Slide 1

Slide 1 text

http://takaumada.com/ Takaaki Umada / 馬田隆明 http://takaumada.com/ ふわっとした考えを “仮説”にするまでの ステップ

Slide 2

Slide 2 text

2 (例) 予算達成のための追加施策を 考える上司と部下の会話

Slide 3

Slide 3 text

3 予算達成のためにどんな施策をすれば良 いと思う? 君の仮説は何?

Slide 4

Slide 4 text

4 予算達成のためにどんな施策をすれば良 いと思う? 君の仮説は何? AI が発展してるみたいなので、AI を 使って何かをすると良いのでは?

Slide 5

Slide 5 text

5 予算達成のためにどんな施策をすれば良 いと思う? 君の仮説は何? AI が発展してるみたいなので、AI を 使って何かをすると良いのでは? AI って…具体的に何するの? 仮説 じゃないし、ふわっとしすぎじゃない?

Slide 6

Slide 6 text

6 予算達成のためにどんな施策をすれば良 いと思う? 君の仮説は何? AI が発展してるみたいなので、AI を 使って何かをすると良いのでは? AI って…具体的に何するの? 仮説 じゃないし、ふわっとしすぎじゃない? (仮説だと思うんだけど……) じゃあ仮説ってどう作るんですか?

Slide 7

Slide 7 text

7 予算達成のためにどんな施策をすれば良 いと思う? 君の仮説は何? AI が発展してるみたいなので、AI を 使って何かをすると良いのでは? AI って…具体的に何するの? 仮説 じゃないし、ふわっとしすぎじゃない? (仮説だと思うんだけど……) じゃあ仮説ってどう作るんですか?

Slide 8

Slide 8 text

8 予算達成のためにどんな施策をすれば良 いと思う? 君の仮説は何? AI が発展してるみたいなので、AI を 使って何かをすると良いのでは? AI って…具体的に何するの? 仮説 じゃないし、ふわっとしすぎじゃない? (仮説だと思うんだけど……) じゃあ仮説ってどう作るんですか? 仮説は考えれば閃くんだよ。考えてきて

Slide 9

Slide 9 text

9 考えれば閃くと言われても いったいどうすれば…

Slide 10

Slide 10 text

10 仮説は閃くもの?

Slide 11

Slide 11 text

11 仮説は閃くもの? 知識や経験から 閃くときも ありますが…

Slide 12

Slide 12 text

12 仮説は徐々に形作っていくもの 英語で言うと “Shape” 粘土をこねるように 徐々に形を作っていく

Slide 13

Slide 13 text

13 ふわっとした考えを 「仮説」にするまでの ステップ を整理する

Slide 14

Slide 14 text

「ふわっとした考え」を 仮説にするまでのステップ 14

Slide 15

Slide 15 text

Q. 15 仮説とは?

Slide 16

Slide 16 text

A. 16 まだ 100% 正しいとは言えない 仮の説 のこと

Slide 17

Slide 17 text

17 疑問形「○○では?」で終わるのではなく 仮説は言い切るもの AI が発展してるみたいなので、AI を 使って何かをすると良いのでは?

Slide 18

Slide 18 text

Q. 18 では仮説はどういう順序で 形作られていくのか?

Slide 19

Slide 19 text

19 興味を持ち 疑問を持ち 問いを持ち 仮説を持つ

Slide 20

Slide 20 text

ステップ (1) 興味・関心・問題意識を持つ まず何事も興味・関心・問題意識を持つところから始まります。 先ほどの例で言えば「AI」が興味・関心です。 20 興味・関心・問題意識 興味を持つ この領域やテーマが面白そうだ

Slide 21

Slide 21 text

ステップ (2) 疑問を持つ 興味・関心を持った領域で、不思議だと思ったり、分からない なと思ったところで、6W3H のオープンな「疑問」を持ちます。 21 疑問 興味・関心・問題意識 興味を持つ この領域やテーマが面白そうだ 疑問に感じる この顧客はなぜこうしていない のだろう?

Slide 22

Slide 22 text

ステップ (3) 問いを立てる 情報を構造化し、「○○ではないだろうか?」といった、 Yes/No で答えられるクローズドな問いを立てて調査します。 22 問い 疑問 興味・関心・問題意識 興味を持つ この領域やテーマが面白そうだ 疑問に感じる この顧客はなぜこうしていない のだろう? 探究を行う 顧客の課題はここにあるのでは ないだろうか?

Slide 23

Slide 23 text

ステップ (4) 仮説を作る 問いをさらに、正誤を白黒つけられて「言い切る」形の仮説へ と変換します。 23 仮説 問い 疑問 興味・関心・問題意識 興味を持つ この領域やテーマが面白そうだ 疑問に感じる この顧客はなぜこうしていない のだろう? 探究を行う 顧客の課題はここにあるのでは ないだろうか? 主張をする この顧客はこれが原因でこの課 題に苦しんでいる!

Slide 24

Slide 24 text

興味から仮説までの一連のステップ このように仮説を持つまでにはいくつかの段階があります。 24 仮説 問い 疑問 興味・関心・問題意識 興味を持つ この領域やテーマが面白そうだ 疑問に感じる この顧客はなぜこうしていない のだろう? 探究を行う 顧客の課題はここにあるのでは ないだろうか? 主張をする この顧客はこれが原因でこの課 題に苦しんでいる!

Slide 25

Slide 25 text

25 興味を持ち 疑問を持ち 問いを持ち 仮説を持つ

Slide 26

Slide 26 text

26 (例)AI を使った 新規事業の仮説を持つまで

Slide 27

Slide 27 text

ステップ (1) 興味・関心・問題意識を持つ まず AI の発展などをニュースで知り、その領域やテーマに興 味・関心を持ちます。 27 興味・関心・問題意識 興味を持つ AI のニュースが気になっている

Slide 28

Slide 28 text

ステップ (2) AI の応用について疑問を持つ これを使って何ができるだろう? どういったものがあるのだ ろう? と様々な疑問を 5W1H で持ちます。 28 疑問 興味・関心・問題意識 興味を持つ AI のニュースが気になっている 疑問に感じる AI を使って新規事業を作ると したら何がいいだろう?

Slide 29

Slide 29 text

ステップ (3) AI についての問いを持つ その中から「○○ではないか?」といった Yes/No で答えられ る問いを持ち、その問いの周辺で探究を始めます。 29 問い 疑問 興味・関心・問題意識 興味を持つ AI のニュースが気になっている 疑問に感じる AI を使って新規事業を作ると したら何がいいだろう? 探究を行う この AI サービスは英語論文を 読むときに使えるのでは?

Slide 30

Slide 30 text

ステップ (4) AI についての仮説を持つ 最後に言い切る形で「仮説」という形にします。 30 仮説 問い 疑問 興味・関心・問題意識 興味を持つ AI のニュースが気になっている 疑問に感じる AI を使って新規事業を作ると したら何がいいだろう? 探究を行う AI を使えば英語論文の要約を するサービスを作れるのでは? 主張をする AI を使った英語論文の要約 サービスは売れる!

Slide 31

Slide 31 text

31 興味を持ち 疑問を持ち 問いを持ち 仮説を持つ このステップを 素早く走れると 仮説を持つのが 早くなる

Slide 32

Slide 32 text

Q. 32 それぞれの段階で どのような活動を すればいいのか?

Slide 33

Slide 33 text

(1) 興味・関心・問題意識を持つためのヒント 33 興味・関心・問題意識 • 興味のきっかけを探索する (探索の時間を作る) • 視点を変える(例: 誰かのた めになることを考える) • トレンドにあえて乗る • アウトプットを強制してみる その後、興味を育てていく

Slide 34

Slide 34 text

34 興味・関心・問題意識は 育てていく ものだと考える (すぐに持てなくても不安になる必要はないです)

Slide 35

Slide 35 text

(2) 疑問を持つためのヒント 35 疑問 興味・関心・問題意識 • 日々のひっかかりをメモする • 分からないことを肯定する • 素直さをあえて捨てる • 理想や怒りを持つ • 違いに目を向ける • 人に説明してみる • 誰かと議論する

Slide 36

Slide 36 text

36 疑問は 5W1H などのオープンな疑問文を作って その答えを探してみる

Slide 37

Slide 37 text

(3) 問いを立てるためのヒント 37 問い 疑問 興味・関心・問題意識 • グルーピングする • 情報をグラフ等で可視化する • 仮説マップをラフに作る • 簡単な調査をしてみる 情報を構造化して「分からな い部分」を明確にすると問いに

Slide 38

Slide 38 text

38 問いは Yes/No で答えられるクローズドな疑問文に して調べてみる

Slide 39

Slide 39 text

(4) 仮説を作るためのヒント 39 仮説 問い 疑問 興味・関心・問題意識 • 白黒つけられる形式にする • 言い切ろうとしてみる • 探索から検証フェーズに移っ て良いかを考える 仮説化は怖いけれど、一度仮 説にして検証してみるのも手

Slide 40

Slide 40 text

40 仮説は 白黒つけられる文であり 言い切る文にする

Slide 41

Slide 41 text

41 興味を持ち 疑問を持ち 問いを持ち 仮説を持つ

Slide 42

Slide 42 text

42 興味という種 をもとに 疑問と問いを繰り返し 仮説へと育てていく

Slide 43

Slide 43 text

43 そして仮説になったら 仮説を鍛え上げていく

Slide 44

Slide 44 text

仮説を鍛え上げるステップ 44

Slide 45

Slide 45 text

45 仮説にも 「適当な仮説」「思いつき」もあれば 「考え抜かれたアイデア」もある = 仮説には強弱がある

Slide 46

Slide 46 text

46 仮説にも 「適当な仮説」「思いつき」もあれば 「考え抜かれたアイデア」もある = 仮説には強弱がある

Slide 47

Slide 47 text

47 仮説を 作業仮説 ⇔ クレーム のグラデーションで捉える とりあえず仮置きして 検証作業をするための仮説

Slide 48

Slide 48 text

48 仮説を 作業仮説 ⇔ クレーム のグラデーションで捉える Claim = 主張 誰かを説得するために提出する仮説 (クレームという言葉は特許などでも使われます)

Slide 49

Slide 49 text

49 仮説を 作業仮説 ⇔ クレーム のグラデーションで捉え 検証によって仮説を鍛えていく

Slide 50

Slide 50 text

柔らかい作業仮説なら自信が無くても始められる 柔らかく作った作業仮説なら、とりあえず始めることができる というメリットがあります。 50 クレーム 寄りの仮説 作業仮説 寄りの仮説 仮説 とっかかりとして 気楽に始められる

Slide 51

Slide 51 text

弱い仮説だとリスクを取れないし、人も説得できない でも柔らかい仮説や思いつきでは、リスクを取れないし、人の 説得もなかなかできません。 51 クレーム 寄りの仮説 作業仮説 寄りの仮説 仮説 人を動かしたい場合 弱い仮説だと不十分

Slide 52

Slide 52 text

自信のある強い仮説=クレームにしていく 人を説得したり、リスクを取るのであれば、作業仮説を叩いて 強くして、確信度の高い主張にしていく必要があります。 52 クレーム 寄りの仮説 作業仮説 寄りの仮説 仮説 自分の主張として 強い仮説を提出する

Slide 53

Slide 53 text

確信度は作業仮説からクレームになるほど高まっていく 作業仮説は確信度が低く、クレームは確信度が高い、という整 理もできます。 53 クレーム 寄りの仮説 作業仮説 寄りの仮説 確信度 確信度 高い 確信度 低い

Slide 54

Slide 54 text

Q. 54 ではどうやって 確信度を高めるのか?

Slide 55

Slide 55 text

A. 55 仮説検証のループ を回す

Slide 56

Slide 56 text

作業仮説を最初に持つ でも最初に仮説を持たなければ検証もできません。なので、ま ず作業仮説という柔らかい仮説を作ります。 56 クレーム 寄りの仮説 作業仮説 寄りの仮説 柔らかい作業仮説からスタート

Slide 57

Slide 57 text

作業仮説を最初に持って検証を行う=叩いて強くする 作業仮説を叩き台としながら、「叩く」ような仮説検証を行っ て、仮説の確からしさを確認します。 57 クレーム 寄りの仮説 作業仮説 寄りの仮説 生成 検証 仮説検証して確認する

Slide 58

Slide 58 text

叩くことで得られた学びで、仮説を「こねて」鍛える 検証をすると、確信度の上下だけでなく学びが得られます。そ の学びを使って仮説を修正すると、より良い仮説にできます。 58 クレーム 寄りの仮説 作業仮説 寄りの仮説 修正 検証 仮説検証で得られた学びを 使って仮説を改善する 仮説を「こねる」 「鍛える」ようなもの

Slide 59

Slide 59 text

検証と修正を繰り返し、作業仮説をクレームにしていく 作業仮説に対して、仮説検証をくり返すことでクレーム(主 張)へと近づけていきます。 59 クレーム 寄りの仮説 作業仮説 寄りの仮説 仮説 生成 検証 修正 検証 修正 検証 修正 検証 仮説検証と修正の繰り返しで クレームに近づける さらに仮説検証してクレームに

Slide 60

Slide 60 text

(補足)『仮説のマップ・ループ・リープ』を参照 別のスライドの『ループ』も参照してください 60 マップ ループ 仮説生成と検証の ループを回す 1 2 仮説の全体像を ざっくりと描く リープ 3 リスクを取って 仮説を選び 行動して実現する

Slide 61

Slide 61 text

61 もしあなたが 上司なら…

Slide 62

Slide 62 text

Q. 62 君の仮説は何か?

Slide 63

Slide 63 text

Q. 63 君の仮説は何か?

Slide 64

Slide 64 text

Q. 64 君の作業仮説は何か? 君のクレームは何か?

Slide 65

Slide 65 text

65 この 2 つのグラデーション を意識することで 自分の「仮説」の 現在地が分かりやすくなる クレーム 寄りの仮説 作業仮説 寄りの仮説

Slide 66

Slide 66 text

66 予算達成のためにどんな施策をすれば良 いと思う? 君の仮説は何?

Slide 67

Slide 67 text

67 予算達成のためにどんな施策をすれば良 いと思う? 君の仮説は何? AI を使った営業巡回の最適化を図るべ きだと思っています

Slide 68

Slide 68 text

68 予算達成のためにどんな施策をすれば良 いと思う? 君の仮説は何? AI を使った営業巡回の最適化を図るべ きだと思っています それは作業仮説? それともクレーム?

Slide 69

Slide 69 text

69 予算達成のためにどんな施策をすれば良 いと思う? 君の仮説は何? AI を使った営業巡回の最適化を図るべ きだと思っています それは作業仮説? それともクレーム? 作業仮説です。今、同僚に手伝って貰っ て有効かどうかを検証しています

Slide 70

Slide 70 text

70 予算達成のためにどんな施策をすれば良 いと思う? 君の仮説は何? AI を使った営業巡回の最適化を図るべ きだと思っています それは作業仮説? それともクレーム? 作業仮説です。今、同僚に手伝って貰っ て有効かどうかを検証しています クレームになったら教えて。私も本気で 考えて、正しそうなら全社展開するから

Slide 71

Slide 71 text

まとめ 71

Slide 72

Slide 72 text

仮説を作るまでのステップ 自分の仮説がどの段階にいるかを意識しながら、仮説を形作り、 鍛え上げてみてください。 72 問い 疑問 興味・関心・問題意識 クレーム 作業仮説 仮説 君の興味は何か? 何を不思議に思っているか? 君の問いは何か? 君の作業仮説は何か? 君のクレームは何か?

Slide 73

Slide 73 text

詳細は書籍をご参照ください 『解像度を上げる』の姉妹本 『仮説行動』発売中 73 第1部 仮説行動を理解する なぜ仮説は重要なのか 仮説行動の全体像 第2部 仮説を強くする 仮説を生成する 仮説を検証する 仮説マップを生成/統合する ループの停滞を回避する 第3部 仮説を現実にする 仮説を評価する 決断する 仮説を実行する 第4部 大胆な未来を実現する 影響度の大きな仮説を目指す 目次 このスライドの 主なカバー範囲