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PHS進化物語:日本の小さな革命
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びーぐる
August 28, 2025
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PHS進化物語:日本の小さな革命
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びーぐる
August 28, 2025
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PHS進化物語 日本の小さな革命 びーぐる powered by Kimi AI 2025/08/28
PHS誕生の背景 01. 02. サービス開始と拡大 ウィルコムの挑戦 04. 競合と衰退 03. 05. PHSの文化影響
総括と展望 06. Contents
PHS誕生の背景
高価で大型のセルラーの問題 1990年代初頭、日本では高価で大型のセル ラー電話が主流でしたが、低コスト・コン パクトな無線通信手段が求められていまし た。NTTを中心とする企業連合が、都市部 の高密度利用に適した新方式としてPHSの 開発に着手しました。 PHS開発の開始 1989年にPHSの技術開発がスタートしまし た。当時の目標は、低コストで高密度エリ
アに対応できる通信システムを実現するこ とでした。これは、日本の都市部における 通信ニーズに応えるための重要な一歩でし た。 1990年代日本の通信ニーズ
TDMA/TDDチャネルアクセス PHSはTDMA/TDDチャネルアクセス方式を採用し、インフラコストを抑えながらも高 密度エリアでの通話品質を確保する設計思想が特徴です。これは、都市部での利用に 適した技術でした。 1.9GHz帯の利用 PHSは1.9GHz帯を使用し、100~500mの マイクロセルで構成されるデジタル通信 システムです。基地局出力は500mWで 、32kbit/sのADPCM音声符号化を採用し ています。
技術仕様とマイクロ セル方式 小型化と低コスト PHSの設計は、小型化と低コストを重視していました。端末の小型化と低価格化が実 現され、多くのユーザーが手軽に利用できるようになりました。
サービス開始と拡大
1995年いよいよサービスイン サービス開始と初期の反響 1995年7月、NTT Personal、DDI Pocket、ASTELの3社が都市部を中心にPHSサービスを開始しました 。低料金と端末の小型化がウケ、同年末には約62万加入を達成しました。学生や若手ビジネスパーソン 、主婦層に特に支持されました。
機能拡張とピーク到達 若者文化との融合 PHSは1990年代後半の若者文化を象徴するデバイスとなり、軽 量コンパクトなボディとカラフルなデザインが流行しました。 プリクラ連携やメール機能により、女子高生の間で「ピッチ」 と呼ばれ親しまれました。 機能拡張 1996年にPメール、1998年にEメール、1999年には世界初のモ バイルビデオフォンVP-210を投入しました。これらの機能拡張 により、PHSは「持ち歩ける公衆電話」として定着しました。
全国展開と加入者増加 DDI Pocketは1997年に全国展開を完了し、ピーク時の1997年 末には約712万加入を記録しました。PHSはデータ通信やコン テンツサービスの拡大にも成功しました。
競合と衰退
セルラーとの競争激化 セルラー各社の対応 PHSの登場でセルラー各社は端末価格と通話料 を大幅値下げし、逆にセルラー加入が急増しま した。1995年末のセルラー加入者は800万人を 突破し、PHSは「貧乏人のセルラー」と揶揄さ れるようになりました。 PHSの弱点 PHSは圏外の多さと高速移動時の不通問題が指摘 され始めました。これらの問題は、PHSの普及を
妨げる大きな要因となりました。
3Gサービスの開始とPHSの衰退 2001年にNTTドコモがFOMA 3Gサービスを開始し、高速デ ータ通信と広域カバレッジを実現しました。PHSはデータ 通信速度64kbit/sで頭打ちとなり、加入者は減少へと転じ ました。 3G台頭による転 換点
ウィルコムの挑戦
フラットレートで巻 き返し ウィルコムへの商号変更 DDI Pocketは2005年にウィルコムへと商号変更 し、定額制データ通信「ウィルコム定額」を打ち 出しました。ビジネスユーザーを中心に再評価さ れ、2007年にはPHS最大手となりました。 スマートフォン普及との対峙 しかし、スマートフォンの普及とLTEの導入によ
り、ウィルコムも再び苦戦を強いられました。最 終的に2010年にソフトバンク傘下のY!mobileへ統 合されました。 Y!mobileへの統合 Y!mobileは2021年1月にPHS新規受付を終了し、 2023年3月末にネットワークを完全停止しました 。約28年の歴史に幕を下ろしました。
サービス終焉と遺産 PHSの技術遺産 PHSは低コスト・省電力・高音質の技術を後世 に残しました。公衆無線LANやIoT分野への応用 を示唆する研究も進んでいます。 PHSの文化的影響 PHSは1990年代後半の若者文化を象徴するデバ イスとなり、軽量コンパクトなボディとカラフ ルなデザインが流行しました。プリクラ連携や メール機能により、女子高生の間で「ピッチ」
と呼ばれ親しまれました。
PHSの文化影響
若者文化とモバイルライフ 公共空間での利用ルール形成 PHS利用者のマナーモード徹底など、公共空間での携帯電 話利用ルール形成にも影響を与えました。これは、後の携 帯電話文化にも引き継がれました。 若者文化との融合 PHSは1990年代後半の若者文化を象徴するデバイ スとなり、軽量コンパクトなボディとカラフルな デザインが流行しました。プリクラ連携やメール 機能により、女子高生の間で「ピッチ」と呼ばれ
親しまれました。
ガラケー時代への架け橋 メール文化とデータ通信の継承 PHSで培われたメール文化やデータ通信の利用習慣は、後のiモードやガラケー へと継承されました。小型軽量端末の設計思想は、折りたたみ型ガラケーの原 型ともなり、日本独自の「ギャラパゴス携帯」進化の礎を築きました。
総括と展望
日本発技術の世界展開 中国での成功 PHSは中国で「小霊通 」として1億加入を超 える成功を収めました 。台湾やタイでも展開 され、日本発の技術が 世界で評価されました 。 国内での商用サービス終了
日本国内では商用サービスは終了しました が、低消費電力・マイクロセル技術はスマ ートシティや災害時バックアップ通信とし て再評価されています。 次世代通信基盤への応用 PHSの技術は、次世代通信基盤の一部とし て研究が続いています。これは、PHSが持 つ技術的優位性が今もなお有効であること を示しています。
技術的優位性だけでは不十分 PHSの歴史は、技術的優位性だけでは市場は動かないことを示しました。価格・利便性・エコシステムのバランスが重 要であり、ニッチでも確固たる価値を提供し続けることが長寿サービスの条件です。 PHSから学ぶイノベーション 通信ビジネスへの教訓 PHSの経験は、通信ビジネスにおいて、ユーザーのニーズに真正面から向き合い、柔軟に対応することが成功の鍵であ ることを示しています。
Thank You