Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
エンジニアリング組織論への招待.pdf
Search
beaverjr
June 17, 2021
0
63
エンジニアリング組織論への招待.pdf
beaverjr
June 17, 2021
Tweet
Share
More Decks by beaverjr
See All by beaverjr
Slack Platform(Deno)を活用したインシデント対応標準化の取り組み
beaverjr
0
35
社内留学を通じて加速するプロダクトチームとのコラボレーション
beaverjr
1
1.4k
jaws-ug-tohoku-multi-account-tips
beaverjr
2
130
Molecule入門
beaverjr
0
32
Featured
See All Featured
Building Adaptive Systems
keathley
38
2.3k
The Power of CSS Pseudo Elements
geoffreycrofte
73
5.3k
Building Your Own Lightsaber
phodgson
103
6.1k
Product Roadmaps are Hard
iamctodd
PRO
49
11k
We Have a Design System, Now What?
morganepeng
50
7.2k
VelocityConf: Rendering Performance Case Studies
addyosmani
325
24k
The Psychology of Web Performance [Beyond Tellerrand 2023]
tammyeverts
44
2.2k
Automating Front-end Workflow
addyosmani
1366
200k
Learning to Love Humans: Emotional Interface Design
aarron
273
40k
ReactJS: Keep Simple. Everything can be a component!
pedronauck
665
120k
Distributed Sagas: A Protocol for Coordinating Microservices
caitiem20
329
21k
How to Create Impact in a Changing Tech Landscape [PerfNow 2023]
tammyeverts
47
2.1k
Transcript
エンジニアリング組織論への招待 @e-takada 2021.6.17 社内勉強会
IUUQTXXXTIPFJTIBDPKQDBNQBJHOBXBSE ITエンジニア本大賞 2019年 技術書部門大賞 本です! ITエンジニア本大賞はITエンジニアに読んでほしい技術書・ ビジネス書を選ぶイベント。 技術書部門とビジネス書部門があり、投票の多かった本から 大賞が決まるので、何か読みたいな~と思った時におすすめ!
本の内容 第1章 思考のリファクタリング 第2章 メンタリングの技術 第3章 アジャイルなチームの原理 第4章 学習するチームと不確実性マネジメント 第5章
技術組織の力学とアーキテクチャ エンジニアリングにおける課題を解決する思考の整理方法やメンタリング手法を, さまざまな企業の技術組織アドバイザリーを務めている著者が解説。 若手を戦力として育て上げ,成長する組織を設計・運営するためにおすすめの1冊 個人 組織
結構内容が盛り沢山なので、 今日は第1章(で感銘を受けた部分)にフォーカスします!
エンジニアリングとは 日本語で言うと「工学」のこと。工学=実現していくための科学 ものごとを実現する前は「曖昧」な状態=不確実性が高い 実現された後は「はっきり」としている=具体的で確実性が高い 「不確実性の高い状態から、低い状態に効率よく移すその過程で行う全て」のこと つまり ※プログラムを書いたり、サーバ構築したりするだけがエンジニアリングではない
不確実性とは何なのか 人間にとって本質的にわからないことはたった2つ 「未来」と「他人」 未来(環境不確実性) やってくるまでどうなるか わからない。実際に行動 し、観察することで少しず つ確実になる。 他人(通信不確実性) 別の自意識を持っており、
全ての情報を一致させるこ とは不可能。コミュニケー ションを通じて不確実性を 削減するしかない
しかし 人間にはわからないものを避けてしまうという習性がある(不安) でも、仕事の実現のためには不確実性を減らしていかないとならない。。 不確実性を減らす方法 1. 自分がどのような本能に囚われているかを知る(思考のバグの理解) 2. 仮説と検証を通じて、未来の不確実性を下げる(環境不確実性の排除) 3.組織における、他人とのコミュニケーションの不確実性を減らす(通信不確実性の排除)
1. 自分がどのような本能に囚われているかを知る(思考のバグの理解)
人間が持っている思考のバグ 理不尽 感情の対立 理不尽 理不尽 コミュニケーションをしていて感じる理不尽、感情の対立は思考の中にバグが含まれているような状態 理不尽
バグ(認知の歪み)の例 ゼロイチ思考 白か黒かのような2分法で捉え てしまう。 例) 「あの人はいつもそうだ」 一般化のしすぎ 1つや2つの事例で、全体をそう だと決めつける。AさんとBさん の個人的な諍いなのに、「営業
職」と「エンジニア」の関係が 悪いというような一般的な問題 にする、など すべき思考 他人に対し、「すべきである」 「しなければならない」と期待 し、ルールをその人の事情関係 なしに押し付けようとする 感情の理由づけ ただ嫌いな人を「目的意識が低 い」「生産性が悪い」といった あたかも正当性があるかのよう な理由づけをする
自分自身に潜むバグを理解して、ネガティブな感情を食い止めよう! 「営業は、みんな外回りに行って、いつもサボってばかりいる。 会社の士気に影響があるから、監視したほうがいい」 感情的にならずに、今一度客観的に整理する ・営業は、全員がそうであるというのは事実か? ・外回りで頻繁にサボっているのは事実か? ・会社の士気に影響があるというのは事実か? ・監視をした方がよいという対策が有効というのは事実か? バグのオンパレード
2. 仮説と検証を通じて、未来の不確実性を下げる(環境不確実性の排除)
経験主義 考えるだけでは、情報の整理しかされない。(悩んで思考停止している状態) 行動した場合は間違っていても、分からなくても、それが情報となり次の打ち手に繋がる 仕事は学力テストと違い、考えれば答えが出るという わけではない。何がわかればわかるのかを考えて行動 に移し、少しずつ正解に近づいていけばよい
コントロールできるもの/できないもの コントロールできるもの 雨に濡れないように傘をさす コントロールできないもの 雨を止める (自分の行動) (自然環境) 上司の自分に対する内心での評価 (他人の内心) 自分の仕事内容や思いを上司に知ってもらう
ための行動 (自分の行動) 新入社員の能力・内心 (他人の内心) 新入社員への指示の出し方、行動への フィードバック (他人の内心) 念じるだけで天気を変えたり他人を変えたりできる人間はいない。 コントロールできないものをコントロールしようとすると、混乱したり、 ストレスを感じる。何がコントロールできるのかを冷静に判断しよう!
3.組織における、他人とのコミュニケーションの不確実性を減らす(通信不確実性の排除)
情報の非対称性 何かの情報を片方の人が知っていて、もう片方の人が知らないという状態。 人は自分の考えていることを 正確に他人に伝えることは 不可能なので、情報の非対称性が あることは当たり前。 自分の抱えている状態を 他人も把握していると勘違い or 把握していてほしいという願望を
持ってしまう。 なのに (自分の)無能で十分に説明のつくことを ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ (他人の)悪意のせいにするな ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ ㅟ (ロバート・J・ハンロン) 情報を伝え切れていないのは自分なのに、相手がわかってくれない、 などと他人のせいにするのはお門違いだよ〜 ということ。 (そうしてしまいがち)
限定合理性 自分にとっての正解が、全体にとっての正解になるとは限らない 組織で求められるコミュニケーション能力とは これらのようなコミュニケーションの不完全性を減少させ、 組織内で連鎖的に発生する不確実性のループを止めることが出来る能力 あの人忙しそうだから、聞きたかったけど自分で調べるか… 自分としては良かれと思ってとった行動でも、全体にとっては マイナスになってしまう。 (ただ、良かれと思っているということは忘れてはならない。) →結果、聞けばすぐわかったことに時間を費やし、
全体の納期が遅れてしまう など
まとめ ・エンジニアリングは人間が行うもの。人間の弱さや不完全さを知り、受け入れる ・何か全ての問題を解決してくれる「銀の弾丸」は存在しない ・コントロールできないものとできるものを理解する ・目に見えるだけの範囲で思考を止めず、行動する 人間の不完全さを受け入れ、悩み をどのように行動に変えていくか を提供してくれたので、自分に とってかなり為になりました! お勧めの1冊です。