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アジャイルで広がる感謝の輪

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August 08, 2025
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 アジャイルで広がる感謝の輪

**アジャイルで広がる感謝の輪**

「なぜスクラムをやっているのか?」「そもそもスクラム開発とは何か?」

スクラムを実践していても、その本質的な価値を実感できずにいるチームは少なくありません。形式的なイベント実施に留まり、メンバーからこのような率直な疑問が出ることも珍しくないでしょう。

本セッションでは、スクラム初心者だった私が直面した課題と、それを乗り越えるために取り組んだ改善活動の実体験をお話しします。特に注目していただきたいのは、「感謝」という要素をアジャイル実践に組み込むことで得られた効果についてです。

小さな工夫から始まったチーム改善の取り組みが、どのように組織全体に広がっていったのか。そして、感謝の力を科学的エビデンスの観点から解説し、なぜ感謝がアジャイルチームの改善に効果的なのかを明らかにします。

このセッションを通じて、アジャイル実践において「技術的な改善」だけでなく「人間的なつながり」の重要性を再認識し、明日からすぐに実践できる具体的なアプローチを持ち帰っていただけます。スクラムの本質的な価値を実感し、チーム全体が成長していく「感謝の輪」を、あなたの組織でも広げてみませんか?

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Motoki Nakamura

August 08, 2025
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Transcript

  1. 中村 元揮 クリエーションライン株式会社 SREエンジニア  経歴  趣味・目標  興味・関心

    自己紹介 建設業や製造業などを経験 • 2022年10月:エンジニアとしてIT業界に転職 • 2025年8月:クリエーションライン株式会社に入社 • • 趣味:散歩、筋トレ、読書 • 直近の目標:1日200回腕立て伏せができるようになること • エンジニアですが、スクラムマスターという役割が好きなので、いつか専任でやってみたいと思っています •
  2. 本発表について アジェンダ 1. 組織構成 2. 現場の課題 3. 改善への取り組み 4. 改善結果

    5. 感謝が持つ力 6. まとめ はじめに  今回お話しするのは、以前に所属していた組織での経験談です。
  3.  私の説明  メンバーからの反応 結果 メンバーを十分に納得させることができず、モヤモヤした気持ちが残ることがありました 私の説明とメンバーの反応 私自身、初めてスクラムで開発をしているプロジェ クトに入ったので、本質的なところがわかっていな かった

    • 「デイリースクラムで進捗や課題を共有し、レトロ スペクティブで改善策を議論することで、より良い スプリントにつなげられる」 • 「デイリースクラムで課題を共有しても、結局解決 されないことが多い」 • 「レトロスペクティブで出たアイデアが、次のスプ リントに反映されている実感がない」 • 「スクラムのメリットが、自分たちの仕事にどうつ ながるのか見えない」 •
  4.   自己分析  課題の本質 原因の分析 スクラムの成功体験を十分に積めていない • スクラムの真の価値を実感しきれていない •

    スクラム開発に携わってから半年程度しか経っていない • 書籍やセミナーで得た知識はあっても、実体験に基づいた確信がない • 表面的で教科書通りの説明になってしまっていた • イベントの実施自体が目的化し、「スクラムとは何か?」 「なぜスクラムが良いのか?」 という本質を見失っていることを痛感 •
  5.  アジャイルアンギャ  プログラム概要  参加への経緯 URL https://www.agile-studio.jp/post/agile-angya-support-pass アジャイルアンギャサポートパスとの出会い 永和システムマネジメントのアジャイルアンギャサポートパスは、一定の条件を満たし

    た場合にアジャイルアンギャ(Scrum Inc. 認定スクラムマスター研修)に無料で招待し ていただける制度 • 通常価格:20万円相当の研修が無料 • 認定資格:Registered ScrumMaster (RSM) - 国際認定資格 • 提供企業:20年以上のアジャイル実践実績を持つ永和システムマネジメント • 自分が現在抱えている課題やこれからの展望を作文として提出 • 審査を経て、研修に招待していただけた •
  6.   研修での発見 "この研修ではじめてスクラムの楽しさを実感することができました。改善のサイク ルこそ、価値あるプロダクト作りの根源なのだと体感しました。" スクラム研修で得たもの  参加者同士でチームを組み、実践的なスクラムを体験 • 

    様々なワークや座学を通してスクラムの本質を理解 •  課題に対してメンバー同士で協力して改善案を出し合う喜び •  試行錯誤のプロセスこそが価値あるプロダクトを作る鍵 •
  7.     勉強会・交流会の開催  スクラムマスター同士の連携  組織へのプラクティス拡大 知識還元と組織横断活動

    自分のチームだけでなく、組織全体が成長していけるようアジャイル・スクラム関連の勉強 会を開催 • 他チーム同士の交流会を実施し、横のつながりを強化 • 隔週でスクラムマスター同士が集まり、効果的な勉強会のコンテンツについて議論 • 各チームの改善アイデアを共有し、組織全体の成長につなげる • スクラム関連情報共有チャンネルの開設 • 組織横断的な活動を通じて、アジャイルの価値観や実践を広める •
  8.  ふりかえり文化の導入  導入背景 保守運用チームではレトロスペクティブを行なっていなか った • チームが2週間でどんな活動を行い、どんな課題があるのか 把握できていない状況 •

    チーム内のコミュニケーションが限定的で、意見交換の場が 少なかった • 課題が発見されても共有・改善される仕組みがなかった • 「2週間のふりかえり会」として実施開始 •  「感謝したいこと」セクションの効 ふりかえり開始当初は暗い雰囲気で始まることが多かった • メンバー全員がポジティブな状態で話し合いができるよう 「感謝したいこと」セクションを追加 • 効果 ポジティブな雰囲気で建設的な対話が増加 • 効果 チームメンバー間の信頼関係が強化 • 効果 問題解決へのモチベーションが向上 • ⟩ より効果的なふりかえりの実現につながった •
  9. 改善活動の具体的成果  タイムボックスの厳守率向 上 ミーティングの効率化と時間管理の 徹底により、タイムボックス厳守率 が大幅に改善 95% 以前は時間超過が常態化していまし たが、短期間で大幅な改善を実現

     自主的な学習文化の醸成 チームごとの自主的な輪読会の開始 スクラム関連書籍の輪読会 情報共有チャンネルの開設と活性 化 週1回の定期的な学習会 メンバー主導の学びの場が自然発生  コミュニケーション活性 化 交流会を定期的に実施し高い満足度 を達成 満足度 95%超 チーム間のコミュニケーションが活 発化 部門を超えた協力体制の構築に成功
  10.  感謝の力 〜科学的エビデンス〜  研究から見る感謝の効果 助けてもらう協力が30%向上 • 感謝の強さに比例して効果が高まる • 無関係の第三者への援助行動も向上

    • 人間関係の質が向上し、周囲のサポート感が増加 • 心理テクニックの中で感謝が最も効果的 • ポジティブ心理学における重要な介入手法として確立 •  職場への具体的効果 効果 職場の無礼な行動が減少 • 効果 陰口や侮辱的な発言が減少 • 効果 チーム内の信頼関係が向上 • アジャイルチームでの実践例 • スプリント終了時にチームメンバーへの感謝を表明 • レトロスペクティブに「感謝」のセクションを追加 • 結果:より建設的な対話と積極的な改善提案が増加 •