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TECHNOLOGY TALK 始めてみよう︕量⼦コンピューター 沼⽥ 祈史(Kifumi Numata) ⽇本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 Qiskit 開発者コミュニティー, IBM Quantum Jun 09, 2023

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本セッションのSNS投稿について SNS投稿︓ 全てOK OK: テキストによる⽂字のみの投稿 OK: スクリーンショットの画像/動画を含んだ投稿 ハッシュタグ: #WiDS2023 #WiDSTokyoIBM

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沼⽥ 祈史 (Kifumi Numata) 略歴︓ ⼤学⼤学院 修⼠課程(物理専攻)終了 IBM⼊社 ⼤和ラボ 熱設計解析エンジニア サーバー、ノートパソコンの設計開発、データセンターの熱解析 2009 LabのStrategy Staff、本社CTOのExecutive Staff 2015 東京ラボ Technical Vitality & University Relations 2020 東京基礎研究所 Quantum Developer Community 勉強会︓Quantum Tokyo (https://www.youtube.com/@QuantumTokyoo) 出⾝︓神奈川県厚⽊市 家族︓夫、⼦供⼆⼈ ⽇本アイ・ビー・エム(株) 東京基礎研究所 量⼦コンピューティング Qiskit Advocate @kifuminumata

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量⼦コンピューターとは

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https://www.ibm.com/thought-leadership/summit-supercomputer/jp-ja/

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No content

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例︓カフェイン カフェイン分⼦の⼀つのエネルギー状態を表現するのに、 古典コンピューターでは1048 ビット必要だと考えられています。 1000000000000000000000000000000000000000000000000 地球上の原⼦の数は1049 〜 1050 だと推定されています。 つまり地球上のすべての原⼦の1%〜10%がメモリーとして 必要となるということで、これはありえません。 ⼀⽅、量⼦コンピューターでは、160 量⼦ビットでカフェイン分 ⼦を 表現できます。

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例︓素因数分解 8 この仕組みは、RSA暗号に使われています。 現在のコンピューター︓︖億年 量⼦コンピューター︓効率的な解法がある 15 5 x 3 ? x ?

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難解な問題と量⼦加速 「簡単」 な問題 「難解」 な問題 量⼦的に 「簡単」 な問題 素因数分解 量⼦⼒学の シミュレーション

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量⼦コンピューターは、⾃然界に存在する量⼦⼒学の法則を利⽤したもので、 従来の情報処理とは根本的に異なります。 量⼦コンピューターとは︖ 量⼦⼒学は、ミクロの世界を表現する物理法則 「重ね合わせ」「エンタングルメント」「⼲渉」 などの量⼦現象が挙げられる

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量⼦コンピューターは、⾃然界に存在する量⼦⼒学の法則を利⽤したもので、 従来の情報処理とは根本的に異なります。 量⼦コンピューターとは︖ 量⼦⼒学は、ミクロの世界を表現する物理法則 「重ね合わせ」「エンタングルメント」「⼲渉」 などの量⼦現象が挙げられる

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量⼦コンピューターとは︖

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量⼦コンピューターとは︖ 「重ね合わせ」「エンタングルメント」「⼲渉」という、 これまでずっと世の中に存在していたものを制御できる ようになってきた

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量⼦コンピューター の内部 14 量⼦チップ 回路基板 15 mK

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量⼦コンピューティングの構造 + 超電導量⼦ビットと共振器 のチップ 量⼦ビットチップの搭載さ れた基板は15mKの温度 で複数のシールドによって 保護されている。 室温 マイクロ波電⼦⼯学 3He と 4Heの混合体によって量 ⼦ビットを15 mKまで冷却する 冷蔵庫 3K 0.9K 0.1K 0.015K 40K 宇宙マイクロ波背景放射 2.7K

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量⼦計算⼊⾨

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17 コンピューターの中は、ビットで計算 スイッチ ビット オフ オン 例) 7 111 A 0100 0001 ビット ⽂字列 0 1

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いつも使っている コンピューターのビット どちらか 0 1 または

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どちらか 0 1 いつも使っている コンピューターのビット または 量⼦コンピューターの 量⼦ビット 両⽅ 0 1 と 「重ね合わせ」

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どちらか 0 1 いつも使っている コンピューターのビット または 量⼦コンピューターの 量⼦ビット 両⽅ 0 1 と 「重ね合わせ」 表 おもて 裏 うら コイン コイン

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どちらか 0 1 いつも使っている コンピューターのビット または 量⼦コンピューターの 量⼦ビット 両⽅ 0 1 と 「重ね合わせ」 表 おもて 裏 うら コイン コイン くるくる回っているコイン(イメージ) 測定すると表か裏にバシッと決まる

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22 重ね合わせ状態の量⼦ビット 測定 50% 50% 1 0

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23 重ね合わせ状態の量⼦ビット 測定 10% 90% 1 0 五分五分でない状態も作れる

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「0」10%、「1」90%の重ね合わせの量⼦ビットを Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q

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Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 「0」10%、「1」90%の重ね合わせの量⼦ビットを 10回測定すると

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0 1 1 1 1 2ビット 2量⼦ビット 0 0 0 または または または のうちどれか1つ 0 1 1 1 1 0 0 0 の重ね合わせ

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0 1 1 1 1 2ビット 2量⼦ビット 0 0 0 または または または のうちどれか1つ 0 1 1 1 1 0 0 0 25% の重ね合わせ 25% 25% 25%

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1 2ビット 2量⼦ビット 0 0 1 1 1 1 0 0 0 XX % の重ね合わせ XX % XX % XX % 2ビット⽬ の情報 1ビット⽬ の情報 1ビット⽬ の情報 2ビット⽬ の情報 3ビット⽬ の情報 4ビット⽬ の情報

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1 3ビット 3量⼦ビット 0 の重ね合わせ 2ビット⽬ の情報 1ビット⽬ の情報 1 3ビット⽬ の情報 0 0 0 1 0 0 1 0 1 0 1 0 1 0 0 1 0 1 1 1 0 1 1 1 1ビット⽬の情報 3ビット⽬の情報 5ビット⽬の情報 7ビット⽬の情報 2ビット⽬の情報 4ビット⽬の情報 6ビット⽬の情報 8ビット⽬の情報

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nビット n量⼦ビット ... (n個の0の並び) ... (n個の1の並び) までの2n個の可能な状態の いずれか ! ! ... (n個の0の並び) ... (n個の1の並び) までの2n個の可能な状態の 重ね合わせ 0 0 0 1 1 1 0 0 0 1 1 1 この重ね合わせは、量⼦計算の特徴の1つです。

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量⼦重ね合わせ 0 1 1 1 1 0 0 0 + + +

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量⼦重ね合わせ 0 1 1 1 1 0 0 0 エンタングルメント (量⼦もつれ) 1 1 0 0 + + + + 1 1 0 0 複数の量⼦ビット同⼠に ある特定の強い相関関係がある ベル状態

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33 重ね合わせ状態の量⼦ビット 測定 1 1 0 0 1 0 1 0 Q Q

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34 エンタングル状態の量⼦ビット 1 1 0 0 測定 Q Q

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35 Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q 10個の同じエンタングル状態の2量⼦ビットを

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36 Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q 1 1 0 0 1 1 0 0 1 1 0 0 1 1 1 1 0 0 0 0 10個の同じエンタングル状態の2量⼦ビットを 測定すると

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37 10個の同じエンタングル状態の2量⼦ビットの ⽚⽅だけを測定すると︖ Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q

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38 Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q 1 0 1 0 1 0 1 1 0 0 10個の同じエンタングル状態の2量⼦ビットの ⽚⽅だけを測定すると もう⽚⽅は測定しなくても状態がわかる このエンタングルメントも、量⼦計算の特徴の1つです。

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量⼦重ね合わせ 0 0 0 1 0 0 1 0 1 0 1 0 1 0 0 1 0 1 1 1 0 1 1 1 エンタングルメント (量⼦もつれ) 1 1 0 0 + 1 1 0 0 0 1

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量⼦重ね合わせ 0 0 0 1 0 0 1 0 1 0 1 0 1 0 0 1 0 1 1 1 0 1 1 1 エンタングルメント (量⼦もつれ) 1 1 0 0 + 1 1 0 0 0 1 GHZ状態 12.5% 12.5% 12.5% 12.5% 12.5% 12.5% 12.5% 12.5% 50% 50%

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量⼦アルゴリズム 量⼦計算 初期化(重ね合わせ) 量⼦もつれ (エンタングルメント) を使った量⼦演算 観測 量⼦計算では、量⼦状態の重ね合わせ(並列計算)を ⼲渉(量⼦もつれ・エンタングルメント)させてほしい解を取り出す。 000 001 010 011 100 101 110 111 重ね合わせの状態では確率は全て同じ 000 001 010 011 100 101 110 111 量⼦ビットを⼲渉させる演算 000 001 010 011 100 101 110 111 特定のパターンの 確率のみを⾼める

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IBM Quantum Computer as of May 2023 12/16/20 ୆ IBM͕อ༗͢Δྔࢠίϯϐϡʔλʔͷ୆਺ɻ Քಇ཰͸Λ௒͑Δɻ ສਓ IBM Quantum ͷొ࿥Ϣʔβʔ਺ ݱࡏ΋ٸ଎ʹ૿Ճத ஹճҎ্ IBM Quantum্Ͱ࣮ߦ͞Εͨԋࢉ਺ ࣮ػͰͷԋࢉ࣮ߦ͕γϛϡϨʔλΛ௒͑Δ ຊҎ্ Պֶٕज़࿦จ౳ͷग़൛෺

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IBMが実装済み オンターゲットで進行中 開発ロードマップ Heron 133 qubits x p Crossbill 408 qubits Circuits システム モジュール性 Falcon 27 qubits Hummingbird 65 qubits Eagle 127 qubits Osprey 433 qubits Condor 1,121 qubits カーネル 開発者 Qiskit Runtime 量子アルゴリズムとアプリケーション・モジュール 機械学習 | 自然科学 | 最適化 アルゴリズム 開発者 モデル 開発者 Flamingo 1,386+ qubits Kookaburra 4,158+ qubits 量子サーバーレス インテリジェント オーケストレーション 量子回路ライブラリ 量子ソフトウェア アプリケーションのプロトタイプ 機械学習 | 自然科学 | 最適化 量子ソフトウェアアプリケーション 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 Beyond 2026 IBMのクラウド上で 量子回路を実行 量子アルゴリズムと アプリケーションの 実証とプロトタイプ化 Qiskit Runtimeで 量子プログラムを100倍 高速に実行 エラスティック・コン ピューティングとQiskit Runtime並列化によるア プリケーションの拡張 スケーラブルな誤り抑制 手法でQiskit Runtimeの 精度を向上 Qiskit Runtimeを制御する 回路編みツールボックス で量子アプリケーション を拡張 Qiskit Runtimeに動的回 路を導入し、より多くの 計算手法の実行を可能に Qiskit Runtimeに誤り訂正 を統合し、量子ワークフ ローの精度と速度を向上 古典通信と量子通信 で10K-100K qubits に拡張 回路編み ツールボックス Threaded 動的回路 誤り抑制と軽減 誤り訂正 マルチスレッド プリミティブ Flamingo 1,386+ qubits Kookaburra 4,158+ qubits

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IBM Quantum © 2023 IBM Corporation

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Qiskit Runtime Primitives Dynamic Circuits(動的回路) 量⼦デバイス以外の⾼度な機能 • 実⾏に適した回路の最適化 • ⾼度なエラー緩和による精度向上 • 回路の⻑さを⼤幅に短縮 • エラー訂正 量⼦ビットのコヒーレンス時間内に古典計算 を⾏い、豊富な回路演算が可能にする機能 ユーザーと量⼦コンピューターの間の実⾏ キューの往復を削減

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⽇本における量⼦コンピューターの社会実装を 世界に先駆けて実現することをめざして 46 新川崎・創造のもり かわさき新産業創造センター (KBIC)内に設置された量⼦コンピューター 量⼦イノベーションイニシアティブ協議会(QII協議会) 参加メンバー(五⼗⾳順) 2023年5月現在 2021年7⽉ ⽇本初導⼊のゲート型商⽤量⼦コンピューターが稼働開始

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47 127量⼦ビットプロセッサー(Eagle)の⽇本設置の発表 © 2023 IBM Quantum 47 https://jp.newsroom.ibm.com/2023-04-21-The- University-of-Tokyo-and-IBM-agree-to-install-a- quantum-computer-with-127-qubit-processor

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© 2023 IBM Quantum 48 https://jp.newsroom.ibm.com/2023-05-22-blog-100k-qubit-supercomputer 10万量⼦ビットの「量⼦を中⼼としたスーパーコンピューター」の 開発で東京⼤学、シカゴ⼤学との提携を開始

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IBM Quantum © 2023 IBM Corporation 2033年の10万量子ビット実現にむけて https://youtu.be/7aa_ik_UYTw

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IBM Quantum © 2023 IBM Corporation 10万量⼦ビットの 量⼦を中⼼とした スーパーコンピューター 古典通信 量⼦通信 光インターコネクトへの トランスデューサー IBM Quantum System Two 25000量⼦ビットの クラスター

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IBMが実装済み オンターゲットで進行中 開発ロードマップ Heron 133 qubits x p Crossbill 408 qubits Circuits システム モジュール性 Falcon 27 qubits Hummingbird 65 qubits Eagle 127 qubits Osprey 433 qubits Condor 1,121 qubits カーネル 開発者 Qiskit Runtime 量子アルゴリズムとアプリケーション・モジュール 機械学習 | 自然科学 | 最適化 アルゴリズム 開発者 モデル 開発者 Flamingo 1,386+ qubits Kookaburra 4,158+ qubits 量子サーバーレス インテリジェント オーケストレーション 量子回路ライブラリ 量子ソフトウェア アプリケーションのプロトタイプ 機械学習 | 自然科学 | 最適化 量子ソフトウェアアプリケーション 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 Beyond 2026 IBMのクラウド上で 量子回路を実行 量子アルゴリズムと アプリケーションの 実証とプロトタイプ化 Qiskit Runtimeで 量子プログラムを100倍 高速に実行 エラスティック・コン ピューティングとQiskit Runtime並列化によるア プリケーションの拡張 スケーラブルな誤り抑制 手法でQiskit Runtimeの 精度を向上 Qiskit Runtimeを制御する 回路編みツールボックス で量子アプリケーション を拡張 Qiskit Runtimeに動的回 路を導入し、より多くの 計算手法の実行を可能に Qiskit Runtimeに誤り訂正 を統合し、量子ワークフ ローの精度と速度を向上 古典通信と量子通信 で10K-100K qubits に拡張 回路編み ツールボックス Threaded 動的回路 誤り抑制と軽減 誤り訂正 マルチスレッド プリミティブ Flamingo 1,386+ qubits Kookaburra 4,158+ qubits 機械学習 自然科学 最適化 機械学習 自然科学 最適化

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IBM Quantum © 2022 IBM Corporation 52 Qiskitはパルス、量子回路、アプリケーションの 各レベルでの量子コンピューター上の科学計算 を可能にするオープンソースのソフトウェア 開発キット(SDK) です。

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Qiskit SDK アーキテクチャ

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Qiskit Textbook Qiskitテキストブック(https://qiskit.org/learn/) は、 Qiskitコード実装とインタラクティブな機能を備えた、オープ ンソースのオンライン教科書です。

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Qiskit テキストブックの和訳の出し⽅ Qiskit © 2023 55 拡⼤ (1) (2) (3) ⽇本語版 https://qiskit.org/learn/ 左下からJapaneseを選択

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IBM Quantum / © 2022 IBM Corporation Quantum Tokyo 有志による量⼦コンピューター勉強会。 イベントは外部のメンバーも参加(最近は外部メンバーの参加が8割︕) 量⼦コンピューター⼊⾨の話題から、Qiskit TextbookやTutorialの解説、ゲスト講師もお招きしての量⼦ コンピューター最前線に関するお話までを幅広くお届けする量⼦コンピューターを初めて学ぶ⽅向けの チャンネルです。 トップ 2の動画 1.6万回再⽣ 1.3万回再⽣ https://www.youtube.com/@QuantumTokyoo

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デモ & ハンズオン

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(1) IBM Quantum にログインします。URL: https://quantum-computing.ibm.com/ (2) 左の⻘アイコン「Launch Composer」をクリック。 (1) (2) (3) ポップアップウィンドウは「x」をクリックし て、閉じます。 (3) (4) この画⾯になったら準備完了です。 ハンズオン: IBM Quantum Composer サインインの⽅法︓『IBM Quantum Composerの登録(くわしいバージョン)』

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量⼦テレポーテーション 遠く離れた場所に量⼦の暗号を送る実験です。 エンタングルメント(量⼦もつれ)を使い、3量⼦ビットで実現できる 量⼦アルゴリズムです。 ボブ 暗号 アリス 量⼦もつれ (エンタングルメント)

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量⼦テレポーテーションのプロトコル (1) 地球のアリスがある量⼦ (暗号)を持っています。 (2) 特別な関係にあるふたごの量⼦ が地球と⼈⼯衛星の上にあります。 この2つ量⼦の関係は「量⼦もつれ」という関係です。 量⼦もつれ (エンタングルメント) ボブ 暗号 アリス

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量⼦テレポーテーションのプロトコル ボブ アリス (3) 地球のアリスが地上の2つの量⼦に特殊な測定(もつれ測定)をします。 (量⼦もつれ状態にあるボブの量⼦の状態が瞬時に変わります。) もつれ測定 量⼦もつれ (エンタングルメント)

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量⼦テレポーテーションのプロトコル ボブ アリス もつれ測定 (4) アリスが測定結果をメールや電話でボブに送り、 ボブはもらった結果をもとに⾃分の量⼦を補正します。 ボブの量⼦がアリスの持っていた暗号に変化します︕ 量⼦もつれ (エンタングルメント)

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地上と通信衛星間の量⼦テレポーテーションの例 出典︓https://arxiv.org/ftp/arxiv/papers/1707/1707.00934.pdf

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アリスからボブに暗号(量⼦状態)を送ります IBMの量⼦コンピューターは、超電導チップなので アリスもボブも同じチップの上にいますが、 地球上のアリスと⼈⼯衛星上のボブと同じと 考えましょう︕

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(1) IBM Quantum にログインします。URL: https://quantum-computing.ibm.com/ (2) 左の⻘アイコン「Launch Composer」をクリック。 (1) (2) (3) ポップアップウィンドウは「x」をクリックし て、閉じます。 (3) (4) この画⾯になったら準備完了です。 ハンズオン: IBM Quantum Composer サインインの⽅法︓『IBM Quantum Composerの登録(くわしいバージョン)』

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量⼦回路の準備(1) マウスでq[3]をクリックするとゴミ箱マークが出てくるので、 クリックして消して、 q[0], q[1], q[2]の3量⼦ビット回路の準備をします。

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量⼦回路の準備(2) マウスでc4をクリック →「ー」を選択してc3にします。

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量⼦ゲート 量⼦回路 量⼦プログラミング Qiskitのコード 量⼦ゲートをマウスでドラッグ&ドロップして、 量⼦回路を作ります。 (右側には、量⼦プログラミングQiskitのコードが⾃動⽣成されます。) 量⼦回路の作り⽅

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テレポーテーションの量⼦回路 ボブ アリス

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テレポーテーションの量⼦回路 (1)地球のアリスがある量⼦ (暗号)を持っています。 (今回は「1」を暗号とします。 を使います。) ボブ アリス 暗号を作る NOTゲート

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テレポーテーションの量⼦回路 (1)地球のアリスがある量⼦ (暗号)を持っています。 (今回は「1」を暗号とします。 を使います。) ボブ アリス 暗号を作る NOTゲート ︓回路を⾒やすくするためのゲート です。

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テレポーテーションの量⼦回路 (2) 特別な関係にあるふたごの量⼦ が地球と⼈⼯衛星の上にあります。 この2つ量⼦の関係は「量⼦もつれ」という関係です。 ボブ アリス 量⼦もつれを作る Hゲート 制御NOT ゲート を使います。

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テレポーテーションの量⼦回路 (3) 地球のアリスが地上の2つの量⼦に特殊な測定(もつれ測定)をします。 (量⼦もつれ状態にあるボブの量⼦の状態が瞬時に変わります。) 今回は、測定⾃体は最後に⾏います。 特殊な測定(もつれ測定) Hゲート 制御NOT ゲート

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テレポーテーションの量⼦回路 ︓回路を⾒やすくするためのゲート です。 1つおいたら、ダブルクリックします。 q[1]とq[2]も選択します。

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テレポーテーションの量⼦回路 (4) アリスが測定結果をボブに送り、 ボブはもらった結果をもとに⾃分の量⼦を補正します。 ボブの量⼦がアリスの持っていた暗号に変化します︕ ボブの操作 制御NOT ゲート 測定ゲート 制御Zゲート

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量⼦テレポーテーションの回路 (1) (2) (3) (4) (5) アリスの暗号量⼦ アリスの量⼦ ボブの量⼦ ︓(1) アリスは暗号を作ります。 (今回は「1」を暗号とします。) ︓(2) 量⼦もつれを作ります。 を使います。 ︓(3) アリスはもつれ測定をします。 ︓(5) ボブの量⼦を測定します。 ︓回路を⾒やすくするためのゲート です。 ︓(4) アリスの測定結果をボブに送り、 ボブは⾃分の量⼦を補正します。 をq[2]に置き、 を重ねる。 位置はあとから調整します。 の作り⽅︓

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実験します︓量⼦シミュレーター (1) 右上の⻘の「Setup and run」をクリック。 (2) スクロール。 (3) 「ibmq_qasm_simulator」を選ぶ。 (4) ⻘の「Run on ibmq_qasm_simulator」 をクリックして実⾏。 (1) (2) スクロール ibmq_qasm_simulatorを選ぶ (3)下から3番⽬の (4) 「Setup and run」をクリック。

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結果を⾒ます (5) (6) ジョブの確認

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結果と考察︓量⼦シミュレーター の場合 結果︓ 「100」のみになりましたか︖ 1024回の実験を⾏なった結果、すべて「100」だったということです。 「100」は、q[2] q[1] q[0]の順に並んでいるので、測定したq[2]の値は 「1」だったという意味です。 考察︓アリスの暗号「1」がボブに100%テレポートされたことが分かります︕ シミュレーションは、理想的な量⼦計算をするので、理論的に予想される結果が 観測されました。

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本物で実験 クラウド上の量⼦コンピューターに実験をリクエストします。 (1) もう⼀度「Setup and run」 をクリック。 実デバイスを選択します。 7Qubitsか5Qubitsのものです。 (2) スクロール (3) (4)

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結果を待ちます︓本物の量⼦コンピューター 世界中の⼈がクラウド経 由でIBMの量⼦コン ピューターを使っている ため順番がくるまで時間 がかかります。 「COMPLETED(完了)」 になったら、クリックし て結果を⾒ます。 Job(ジョブ)の確認 待ち時間

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結果と考察︓本物の場合 (結果がまだの場合は後で確認してください) 参考結果︓「100」が918回観測されました。 q[2] q[1] q[0] の順に並んでいるので、q[2]の値は、1024回の実験を⾏なった 結果、 918回は「1」、106回は「0」が観測されたということで す。 考察︓アリスの暗号「1」は約90%の確率でボブにテレポーテーショ ンが成功したことが分かります。 量⼦コンピューターには、まだ誤差があります。誤差を減らす研究を ⾏うとともに、誤差があっても使える計算⽅法(アルゴリズム)の研究 も⾏われています。

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詳しい説明はぜひQiskitテキストブックで︕ https://ja.learn.qiskit.org/course/ch-algorithms/quantum-teleportation

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84 まとめ 量⼦コンピューターは、量⼦重ね合わせ、エンタングルメントなど の量⼦現象を使った新しいコンピューター。 クラウド上で433量⼦ビットコンピューターが動き、⽇本では今年 127量⼦ビットコンピューターが稼働予定。 10年後の10万量⼦ビット実現にむけ、⼤学、研究機関、企業が⼀丸 となって取り組んでいる。 量⼦テレポーテーションといった基本的で重要なアルゴリズムを誰 でも実験ができる環境がある。

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⾃分のペースで学習できる 『Quantum Explorers 2023』 量⼦コンピューターの⾃習⽤プログラムで、⼊⾨的な内容 から応⽤まで幅広いトピックを扱っています。 それぞれのトピックのモジュールの最後のクイズを完了す ることでバッチがもらえるゲーム要素もあります。 期間︓2023年7⽉から2024年2⽉ 85 https://ibm.biz/qexp23ja