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テストコードを 書き始める前から 考えるべきテストの話 ブロッコリー (@nihonbuson)

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自己紹介 ● 風間裕也(ブロッコリー) ● @nihonbuson ● 所属 ○ 株式会社ビズリーチ ○ QA基盤推進室 QA Evangelist ● 社外活動 ○ JaSST Review実行委員長 ○ WACATE実行委員 ○ 書籍『Agile Testing Condensed』 翻訳

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アジェンダ ● はじめに ● テストの目的 ● 何をテストすべきか ● どうやってテストケースを作るのか ● QAはどのように開発者と一緒に仕事をするのか ● テストの勉強方法 ● まとめ

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はじめに https://www.pexels.com/photo/young-game-match-kids-2923/

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注意事項 ● 話さない内容 ○ テストコードの書き方 ○ TDDのやり方 ○ 自動テストの設計方法 ● 話す内容 ○ テストの目的とは何か ○ テストファーストで行うことの本当の良さ ○ 何をテストすれば良いのか

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今日話す内容は… QA(Quality Assurance=品質保証) チームはどういう動きをするか

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今日話す内容は… QA(Quality Assurance=品質保証) チームはどういう動きをするか ↓ 開発者はどんなことをすべきか

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こんな経験していませんか? 開発はできたけど、 テストをどうやれば良いのか 分からないよ…。 リリースしてから トラブルがいっぱい 起きるなぁ…

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こんな経験していませんか? 開発はできたけど、 テストをどうやれば良いのか 分からないよ…。 リリースしてから トラブルがいっぱい 起きるなぁ… 品質やテストのことを学べば 解決できるかもしれない!

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テストの目的 https://jp.freeimages.com/photo/on-target-1504936

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質問です テストの目的って何でしょう?

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テストの目的とは何か? ● 欠陥の検出 ● 対象ソフトウェアの品質レベルが十分なことの確認 ● 意思決定のための情報の提示 ● 欠陥の作り込みの防止 実装前に行うこともある テストの7原則①テストは「欠陥がある」ことしか示せない
 ISTQBテスト技術者資格制度 Foundation Level シラバス 日本語版 Version 2011.J02より

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なぜ実装前にテスト・レビューをするのか 仕様誤りの修正コスト 要求仕様 設計 実装 テスト リリース後 1倍 5倍 10倍 20倍 200倍! 出典: Alan M. Davis. ソフトウェア開発 201の鉄則. 日経BP社

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なぜ実装前にテスト・レビューをするのか 仕様誤りの修正コスト 要求仕様 設計 実装 テスト リリース後 1倍 5倍 10倍 20倍 200倍! 出典: Alan M. Davis. ソフトウェア開発 201の鉄則. 日経BP社 修正コストを下げるには…(1) 素早くリリースしてフィードバックをもらい、 すぐに修正できる体制にする

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なぜ実装前にテスト・レビューをするのか 仕様誤りの修正コスト 要求仕様 設計 実装 テスト リリース後 1倍 5倍 10倍 20倍 200倍! 出典: Alan M. Davis. ソフトウェア開発 201の鉄則. 日経BP社 修正コストを下げるには…(2) 早い段階で不具合を発見する

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何をテストすべきか https://jp.freeimages.com/photo/target-1306247

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● パスワードは4文字以上12文字以下の 英数字のみを許容する。 ● パスワードを3分以内に4回以上 間違って入力すると、 アカウントを5分間ロックする。 https://www.pexels.com/photo/man-in-brown-shirt-writing-on-noteb ook-3202028/ 引用:概説 テスト分析 例題

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例題 あなたが考えた ● テスト内容 ● 気になった内容 ● 起こりそうなバグ を書いてください。 ※何個でもOK! ● パスワードは4文字以上12文字以下の 英数字のみを許容する。 ● パスワードを3分以内に4回以上 間違って入力すると、 アカウントを5分間ロックする。 https://www.pexels.com/photo/man-in-brown-shirt-writing-on-noteb ook-3202028/ 引用:概説 テスト分析

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回答例 パスワードは4文字以上12文字以下の 英数字のみを許容する。 パスワードを3分以内に4回以上間違って入力すると、 アカウントを5分間 ロックする。 文字列長 文字種 誤入力期間 誤入力回数 ロック保持期間 状態遷移

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回答例 パスワードは4文字以上12文字以下の 英数字のみを許容する。 パスワードを3分以内に4回以上間違って入力すると、 アカウントを5分間 ロックする。 文字列長 文字種 誤入力期間 誤入力回数 ロック保持期間 状態遷移 許容しないとどうなる? (ボタン制御orエラー画面) 5回目の入力はどうなる?

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設計・開発時点

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テスト時点

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テスト時点 追加コストが発生!

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回答例 パスワードは4文字以上12文字以下の 英数字のみを許容する。 パスワードを3分以内に4回以上間違って入力すると、 アカウントを5分間 ロックする。 文字列長 文字種 誤入力期間 誤入力回数 ロック保持期間 状態遷移 許容しないとどうなる? (ボタン制御orエラー画面) 5回目の入力はどうなる?

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伝えたいこと ● 隣の人はあなたが気づかなかったことを 知っていませんでしたか? ○ お互いにテスト内容についても議論しましょう! ●

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伝えたいこと ● 隣の人はあなたが気づかなかったことを 知っていませんでしたか? ○ お互いにテスト内容についても議論しましょう! ● この例では1文字もプログラムを書いていません! ○ 実装前にテストすることができる例です。 ○ もしもこの時点で指摘できれば 総コストは削減できるでしょう。 ■ 今回の場合、「許容する」をこの時点で 話し合うと、ほぼ不具合が発生しません。

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テストの目的とは何か?(再掲) ● 欠陥の検出 ● 対象ソフトウェアの品質レベルが十分なことの確認 ● 意思決定のための情報の提示 ● 欠陥の作り込みの防止 実装前に行うこともある テストの7原則①テストは「欠陥がある」ことしか示せない
 ISTQBテスト技術者資格制度 Foundation Level シラバス 日本語版 Version 2011.J02より http://jstqb.jp/dl/JSTQB-SyllabusFoundation_Version2011.J02.pdf

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仕様誤りの修正コスト 要求仕様 設計 実装 テスト リリース後 1倍 5倍 10倍 20倍 200倍! 出典: Alan M. Davis. ソフトウェア開発 201の鉄則. 日経BP社 修正コストを下げるには…(2) 早い段階で不具合を発見する なぜ実装前にテスト・レビューをするのか(再掲)

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機能を作る≠顧客へ価値を提供する https://www.ipa.go.jp/files/000045962.pdf#page=13

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使用性の例 次の画像を見て判断してください。 化粧室に行くには、 左折、直進、右折の どの方向へ行けば良い?

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使用性の例 化粧室に行くには、 左折、直進、右折の どの方向へ行けば良い?

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使用性の例 面白いデザインだ! 採用! 看板作成者 どこに何があるのか 分からない! 利用者

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使用性の例 並び変えるだけでも 分かりやすくなる https://note.openvista.jp/2011/redesigning-shinjuku-building-sign

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「何をテストすべきか」で伝えたいこと ● 実装前に考えられるテストは存在する ○ 例えば設計レビューの場で 「こういうテストを考えています」 という話も聞けると良いな ● 「機能を作る」と「顧客へ価値を提供する」は 同義ではない ○ 機能を作ることに没頭せず、 顧客が本当に欲しい物が何かを考えましょう

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どうやって テストケースを 作るのか https://jp.freeimages.com/photo/check-list-1150080

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例題:何個の選択肢をテストする? 都道府県の項目についてテストする場合、 どんな値を使ってテストしますか? 何個の選択肢をテストしますか?

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テスト実行するまでの過程 テスト 分析 テスト 設計 テスト 実装 テスト 実行 テストプロセス(JSTQBより) 参考:ISTQBテスト技術者資格制度 Foundation Level シラバス 日本語版 Version 2018V3.1.J02 何をテスト するか それをどう テストするか テストの実行に 必要なものすべて を準備したか テストスイート を実行する

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テストケース作成の心得 テストケース作成者「○○○のテストをします!」 司会者「ほぉ~、それはどうしてだい?」 テストケース作成者「【理由を一言】」

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答え(その1) プルダウンの一番下の値を使う(沖縄県) →プルダウン内のスクロール、配列エラー確認(i[47])

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答え(その2) 都・道・府・県の4つを使う (東京都、北海道、大阪府、神奈川県) →以下のように、印刷物に丸印を反映させる場合  都道府県それぞれの値でテストすべき

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答え(その3) 文字数が3文字と4文字の選択肢を使う (東京都、神奈川県) →以下の確認画面のように、文字数による崩れを  見つけたい場合、文字数の違う値でテストすべき

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答え(その4) 各地域の選択肢を使う →例えば地域によって価格が異なる場合、  価格ごとにテストすべき

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答え(その5) すべての選択肢を行う →switch文で分岐の場合、全選択肢をテストすべき switch(area){ case “北海道”: // 何らかの処理 break; case “青森県”: // 何らかの処理 break; …

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テストケース名にも役立つ @Test public void _青森県の場合{ } @Test public void _広島県の場合{ }

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テストケース名にも役立つ @Test public void _青森県の場合{ } @Test public void _広島県の場合{ }

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テストケース名にも役立つ @Test public void _東北地方の場合送料が1000円{ assertThat(calcShipingCost(“青森県”), is(1000)); } @Test public void _中国地方の場合送料が510円{ assertThat(calcShipingCost(“広島県”), is(510)); }

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テストケース名にも役立つ @Test public void _東北地方の場合送料が1000円{ assertThat(calcShipingCost(“青森県”), is(1000)); } @Test public void _中国地方の場合送料が510円{ assertThat(calcShipingCost(“広島県”), is(510)); } ハイレベルテストケース ローレベルテストケース

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テストケースはいくつ? ● テストケースは時間があれば無限にできる。 ● サンプリング方法としてテスト設計技法がある。 ○ テストケースを合理的に少なくするための技法 ■ 同値分割法、AllPair法 ○ 多くの欠陥が見つかるようにするための技法 ■ 境界値分析、エラー推測、探索的テスト ○ ある観点で漏れなくテストするための技法 ■ カバレッジ、デシジョンテーブル、 状態遷移、ユースケーステスト

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境界値分析 https://jp.freeimages.com/photo/linux-login-1497422

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テストケースはいくつ? パスワードは4文字以上12文字以下 1文字、2文字、3文字…100文字 テストの7原則②全数テストは不可能 膨大な数の テストケース

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テストケース作成の心得 テストケース作成者「○○○のテストをします!」 司会者「ほぉ~、それはどうしてだい?」 テストケース作成者「【理由を一言】」

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12 4 有効 無効 無効 3 13 境界値分析で考える パスワードは4文字以上12文字以下

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境界値分析で考える 「パスワードが4文字以上12文字以下」で なぜ3,4,12,13をテストするのか? if( x < 3 ){ return “入力したパスワードが短いです”; }

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境界値分析で考える 「パスワードが4文字以上12文字以下」で なぜ3,4,12,13をテストするのか? if( x < 3 ){ return “入力したパスワードが短いです”; } 上記の例で、不等号のミスによる不具合を 発見できるのは、3の時だけ!

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カバレッジは100%だけど… public boolean judge (int x) { if( x < 3 ){ return false; } else if( x > 13 ){ return false; } return true; } @Test public void test_short_password{ assertThat( judge(2), is(false)); } @Test public void test_long_password{ assertThat( judge(15), is(false)); } @Test public void test_valid_password{ assertThat( judge(7), is(true)); }

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カバレッジは100%だけど… public boolean judge (int x) { if( x < 3 ){ return false; } else if( x > 13 ){ return false; } return true; } @Test public void test_short_password{ assertThat( judge(2), is(false)); } @Test public void test_long_password{ assertThat( judge(15), is(false)); } @Test public void test_valid_password{ assertThat( judge(7), is(true)); }

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カバレッジは100%だけど… public boolean judge (int x) { if( x < 3 ){ return false; } else if( x > 13 ){ return false; } return true; } @Test public void test_short_password{ assertThat( judge(2), is(false)); } @Test public void test_long_password{ assertThat( judge(15), is(false)); } @Test public void test_valid_password{ assertThat( judge(7), is(true)); }

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カバレッジは100%だけど… public boolean judge (int x) { if( x < 3 ){ return false; } else if( x > 13 ){ return false; } return true; } @Test public void test_short_password{ assertThat( judge(2), is(false)); } @Test public void test_long_password{ assertThat( judge(15), is(false)); } @Test public void test_valid_password{ assertThat( judge(7), is(true)); }

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カバレッジは100%だけど… public boolean judge (int x) { if( x < 3 ){ return false; } else if( x > 13 ){ return false; } return true; } @Test public void test_short_password{ assertThat( judge(2), is(false)); } @Test public void test_long_password{ assertThat( judge(15), is(false)); } @Test public void test_valid_password{ assertThat( judge(7), is(true)); }

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12 4 有効 無効 無効 3 13 欠陥は局所的に発生する パスワードは4文字以上12文字以下 テストの7原則④欠陥の偏在

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12 4 有効 無効 無効 3 13 もう1箇所テストできるならば… パスワードは4文字以上12文字以下 テストの7原則④欠陥の偏在

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12 4 有効 無効 無効 3 13 0文字はnull処理などの可能性がある パスワードは4文字以上12文字以下 テストの7原則④欠陥の偏在 0

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「どうやってテストケースを作るのか」で伝えたいこと ● 全てを闇雲にテストすると膨大なケース数と時間が 発生するが、その数を削減できる手法がある ● そのテストを行う理由をテストケース名にする ● テストを考えることで、 仕様に書かれていない内容に気づくことができる

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QAはどのように 開発者と一緒に 仕事をするのか https://www.pexels.com/photo/woman-in-black-coat-1181346/

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QAチームは何をするの? これだけテストが充実できれば QAチームは必要ないのでは?

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QAチームは何をするの? これだけテストが充実できれば QAチームは必要ないのでは? →ここまでの発表以外にQAは、 1. システムテストレベルを見たい! 2. CheckingではなくTestingを行いたい! 3. テスト以外も行いたい! ※QAチームが無い場合、誰かor全員が担うべき

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QAはシステムテストレベルを見たい! ● 単体テスト(モジュールテスト) ○ 商品の個数欄にマイナスの数値を入力できない。 ● 結合テスト ○ カートに3個入っていて、2個追加したら、 確認ページで5個になった。 ● システムテスト ○ 会員登録→商品購入→商品キャンセル→退会の 一連の流れ。 EC サイト の例

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QAはシステムテストレベルを見たい! ● 単体テスト(モジュールテスト) ○ 商品の個数欄にマイナスの数値を入力できない。 ● 結合テスト ○ カートに3個入っていて、2個追加したら、 確認ページで5個になった。 ● システムテスト ○ 会員登録→商品購入→商品キャンセル→退会の 一連の流れ。 QAチームは ここをやりたい!

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QAはシステムテストレベルを見たい! ● 単体テスト(モジュールテスト) ○ 商品の個数欄にマイナスの数値を入力できない。 ● 結合テスト ○ カートに3個入っていて、2個追加したら、 確認ページで5個になった。 ● システムテスト ○ 会員登録→商品購入→商品キャンセル→退会の 一連の流れ。 開発者は ここをやりきって!

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QAはシステムテストレベルを見たい! ● 単体テスト(モジュールテスト) ○ 商品の個数欄にマイナスの数値を入力できない。 ● 結合テスト ○ カートに3個入っていて、2個追加したら、 確認ページで5個になった。 ● システムテスト ○ 会員登録→商品購入→商品キャンセル→退会の 一連の流れ。 QAが担当せずに 開発者が全てやるのもあり

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QAはTestingをしたい! https://www.infoq.com/jp/news/2009/12/testing-or-checking

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QAはTestingをしたい! https://www.infoq.com/jp/news/2009/12/testing-or-checking Checking
 意図通り動くか確認する作業
 
 Testing
 なんとかして製品を破壊する作業
 TDDで書くテストは ほとんどchecking

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QAチームはテスト以外も行いたい! 私の 経験

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QAチームはテスト以外も行いたい! https://www.amazon.co.jp/dp/B07YR4CC4B

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Agile Testing Condensedの例 ● QA=「Question Asker」という考え方 ○ 誰も質問しないと思う質問を定期的に出す ○ 自由回答形式の質問もする ■ 隠れた仮定が明らかになる ■ 質問例 ● 実装しても問題解決できない 可能性はあるか? ● 機能の使用前にユーザーは何をするか? ● その後、ユーザーは何をするか?

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QAチームはテスト以外も行いたい! https://www.amazon.co.jp/dp/B00IE3B522/

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GmailチームのTE(Test Engineer)の例 ● 最初の数週間は話を聞くために費やし、 自分からは話しません。 ● 私は最初の5分で抗生物質を処方する医者 のような人とは働きたくありません。 ● 長年のうちに、もっとも強力な問いは 「なぜ?」だということを学びました。 話を聞く段階でもそこのところを聞きます。 (アンキットメータへのインタビューより)  

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QAチームはテスト以外も行いたい! 私の 経験

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開発者に質問を投げかける 開発者に一番多く投げかける質問 ● 「で、これで何をしたいんだっけ?」 ● 「ごめん、ちゃんと理解できてないから、 この部分をもう一度説明してもらっていい?」

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開発者に質問を投げかける 開発者に一番多く投げかける質問 ● 「で、これで何をしたいんだっけ?」 ○ HowからWhatに立ち返ることができる ● 「ごめん、ちゃんと理解できてないから、 この部分をもう一度説明してもらっていい?」 ○ もっと詳しく説明してくれる ○ 抜けてるパターンを開発者自身が気付ける

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モブプロ体験会での出来事

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モブプロ体験会のお題 ● 題材は自動販売機 ● Cucumber + JUnit ● 与えられた要求は下記の3つ ○ 100円硬貨を入れたら 入金額が100円になってほしい ○ 100円硬貨を入れた後に50円硬貨を入れたら 入金額が150円になってほしい ○ 1円硬貨は対応しないでほしい

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モブプロ体験会の結果 Scenario: 入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 Then 100円が入金されている Scenario: 入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 And 50円を入金 Then 150円が入金されている Scenario: 入金額確認 Given 自動販売機がある When 1円を入金 Then 0円が入金されている public class VendingMachine { int currentMoney = 0; public void insertCoin(int money) { if (money == 50 || money==100) { currentMoney += money; } } public int getCurrentMoney() { return currentMoney; } }

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テストシナリオをさらに改善する Scenario: 入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 Then 100円が入金されている Scenario: 入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 And 50円を入金 Then 150円が入金されている Scenario: 入金額確認 Given 自動販売機がある When 1円を入金 Then 0円が入金されている

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テストシナリオをさらに改善する Scenario: 入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 Then 100円が入金されている Scenario: 入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 And 50円を入金 Then 150円が入金されている Scenario: 入金額確認 Given 自動販売機がある When 1円を入金 Then 0円が入金されている すべてシナリオ名が
 『入金額確認』になってますね。
 同じ名前はどうかと思うので
 変えたほうが良い気がしてます。
 なるほど。
 そしたらこんな感じですかね。
 (テストシナリオを編集する)


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テストシナリオをさらに改善する Scenario: 1回投入時の入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 Then 100円が入金されている Scenario: 2回投入時の入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 And 50円を入金 Then 150円が入金されている Scenario: 使用不可の硬貨投入 Given 自動販売機がある When 1円を入金 Then 0円が入金されている すべてシナリオ名が
 『入金額確認』になってますね。
 同じ名前はどうかと思うので
 変えたほうが良い気がしてます。
 なるほど。
 そしたらこんな感じですかね。
 (テストシナリオを編集する)


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テストシナリオをさらに改善する Scenario: 1回投入時の入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 Then 100円が入金されている Scenario: 2回投入時の入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 And 50円を入金 Then 150円が入金されている Scenario: 使用不可の硬貨投入 Given 自動販売機がある When 1円を入金 Then 0円が入金されている なるほど。ちなみに、
 2つ目のテストの意図って
 なんですかね?
 コインを1回だけではなく、
 2回投入した時にも
 ちゃんと動くか確認したい
 という意図です。


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テストシナリオをさらに改善する Scenario: 1回投入時の入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 Then 100円が入金されている Scenario: 2回投入時の入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 And 50円を入金 Then 150円が入金されている Scenario: 使用不可の硬貨投入 Given 自動販売機がある When 1円を入金 Then 0円が入金されている なるほどー。
 そしたら『2回投入時』と
 書いていますが、
 3回目はどうなるのでしょうか?
 3回目は2回目と同じく、
 加算されていく仕組みなので、
 ロジック上は大丈夫です。


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テストシナリオをさらに改善する Scenario: 1回投入時の入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 Then 100円が入金されている Scenario: 2回投入時の入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 And 50円を入金 Then 150円が入金されている Scenario: 使用不可の硬貨投入 Given 自動販売機がある When 1円を入金 Then 0円が入金されている ということは、気にしているのは
 2回投入の金額ではなく、
 複数回の投入時の加算
 なんですね。
 あー、確かにそうですね。
 (テストシナリオを編集する)


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テストシナリオをさらに改善する Scenario: 1回投入時の入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 Then 100円が入金されている Scenario: 複数回投入時の入金加算額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 And 50円を入金 Then 150円が入金されている Scenario: 使用不可の硬貨投入 Given 自動販売機がある When 1円を入金 Then 0円が入金されている ということは、気にしているのは
 2回投入の金額ではなく、
 複数回の投入時の加算
 なんですね。
 あー、確かにそうですね。
 (テストシナリオを編集する)


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数年後、テストの意図が分かるのはどっち? Scenario: 入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 Then 100円が入金されている Scenario: 入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 And 50円を入金 Then 150円が入金されている Scenario: 入金額確認 Given 自動販売機がある When 1円を入金 Then 0円が入金されている Scenario: 1回投入時の入金額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 Then 100円が入金されている Scenario: 複数回投入時の入金加算額確認 Given 自動販売機がある When 100円を入金 And 50円を入金 Then 150円が入金されている Scenario: 使用不可の硬貨投入 Given 自動販売機がある When 1円を入金 Then 0円が入金されている

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質問をすることで得られるメリット テストのメンテナンスコストの削減 顧客が本当に必要だったものが何か 立ち返る機会を持つ https://speakerdeck.com/twada/tdd-live-and-workshop- 2019-spring?slide=16 https://www.casleyconsulting.co.jp/blog/engineer/4334/

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質問をするテスト活動の事例 https://speakerdeck.com/nihonbuson/example-mapping https://speakerdeck.com/nihonbuson/tddbc-2020-online-lt https://speakerdeck.com/nihonbuson/testing-is-the-creative-activity

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シフトレフトのテスト活動 継続的テストモデル(改)

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テストの勉強方法 (時間があれば) https://jp.freeimages.com/photo/reading-1420126

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こんな質問が多い どうやってテストの勉強を すれば良いの? テストの勉強ができる オススメの書籍が知りたい!

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「何をテストすべきか」でオススメの書籍 https://www.amazon.co.jp/dp/4297105063/ 2019/4/13 改訂版発売!

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「どうやってテストケースを作るのか」でオススメの書籍 https://www.amazon.co.jp/dp/4817193603 https://www.amazon.co.jp/dp/429711061X/

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「シフトレフトのテスト活動」でオススメの書籍 https://leanpub.com/agiletesting-condensed-japanese-edition

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最新のテスト情報収集ならJaSSTがオススメ! ● 日本最大級のテストのイベント ○ JaSST'19 Tokyoは2日間で1600名が参加 ● 年に10回、各地で開催 ● 2018年から新たにJaSST Reviewも開催 ○ 実行委員長は私 http://www.jasst.jp/

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テストを実践して学ぶならWACATEがオススメ! ● 1泊2日のワークショップ形式のイベント ● 2007年初開催 ● 半年に1度開催(6月と12月) ● 新卒1年目の開発・QAも多く参加 ● 参加費は24,000円(35歳以上は27,000円) https://wacate.jp/

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まとめ https://jp.freeimages.com/photo/bright-sky-1393231

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まとめ ● テストの目的は欠陥の検出以外に 欠陥の未然防止がある ● テストには実装開始前に行う活動もある ● 早期のテスト活動でコストを削減できる ● テストすべき内容には、 仕様書に書かれていない内容や品質特性などがある ● QAは様々なテスト活動を行いたい

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おしまい https://jp.freeimages.com/photo/track-finish-1442273