Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

ApexLegendsが、今更バトロワFPSでハネた理由

Yoshifumi KUROE
March 19, 2019
390

 ApexLegendsが、今更バトロワFPSでハネた理由

PUBG、フォートナイトは全然続かなかった自分が、
今は時間があればApexLegendsばっかりやってる・・・何故だ?

そんな疑問をもとに、
競合ゲームのハードユーザーにインタビューもしつつ、資料を作ってみました。
きっと他にも色々原因はあるのでしょうが、PR以外の面で大きいと思われるものを、UX面中心になるべく詰め込んでいます。

Yoshifumi KUROE

March 19, 2019
Tweet

Transcript

  1. 2 Confidential 2 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 2 本プレゼン構成

    01:ApexLegendsとは 02:Fortniteなどとの違いと選ばれる理由 └コミュニケーションと、倒さなくても積める価値 └死んでも終わりじゃ無い、復活システムと強者を見て学ぶ動き └本質はFPSではなく「キャラ対戦ゲーム」 └他のFPS事情 03:その視点で考える、 ApexLegendsの立ち位置と課題
  2. 5 Confidential 5 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 5 ・人気FPS「TITANFALL」の世界観のスピンオフゲーム

    ・近未来SF×主観シューティング ・高速移動×メカ ・ドタバタ乱闘×爽快/豪快アクション
  3. 6 Confidential 6 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 6 ・Free

    to Play(基本無料)、バトルロイヤルFPS ・PC、PlayStation 4、Xbox Oneで展開 ※スキン(見た目変更)とか買うときは有料
  4. 7 Confidential 7 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 7 2月4日にリリースされた後

    24時間で250万の登録アカウントを達成 1週間で2,500万(FORTNITEは当時1000万程度) まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの基本無料ゲーム
  5. 10 Confidential 10 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 10 ということで、

    既存のゲームがある中で、 「なぜこんなにもApexLegendsはハネてるのか」 今回は考察してみます。
  6. 12 Confidential 12 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 12 まず、Apexがバトロワ系ゲーム飽和期の今、

    敢えて売れてる理由を探るには、 「Apexが他とどう違うのか」 見ていく必要があります。 ※宣伝方法は勢いの差になるレベルであって、 「敢えて選ばれる理由」にはなりにくいです。
  7. 13 Confidential 13 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 13 ApexLegendsは

    なぜ、今、選ばれているのでしょうか?
  8. 15 Confidential 15 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 15 過去バトロワ系の3大巨塔である

    PUBG、荒野行動、FORTNITEは、 そのプレイ感で大きく2つに分化できます。
  9. 16 Confidential 16 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 16 過去バトロワ系の3大巨塔である

    PUBG、荒野行動、FORTNITEは、 そのプレイ感で大きく2つに分化できます。 リアル×サバイバル ポップ×クリエイト
  10. 17 Confidential 17 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 17 過去バトロワ系の3大巨塔である

    PUBG、荒野行動、FORTNITEは、 そのプレイ感で大きく2つに分化できます。 リアル×サバイバル ポップ×クリエイト リアル志向のフィールドで、 とっさの判断と、反応速度を サバイバルFPSとして競う。 ジャンル元祖が故の バトロワの中でも、硬派な作品 ポップな世界観ながらの 本格バトロワで、 世界観故に自由度のある 「建設」などでマップを駆使 して自由に戦況を変えれる
  11. 18 Confidential 18 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 18 この差を中心に、

    プレイヤー層の中で、合う合わないが 多くのプレイヤーに選ばれていきました。 リアル×サバイバル ポップ×クリエイト ポップな世界観ながらの 本格バトロワで、 世界観故に自由度のある 「建設」などでマップを駆使 して自由に戦況を変えれる リアル志向のフィールドで、 とっさの判断と、反応速度を サバイバルFPSとして競う。 ジャンル元祖が故の バトロワの中でも、硬派な作品
  12. 19 Confidential 19 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 19 ただし、どちらも共通しているのは、

    「基本的にはソロ能力を束ねるFPSゲーム」で、 任意でできるチームでのコミュニケーションは ボイスチャットなど、本腰を入れないとしにくいこと。 ※ボタン設定もできるが、チーム戦でボイスチャットがないと中々1位は難しい リアル×サバイバル ポップ×クリエイト ポップな世界観ながらの 本格バトロワで、 世界観故に自由度のある 「建設」などでマップを駆使 して自由に戦況を変えれる リアル志向のフィールドで、 とっさの判断と、反応速度を サバイバルFPSとして競う。 ジャンル元祖が故の バトロワの中でも、硬派な作品
  13. 20 Confidential 20 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 20 交流×キャラバトル

    交流ボタンで、 アイテム、戦況を共有しながら、 スキルを駆使して協力して戦い、 生き残りをかけるチーム戦 その点、ApexLegendsは大きく主軸が異なり、 ・強制的な三人一組のチーム戦 ・操作の重きが「キャラスキル」と「交流」に寄る という、助け合い主軸のチームゲームになっています。
  14. 21 Confidential 21 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 21 特徴的なのが、コミュニケーションボタン。

    PS4でR1など、FPSで押しやすいメインボタンに、 「交流用」のボタンが鎮座しています。 この「コミュニケーションボタン」がすごい ボタン1つで簡単に、 様々なコミュニケーションを勝手にとってくれます。
  15. 22 Confidential 22 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 22 アイテムに向かって押すと

    〇〇って武器/アイテムがあるよー! (名前まで言ってくれる) 〇〇に使える、 弾、武器パーツがあるよーー! しかも、呼びかけにもボタン1つで「それほしい!」って言える。
  16. 23 Confidential 23 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 23 敵に向かって押すと

    敵を発見した! 敵を地図にマークした! しかも、「遠く」か「近くか」も台詞で自動で言い分けてくれる
  17. 24 Confidential 24 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 24 地形に向かって押すと

    あっちに行こう! あっちにいいものがありそう ダブルタップで「あそこら辺に敵がいそう!」とも言える
  18. 25 Confidential 25 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 25 このように、敵との遭遇や戦闘がなくても

    「場所、アイテム、敵の発見報告」というアクションに対し 「返事、お礼を言ってもらうこと」や 「そのコミュニケーションで仲間が有利になること」で 成果を感じ、 役に立っているというコミットを実感できる。 このチームでメンバーを助けて得る達成感が、 序盤の劣等感を緩和し、定着しやすくしたり 過去のFPSでついてこれなかった層に安心感を与えた と考えられます。(特に、「恥の文化」の日本人には効果絶大)
  19. 26 Confidential 26 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 26 そのうえ、強制的にチームになっていることで

    「勝ちたければ上級者ほど協力する」し、 「弱者は情報共有でも上級者に貢献できる」という、 双方を気遣う構図が生まれやすい。 強い人 初心者 ココに弾、 ありました! おお! ありがとう。 使わせて!
  20. 27 Confidential 27 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 27 そのうえ、強制的にチームになっていることで

    「勝ちたければ上級者ほど協力する」し、 「弱者は情報共有でも上級者に貢献できる」という、 双方を気遣う構図が生まれやすい。 しかも、ApexLegendsでは他のバトロワと違い、 メンバーはダウン+死亡しても復活できるので 仲間を助けて一人でも生き永らえれば、 チームを再起できるという「一発逆転」も狙いやすい。 まさに、主目的が「倒す」のと同じくらい「助ける」なので とても精神衛生上、優しくて良いバランスになっている
  21. 28 Confidential 28 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 28 そして、この機能は、

    建築とも戦闘とも違って、練度関係なく発揮できる。 (見かけたら押すだけ) この、ボタン1つで完結する 「ありました」「ありがとう」という 最も近距離の達成感醸造が、 いわゆる「最初の快感」として、 成功体験をユーザーにくれる。 この仕組みが、 多くのユーザーに支持されてる可能性が高いです。
  22. 30 Confidential 30 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 30 ほとんどのバトルロイヤルFPSのゲームでは

    「死ぬこと」は、「そのマッチの終わり」となります。
  23. 31 Confidential 31 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 31 しかし、そうすると

    上手い人はプレイが続いて、成功体験を積み、 操作や、武器のコツも掴めるのですが 一方で、 敗者は何も得られないマッチが繰り返されます。 負ける 勝てる プレイ時間で マップ、操作の 練度が上がる 強くなる 練度が 上がらない ストレスの割に 上手くなれない ど ん ど ん 差 が 開 く
  24. 32 Confidential 32 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 32 対して、ApexLegendsは「復活」できるため、

    死んだあと、「復活待ち」で生き残った強者の プレイを見る時間が発生します。 死 ん だ 人 復 活 ビ ー コ ン に 運 べ ば 復 活 。 そ れ ま で は 生 き 残 っ て い る メ ン バ ー ( 大 体 強 い ) の プ レ イ が 見 れ る
  25. 33 Confidential 33 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 33 これにより、死んだ後も、マッチ時間を楽しめ、

    他者を通じた見稽古にもなるため、 練度もある程度上がりやすくなります。 全員が最大限満足できるUXルートが、 勝者敗者共に存在するわけです。 負ける 勝てる プレイ時間で マップ、操作の 練度が上がる 強くなる 復活までの立ち回りが見れ 更に2ラウンド目で頑張れる (復活できるかハラハラ♪) 全 プ レ イ ヤ ー が 満 足 し や す い ある程度 強くなる
  26. 35 Confidential 35 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 35 過去バトロワ系の3大巨塔である

    PUBG、荒野行動、FORTNITEには、 もう一つ、大きな特徴があります。
  27. 36 Confidential 36 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 36 過去バトロワ系の3大巨塔である

    PUBG、荒野行動、FORTNITEには、 もう一つ、大きな特徴があります。 それは、 「使用するアバターで性能差はないこと」
  28. 37 Confidential 37 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 37 好きな服装を着せて楽しむのが主目的で

    キャラを自分事化するための調整でしかなく どんなアバターを選んでも 「自分が戦っている」ことに変わりはありません。
  29. 38 Confidential 38 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 38 対して、

    Apexは完全にキャラで性能が異なります。
  30. 39 Confidential 39 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 39 全く違うスキルを持ったキャラを使って

    「どう助けるか」を選んでいくゲームなのです。 ・スキャンで 物陰の敵を発見する ・敵の行動の 痕跡がわかる ・一定時間 素早くなれて、敵を 色付きで視認できる ・スモークで 煙幕を出して撹乱する ・走ってる途中で 攻撃を受けると速くなる ・定点爆撃を要請できる ・仲間を回復する ドローンを出せる ・仲間を復活させるとき シールドで安全になる ・アイテムの入った 航空物資を呼べる ・MAPのビーコンで 次のエリアがわかる ・ワイヤーで高低差や 悪所を一気に移動可能 ・みんなが使える 移動用ワイヤーを MAPに出してあげれる
  31. 41 Confidential 41 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 41 しかも、すげーキャラ設定が

    「多様性重視」 信心深い、自然派 ロシア訛り エスニックで豪快 ポリネシアン風 THE・アメリカ軍人 アメリカ英語 道化を演じる呑気な ヨーロッパ訛り せっかちで勝気 東南アジア風訛り
  32. 42 Confidential 42 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 42 設定(世界観バックボーン)、

    スキルと得手不得手など、 操作感の違うキャラクター達から、 自分のお気に入りを選び、戦い、 プレイスタイルを探ったり、 勝ちパターンを極めていく。
  33. 43 Confidential 43 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 43 「平等設定のFPS」と対極の

    「キャラ選択型の対戦ゲーム」に他ならない。
  34. 44 Confidential 44 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 44 特徴のあるキャラ同士で組んで、協力する

    タッグマッチ形式の対戦ゲームを 「FPS形式で」やる。 それがApexLegendsの 本質的なUX軸となっているのです。
  35. 45 Confidential 45 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 45 だから、硬派な修行ゲーではなく、

    「ワイワイ楽しむキャラゲー」としてライトに受け、 母数を最大化させた。 他のバトロワ×FPSとは「楽しさ」の軸が異なり、 潜在ユーザーを大量に確保できたと考えられる。
  36. 47 Confidential 47 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 47 最後に、既存FPSユーザーの状況を

    大型タイトルや競合中心にざっくりまとめてみる。
  37. 48 Confidential 48 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 48 よく言えば、ユーザー母数も拡大した状態。

    悪く言うと、戦略もある程度確立して刺激が少ない、 スキンなどで遊ぶ円熟期。
  38. 49 Confidential 49 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 49 ビッグタイトルのCall

    of Duty BlackOPS4が 『ブラックアウト』というゲームモード名で バトルロイヤルモードを導入。 据え置き勢にもシステム浸透が行き届き始めた。
  39. 50 Confidential 50 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 50 ⇒既存ゲームの飽きから、リリース情報や

    話題性でジョイン。 ⇒ルールに抵抗がなくなったところで、 無料の新ゲームが出たため、ジョイン。
  40. 51 Confidential 51 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 51 ⇒既存ゲームの飽きから、リリース情報や

    話題性でジョイン。 ⇒ルールに抵抗がなくなったところで、 無料の新ゲームが出たため、ジョイン。 既存FPSの熟練ユーザーがそれぞれの領域から流入 することで、初心者にとって復活・学習の起点になり、 助けるだけで誇れる上級者層が出来上がった。
  41. 53 Confidential 53 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 53 ここまでの4つの理由からの考察をまとめると、

    ApexLegendsは以下の特性のゲームといえる。 ・チーム型協力ゲーム ・キャラ選択式対戦ゲーム ・無料ボトルロイヤルFPSゲーム
  42. 54 Confidential 54 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 54 これらから、以下様々な既存ゲームから

    システム、話題性の両局面で ユーザーの流入が見込めたわけだが・・・ バトロワ& コンシューマー FPSユーザー 既存バトロワ 不適合 ユーザー 基本無料 ライトゲーム ユーザー などなど
  43. 55 Confidential 55 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 55 これらから、以下様々な既存ゲームから

    システム、話題性の両局面で ユーザーの流入が見込めたわけだが・・・ バトロワ& コンシューマー FPSユーザー 既存バトロワ 不適合 ユーザー 基本無料 ライトゲーム ユーザー などなど
  44. 56 Confidential 56 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 56 そのため、主な課題は以下となってくる

    ・集客し続けるため、新規ハードルの低さ維持 (低レベリングマッチ?序盤ハンデのシステム?) ・既存ユーザーの流出防止 (システム拡張?チート排除で快適さ維持?) ・ライフスタイルでのオウンドバリュー化 (新作が出ても地位が揺らがない独自価値創出)
  45. 57 Confidential 57 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 57 すでにチートなどの排除や

    武器追加、キャラの追加は広報されているが、 この後、Apexがどのような戦略に出るかで また戦況は変わる予感。 また、既存競合の今後の追随も気になる。
  46. 58 Confidential 58 Presented by Yoshifumi Kuroe 2019/03 58 買い切りの時代から

    「購買後もアップデートが真価を言う時代」 になった今、 Apex Legendsとその取り巻きの 今後にぜひ注目しましょう!