Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
「大事だけど直接売上に繋がりづらい」イシュー だからこそ、意志を持って体験にこだわりきる
Search
Michiru Kato
November 29, 2023
4
9.1k
「大事だけど直接売上に繋がりづらい」イシュー だからこそ、意志を持って体験にこだわりきる
2023/11/29(水)のpmconf2023登壇資料です。
https://2023.pmconf.jp/session/dpTaIH6o
Michiru Kato
November 29, 2023
Tweet
Share
Featured
See All Featured
Fashionably flexible responsive web design (full day workshop)
malarkey
404
65k
The Psychology of Web Performance [Beyond Tellerrand 2023]
tammyeverts
41
2.1k
The Cost Of JavaScript in 2023
addyosmani
45
6.6k
Practical Orchestrator
shlominoach
186
10k
Docker and Python
trallard
40
3.1k
Rebuilding a faster, lazier Slack
samanthasiow
79
8.6k
Let's Do A Bunch of Simple Stuff to Make Websites Faster
chriscoyier
504
140k
Visualizing Your Data: Incorporating Mongo into Loggly Infrastructure
mongodb
42
9.2k
Refactoring Trust on Your Teams (GOTO; Chicago 2020)
rmw
31
2.7k
Unsuck your backbone
ammeep
668
57k
Reflections from 52 weeks, 52 projects
jeffersonlam
346
20k
Teambox: Starting and Learning
jrom
132
8.7k
Transcript
© 2023 LayerX Inc. 「大事だけど直接売上に繋がりづらい」イシュー だからこそ、意志を持って体験にこだわりきる 2023/11/29 株式会社LayerX 加藤みちる
2 © 2023 LayerX Inc. 登壇者紹介 興味があるテーマ • ユーザーが考えなくても業務がうまくいくようなプロダクトを提供する •
ユーザー体験と事業成長どちらもこだわれるカルチャー • 人間がメタ認知を獲得していくプロセス 加藤 みちる (かとうみちる) PM、元カスタマーサクセス。趣味は純喫茶、フェス、ボルダリング フォルシア株式会社 → 株式会社LayerX エンプラPM カスタマーサクセス SaaS 受託開発 新規事業開発 需要予測AI PM
3 © 2023 LayerX Inc. アジェンダ 1. LayerX、担当プロダクトの紹介 2. テーマの背景
3. 売上・アハ体験から遠く見えるイシューをやりきる “覚悟” a. 意思決定 b. 社内を巻き込む c. マインドセット
© 2023 LayerX Inc. 会社紹介
5 © 2023 LayerX Inc. LayerXのご紹介 - ビジョン 「人がシステムに合わせる」から「システムが人に合わせる」世界へ システム
システム AI ・・・ システムはデータを入れる箱 (業務は変わらない) システムは人を助ける アシスタント 領収書の写真を撮ったら 全て入力される 領収書を見ながら、 金額、社名などを手入力... 出張の手配は全て自分でし 申請も全て自分で入力... カレンダーの出張予定を見て 最適な旅程を提案→決済 カレンダー, システムの履歴 から自動で勤怠を作成 勤怠を自分で振り返り、上長 承認のためのシステム入力... 削れる費用をサジェスト、 最適な働き方を提案 システムに溜まったデータを分 析し、費用削減プランを実行... 人がシステムに合わせて(使役され)、 仕事をしている... 入力は自動化され、データからAIが理想をサジェスト (システムが人に合わせる)
6 © 2023 LayerX Inc. LayerXのご紹介 - ビジネス概要 バクラク事業 企業活動のインフラとなる法人支出
管理(BSM)SaaSを開発・提供 Fintech事業 ソフトウェアを駆使したアセットマネ ジメント・証券事業を合弁会社にて 展開 AI・LLM事業 LLM関連技術を用いたイネーブリン グ・新規プロダクト開発、R&Dを行 う +
7 © 2023 LayerX Inc. 企業の債権・債務(お金まわり)に関連する業務を一気通貫、なめらかに。 バクラクのご紹介 ワーク フロー 経費精算
請求書 発行 請求書 受取・ 仕訳 カード 共通管理(認証・セキュリティ基盤) 共通管理(従業員・組織図マスタ管理) 経理担当者、従業員
8 © 2023 LayerX Inc. バクラクのご紹介 バクラク共通管理:認証・認可・セキュリティの機能を主に担当 サービス全体への 認証機能 従業員・組織図の
マスタ管理機能 2 1 3 お客様が想定したユーザーだけが お客様の環境にアクセスできる 稟議ワークフローの承認経路の設定や、 証憑の閲覧権限制御ができる 機能例 アウトカム サービス全体への 認証・権限管理 従業員・組織図の マスタ管理 SSOや監査ログなど、 セキュリティ機能 2 1 3 お客様が想定したユーザーだけが 環境にアクセスできる 稟議ワークフローの承認経路の設定などができる 不正アクセス防止や監査対応を行いやすくし、 お客様が安心して利用できる 機能例 アウトカム ※最近の業務キーワード: 監査ログ、SLA、二段階認証、SOC1
9 © 2023 LayerX Inc. バクラクのご紹介 バクラク共通管理の特徴:当たり前品質が問われやすいプロダクト • 認証などユーザー全員が利用する機能も多 く、「安心・安全」の優先度が高い
a. 魅力的品質、アハ体験を大事にする バクラクの中で最も守りのプロダクト • 全プロダクトと連携するため、 社内の横串連携が多い 満足 充足 不満足 不充足 魅力的 品質 当たり前 品質 一元的 品質 あって当然😐 ないと不満😡 あると嬉しい😆 なくても 構わない🤔 出典:狩野モデル
© 2023 LayerX Inc. 本日のテーマ
11 © 2023 LayerX Inc. 自分への問い ユーザー体験にこだわりきれているか?
12 © 2023 LayerX Inc. 売上の引力 “だけ“ に引っ張られるのは、凡庸な意思決定では? 合意形成によって作られる意思決定は凡庸である。 みんながいいと思う、リスクが少なく、プロダクトへの影響が少ない
意思決定をすると、会社全体がどんどん普通になってしまう。 これはやるんだという信念を持とう。普通ではない仕事をしよう。 (2023/05/29 全社定例より意訳) LayerX 事業部執行役員 名村卓 故スティーブ・ジョブズは「めちゃくちゃにすばらしい」ことにしか 心を動かされなかった。 …人は誰でも、自分のしていることにワクワクすべきだ。 内なるスティーブ・ジョブズの声に耳を澄ませよう。 「めちゃくちゃにすばらしい」を目指そう。 (最高を超える 第1章 最高を超える力より) スノーフレイク会長兼CEO フランク・スルートマン
13 © 2023 LayerX Inc. 私が思う、「めちゃくちゃにすばらしい」こと 意志を持って圧倒的に使いやすさにこだわり、 理想の業務のあり方を実装したプロダクトで お客様がバクラクになる、 結果として私たちの事業も成長する
14 © 2023 LayerX Inc. 認証・セキュリティ基盤という性質上、 「大事だけど、アハ体験・売上どちらからも遠くみえるイシュー」 の対応が必要なことも多い 例: セキュリティ機能・体制の強化、歴史あるコードのリファクタリング、技術負債の解消…
…ただ、やりぬくにあたっては悩みも多い🥺 「めちゃくちゃにすばらしい」までの壁
15 © 2023 LayerX Inc. 本日のテーマ めちゃくちゃにすばらしい、をやっていくために 売上・アハ体験から遠く見えるイシューもやりきる “覚悟”
16 © 2023 LayerX Inc. 認証基盤PMになってからのお気持ち推移 ※チーム自体4月に発足
17 © 2023 LayerX Inc. 「認証基盤作り直し」が、事業にどう貢献するか 戦略を描けず、やる/やらない決定に時間を要した お気持ちの裏には数々の失敗… セキュリティの機能が顧客のサクセスに繋がっているか 手触り感を持ちづらく、歯がゆい
2 1 3 セキュリティ機能の ユースケースが粗いまま開発をすすめ、 リリース直前に手戻りが多発 意思決定の迷い WHYへの共感が 不足したマインドセット ユーザーへの 向き合いが不足した マインドセット 認証基盤という特性上、本当に事業貢献できてる?大事なんだけど、今やるべき?に悩む日々 社内巻き込み遅れ
18 © 2023 LayerX Inc. 本日のテーマ 今やるべき、の 意思決定がしづらい… 「全体最適」観点で 優先度のすり合わせが大変
… • 事業貢献度合いが見えづ らく、今やるべきか判断し づらい • 結果、先延ばししてしまい がちなことも • 社内でも課題解像度が異 なり、「本当に今そこまで やるべき?」の認識が横串 であわせづらい • 調整に時間がかかり、顧客 への価値提供が遅れる ちょっとワクワクできない自 分がいるかも… • why?why me?が 腹落ちできないと シンプルにつらい めちゃくちゃにすばらしい、をやっていくために 売上・アハ体験から遠く見えるイシューであってもやりきる覚悟 意思決定 社内の巻き込み マインドセット
© 2023 LayerX Inc. 売上・アハ体験から 遠く見えるイシューであってもやりきる覚悟
20 © 2023 LayerX Inc. 本日のテーマ 今やるべき、の 意思決定がしづらい… 「全体最適」観点で 優先度のすり合わせが大変
… • 事業貢献度合いが見えづ らく、今やるべきか判断し づらい • 結果、先延ばししてしまい がちなことも • 社内でも課題解像度が異 なり、「本当に今そこまで やるべき?」の認識が横串 であわせづらい • 調整に時間がかかり、顧客 への価値提供が遅れる ちょっとワクワクできない自 分がいるかも… • why?why me?が 腹落ちできないと シンプルにつらい めちゃくちゃにすばらしい、をやっていくために 売上・アハ体験から遠く見えるイシューであってもやりきる覚悟 意思決定 社内の巻き込み マインドセット
21 © 2023 LayerX Inc. 1.今やるべき、の意思決定がしづらい アウトカムを、事業成長の要素にマッピングときに、直結しなかった施策をどう評価するか リファクタリングや 負債への対処 ※ARR(Annual
Recurring Revenue): プロダクトの年単位の基本利用料 ※NRR(Net Retention Rate): 売上維持率。今月獲得した売上が来月/来年にどの位になるかの増減率 SaaS事業が成長する 新規顧客の ARR※が増える 既存顧客の NRR※が増える 差別化機能で 導入社数増やす KOFをなくし 導入社数増やす 提供価値を増やし 解約を防止する 提供価値を増やし クロスセルする リファクタリングや 技術負債への対処 ???
22 © 2023 LayerX Inc. 1.今やるべき、の意思決定がしづらい アウトカムを、事業成長の要素にマッピングときに、直結しなかった施策をどう評価するか リファクタリングや 負債への対処 検討してみたら、今の設計だと、
実はすぐ着手できない… 仕様が複雑になりそう… SaaS事業が成長する 新規顧客の ARR※が増える 既存顧客の NRR※が増える 差別化機能で 導入社数を増やす KOFをなくし 導入社数増やす 提供価値を増やし 解約を防止する 提供価値を増やし クロスセルする リファクタリングや 技術負債への対処 ???
23 © 2023 LayerX Inc. 1.今やるべき、の意思決定がしづらい 単体では「事業成長に直結しない」であっても、中長期的に顧客に提供できるアウトカムが 早く・省コストになるのであれば「今」やる理由になる SaaS事業が成長する 新規顧客の
ARRが増える 既存顧客の NRRが増える 差別化機能で 導入社数増やす KOFをなくし 導入社数増やす 提供価値を増やし 解約を防止する 提供価値を増やし クロスセルする リファクタリングや 技術負債への対処 投資することで、顧客に ゙直接価値を提供できる他の機能を、 早く・少ないコストで提供できる ???
24 © 2023 LayerX Inc. 1.今やるべき、の意思決定がしづらい 2.投資部分も含めて やる/やらないは、 具体的に シミュレーションをして
決定 3.中長期でアウトカムを 最大化するロードマップを 策定 1.要望の深掘り時に 「各種アウトカムを出す際の ブロッカー」も紐解く 中長期で一番アウトカムが出るには?を考えて意思決定していく
25 © 2023 LayerX Inc. 1.今やるべき、の意思決定がしづらい • 投資が必要だが仕様がシンプルにできる案、多少複雑になるが早期リリース可能な案など、 選択肢を洗い出す •
将来開発する機能への影響シミュレーションも含めてpros/consを比較 • 「今はやらない」も含めてロードマップを意思決定
26 © 2023 LayerX Inc. 1.今やるべき、の意思決定がしづらい 2.投資部分も含めて やる/やらないは、 具体的に シミュレーションをして
決定 3.中長期でアウトカムを 最大化するロードマップを 策定 1.要望の深掘り時に 「各種アウトカムを出す際の ブロッカー」も紐解く 中長期で一番アウトカムが出るには?を考えて意思決定していく
27 © 2023 LayerX Inc. 本日のテーマ 今やるべき、の 意思決定がしづらい… 「全体最適」観点で 優先度のすり合わせが大変
… • 事業貢献度合いが見えづ らく、今やるべきか判断し づらい • 結果、先延ばししてしまい がちなことも • 社内でも課題解像度が異 なり、「本当に今そこまで やるべき?」の認識が横串 であわせづらい • 調整に時間がかかり、顧客 への価値提供が遅れる ちょっとワクワクできない自 分がいるかも… • why?why me?が 腹落ちできないと シンプルにつらい めちゃくちゃにすばらしい、をやっていくために 売上・アハ体験から遠く見えるイシューであってもやりきる覚悟 意思決定 社内の巻き込み マインドセット
28 © 2023 LayerX Inc. 組織が大きくなると、「自分のプロダクトに詳しい人は自分しかいない」状態となり、 優先度や、前提のすりあわせにコミュニケーションコストが増えやすい →結果として価値のデリバリーが遅れる… 意思決定のスピードを保つため、以下の2点を工夫 2.「全体最適」観点で優先度のすり合わせが大変
① 一次情報を収集し、担当領域には圧倒的に詳しくなる ② ①で得た仮説を全体戦略にフィードバックする機会を作る
29 © 2023 LayerX Inc. • セキュリティ、認証、監査まわりなど、 必要に応じて調査 • お客様との会話の土俵に立つための知識獲得
2.「全体最適」観点で優先度のすり合わせが大変 ドメインの調査 ユーザーヒアリング • 売るためにあれば良い機能、みたいな粒度だ と本質的な課題解決にならず評価が難しい • わからないことはユーザーさんに聞く、を徹底 ①担当領域に圧倒的に詳しくなる そのためにユーザーの声やドメインのインプットを息を吸うように行う
30 © 2023 LayerX Inc. • スポットの雑談mtgを実施 ◦ 例:プロダクトごとのミッションあるべき論 など、明確なゴールが決まっていない状態
でもCPO/部長とフラットに会話 • 認識ズレをこまめに埋める • PMが集まる毎週の定例アジェンダとして、 大玉施策の全体優先度を見直す機会を入れる ◦ 例:社内opsへエンジニアリングの投資を行 うと事業インパクトが大きそう →体制・採用優先度の変更を検討 ②得た情報を全体戦略にフィードバックする機会を作り、こまめに前提をすりあわせる 2.「全体最適」観点で優先度のすり合わせが大変 お茶会の実施 プロダクト定例での定期的な議論
31 © 2023 LayerX Inc. 本日のテーマ 今やるべき、の 意思決定がしづらい… 「全体最適」観点で 優先度のすり合わせが大変
… • 事業貢献度合いが見えづ らく、今やるべきか判断し づらい • 結果、先延ばししてしまい がちなことも • 社内でも課題解像度が異 なり、「本当に今そこまで やるべき?」の認識が横串 であわせづらい • 調整に時間がかかり、顧客 への価値提供が遅れる ちょっとワクワクできない自 分がいるかも… • why?why me?が 腹落ちできないと シンプルにつらい めちゃくちゃにすばらしい、をやっていくために 売上・アハ体験から遠く見えるイシューであってもやりきる覚悟 意思決定 社内の巻き込み マインドセット
32 © 2023 LayerX Inc. 3.ワクワクできない自分に対処する 気持ちが下がっていたときに何が起きていたか • 「全員が使う機能ではない、本当に作り込むべき・・・?」 •
「セキュリティ機能って、使いやすさよりは存在が大事な機能では・・・?」 • 「自分はセキュリティに詳しくないが、PMやってていいんか…?」
33 © 2023 LayerX Inc. • チーム発足当時はプロダクトバリューがな かったので、解像度をあげて策定 • 取り組みがプロダクトバリューの実現にどの
ように寄与する、という部分が腹落ちすると 共感ポイントを見つけやすくなった 3.ワクワクできない自分に対処する ①プロダクトバリューと 照らしWHYを腹落ち • マネージャーとの1on1で都度相談 ◦ 不安に対しては「出来ると思ってるか らお願いしてますよ」 ◦ 領域知識はマネージャー自身も一緒に 解像度上げを実施 ②「自分で大丈夫?」と 思ったらMGRに頼る
© 2023 LayerX Inc. 結論
35 © 2023 LayerX Inc. 結論 意志を持って 「ユーザーに提供したいアウトカムが何か」 「そのためにどんな体験を提供したいか」 に向き合いつづける
36 © 2023 LayerX Inc. 「めちゃくちゃにすばらしい」をやっていくために 今やるべきか?なぜか? 意思決定がしづらい 「全体最適」観点で 優先度のすり合わせが大変
ちょっとワクワクできない自 分がいるかも… 意思決定 社内の巻き込み ロードマップ全体で アウトカムを最大化 マインドセット ユーザと会話し、 社内へフィードバック プロダクトバリュー/1on1 でWHYへ腹落ち 意志を持って、「ユーザーに提供したいアウトカムが何か」 「そのためにどんな体験を提供したいか」に向き合いつづける
37 © 2023 LayerX Inc. さいごに LayerXでは全方位で仲間を大募集中です! バクラクのプロダクト群は、ユーザー体験にこだわることで事業を伸ばし続けており、 共通管理のプロダクトもそこに続いていきたいと考えています。 「体験にこだわる覚悟」に共感いただけるPMの方、ぜひカジュアルにお話しましょう!👐
LayerX採用情報 https://jobs.layerx.co.jp/ カジュアル面談フォーム https://jobs.layerx.co.jp/b6620c3ed8584c5e9273547674a24694