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© Findy Inc. 1 〜 AIと開発者の共創 〜 エージェント時代における AIフレンドリーなDevOpsの実践 2025.04.16 ファインディ株式会社 プロダクト開発部 ⼤⽯ 貴則

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© Findy Inc. 2 ⽬次 ● はじめに ● AIの実情と進化 ● AI活⽤によるDevOps加速の原理 ● 開発プロセスの変⾰事例 ● 既存コードベース最適化の事例 ● 効果測定と改善サイクルの構築 ● 今後の展望とまとめ

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© Findy Inc. 3 このセッションでお伝えすること ● AIを活⽤したDevOpsの実践 ● 既存コードベースの改善⼿法 ● AIとの新たな協働モデル ● 効果測定⼿法 ● 実践に活かせる知⾒ ➔ 具体的なAIの活⽤⼿法と実装する⽅法を学び ご⾃⾝の現場ですぐ役⽴てられる知⾒を得る。

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© Findy Inc. 4 @bicstone_me ⼤⽯ 貴則 OISHI Takanori 登壇者紹介 ● SaaSが⼤好きなWebエンジニア ● TypeScript / Ruby / PHP / Python / Dart ● Certified ScrumMaster ® Certified ScrumMaster® is a certification mark of Scrum Alliance, Inc. Any unauthorized use is strictly prohibited. @oishi.takanori @bicstone

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© 2024 Findy Inc. 挑戦するエンジニアの プラットフォームをつくる。 ビジョン つくる⼈がもっとかがやけば、 世界はきっと豊かになる。 経営理念 会社概要 会社名 ファインディ株式会社 / Findy Inc. 代表取締役 ⼭⽥ 裕⼀朗 設⽴ 2014 年 2 ⽉ ※ 本格的な事業開始は2016年7⽉ 社員数 297 名 資本⾦ 18 億 5,043 万円 ※ 資本準備⾦含む 住所 東京都品川区大崎1-2-2 アートヴィレッジ大崎セントラルタワー 5階 事業許可番号 13-ユ-308478 サービス ‧ スカウト型リクルーティングサービス「Findy」 ‧ ハイスキルな業務委託エンジニア紹介サービス「Findy Freelance」 ‧ エンジニア組織⽀援SaaS「Findy Team+」 ‧ 開発ツールに特化したレビューサイト「Findy Tools」 投資家 グローバル‧ブレイン、ユナイテッド、SMBCベンチャーキャピタル、KDDI、JA三 井リース、みずほキャピタル、博報堂DYベンチャーズ、Carbide Ventures、等

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挑戦するエンジニアの プラットフォームをつくる。 テクノロジーによる社会変⾰の時代に最も必要なことは、エンジニアの可能性を拡げることです。 Findyは、アルゴリズムとヒューマニティの融合によって、 すべてのエンジニアが不安なく挑戦できる世界共通のプラットフォームをつくります。 個⼈のチャンスを⽣み出し、組織の⽣産性を向上させ、社会の⼈材資産を好循環させる。 エンジニアプラットフォームが、デジタル社会の発展を加速していきます。 ビジョン © Findy Inc. 6

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© Findy Inc. AIの実情と進化 8

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© Findy Inc. 9 ⽣成AIについて 引⽤元: 三菱総合研究所 「時代は⽣成AIからAIエージェントへ」https://www.mri.co.jp/knowledge/opinion/2024/202412_1.html ● 膨⼤なデータを学習した⼤規模 ⾔語モデル(LLM)により、 コンテンツを⽣成するAI ● 画像‧⾳声‧動画などに対応する マルチモーダル化も進んでいる ● 2022年にChatGPTが登場し 第4次AIブームを引き起こした

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© Findy Inc. 10 AIエージェントの台頭 ● 指⽰に対して⾃律的に作業を計画 し実⾏し複雑な問題を解決するAI ● 2023年にAutoGPT‧BabyAGI が登場し次なる技術⾰新として注⽬ ● ⽣成AIの基盤を持ちながら、⾃律的 なタスク実⾏能⼒を備えた エージェントAIが増えてきている 引⽤元: 三菱総合研究所 「時代は⽣成AIからAIエージェントへ」https://www.mri.co.jp/knowledge/opinion/2024/202412_1.html

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© Findy Inc. 11 DevOpsにおけるAIの活⽤ 引⽤元: Autify, Inc. 「AIを活⽤したソフトウェア開発ツール カオスマップ 2024年最新版」 https://blog.autify.jp/article/chaos-map-of-ai-powered-software-development-tools-2024

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© Findy Inc. AI活⽤によるDevOps加速の原理 12

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© Findy Inc. 13 DORA Research: Artificial Intelligence から⾒るAIの活⽤ ● 「LeanとDevOpsの科学」の著者が設⽴した 調査機関 “DORA” と” Google Cloud” による 研究レポート ● ソフトウェア開発における運⽤と実践につい て科学的に調査‧分析 ● パフォーマンスに影響を与える技術的能⼒の ⼀つとしてAIが取り上げられた ➔ AIは「遠い未来のもの」ではなく、定着する 認識が広がっていることが⽰唆された 引⽤元: "DORA Report - Impact of generative AI in software development" by Google LLC

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© Findy Inc. 14 組織におけるAIの導⼊ ● 回答組織の81%がAI組み込みの 優先順位を⾼めたと回答 ● 業界による依存度の差は統計的 には⾒られなかった ● 組織の規模が⼤きいほどAIへの 依存度が低い ● 回答者の78%が所属先における AIの利⽤計画についての説明は 透明性を持つと回答 引⽤元: “Accelerate State of DevOps 2024” by Google LLC

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© Findy Inc. 15 個⼈におけるAIの導⼊ ● 回答者の75%が少なくても 業務の⼀部をAIに依存 ● コードの作成と情報の要約で 最も利⽤が多い ● データサイエンティストや 機械学習スペシャリスト においてはAIに依存する傾向 ● ハードウェアエンジニアは 依存する傾向が低い 引⽤元: “Accelerate State of DevOps 2024” by Google LLC

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© Findy Inc. 16 AIによるパフォーマンスの向上 引⽤元: “Accelerate State of DevOps 2024” by Google LLC ● 回答者の75%がAIによって ⽣産性が向上したと回答 ● 回答者の5%が⽣産性が 低下したと回答 ● セキュリティスペシャリスト‧ システム管理者‧フルスタック エンジニアで特に⽣産性が ⼤きく向上

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© Findy Inc. 17 AI⽣成コードへの信頼 引⽤元: “Accelerate State of DevOps 2024” by Google LLC ● 87%がAI⽣成コードの品質に ある程度の信頼を寄せている ● ⼀⽅で少し信頼が27%、 全く信頼せずが11.9% ● ⽣産性は向上するものの、 全体的には信頼性が低い ● 既存のDevOpsや品質保証 プロセスで保護する必要性

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© Findy Inc. ● AIの導⼊が25%進むごとに 組織のパフォーマンスは 2.3%増加 ● チームのパフォーマンスは 1.4%の増加 ● 製品のパフォーマンスには 影響が⾒られない ● 創造性やUXなど⼈の直感が 求められるからだと推測 18 AIがアウトカムに与える影響 引⽤元: “Accelerate State of DevOps 2024” by Google LLC

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© Findy Inc. ● AIの導⼊が25%進むごとに デリバリーパフォーマンスは 推定1.5%低下 ● デリバリーの安定性は 推定7.2%低下 ● AIよりバッチサイズが⼤きく ことが原因と推測 ● タスクの粒度を⼩さくしたり DevOpsによる保護が重要 19 AIがデリバリーパフォーマンスに与える影響 引⽤元: “Accelerate State of DevOps 2024” by Google LLC

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© Findy Inc. 開発プロセスの変⾰事例 20

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© Findy Inc. 21 ファインディでの⽣成AI活⽤ ● GitHub Copilot を2023年から導⼊ ● カスタムインストラクションを整理 ● 2025年には利⽤率90%が以上に

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© Findy Inc. 22 ファインディでの⽣成AI活⽤ ● 2023年から⽣成AIをプロダクトに組み込み ● アクティブユーザー数を向上させる取り組みとして成功 ● ⽣成AIに対する知⾒が社内に増加

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© Findy Inc. 23 ファインディでのRAG活⽤ ● 2024年からDifyを⽤いたチャットBOTを社内に展開 ● 社内問合せ⼯数やオンボーディング⼯数削減に貢献

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© Findy Inc. 24 AIエージェントの活⽤ ● Devin‧GitHub Copilot Agent Mode‧Cursor‧Cline を 同時に試し、社内の知⾒を積み重ね

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© Findy Inc. 既存コードベース最適化の事例 25

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© Findy Inc. 26 既存のコードベースを最適化する必要性 ● AIはコンテキストを基に学習して提案を⾏う性質 ○ 効果は既存のコードベースの品質と関連している ● 既存のコードベースを最適化することで、価値を最⼤源に発揮す ることが可能 ○ AIと⼈による開発者が共創する時代において、共にフレンド リーなコードベースにするための最適化が必要 ➔ 5つの観点からファインディが最適化した事例を紹介

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© Findy Inc. 27 ドキュメンテーションの充実 ● 規約‧アーキテクチャなどをテキストで⽤意 ○ これらをリポジトリ内に保存しておくことで、コンテキスト として参照される ● ナレッジが分散したり古かったりすると、AIの精度が低下 ● 特にAPIドキュメント(Open API, GraphQLスキーマ)は必須 ● MCP Serverを活⽤して、さらなるコンテキスト取得に期待 ➔ プロジェクトに応じた精度の⾼いアウトプットが実現

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© Findy Inc. 28 カスタムインストラクション ● AIにコンテキストやルールを教えるための設定 ○ .github/copilot-instructions.md .clinerules など ● リポジトリにコミットして関係者全員で共有 ● プロンプトで指定せずともAIが事前情報として読み込まれる ○ 使うユーザー側は意識する必要なし ● ドメイン知識、コーディング規約などを設定 ➔ プロンプトで指⽰不要になり安定したアウトプットが実現

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© Findy Inc. 29 統⼀されたコーディング規約 ● 既存コードベースの命名規則やロジックを統⼀ ● AIのアウトプットに⼀貫性が⽣まれる ○ AIが既存のコードベースを⾒つけられやすくなる ○ 既存のコードベースを再利⽤しやすくなる ○ ファイルや実装の探索が迅速になる ○ 曖昧なプロンプトでも理解されやすくなる ➔ 既存と⼀貫性を持ったアウトプットが実現

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© Findy Inc. 30 不要なドキュメント‧コードの削除 ● 不要なコードベースはなるべく早く削除する ● AIが不要なコードベースも同じく把握してしまう ○ これらの情報がコンテキストとして参照される ○ これらの情報を元に出⼒されてしまうことがある ● ⼈間にとっても古いコードベースは混乱の元 ● リファクタを積極的に⾏うことでこれらを回避可能 ➔ 新鮮なコードベースを元にしたアウトプットが実現

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© Findy Inc. 31 プロンプトを記録 ● 成功事例‧失敗事例問わずに使ったプロンプトを社内に記録 ○ Pull requestやドキュメントなどに記録 ● プロンプトがわかるメリット ○ レビュアーが変更内容とプロンプトの⼀致を確認可能 ● プロンプトが残るメリット ○ 機能追加や修正時にプロンプトを使い回すことが可能 ➔ 社内への知⾒の積み上げが実現

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© Findy Inc. 効果測定と改善サイクルの構築 32

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© Findy Inc. 33 ツールを⽤いた定量的な分析 ● Findy Team+ などのツールでFour Keysを週次で計測 ● デプロイ頻度 / 変更のリードタイム / 変更障害率 / 平均修復時間 画像はイメージで実際のデータではありません。

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© Findy Inc. 34 ツールを⽤いた定量的な分析 ● 変更のリードタイムは短縮する場合が多い ● デプロイ頻度の低下‧変更障害率の増加に注意 画像はイメージで実際のデータではありません。

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© Findy Inc. 35 ツールを⽤いた定量的な分析 ● Backlog, JIRA, Findy Team+ などのツールを⽤いる ● アウトプット増加がアウトカム最⼤化に繋がっていくのか計測 画像はイメージで実際のデータではありません。

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© Findy Inc. 36 ツールを⽤いた定量的な分析 ● Findy Team+ 等のツールでAI導⼊後の開発者体験(DevEx)を計測 ● SPACEフレームワークに基づいたチームサーベイ 画像はイメージで実際のデータではありません。

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© Findy Inc. 37 ツールを⽤いた定量的な分析 ● AI導⼊による負荷や燃え尽きなどを検出 ● AI導⼊でバッチサイズが増えるなどの課題を検出 画像はイメージで実際のデータではありません。

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© Findy Inc. 今後の展望とまとめ 38

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© Findy Inc. 39 今後の展望 ● MCPを活⽤して既存のナレッジをAIフレンドリーにすることで、 開発の加速を実現 ● ファインディ社内でMCP Serverを作成している事例 ○ 社内ドキュメントツールと連携し、コンテキストを与える ○ Figmaと連携し、デザインからコードを起こす ○ GitHubと連携し、レビューコメントから傾向を分析 ○ Sentryと連携し、コードベースからエラーの原因を特定 ○ など…

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© Findy Inc. 40 まとめ ● AIは⽇々進化を続けており、様々なアプローチが登場 ● ⾃律的にタスクを遂⾏する「エージェントAI」が台頭 ● AIの精度を上げるために既存のコードベースの最適化が必要 ● AI導⼊前後の開発者体験や定量的なスコアの注視が重要 ● とにかく試すことで、知⾒を積み上げ今後のAIの進化に備える