Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

自然言語の限界とAIの限界

Avatar for potatoapple314 potatoapple314
October 14, 2025
43

 自然言語の限界とAIの限界

Avatar for potatoapple314

potatoapple314

October 14, 2025
Tweet

Transcript

  1. 自然言語(人間が日常的に使う、曖昧さ・文脈依存あり) 日本語: 「今日はいい天気ですね」 英語:"I'm going to the library tomorrow." フランス語:"Comment

    ça va ?" (元気ですか?) 形式言語(厳密に定義され、曖昧さがない。数学・コンピュータで利用) 数学記法:∀x ∈ ℝ, x² ≥ 0 プログラミング: if (x > 0) { y = 1; } else { y = -1; } 正規表現: ^[A-Za-z0-9._%+-]+@[A-Za-z0-9.-]+\.(com|net|org)$ 5
  2. 17

  3. 20

  4. A :[ 頭が赤い] [ 魚を食べる] 猫(= 猫の頭が赤い) B :[ 頭が赤い

    魚] を食べる 猫(= 魚の頭が赤い) C 〜E :言葉遊び的読み(主体= 頭、頭だけ猫 など) 実務では A/B の取り違えが事故の温床 22
  5. 24

  6. 25

  7. 29

  8. 30

  9. 32

  10. 35

  11. 48

  12. 7) AI (LLM) にどう写る? LLM= 大量の文章から“ 使われ方” を学んだ機械 学習データに依存:それまでに学習したそれっぽい答えを返す 曖昧に弱い:かかり先が曖昧だともっともらしい確率で選ぶ

    暗黙知の欠落:社内文化や暗黙知は明示化しない限り全く考慮されない 現地確認が苦手:テキスト内で整っても、外界で未検証 ( ハルシネーションの存 在) まとめ:AI(LLM) は学習したデータの言語のモデルであって、なんでも知っている わけではない 50
  13. 8) 今井むつみ著: 『 「何回説明しても伝わらない」は なぜ起こるのか?』 問題提起: 「話せばわかる」は幻想かもしれない。人はそ れぞれの スキーマ(自分の中の常識) で解釈するため、

    同じ説明でも別の理解に変換されうる。 要点1 スキーマの違い:各人の知識枠組みが異なるの で、前提がズレると伝わらない。 要点2 認知バイアス:確証バイアス/選択的注意など で、都合のよい情報だけが残り判断が固着する。 要点3 心の理論 × メタ認知:相手の知識状態を推定し つつ、自分の前提や説明の枠を点検する視点が必須。 53
  14. 58

  15. 59

  16. 9) 語義の形式化(人にもAI にも効く) [ 対象] [ 動作] [ 目的地/ 相手]

    [ 方法/ 条件] [ 禁止/ 例外] 例(修正版) 「足もとのボールを、ママのところに、下投げで1 回投げて。ゴミ箱は不可」 擬似コード化 throw(ball, to=Mom, style=underhand, times=1, forbid=[trash_can]) “ 一意なカタ” へ半歩寄せるだけで、誤解は激減する。 72
  17. つまり 命題 :火がある 命題 :煙が立つ のとき 煙が立つ ならば 火があるの対偶として ことわざの火がない

    ならば 煙が立たないを考えると これは論理的に正しくありません。 78