Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
成果を「デザイン」する技術広報 ~ デザイン思考でブース運営の型をつくる ~
Search
earlgrayMK
November 18, 2025
1
690
成果を「デザイン」する技術広報 ~ デザイン思考でブース運営の型をつくる ~
DevRel Guild Meetup #5
https://devrel-guild.connpass.com/event/373981/
earlgrayMK
November 18, 2025
Tweet
Share
More Decks by earlgrayMK
See All by earlgrayMK
アクセシビリティを向上していくために出来ることから進めてみた! ~2019まとめ~
mikimhk
1
690
資料作りのアクセシビリティ s-dev#11 LT
mikimhk
0
3.7k
Atomic Designと付き合うコツ♡
mikimhk
1
1.8k
Featured
See All Featured
Building a Modern Day E-commerce SEO Strategy
aleyda
45
8.1k
Connecting the Dots Between Site Speed, User Experience & Your Business [WebExpo 2025]
tammyeverts
10
680
Cheating the UX When There Is Nothing More to Optimize - PixelPioneers
stephaniewalter
285
14k
Optimising Largest Contentful Paint
csswizardry
37
3.5k
Sharpening the Axe: The Primacy of Toolmaking
bcantrill
46
2.6k
How to Create Impact in a Changing Tech Landscape [PerfNow 2023]
tammyeverts
55
3.1k
What's in a price? How to price your products and services
michaelherold
246
12k
Dealing with People You Can't Stand - Big Design 2015
cassininazir
367
27k
No one is an island. Learnings from fostering a developers community.
thoeni
21
3.5k
Easily Structure & Communicate Ideas using Wireframe
afnizarnur
194
17k
Making the Leap to Tech Lead
cromwellryan
135
9.6k
"I'm Feeling Lucky" - Building Great Search Experiences for Today's Users (#IAC19)
danielanewman
231
22k
Transcript
株式会社タイミー DevRel みーた 成果を「デザイン」する技術広報 ~ デザイン思考でブース運営の型をつくる ~ 2025.11.18 DevRel Guild
Meetup #5
2 林 美紀 a.k.a. みーた DevEnableG DevRel 元デザインエンジニア、アクセシビリティ大臣。 jQueryは元カノ。 22年からエンジニア採用担当として活動を始めて
23年12月に転職しタイミーでDevRelやってます。 趣味:グルメ・日本酒・紅茶・ガンダム Introduction
Introduction 3 今年もたくさんのカンファレンスの 運営・ブース出展、お疲れ様でした。 3
Introduction 東京Ruby会議12 4 関西Ruby会議08 Kaigi on Rails 2025 RubyKaigi 2025
SRE Next 2025 iOSDC Japan 2025 DroidKaigi 2025 Designship 2025 スクラムフェス仙台 JaSST ‘25 Tokyo Findy開発生産性Conference 2025 アーキテクチャ Conference 2025
Introduction 単なる展示スペースで終わらせない。 5 22回のカンファレンスブースを設計してきて得た 成果を最大化するための 戦略的なブース設計のデザイン。 累計
6 成果を生むコミュニケーション体験のデザイン思考 Take-away
problem 7
problem 8
Problem 2024年までは 『タイミーという会社が カンファレンスにスポンサーを出している』 9 技術広報戦略FY2025 『見たことある』を『知っている』に変える
10
Problem 従来の単にQRコードを読ませるだけの方法では、 『知っている』という深いエンゲージメントは達成できない... 11 この不確実な課題を解決するために、 デザイン思考の5つのプロセスを導入しました。
What is design thinking? デザイン思考とは、ユーザーに共感し、問題の真の根源を特定し、 仮説と検証を通じて創造的な解決策を導くプロセスのこと。 12 Empathize
共感する Define 定義する Ideate 概念化する Prototype 試作する Test 試してみる
1. Empathize まずブースをデザインする最初のステップは 来場者への徹底的な共感(Empathize)です。 13
14 来場者がブースエリアに来て本当に求めているものは何か? Empathize
1. Empathize セッションでは聞けない 『現場のエンジニアの生の声』や 『プロダクト開発のリアルな苦悩』といった 深いインサイトを持ち帰ることです。 15 単なるノベルティ収集だけではありません。
1. Empathize 今までのブース 現場エンジニアが数名休憩時間に手伝いに来てくれていただけだった ので、この『現場のリアルな話』ができない状況でした。 来場者のニーズと、私たちが提供できる価値が、 完全にズレていたのです。 16
2. Define この共感のズレを解決するために、次の問題を定義しました。 17
18 『単なる認知(見たことある)に留まり、 深い技術的な対話を生み出せていないこと』 Define
2. Define ブースを単なる展示スペースの改善で終わらせるのではなく、 『成果を最大化するコミュニケーションの場』へと昇華させる 戦略的な設計が必要であると定義しました。 これが、戦略目標の『見たことある』を『知っている』に変える ための道筋になりました。 19
3. Ideate Defineで定めた『成果を最大化するコミュニケーションの場』 という設計図に基づき、アイデア出し(Ideate)を行いました。 20 そこで生まれたのは、ブースを成果の場へと変える 3つの設計思想 でした。
21 ①運営方法の『可変性』 ②ノベルティに『ブランド体験』を込める ③『コミュニケーションの質』を根本から高める Ideate
3. Ideate 22 ブースの企画を単一の形式で固定しないという設計思想です。 カンファレンスはイベントごとに、また曜日や開催日数、回遊施策 の有無などで、来場者のブース来訪タイミングが大きく異なる ① 運営方法の『可変性』
3. Ideate ① 運営方法の『可変性』 23 来場者の動向に基づき、企画のアンケートの回答方法を 『回転率重視』と『コミュニケーション重視』で切り替えられる 仕組みを設計しました。 状況に応じて、ブースのミッションを戦略的に変えることが可能 になりました。
3. Ideate ② ノベルティに『ブランド体験』を込める 24 『会社のビジョンを伝える』ための道具とする設計思想 →単なる景品ではその場限りで終わってしまい、 『見たことある』から『知っている』に変えるという戦略目標に貢献しないから 以前はカレーや吸水コースターなどを置いていましたが、 この設計思想に基づき、企業・サービスを強く想起させること、
そしてありきたりすぎない独自性を求めました。
3. Ideate ③ 『コミュニケーションの質』を根本から高める 25 来場者が求める『現場のリアルな話』を提供するため、 対話の仕組みそのものをリデザインしました。 DevRelでは語れない『現場の話や苦悩』を引き出すために、 常にエンジニアがいる状態を設計し、アンケート設計も現場と 共同で行うことで、成果に直結する質の高い会話を
デザインしました。
4. Prototype & 5. Test Ideate で定めた3つの設計思想を形にし、現場で検証しました。 ブース運営を『作業』から『デザイン』に変える 最終ステップです。
26
27 ブース運営を『作業』から『デザイン』に変える Prototype & Test
28 『回転率重視のシール型』 来場者が多いDay1ではシール型を採用し、300人対応 という高回転率を達成 検証① 運営方法の『可変性』 e.g. DroidKaigi2025 4. Prototype
& 5. Test 『コミュニケーション重視の付箋型』 対話に時間が割けると予想したDay2では付箋型を採用し 100人対応で質の高い対話を深く追求
29 アンケートの集計結果をイベント当日中に Miroでまとめ、即座にXに投稿することで、 ブース外のコミュニティへの情報発信と エンゲージメントを最大化 。 →RT 18件、いいね 56件 普段の他のツイートより伸びた🎉
検証① 運営方法の『可変性』 e.g. DroidKaigi2025 4. Prototype & 5. Test
4. Prototype & 5. Test ② ノベルティに『ブランド体験』を込める 30 タイミーのビジョン
「一人ひとりの時間を豊かに」に合わせて 5つのフレーバーティーセットを用意 豊かな時間とともに 楽しんでほしいノベルティ 🤫コーヒー飲めないので紅茶が欲しかった
4. Prototype & 5. Test ② ノベルティに『ブランド体験』を込める 31 タイミーのビジョン
「一人ひとりの時間を豊かに」に合わせて 1日3行の3分で書ける小さい日記を用意 3分というスキマ時間で今日の 豊かだった時間を 書き溜めていくノベルティ 🤫白紙じゃなく意味のあるノートが欲しかった
4. Prototype & 5. Test ② ノベルティに『ブランド体験』を込める 32 ・企業、サービスを想起させる
・ありきたりすぎない ・ありきたりならフルデザインしたい ・せっかくのタイミンがいるので写真映えたい ・受け取ってもらった時にかさばらないものor軽いものにしたい tips: 思いがけない副産物 iOSDCで予定来場者数より300人くらい増えてDay0/Day1で ノベルティが捌けちゃったけど、嵩張りにくい・軽いノベルティ だったので翌日紙袋で持ち込みが出来た。 →現在 3分日記、紅茶セット、ストレスボール、マイクロファイバークロスを展開
4. Prototype & 5. Test ③『コミュニケーションの質』を根本から高める e.g. DroidKaigi2025 33
・Androidエンジニア全員を巻き込み、事前にブース担当として 参加いただけるよう調整し、常にエンジニアがいる状態を作り上げた。 ・前述のアンケート設計もDevRelだけで内容を決めるのではなく Androidエンジニアに相談し、現場の状況を深堀って アンケート後の対話に繋がる内容を決めた。 →会社説明だけをするのではなく現場の話に持っていきやすくなった🎉
34 このデザイン思考のサイクルを回すことで、 タイミーのブース運営は単なる 『作業』から『成果をデザインするプロセス』へと 完全に変わりました。 Review
Review 35 この検証プロセスは、私一人がリードして確立した道筋でしたが、 その最大の成果は、ブース運営の知見をチーム資産として蓄積し、 今後のイベント運営の型(=バトン)を確立できる 『検証結果』を手に入れたことです。 今、DevEnableチームとしてワンチーム化を進める中で、 私の今までの経験が、 『見たことある』を『知っている』に変えるための、 組織全体の武器となるようバトンを繋いでいきたいです。
Take-away 36 私はデザイン思考で一つの『検証結果』を手に入れましたが、 もちろんこれは正解ではありません。 皆さんの組織には、皆さんの組織に合ったデザイン思考と 型の作り方があるはずです。 まずニーズにEmpathize(共感)し、 その検証結果をチーム全体の『型』として固めるという一歩を、 是非踏み出してみてください。
@earlgrayMK ありがとうございました。 気になることがあればDMください。