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20代でマネジメントに チャレンジする ということ 2019/11/30 #devboost Developers Boost 2019 Yoshiki Iida

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whoami ◂ 飯田意己(@ysk_118) ◂ 株式会社クラウドワークス 執行役員 兼 エンジニアリングDiv GM ◂ マネジメントとかプロダクト戦略とか色々 ◂ 2018/4〜マネージャー ◂ 2019/5〜執行役員 ◂ 一般社団法人アジャイルチームを支える 会 理事 ◂ アジャイルチームを増やす支援 2

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3 一般社団法人 アジャイルチームを 支える会 https://agileteam.doorkeeper.jp/

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クラウドワークス について

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crowdworks.jpについて 5 オンラインで直接つながり マッチング 仕事依頼 業務実行・納品 発注者=クライアント (企業・個人) 50万社 受注者=クラウドワーカー (主に個人) 260万人

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crowdworks.jpについて 6

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組織構造 7 職能横断組織
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 スクラムチーム


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エンジニアブログ 8

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今日話すこと ◂ キャリア戦略としてのマネジメントの位置付け ◂ マネジメントのリアル ◂ 困難の乗り越え方、そして得られるもの 一番伝えたいこと: 「マネジメントにチャレンジする人を増やしたい」 9

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注意 ◂ 私個人の経験の中で感じたものをベースに話します ので再現性があるかはわかりません ◂ 役割の話が多く出てきますが、会社によって定義は 様々だと思いますのでご意見・ご質問があったらぜ ひディスカッションさせて下さい 10

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マネジメントに興味のある人? 11

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1. キャリア戦略における マネジメントの位置付け

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エンジニアのキャリア 13 ● 他の人を支援できる ● 自走してチームに貢献できる ● 支援してもらいながらチームに貢献できる ● ステークホルダーや影響範囲 を広げる ● チーム・組織の開発をリードで きる ● 会社全体の技術・開発・組織・プロダクトに責任を持つ ● 組織のマネジメント ● チームのマネジメント プロセス 改善 プロダクト マネジメント ...

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エンジニアのキャリア 14 ● 他の人を支援できる ● 自走してチームに貢献できる ● 支援してもらいながらチームに貢献できる ● ステークホルダーや影響範囲 を広げる ● チーム・組織の開発をリードで きる ● 会社全体の技術・開発・組織・プロダクトに責任を持つ ● 組織のマネジメント ● チームのマネジメント プロセス 改善 プロダクト マネジメント ... CTO, VPoE, VPoP テックリード マネージャー スクラムマスター プロダクトオーナー

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技術的な責任を負うとは ◂ 一番わかりやすいのはCTOという肩書き ◂ 最も技術に精通しているからなるわけではない ◂ 会社側面から見た時、期待されるのは 「経営メンバーの中で最も技術に責任を持てること」 ◂ すなわち、エンジニアでありながら経営者でもあるというこ と ◂ 責任を持つ=やりきること ◂ 技術、組織、事業観点全て必要になる ◂ ここに大きなギャップがある 15

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エンジニアのキャリア 16 ● 他の人を支援できる ● 自走してチームに貢献できる ● 支援してもらいながらチームに貢献できる ● ステークホルダーや影響範囲 を広げる ● チーム・組織の開発をリードで きる ● 会社全体の技術・開発・組織・プロダクトに責任を持つ ● 組織のマネジメント ● チームのマネジメント プロセス 改善 プロダクト マネジメント ... CTO, VPoE, VPoP テックリード マネージャー スクラムマスター プロダクトオーナー このパターンもあるが

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エンジニアのキャリア 17 ● 他の人を支援できる ● 自走してチームに貢献できる ● 支援してもらいながらチームに貢献できる ● ステークホルダーや影響範囲 を広げる ● チーム・組織の開発をリードで きる ● 会社全体の技術・開発・組織・プロダクトに責任を持つ ● 組織のマネジメント ● チームのマネジメント プロセス 改善 プロダクト マネジメント ... CTO, VPoE, VPoP テックリード マネージャー スクラムマスター プロダクトオーナー 結局全部必要になる

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マネジメントの立ち位置 ◂ 組織の支援をし、意思決定をし、全体最適で成 果に導く ◂ 成果にコミットするには技術、組織、事業それぞ れの観点を理解する必要がある ◂ 同じ支援の役割としてスクラムマスターも存在す る ◂ スクラムマスターはマネージャーもステークホルダーと 捉えてさらに外側から俯瞰的にプロセスを最適化する 立ち位置 18

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スクラムマスターのプロセス最適化対象 スクラムチーム マネジメントの立ち位置 19 スクラムマスター 開発者 プロダクトオーナー マネージャー 支援し、成果に導く

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スクラムマスターのプロセス最適化対象 スクラムチーム マネジメントの立ち位置 20 スクラムマスター 開発者 プロダクトオーナー マネージャー 支援し、成果に導く 全体最適視点 チームにとっては不都合な 要求をする時もある 現場視点 チームのプロセスの 最適化 パワーバランスが 取れると良い

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マネジメントの立ち位置 21 マネージャー チーム チーム チーム 成果 成果 成果 全体としてきちんと成果になっているか?

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マネジメントの立ち位置 22 ● 他の人を支援できる ● 自走してチームに貢献できる ● 支援してもらいながらチームに貢献できる ● ステークホルダーや影響範囲 を広げる ● チーム・組織の開発をリードで きる ● 会社全体の技術・開発・組織・プロダクトに責任を持つ ● 組織のマネジメント ● チームのマネジメント プロセス 改善 プロダクト マネジメント ... CTO, VPoE, VPoP テックリード マネージャー スクラムマスター プロダクトオーナー 全員とコミュニケーション するし責任も持つ

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マネジメントの立ち位置 23 ● 他の人を支援できる ● 自走してチームに貢献できる ● 支援してもらいながらチームに貢献できる ● ステークホルダーや影響範囲 を広げる ● チーム・組織の開発をリードで きる ● 会社全体の技術・開発・組織・プロダクトに責任を持つ ● 組織のマネジメント ● チームのマネジメント プロセス 改善 プロダクト マネジメント ... CTO, VPoE, VPoP テックリード マネージャー スクラムマスター プロダクトオーナー 逆に言えばフィードバックも集 まりやすい 若いうちにやれば みんな言いやすいので より集まりやすい

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ぼくの経験プロセス 24 ● 他の人を支援できる ● 自走してチームに貢献できる ● 支援してもらいながらチームに貢献できる ● ステークホルダーや影響範囲 を広げる ● チーム・組織の開発をリードで きる ● 会社全体の技術・開発・組織・プロダクトに責任を持つ ● 組織のマネジメント ● チームのマネジメント プロセス 改善 プロダクト マネジメント ... CTO, VPoE, VPoP テックリード マネージャー スクラムマスター プロダクトオーナー

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ケース: 創業CTOの場合 25 ● 他の人を支援できる ● 自走してチームに貢献できる ● 支援してもらいながらチームに貢献できる ● ステークホルダーや影響範囲 を広げる ● チーム・組織の開発をリードで きる ● 会社全体の技術・開発・組織・プロダクトに責任を持つ ● 組織のマネジメント ● チームのマネジメント プロセス 改善 プロダクト マネジメント ... CTO, VPoE, VPoP テックリード マネージャー スクラムマスター プロダクトオーナー ↑経営に入ってから ここの後追いは結構大変

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マネジメントについてまとめると ◂ 全体最適で物事を考え、全員とコミュニケーション を取り、意思決定する経験を積むことができる ◂ 技術的な責任を負う立場になったときにも絶対に 必要になるため若いうちに経験しておいて損はな い ◂ みんながフィードバックしやすい若いうちにやれる といっぱい失敗できる 26

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2. マネジメントのリアル

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28 リアルその1 批判

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批判を浴びることを割り切る必要がある ◂ 全体最適とは、言い方を変えれば会社都合 ◂ でも会社にいる以上は会社が持続的である必要があ り、それを実行・実現する人が絶対に必要 ◂ マネジメントをやる上で会社側の人間と呼ばれ、 批判を浴びることは覚悟する必要がある ◂ プロセス・環境・待遇、、イケてないというフィード バックも全て集まる ◂ 体は一つなので本当に自分が解決すべきものを 取捨選択する必要がある 29

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30 リアルその2 別れ

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課題を解決できなければ離れていく人が出る ◂ 解決すべき課題を解決できなければ辞める人は 必ず出る ◂ 課題解決していても辞める人はいる ◂ ポジティブ/ネガティブいずれもあるが、それを見越 して組織の持続性を考える必要がある ◂ 自分がマネージャーになった前後では強い人たち がごっそり抜けたので本当に厳しい状況だった 31

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32 リアルその3 ネガティブフィードバック

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自分の本来の性格とのギャップに苦しむ ◂ ネガティブフィードバックや、ネガティブな事実を説 明しなければいけない場面が来る ◂ 敢えて言う、言った結果嫌われる、といったことも 起こりうる ◂ でも、優しい性格のままでは組織を腐らせていっ てしまうこともある ◂ 仕事として演じる、という側面は少なからずある 33

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34 リアルその4 アンコントローラブル

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市場、事業、会社の不確実性 ◂ 会社を取り巻く状況は速いスピードで変化していく ◂ 法律が変わって急な対応を迫られる場合もある し、事業そのものの存続に関わることも発生する かもしれない ◂ 理不尽なものも飲み込んでアカウンタビリティを発 揮しなければいけない 35

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36 重たい空気になりましたね ここからはポジティブな話をします!

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3. 困難の乗り越え方、 そして得られるもの

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マネジメントの面白さ ◂ 変化を起こせているときはめちゃくちゃ面白い ◂ 組織全体のファンクションの変化もあるし ◂ 一人一人の成長を間近で感じられる 38

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組織もエンジニアリングすべし ◂ 事業の課題を解決するために、どういうチームに どういうミッションを持たせるのか、コミュニケー ションの設計はどうするのか? ◂ 責務の分割をきちんとしないとチームはパフォー マンスを最大化できないし、課題を誰がトリアージ して誰が対応するのかイベントのハンドリングを設 計しないと不整合が起きてバグる 39

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組織全体として誰が何を決めて どのように成果に向かうのかを構造化するイメージ 40 チーム 責務: hoge チーム 責務: fuga チーム 責務: piyo バックログ マネージャー PdM 成果 成果 成果 イレギュラー はマネージャーがトリアージ アウトカムの モニタリング 優先順位 付け アウトカムの モニタリング 相互連携

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マネージャーのエンジニア的解釈 ◂ エンジニア視点では組織をエンジニアリングする 人だったり組織のアーキテクトのような言い方もで きる ◂ 人に関する問題に追われ続ける役割というのは 味気ない ◂ テンションあがるかっこいい価値づけをしていこ う! 41

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課題の乗り越え方 ◂ 組織の課題は対話が基本 ◂ 様々な人と対話して、信頼関係を築き、本音を聞 き出して、課題を抽象化し、アクションを作っていく 42 建前 建前 建前 本音 本音 本音 真の課題 アクション 表面的な課題 表面的な アクション

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そもそもどうやったら若いうちになれる? ◂ 年功序列の大きな会社だと難易度が上がるかもしれません ◂ 小さくスピード感のある会社にいくと可能性は増えます ◂ 全体最適を追求していくと近づきやすい ◂ チーム最適化し過ぎていると、チームのミッションが大きな 意思決定によって変更になった場合に理解できない/時間 がかかる ◂ 全体最適の観点の情報提供を促してみましょう ◂ そしてそれを元にマネージャーの支援をしてみましょう ◂ 組織全体に影響のある変革を積み重ねることができたら そのうち任される 43

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チャレンジする前の不安あるある ◂ 技術もまだまだなので難しそう ◂ やりたいけど耐えれるかわからない ◂ コード書けなくなるのがちょっと・・ 44

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不安への対処: 技術もまだまだなので難しそう ◂ 様々な人と対話するので、一定の技術力は必要 ◂ 少なくとも課題を理解できる、エンジニア以外 の人に説明できる能力は求められる ◂ ただし、最前線であり続ける必要はない(もちろん それを追求してもよい) ◂ 自分より優秀な人はたくさんいるのでその人たち がパフォームする環境を作りたいと僕は思ってい る 45

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不安への対処: やりたいけど耐えれるかわから ない/コード書けなくなるのがちょっと・・ ◂ 無理だと思ったらやめればいいし、コード書きたく なったら書けばいい ◂ マネージャーやってから現場に戻る例もある ◂ マネジメントに取り組んだ経験は絶対に無駄には ならない 46

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情報の入手方法 ◂ 書籍 ◂ エンジニアリング組織論への招待 ◂ エンジニアのためのマネジメントキャリアパス ◂ イベント ◂ Engineering Manager Meetup ◂ https://engineering-manager-meetup.connpass.com/ ◂ Podcast ◂ EMFM ◂ https://anchor.fm/em-fm/ 47

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48 結局、僕は何を得たか

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1年半で得られたもの ◂ 組織の変化の当事者になれたということ ◂ その経験を元に社外含めいろんな人と議論できる ようになったということ ◂ 微力ながらこれから変化を起こそうとしている人の 支援ができるようになったということ ◂ 謎の自信 49

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組織の問題解決に慣れる価値 ◂ どこに行っても人に関する問題は起きる ◂ マネジメントを当事者としてやった経験は 組織の審美眼となる ◂ マネジメントを続けるにせよ、エンジニアに戻るに せよ大きなレバレッジに 50

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まとめ

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まとめ ◂ エンジニアのキャリアの中で会社としてより大きな 責任を持ってチャレンジをしていくなら若いうちに マネジメントにチャレンジするのは悪くない選択肢 ◂ 苦労もあるけれど後々の大きなレバレッジになる ◂ マネジメント=組織をエンジニアリングする人が増 えるとうれしい! 52

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ご清聴ありがとう ございました。