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関西製造業祭り2025 現場カイゼンからアプリ開発まで 一気通貫支援

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October 23, 2025
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関西製造業祭り2025 現場カイゼンからアプリ開発まで 一気通貫支援

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田中 聖也

October 23, 2025
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  1. ⾃⼰紹介 2 • 2017.04~2021.07 製造業の⽣産技術部 ◦ 設備の保全全般(事後,予防,予知) ◦ IATF16949取得に向けた取り組み • 2021.08~2025.01 SES

    ◦ AI, OCRを活⽤した製造業向けの業務アプリ ◦ AWSを活⽤したWebシステム • 2025.02~ クラスメソッド⼊社  ◦ メーカー様 担当 ▪ 製品の需要予測PoC ▪ 原材料管理 業務改善 • 部署 ◦ 製造ビジネステクノロジー部 • 名前(ニックネーム) ◦ ⽥中聖也(うどん) • 好きな⾔葉 ◦ 現場‧現物‧現実 • マインド ◦ とりあえず、やってみる
  2. ⽬次 3 1. 製造現場へのデジタルツール導⼊の失敗例 a. 急な仕様変更‧機能追加 b. 使⽤されないデジタルツールの誕⽣ 2. 現場カイゼンからアプリ開発までの⽀援内容

    a. ⽀援の経緯 b. 発注の正しさをチェックする仕組みの導⼊ c. 材料の置き場所を整備する(整理‧整頓) d. アナログで記録をつける 3. 失敗しないように気を付けたポイント a. ⽬的を明確にして関係者(役員から現場作業者)との認識を合わせる b. 現場に⾏き続けて業務を正確に把握する c. 作業者を仕様決めから混ぜておく d. 前向きな雰囲気にする 4. 問題提起 5. さいごに
  3. 現場カイゼンからアプリ開発までの⽀援内容 9 ⽀援の経緯 • 材料の在庫管理ができていない ◦ 何の材料がどこに何個あるかの情報が担当者レベルで閉じている ◦ 多品種少量⽣産 ◦

    材料の種類が多岐にわたる • 無駄に発注してしまっている ◦ 担当者が⽋品を恐れて発注してしまう ◦ 発注の正しさをチェックする仕組みがない • 論理在庫と実在庫の乖離 ⼯場に⼤量の原材料在庫を抱えている 原材料管理アプリの開発
  4. 現場カイゼンからアプリ開発までの⽀援内容 11 材料の正しさをチェックする業務の整備 カイゼン前 • 現場担当者の発注指⽰がノーチェックで発注される • 発注依頼書が様々なフォーマットがある カイゼン後 •

    上⻑、⽣産管理、調達部が様々な観点でチェックする ◦ 必要な情報をリレー⽅式で渡していく • 発注依頼書のフォーマットを統⼀ 現場担当者 調達部 仕⼊業者 製造部責任者 ⽣産管理部 Excel, 電話, メール,,, カイゼン前 カイゼン後
  5. 現場カイゼンからアプリ開発までの⽀援内容 12 材料の保管場所を整備する • 不要な物を捨てる • その場に必要のない物は移動させる • 材料ごとに保管する場所を決める •

    先⼊れ先出しがしやすい配置にする 作業場所2 作業 場所1 原材料 原材料 原材料 原材料 原材料 原材料 原材料 原材料 原材料 原材料 原材料 現場事務所 原材料 原材料 作業場所2 作業 場所1 原材料 原材料 原材料 現場事務所 原材料 原材料 原材料 原材料 原材料 原材料 原材料 • 本⽇、使⽤する原材料をローラーの上において先⼊れ先出し(⾚⽮印) • 使⽤頻度が少ない原材料は別の場所に移動(オレンジ点線)
  6. 現場カイゼンからアプリ開発までの⽀援内容 13 紙で⼊出庫記録をつける • 現状の作業内容的にアプリを起動する時間もない • 作業者全員がアプリを操作する端末を持てない 業務フローの 整備 アナログでの

    運⽤ デジタルでの 運⽤(アプリ) 現場での運⽤負荷を⼩さい⽅法を 採⽤する アプリによって運⽤負荷が⼤きく なり、アプリが使われなくなり、 論理在庫と実在庫の過剰乖離が発 ⽣する問題を抑⽌するため 実運⽤上、アプリだけでは対応できない原材料もある ⼊出庫時には記録をつけるという習慣を根付かせる
  7. 失敗しないように気を付けたポイント 15 ⽬的を明確にして関係者(役員から現場作業者)との認識を合わせる • 現場では様々な制約や業務パターンのなかで業務をこなしている • 様々なユースケースをアプリだけで対応しようとすると、それなりの 投資と保守費⽤が必要になる アプリを作ることが⽬的になっていると完了の⽬途がたたない 原材料がどこに何個あるかを可能な限り

    リアルタイムで正しく把握する(記録を取り続ける) • 可能な原材料はアプリで⼊出庫を記録する • 難しい原材料は紙で⼊出庫を記録する ◦ 業務終了時にまとめてアプリで記録をつける ◦ アプリで管理できるように配置場所や業務フローを再検討する
  8. 失敗しないように気を付けたポイント 16 現場に⾏き続けて業務を正確に把握する • かれこれ40回(2025年5⽉から)ほど⼯場に訪問 • 作業者が⾔語化できている作業は少ない • 実際に作業を観て業務を把握する ◦

    半⽇、作業者についてヒアリングを実施したりしました • ピンポイントで業務を把握するのではなく、前後⼯程とのやり取りも 把握することで様々なケースが出てくる
  9. 失敗しないように気を付けたポイント 17 作業者を仕様決めから混ぜておく • Vercel v0でアプリの画⾯決めから参加 ◦ 業務フローが理解できているのが前提 • 必要な機能や優先順位の認識齟齬がなくなる

    • 作業者も「私が使うアプリである」という当事者意識を引き 出すことができる ◦ v0を使えば作業者から頂いたアドバイスを、その場で修正できて何 度も打合せを設定する必要がない 作業者のモチベーションを引き出すことができれば 様々なユースケースを⾒つけることができ 結果として現場の業務に耐えうるアプリに近づけることができる
  10. 失敗しないように気を付けたポイント 19 前向きな雰囲気にする • 関わってくれる⼈達に会って⾔い続ける ◦ 100点じゃなくてもいいので、少しだけでもやってみましょう ◦ とりあえず、やってみてダメだったら⼀緒に考えましょう ◦

    きっと、できるはずです • 振り返り を実施する ◦ 1か⽉ごとにやってきたことを部署横断で実施 ◦ 各々が抱えている課題が⾔語化されてチーム全体に共有される ◦ ⼯場⻑からは「私も意⾒⾔うんですね」とビックリされてました ◦ 称賛する機会が創出される ▪ 褒めたり認める⽂化を作るきっかけにもなる
  11. 問題提起 22 トヨタ⽣産⽅式が⽣まれた時代は上記のような状況でした 今は、どうでしょうか?おそらく、下記のような状況だと思います *⾦: 潤沢に投資できる資産, 技術: 独⾃の製品を作ることができる ⾦と技術はない、⼈はいる ⾦と⼈はない、技術はある

    多くの企業が限られた予算と⼈員のなかで⽣産性をどう上げていき、企 業として成⻑していくかを模索していると思われます。 ⼈の問題は単純に数だけではなく、技術継承問題にも派⽣します。 これらの問題を⼀発で解決できるツールは存在せず、部署や企業、業界 を超えてみんなで知恵を出し合って、地道に努⼒を積み重ねていく必要 があるのかなと考えております。