制 担当歴の長いQAエンジニアが、過去の知見と仕様書を元に テスト設計〜テストケース作成を担当 運用の変化 来年10周年を迎える中で、ゲーム内システム、既存機能、コードが年々膨大化 (+多様な新規施策の追加) 7

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発表の背景 長期運用に伴う体制の限界 運用の長期化により、把握/考慮すべき情報量が増加 結果 個人の知見に頼る体制だと、考慮漏れが防ぎにくい 8

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発表の背景 長期運用に伴う体制の限界 運用の長期化により、把握/考慮すべき情報量が増加 結果 個人の知見に頼る体制だと、考慮漏れが防ぎにくい 個人の知見に頼る設計から脱却し、 AI活用でテスト設計の精度向上を試みた 9

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AI活用事例の紹介 10

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現状の問題: 長期運用によって仕様が複雑化しており、仕様書に記載されていない条件や過 去の仕様の組み合わせなどで発生する「仕様書定義外」の障害が増加している 仕様書:【クエストAの流れ】 ①:〇〇が仲間になる 仕様書定義外 クエストAを進行中に 別クエストを進行させると ➔ 進行不能 ②:武器「▢▢」が手に入る ③:ボス「△△」と戦闘 ボスと戦闘する前に 武器「▢▢」を強化/売却してしまうと ➔ 進行不能 11

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現状の問題: テスト設計時にも考慮はしているが、設計者の「主観と知見」を頼りに作成し ているため、どうしても「仕様書定義外」の障害が防ぎきれない OUTPUT: 作成されるテスト観点 INPUT: 設計のインプット 仕様書ベースの観点 仕様書情報 主観と知見 経験や知識からの観点 ⚠ 仕様書定義外の観点 (検知できず漏れてしまう)

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対策: 膨大な情報をAIに読み込ませ、人間が拾いきれない「仕様書定義外」の観点を 出してもらう 体系的な情報 コード 過去の不具合 AI 「仕様書定義外」 観点 仕様書情報 13

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AI活用時にも様々な課題が発生した 14

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AI活用時の課題①: 曖昧な指示だとAIの憶測でテスト観点が出力され使い物にならない 曖昧な指示 ----------------------------読み込ませた仕様書から 検証項目を作成して~ 多分これ 出力されたデータ ------------------------・曖昧なフォーマット ・雑なテスト観点 ・具体性のない手順 AI 15

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AI活用時の課題①への対策: 禁止事項で曖昧な表現をなくし、テスト技法をAIに選択させることで根拠のあ る出力を行うように 役職付与 多分これ 多分これ 出力ルール 事前情報 禁止事項 テスト 技法 出力 ルール AI テスト技法の定義 16

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AI活用時の課題②: 指示を分けないと荒い出力になってしまい、重要な検証項目が2つしかなかっ たり、画面遷移をかなり細かく見ていたりなど粒度に偏りが出る 共通の指示 重要な検証項目 最低限でよい検証項目 【粗すぎる / 件数不足】 【細かすぎる / 冗長】 ・手順通りに動作すること ・A⇒Bに遷移できること ・手順から外れたら動作しないこと ・B⇒Aに遷移できること ・B⇒A⇒Bに遷移できること ・A⇒B⇒Aに遷移できること 17

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AI活用時の課題②への対策: 「テスト設計」と「ケース作成」で役割を分けることで正確な指示が可能に 分析AI 項目作成AI テスト設計への指示 ケース作成への指示 テスト設計 ケース作成 ● テスト設計技法の選択 ● 分析AIの情報から検証項目の出力 ● 優先度の切り分け ● フォーマットの指定 ● 正常系/例外系の観点出し ● 施策ごとのシート切り分け 18

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AI実装ポイント: 分析AI Step1 要素分解 Step2 仕様書 分析 項目作成AI Step3 網羅的な 観点 Step4 設計技法 選択 Step5 項目作成 3原則 Step6 AI レビュー 19

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Step1:要素分解(1/2) 読み込ませた仕様をコアメカニクス / メタメカニクスの要素に分解し、テスト の優先度や検証の細かさなどの指標を持たせる コアメカニクス メタメカニクス ゲーム体験の核となる、プレイヤーが繰り返し行う直接 的な操作やルールのこと プレイヤーに継続的なプレイ動機を与える育成や進行の 仕組み メニュー 画面操作 歩く/ 走る 攻撃/ 防御/ スキル キャラ 育成 装備強化 図鑑 20

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Step1:要素分解(2/2) メタメカニクスからプロダクト影響の分析を行い、観点の粒度に対する指標を 持たせる メタメカニクス プレイヤーに継続的なプレイ動機を与える育成や進行の 仕組み キャラ 育成 装備強化 図鑑 【ガチャにより入手できる】 【ゲーム内のアイテムのみ】 【敵の討伐数、入手アイテムなど】 ※優先度が高い ※優先度がやや高め ※優先度が低い 検証粒度を細かめに 検証粒度は標準 検証粒度は最低限 21

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Step2:仕様書分析 仕様書の矛盾や曖昧な記載を学習させておき、エラーとして検知させる AIの視点 検知される例 AIによる精密分析 AIが検知するエラー具体例 解析手法 全仕様書データを構文解析し、論理的な整合性を検 証 【矛盾点】 ページ間の数値・仕様の食い違い 例:P.10「攻撃力+10%」とP.20「攻撃力+15%」 強み 主観や先入観(バイアス)を100%排除し、記述の 不整合を客観的に特定 【曖昧さ】 定義不足な表現の検出 例:「適切に処理する」「高確率で発生」 【考慮漏れ】 特定組み合わせでの挙動未定義 例:ロボ搭乗時のエリア移動仕様欠落 22

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Step3:網羅的な観点(1/2) 正常系(ハッピーパス)を学習させておき、 仕様書に記載されている理想的な振る舞いを定義させ、期待結果を出力させる 正常系フロー(ハッピーパス) エラーやトラブルが一切起きない正常なルート (シナリオ)のこと STEP 1: ボスを倒す STEP 2: ストーリーが進行する STEP 3: 伝説の剣を入手する 23

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Step3:網羅的な観点(2/2) 正常系の内容から、漏れがちな例外系の観点を出力させる 正常系フロー(ハッピーパス) 例外系(アンハッピーパス) STEP 1: ボスを倒す 戦闘必須キャラがいない場合 戦闘が開始できないこと STEP 2: ストーリーが進行する 必須フラグを満たしているか STEP 3: 伝説の剣を入手する 獲得瞬間にタスクキルした場合の挙動 24

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Step4:設計技法選択 設計技法を学習させておき、仕様の特性から最適な設計技法をAIに選択させる ことで、検証観点の出力における根拠を持たせる 仕様の特性 仕様の特性 複数条件で分岐する シナリオ 下限上限のある数値 アイテムスロットや武器の強化など 最適な設計技法 最適な設計技法 最適な設計技法 デシジョンテーブル 境界値/同値分割 状態遷移テスト 仕様の特性 画面UIの遷移 25

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Step5:項目作成3原則 出力を安定させる3つのプロンプト原則を定義しておき、 運用していくうえで欠かせないルールを学習させておく 1項目1観点の徹底 ーーーーーーーーーーー ルール 1つのテストケースに 複数の検証観点を 含めないこと トークンの最適化 ーーーーーーーーーーー ルール ・口語の禁止 ・手順説明の簡略化 ・冗長表現の削除 標準フォーマットを定義 ーーーーーーーーーーー ルール 出力時のヘッダー 構文をフォーマットに 沿って作成すること 26

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Step6:AIレビュー 出力結果をAI自身にセルフレビューさせることで、ハルシネーションの発生を 抑制する [分析AI] 出力データ [項目作成AI]セルフレビュー 削除項目の報告: AIの自己判断で削除した項目がないか [項目作成AI] ルールにそって項目化 未生成項目の報告: 設計内容から生成出来ていない項目がないか [項目作成AI] 生成物をセルフレビュー 27

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ハイブリッドレビュー 成果物を「人」と「AI」の2軸でレビューを行い、最終的な品質の保障をする 人のレビュー AIのレビュー 強み 強み 各メンバーの主観と知見によってプロダクトの深い知 識や「暗黙知」に基づく柔軟な判断 過去の膨大な情報からの「網羅的」な解析と処理能力 役割 役割 ・ユーザー体験や「面白さ」など、AIが判定しづらい 感性的側面の検証 ・属人性を排除した、機械的な抜け漏れや矛盾のア ラート ・過去の経験則に基づく、複雑な仕様の意図の汲み取 り ・大量のテストケースに対する高速な要件カバレッジ 確認 28

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活用しての効果 29

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活用しての効果 「仕様書定義外」の障害に対して AIによる過去の膨大な情報から 体系的かつ網羅的なケース作成に成功 人によるチェック/手直しで運用可能と判断 30

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活用しての効果 「仕様書定義外」の障害に対して ハイブリッドレビューにより 1施策あたり1〜2項目の新たな観点を追加 「仕様書定義外」の潜在不具合を事前検知 31

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活用しての効果 副次効果: テストケース作成工数について ある施策のテストケース作成工数 80% 削減 32

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活用しての効果 副次効果: 属人性について テスト観点+テストケース自動生成により 属人性の排除にも成功 33

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活用しての効果 Before After 【テスト設計・品質】 【テスト設計・品質】 個人の主観・経験に依存 ➡「仕様書定義外」障害増加 AI生成+ハイブリッドレビュー ➡「仕様書定義外 」を事前検知 できる体制 【業務影響】 ケース作成・仕様確認で手一杯 【業務影響】 工数削減の結果、人は知見をフル活用し レビュー精度向上にフォーカス可能に 34

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今後の展望 35

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今後の展望 テストケース作成 テスト実行 一部施策から全施策への適用 AIを活用し効率化 今後はテスト設計とテスト実行の両軸で活用し、 効率化・高品質化を目指す! 36

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ご清聴ありがとうございました 37

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