Slide 1

Slide 1 text

Linux関連の最新状況に キャッチアップするための本 「入門モダンLinux」 May 9th, 2023 Forkwell Library #23 大岩尚宏, 武内覚 1

Slide 2

Slide 2 text

Agenda ● 自己紹介 ● どんな本なのか ● 見どころ ● 本書の前後に読むとよい本 ● こぼれ話 ● まとめ 2

Slide 3

Slide 3 text

Agenda ● 自己紹介 ● どんな本なのか ● 見どころ ● 本書の前後に読むとよい本 ● こぼれ話 ● まとめ 3

Slide 4

Slide 4 text

● 会社員@サイボウズ ○ 分散ストレージCephのクラスタ開発 ○ CNCF公式プロジェクトRookメンテナ ● 個人事業主 ○ 本や記事の執筆 ● 趣味 ○ コーヒー、カメラ、散歩 4 sat (twitter: satoru_takeuchi)

Slide 5

Slide 5 text

5 • 翻訳 • 著書 • 技術監修 • 付録 自己紹介: 大岩 尚宏 • 仕事 以前はサーバ、今は組み込み

Slide 6

Slide 6 text

Agenda ● 自己紹介 ● どんな本なのか ● 見どころ ● 本書の前後に読むとよい本 ● こぼれ話 ● まとめ 6

Slide 7

Slide 7 text

既存の情報 7 高度な内容 初級者向け 時を経ても変 わらないもの 最新状況                      Web上の情報 上級者向けの本 入門書

Slide 8

Slide 8 text

本書の立ち位置 8 高度な内容 初級者向け 時を経ても変 わらないもの 最新状況                      Web上の情報 上級者向けの本 入門書 入門モダンLinux

Slide 9

Slide 9 text

豊富な参考文献、サイトでさらに先への道を示している 9 高度な内容 初級者向け 時を経ても変 わらないもの 最新状況                      Web上の情報 上級者向けの本 入門書 入門モダンLinux

Slide 10

Slide 10 text

Webに情報があるが、本の価値とは? ● Web まずほしい情報を検索。 Webページの内容が正しいことを確認しなければならない。 検索してほしい情報だけが見つかる。 ● 本は購入していただくので、情報の正確性が高い。 知っておくべき、知ってほしい情報などを載せている。網羅性に優れている。気づき がある。 *1 *1 注釈 訳者補 10

Slide 11

Slide 11 text

引用: ガイアの夜明け 『地球の歩き方』バンコク編 ガイアの夜明け 『地球の歩き方』バンコク編 https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/business/entry/2022/026433.html デジタル全盛の今、なぜガイドブックなのか? 「あるエリアに初めて行く人がインターネット検索だけで情報を集めると、 100~1000のサイトにアクセスしなければならず、数十時間かかる。 1冊の本にすべてがまとまっている形態が、現時点では一番効率的」と今井さん。 11

Slide 12

Slide 12 text

Agenda ● 自己紹介 ● どんな本なのか ● 見どころ ● 本書の前後に読むとよい本 ● こぼれ話 ● まとめ 12

Slide 13

Slide 13 text

本書のもくじ ● 1章 Linuxの入門 ● 2章 Linuxカーネル ● 3章 シェルスクリプト ● 4章 アクセス制御 ● 5章 ファイルシステム ● 6章 アプリケーション、パッケージ管理、コンテナ ● 7章 ネットワーク ● 8章 オブザーバビリティ(可観測性) ● 9章 高度なトピック 13

Slide 14

Slide 14 text

2章 Linuxカーネル ● 一部で話題のCPUアーキテクチャ、RISC-Vについて触れている ○ アーキテクチャのCPUを作るのに使用料がかからない ○ 将来post x86, post ARMになるかもしれない ● eBPFについて触れている ○ ユーザ空間からカーネルを拡張できるしくみ ○ はじめはネットワーク向け機能だったが現在では様々な用途に使われている 14 カーネル eBPFプログラム

Slide 15

Slide 15 text

2章 Linuxカーネル ● 一部で話題のCPUアーキテクチャ、RISC-Vについて触れている ○ アーキテクチャのCPUを作るのに使用料がかからない ○ 将来post x86, post ARMになるかもしれない ● eBPFについて触れている ○ ユーザ空間からカーネルを拡張できるしくみ ○ はじめはネットワーク向け機能だったが現在では様々な用途に使われている ○ 悪いオタクのオモチャにされやすいことで有名 15 カーネル eBPFプログラム eBPFプログラム eBPFプログラム シテ...コロシテ... eBPFプログラム eBPFプログラム eBPFプログラム eBPFプログラム

Slide 16

Slide 16 text

3章 シェルとスクリプト 16 ● fishシェルというマニアックなシェルについて説明されている ○ bashなどとは根本的に使い方が異なる代わりに使いやすさを追求 ● ターミナルマルチプレクサについて書かれている ○ 端末エミュレータを終了させてもセッションを残しておいたり複数のセッションを同時に使えたりする ツール ○ screenじゃなくてtmuxを使いましょうねというアドバイスがある ● 推しツールにRust製のものが多く、愛を感じる

Slide 17

Slide 17 text

6章 アプリケーション、パッケージ管理、コンテナ ● パッケージ管理 ○ 既存の本: だいたいdebパッケージとrpmパッケージを紹介 ○ 本書: flatpak, snap, apkなど珍しいものがたくさん ● コンテナ ○ docker以外のツールを豊富に紹介 : containerd, podman, buildah, skopeo 17

Slide 18

Slide 18 text

7章 ネットワーク ip_local_reserved_ports について書いた後。 再起動を繰り返すと、たまにネットワーク通信ができないときがある。 18 ● ネットワークの基本 ○ TCP/IPスタック、IPヘッダなどパケットの構造 ○ DNSについて ● 高度なトピック

Slide 19

Slide 19 text

9章 高度なトピック ● 「エンドユーザは絶対直接触らんだろ」な異様にマニアックなネタがある ○ Firecracker: AWS発の仮想化ソフトウェア ○ bottlerocket: AWS発のコンテナを動かすための OS ● 多分著者がAWSの人なので身近かつ尖ったネタを紹介した 19

Slide 20

Slide 20 text

原著には無いプラスアルファ要素 ● 随所に訳注、訳者補を挿入 ● いくつか原著で直されていない誤りを修正している 20

Slide 21

Slide 21 text

Agenda ● 自己紹介 ● どんな本なのか ● 見どころ ● 本書の前後に読むとよい本 ● こぼれ話 ● まとめ 21

Slide 22

Slide 22 text

紹介する書籍の種類 22 高度な内容 初級者向け 時を経ても変 わらないもの 最新状況                      Web上の情報 上級者向けの本 入門書 入門モダンLinux 1. 本書を読むためのステップアップ 2. 本書を読んだ後のステップアップ

Slide 23

Slide 23 text

本書を読むためのステップアップ ● 新しいLinuxの教科書 ○ https://amzn.to/3S8ZtLM ○ Linuxを「使う」ための最低限の知識が得られる ● 本気で学ぶ Linux実践入門 ○ https://amzn.to/3k9LUPC ○ Linuxを「管理する」ための最低限の知識が得られる 23

Slide 24

Slide 24 text

本書を読んだ後のステップアップ ● スーパーユーザーなら知っておくべきLinuxシステムの仕組み ○ https://amzn.to/412RW5f ○ Linuxカーネルや基本ツールについて詳しく解説 ● Linuxのしくみ ○ https://amzn.to/3nKXkez ○ Linuxカーネルが動作するしくみについて図解 24

Slide 25

Slide 25 text

おまけ: 著者がRust好きらしいので ● 入門Rust ○ https://amzn.to/3piGAvE ○ 既存の言語で開発経験が豊富な人向け ○ プログラミングを一から学ぶ本「ではない」 25

Slide 26

Slide 26 text

Agenda ● 自己紹介 ● どんな本なのか ● 見どころ ● 本書の前後に読むとよい本 ● こぼれ話 ● まとめ 26

Slide 27

Slide 27 text

翻訳しようとしたきっかけ ● 元々オライリー編集者と長い付き合い。 ● 読みやすかった。読んでて楽しかった。 ● 武内さんにヘルプをお願いした。 27

Slide 28

Slide 28 text

翻訳のヘルプ依頼が来たときの思い ● 類書がない面白そうな本 ● 翻訳やったことないけどなんとかなるやろ 28

Slide 29

Slide 29 text

翻訳のヘルプ依頼が来たときの思い ● 類書がない面白そうな本 ● 翻訳やったことないけどなんとかなるやろ ● 最初はなんともならず、すごく苦労した(後述) 29

Slide 30

Slide 30 text

翻訳の工夫点 ● 意訳に努める ○ 「いかにも翻訳」という本にしたくなかった ○ 日本語として不自然な表現はバッサリ削る (“journey”という表現とか、ジョークとか ) ● 専門用語の翻訳に気を付ける ○ 既に広く普及している日本語があればそれを使う ○ 無ければカタカナそのまま +元のアルファベット表記 ○ 造語は極力避ける 30

Slide 31

Slide 31 text

苦労点 ● 著者校を続けるうちに「どこが完成か」がわからなくなってくる ○ 内容を全部理解しているので完璧に見える ○ 一週間後に読み直すと修正点が山盛り見える ● 実例 ○ 翻訳からあまり間を空けずにやった 1校ではそれほど直さなかった ○ そのあとかなり間を空けてから見た 2校では大量に直した 31

Slide 32

Slide 32 text

読者の声: ポジティブ編 ● 最新状況が概観できて参考文献、サイトも豊富 ● Linuxを長年使ってきたが、知らないことがたくさん書いてあってキャッチアップでき た ● 本文でわかりにくかったところが訳者補によって補われていた ● 分厚くないので簡単に読める ● 翻訳がわかりやすい 32

Slide 33

Slide 33 text

読者の声: ネガティブ編 ● たまに翻訳の品質が中学生レベル ● 物理的に薄く、内容も薄い 33

Slide 34

Slide 34 text

訂正 ● 40ページの訳者補に間違い ripgrep(rg)を実行するのにRustのインストールは不要です。 ● 199ページの図9-1に間違い 誤 「可視化サポートのあるCPU」→正「仮想化サポートのあるCPU」 お詫びして訂正するとともに、指摘してくださった方に感謝いたします。 34

Slide 35

Slide 35 text

Agenda ● 自己紹介 ● どんな本なのか ● 見どころ ● 本書の前後に読むとよい本 ● こぼれ話 ● まとめ 35

Slide 36

Slide 36 text

まとめ ● 「入門モダンLinux」はLinux関連の最新状況の概要を手短に学べる本 ● 原書を翻訳するだけでなく豊富な訳者補が付いている ● ぜひお買い求めください ○ https://www.oreilly.co.jp/books/9784814400218/ ○ https://www.amazon.co.jp/dp/4814400217/ ○ https://shop.ohmsha.co.jp/shopdetail/000000007836/ct380/page1/order/ 36

Slide 37

Slide 37 text

おわり 37 わたしも一冊買おうかとおもいます