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健也君は、技術部の連中と『できる。できない』
という議論をしょっちゅうやっていた。健也君が
技術部で『こんな物をつくろう』という話をする
けれども、技術部の連中は「そんなこと言ったっ
て、できそうもないじゃないか」と反論する。し
かし、見込みがないことを言うような健也君では
ないから「君たちはできそうもないと言うけれど、
俺はつくる」と一歩も引かない。そういうことを
言えるようにしておこうというのが主査の始まり
です。目的のためには、技術部でも車体工場でも
仕事ができて、足らないところを補ってやるとい
う役割をもった職制、すなわち主査というものを
こしらえたほうがうまく進むだろう。健也君はそ
ういうことができる。豊田英二『主査 中村健也』