Slide 1

Slide 1 text

フロントエンドの品質保証は AI に任せられるか? ーパラダイムシフトを乗りこなす開発組織の思考法ー Teppei YAMAGUCHI @ AI-Ready Frontend Quality - Web Frontend Night

Slide 2

Slide 2 text

自己紹介: Teppei YAMAGUCHI 自己紹介 株式会社 LayerX 所属 兼 個人事業主 テスター、コーチ、コンサルタント、プログラマー LayerX では、プロダクトのテスターをおこないつつ、事業部全体 の自動テスト環境や品質可視化の構築・整備も担当 出版 『ソフトウェアテストをカイゼンする 50 のアイデア』 『Fearless Change』 コミュニティワーク Regional Scrum Gathering Tokyo 実行委員 SQiP 研究会 分科会 4「アジャイルと品質」アドバイザー テスト自動化研究会 お世話係 © LayerX Inc. 2 / 12

Slide 3

Slide 3 text

今日お話しすること © LayerX Inc. フロントエンドの品質保証はAIに任せられるか? 本日は「技術」ではなく「思考」の話をします あくまで現時点での技術やツールをベースとした話をします(将来にわたってはわかりま せん) 3 / 12

Slide 4

Slide 4 text

話に出やすい「品質」は氷山の一角 フロントエンドの品質保証はAIに任せられるか? 水面上(見える部分) バグの有無 機能要件 UI 水面下(見えにくい部分) メンテナンス性 パフォーマンス UX セキュリティ 機能提供の適時性 他多数 © LayerX Inc. 4 / 12

Slide 5

Slide 5 text

AI がもたらす品質の「不可視化」 © LayerX Inc. フロントエンドの品質保証はAIに任せられるか? AI が示したやり方や書いたコードは、水面上の品質は満たしていても、水面下の「意 図」や「設計思想」が失われがち 5 / 12

Slide 6

Slide 6 text

AI 時代になったら「品質保証」の何かが変わるのか? © LayerX Inc. フロントエンドの品質保証はAIに任せられるか? 現時点では、従来通りのやり方では品質が悪化する可能性が高い 前ページで述べたとおり、コードの「意図」や「設計思想」が失われがち AI によるコード生成がおこなわれているが、大量なコードを隅から隅までレビューすることは、人は面倒でやり たがらない。従来は、大筋問題ないことを前提として人がレビューをしているが、AI によるコード生成ではその 前提が崩れる 従来の品質保証活動の 本質的な部分(WHY)は変わらない。変わるのは、AI が介入す る具体的な手法(HOW)と、それに伴う人間の役割 です 6 / 12

Slide 7

Slide 7 text

AI 時代の 3 つの思考軸 © LayerX Inc. フロントエンドの品質保証はAIに任せられるか? フロントエンドの品質をどう定義するか? どのように品質保証活動を設計するか? AI をどう活用するか? 7 / 12

Slide 8

Slide 8 text

思考軸 1:フロントエンドの品質をどう定義するか? 品質はバグの有無だけではありません より広い視点から品質を再定義しましょう © LayerX Inc. フロントエンドの品質保証はAIに任せられるか? 生成されたコードがチームの品質基準に見合うか? 将来の技術的負債にならないか? 優れた体験となるか? 8 / 12

Slide 9

Slide 9 text

思考軸 2:どのように品質保証活動を設計するか? 品質保証は多面的な活動で構成される ものであり、最終的には人間が決める必要があります テストは、品質保証活動の一部であり、それだけでは不十分です © LayerX Inc. フロントエンドの品質保証はAIに任せられるか? お客様の要望や自分達が何をお客様に届けたいか?それをどのように確認するか? 自分達が作ったものをどのように評価するか? 例えば、コード生成している方はコーディングに費やしていた時間をレビューに回しているはず リリース後のお客様の評価や要望をどのように確認するか? 9 / 12

Slide 10

Slide 10 text

思考軸 3:AI をどう活用するか? AI は単なるコード生成ツールではありません。 AI を 「意思決定を支援するパートナー」 として使いこなしましょう © LayerX Inc. フロントエンドの品質保証はAIに任せられるか? 品質保証活動のブレインストーミング テストケースのエッジケースの洗い出し 設計の選択肢の提示 10 / 12

Slide 11

Slide 11 text

思考の下地として:リーダーシップと組織文化 © LayerX Inc. フロントエンドの品質保証はAIに任せられるか? 新しい技術に挑戦できる心理的安全性を確保する AI による「思考停止」を避ける 常に 「なぜ?」 と問い続ける文化を育む 11 / 12

Slide 12

Slide 12 text

まとめ © LayerX Inc. フロントエンドの品質保証はAIに任せられるか? AI の普及は、自組織の品質保証活動を再定義するタイミングです 現時点では大きく変わらないものの、意思決定の改善や作業のショートカットは行われる可能性があります 最終的な品質への責任は常に人間が持つ AI を使いこなすための羅針盤を自身で持つ 12 / 12