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3-1_ziguricasestudy2.pdf

takamitsukariya
June 17, 2019
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  1. ೔ຊͷ܀࢈ۀͷมભ ・ 日本の栗産業の変遷 日本国の1次産業において、 栗は昔から和菓子や、 身近なおやつとして生活と密接な関係 を持っている。 しかしながら国産の栗は、 高齢化による生産者不足や外国産栗の大量輸入により、 1986

    年 以降、 生産量が劇的に減少した。 外国産栗の輸入量は 2012 年時点で、 約 11,200 トン。 日本国内での国産栗出荷量は 15,300 トンである。 (表1) 国内での外国産栗は、 約 40% のシェアを持っている。 (図1) 中国産栗に関しては、 7,547 トンもの輸入をしており、 価格も1kg辺り平均単価 303 円と、 国産栗の平均価格 518 円に対し、 安価である。 一時的に国産栗の単価下落も見られたが、 2008 年の出荷量 18,300 トンを最後に出荷量は 下落し続けている反面、 1kg 辺りの平均単価は上昇している。 1979 年の栗の最大収穫量は、 65,000 トンであったが、 2012 年には約 68% 減の 20,900 トン。 1975 年の最大作付面積は 44,300ha であったが、 ここ数年では毎年 500ha 程度減少してお り、 2012 年の統計では、 21,000ha まで減少。 作付面積は最大時の約 52% の減少を見せ ている。 ( 表2、 図2) 日本国内での出荷量でみると、 2009 年時点で全国 15,600 トンのうち、 高知県は全国で 28 番目の 126 トンである。 (表3) そのうち約7割近くが四万十川流域 (四万十市、 四万十町) で生産されている。 (表4) また、 全国の栗の生産量上位は茨城、 熊本、 愛媛であるが、 この3県で全国の約5割を占めている。 (図3) 国産栗市場価格は 2003 年時点の 72 億円から 2012 年の 79 億円へと成長しており、 生産 量の減少に反比例し、 希少価値の上昇が見られる 表1 栗の輸入量 2012年 2
  2. ೔ຊͷ܀࢈ۀͷมભ ೔ຊ  தࠃ  ؖࠃ ˋ ਤ̍ɹࠃ಺Ͱͷ܀ͷγΣΞ཰ ౵ 

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  3. ೔ຊͷ܀࢈ۀͷมભ 表4 高知県内の栗生産、作付面積比率 ҵ৓  ۽ຊ ˋ Ѫඤ ˋ ٶ࡚ ˋ

    ذෞ ˋ ߴ஌  ͦͷଞ  ਤ ɹݝผग़ՙྔ ʲࢀߟจݙʳ ೶ྛਫ࢈౷ܭ  ೥࢈੢༸ͳ͠ɺ͔͖ɺ͘Γͷ݁Ռथ໘ੵɺ ऩ֭ྔٴͼग़ՙྔɹ ೶ྛਫ࢈লൃߦ ೶ྛਫ࢈౷ܭ  ೥࢈੢༸ͳ͠ɺ͔͖ɺ͘Γͷ݁Ռथ໘ੵɺ ද̏ɿऩ֭ྔٴͼग़ՙྔɹ ೶ྛਫ࢈লൃߦ ද̐ɿ ೥౓೶ۀৼڵηϯλʔ ਤ̎ɿࡒ຿ল౷ܭσʔλ ͦͷଞ     5
  4. ࢛ສेͷ܀ͷมભ ▪四万十の栗の変遷 2009 年の高知の栗の出荷量は 126t、 全国で 28 番目だったがその出荷量の 8 割ほどが四

    万十町大正、 十和、 西土佐を含む四万十川流域でつくられていた。 四万十町の栗の栽培の始まりは 1950 年代から。 それまでは、自生のヤマグリがある程度だっ た。 森の多い四万十地区は田んぼに出来る平野も少なく、 段々畑が多い土地柄。 田んぼ に出来るところは田んぼ、 畑にするところは畑にし、 それにすらならない土地に換金作物で ある栗を植えようと、 当時十川農協の組合長だった岡峯氏が推奨したのが始まりとのこと。 20 年ほど前までは四万十川流域だけでt ほど収穫されていたが、 今では に激 減。 200 ヘクタールあった栗園も 50 ヘクタールになってしまった。 原因としては、 栗の価格 の下落、 獣害の深刻化、 後継者の不足、 就農人口の高齢化が考えられる。 6
  5. ौൽࣽͷέʔεελσΟ ・ 渋皮煮のケーススタディ ࢛ສेυϥϚͷ܀঎඼։ൃͷྲྀΕ ʙ  ೥·Ͱ 栗の収量が年々低下し、 栗産業の回復のため栗の販売に着手。 最初は

    「四万十産の栗」 として生栗を販売していた。 (生栗出荷量 : 11,770kg 売上高 450 万円 2001年) 当初は 知名度も低く、 営業活動に苦労していたが、 四万十産の栗の品質の高さを評価した知人 (コ ンサルタント) に製菓会社を紹介してもらい、「四万十の栗」 を少しずつ PR することが出来た。  ೥ʙ  ೥  徐々に生栗の取引が拡大してきた中、 愛媛県の加工業者から 「自社で栗のペーストを作り たい」 と要望があり、 生栗を出荷することに。 ただし、 この取引においては原料提供に留ま り、 四万十ドラマが栗ペーストを扱うことはなかった。 (2006年 加工業者への生栗出荷量 : 13,700kg 売上高 623 万円)  ೥ʙ 高知市にある加工業者タネヒサから四万十の栗を使って 「地栗ペーストを一緒にやりません か?」 という依頼がきた。 この取引においては、 タネヒサが四万十ドラマの OEM という形で やることになった。地元にある使用しなくなった給食センターを利用し、加工を実施することに。 地元の人へ向けた説明会なども開き、 パートを募集し、 人員も確保できた。 こうして、 加工 業者、 場所、 人員が揃い、 加工の体制が整った。 同時期に、 デザイナー梅原真氏を交え、 「しまんと地栗」 商品の開発が始まった。 まずは、 お菓子屋さんや取引業者に向けた 1.5 次加工の商品を製造することになった。 一般的に、 栗の 1.5 次加工といえば、 ペースト、 甘露煮、 渋皮煮が主流となる。 四万十では、 まずは 栗のペーストから始まった。 これを契機に、 しまんと地栗の商品開発が本格化していく。 7
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  7. ौൽࣽͷέʔεελσΟ ˙ौൽࣽͷ࢝·Γ  ೥ʙ ɹ܀ͷϖʔετ͕ॱௐʹച্Λ৳͹͍ͯͬͨͨ͠Ίɺ࣍͸܀ͷौൽࣽʹணखɻ܀ͷϖʔετͱಉ ༷ʹɺ͜Ε·Ͱʮौൽ͕ࣽ΄͍͠ʯͱ͍͏ۀऀͷґཔ͕͋ͬͨͨΊɺͪ͜Β΋Ճ޻ۀऀλωώα ʹ੡଄Λҕୗ͍ͯ͠Δɻ ɹԼه͔Β΋Θ͔ΔΑ͏ʹɺՃ޻ΛՃ͑Δ͜ͱͰച্ߴ͕ԷͰ  ഒʢ"

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  9. ौൽࣽͷέʔεελσΟ ▪販売推移の図 上記の 2 つの表より、 栗の入荷量の減少に伴い、 栗の渋皮煮の販売高も減少が推移してい る。 尚、 渋皮煮の売上高は前年の生栗入荷量が大きな影響をおよぼす。

    (栗がなくなる時 期はおよそ春以降になるので、 その時期に渋皮煮があるかは前年の収量が影響をおよぼす) ◇四万十ドラマの営業活動 渋皮煮は、 2008年より本格的な営業活動を始め、 グラフからもわかる通り大きな売上の伸 びが確認できる。 2008年~2010年では、 322%の売上の増加になる。 主だった活動としては、 下記の2点が挙げられる。    ① 生栗や栗ペーストの取引があった得意先への営業活動    ② 商談会への出展 ①においては、 生栗や地栗ペーストの取引をしていた得意先に 「渋皮煮ができた」 というこ とで新たに取引をしてもらった。 ②2007年頃より積極的に商談会に出展し、 販路を開拓した。 今の主要な取引先も、 商談会での出会いが始まりである。 渋皮煮の売上( 円) 0 1, 000, 000 2, 000, 000 3, 000, 000 4, 000, 000 5, 000, 000 6, 000, 000 7, 000, 000 8, 000, 000 9, 000, 000 10, 000, 000 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 生栗の合計入荷量 0 10, 000 20, 000 30, 000 40, 000 50, 000 60, 000 70, 000 21年度 22年度 23年度 24年度 代表畦地 談 しまんと地栗の取引において、 「田子の月」さんや「ほんだ菓子」さんは欠かすことができなかった。 生栗のみしか出荷していなかった時期からお付き合いいただき、 「しまんと地栗」を饅頭にしていた だいた。単なる取引だけでなく、しまんと栗の宣伝にも大いにご協力いただいた。また、わざわざ四 万十川までお越しいただき、生産現場、製造加工場を視察に来てくださったのも印象的だった。 12
  10. ौൽࣽͷέʔεελσΟ こうした営業活動を行う中で、 売上の伸びを大きく牽引した出来事として、 「通販雑誌サライ」 への掲載が挙げられる。 (平成20年12月掲載。 20万部発行。 ただし、 サライの代理店と は10数年来の付き合いが既にあった)

    このサライという知名度の高い通販雑誌で取り扱われ たことは大きな実績となり、 この誌面を印刷して営業ツールにも使用した。 ▪売上 ・ 取引先データ 直販は道の駅 「四万十とおわ」、 自社通販に限る。 小売商品としての卸先では、 ギフト関 連が大きく占める。 一方で、 業者向けの業務用は原料が限られてくるため、 基本的には昔 からお付き合いのある取引先のみの出荷にしており、 逆をいえば栗の収量が増してくると業 務用卸が拡大していく構造となる。 一方で、 栗のペーストは業務用卸が大半を占める。   主要取引先   小売店   • 株式会社ディノス : ギフト通販   • 高知大丸ギフト : ギフト通販   • (株) ひこばえ ԷʢখചΓʣ    ઍԁʣ Էʢۀऀʣ ˋ   ઍԁʣ ฏ੒  ೥ʙ ೥ ܀ͷौൽࣽͷചΓ্͛ߴൺ ௚ൢʢಓͷӺ  ωοτ௨ൢʣ  ˋ  ઍԁʣ Էʢۀऀʣ ˋ   ઍԁ ฏ੒  ೥ʙ ೥ ܀ͷϖʔετͷചΓ্͛ߴൺ 業者 • ほんだ菓子司@まんじゅう • アニバーサリー@ケーキ ௚ൢ ʢಓͷӺ  ωοτ௨ൢʣ   ઍԁʣ ௚ൢ ʢಓͷӺ  ωοτ௨ൢʣ   ઍԁʣ 13
  11. ौൽࣽͷέʔεελσΟ ▪ 広がる商品展開 開発した栗の渋皮煮は 1.5 次加工に留まり、 スイーツの原料としてさらなる加工 (=単価アッ プ) が可能である。

    2010年より、 渋皮煮、 渋皮煮シロップを使用したしまんと地栗パウンド ケーキを開発 ・ 販売。 さらなる高単価での販売が可能となった 14