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【CEDEC2025】LLMを活用したゲーム開発支援と、生成AIの利活用を進める組織的な取り組み
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July 25, 2025
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【CEDEC2025】LLMを活用したゲーム開発支援と、生成AIの利活用を進める組織的な取り組み
2025/07/22 CEDEC2025
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July 25, 2025
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Transcript
1/84
2/84 はじめに 本セッションでは、大規模組織への生成AI導入と利 活用に必要となる組織的な取り組みと、LLMを活用し たゲーム開発支援機能の開発事例を紹介します。 組織が大規模になるほど、生成AIの導入や活用には 様々な困難が伴います。これらの課題を乗り越えるた めには、戦略的かつ全社的な取り組みが不可欠です。 本講演では、Cygamesにおける具体的な事例を交え ながら、そのアプローチと成果をご紹介します。
3/84 自己紹介 金井 大 AIテクノロジー / 専門役員 2014年、株式会社Cygamesに合流。 研究開発に従事した後、マネージャー およびエンジニア2部の部長を歴任。
2024年4月からは専門役員として、 ゲーム開発におけるAI技術の研究開発 と利活用の推進を統括している。 笠原 達也 AIテクノロジー / エンジニア 2023年より株式会社Cygamesに合流。 Unityエンジニアとしてコンテンツ開発 に従事し、現在はAIエンジニアとして 社内AIチャットサービスTaurusの開発 と運用に取り組んでいる。 都築 圭太 AIテクノロジー / エンジニア 2015年に株式会社Cygamesへ合流。 入社後はデータ分析基盤の運用開発や運 用タイトルの不正対策などに従事。現在 は社内AIチャットサービスTaurusの運 用やLLMを用いた業務改善の検証に取り 組んでいる。
4/84 アジェンダ • 会社紹介 • 生成AIの導入と利用を推進する組織的な取り組み • 社内AIチャットツール「Taurus」のしくみと運用 • ゲーム開発におけるLLMの活用
• まとめ
5/84 会社紹介
6/84 株式会社Cygamesについて 社 名:株式会社Cygames 設 立:2011年5月 住 所:東京都渋谷区南平台町16番17号住友不動産渋谷ガーデンタワー15階 事業内容:モバイルゲーム/コンシューマーゲーム/漫画/アニメ/ライツ/eスポーツ/技術研究/投資支援 最高のコンテンツを作る会社
7/84 ミッションステートメント みんなでたくさんゲームをやる 常に「チームサイゲームス」の 意識を忘れない 最強のブランドを目指す
8/84 生成AIの導入と利用を推進する 組織的な取り組み
9/84 生成AIの導入と利用における課題 • 使い方や技術的な詳細がよくわからない • 既存のワークフローが大きく変わってしまう • 自分たちの仕事がなくなってしまうかも? • 倫理的もしくは法律的な懸念がある
• そもそも使って良いの? 生成AIの導入は大きな変化=不安とリスク これらを戦略的に取り除く必要がある
10/84 不安とリスクを取り除くための取り組み 1. 生成AIを主業務とする組織をつくる – 兼任すると、どうしても主業務が優先されてしまう – 生成AIを主業務とする組織を作ることで、この課題を解決する 2. 生成AIを安全に使うためのルールの策定
– 「自由に使ってください」は逆に使いにくい – 利用のためのガイドライン、問い合わせ窓口を整備する 3. 安心して生成AIを使うための環境の整備 – ガイドラインに沿ったツールや利用に関する情報を発信 – 安心・安全に利用できるようにする
11/84 生成AIを主業務とする組織をつくる
12/84 「生成AI活用委員会」について 2023年4月に「生成AI活用委員会」を発足 情報システム部門など複数の部署が参加 生成AIの利用を促進、 ナレッジを蓄積し 社内のAIリテラシーを向上 ゲーム開発と運用にて 生成AIを安心/安全に 利用できるように
業務効率化が生成AIで 可能か、どこまでできるか 明らかにする 生成AIの全社的な導入と利活用の推進を開始
13/84 生成AI活用委員会の活動内容 1. 生成AI利用のガイドライン策定 2. 様々な生成AIサービスやツールの利用可否の判断 – ChatGPT/GitHub Copilot/etc.. –
Microsoft Azure/OpenAI API/Amazon Bedrock/etc.. – LLMなどのモデルも含む 3. 社内における利用促進施策の実施 – 社内広報サイトによる連載記事 – Slackチャンネルによる互助会 4. 生成AIを用いたツール開発や検証の支援
14/84 生成AI活用委員会における活動の課題 1. 委員会メンバーには主業務が存在しており、 繁忙期にはそちらが優先される 2. メンバーはAIスペシャリストではないため、 専門性が高い要素がわからない AI専門部署「AIテクノロジー」を設立
15/84 AI専門部署「AIテクノロジー」について 専門役員 AIテクノロジー クリエイティブチーム 画像や動画生成AIといった クリエイティブな生成AIの研究 チーム 部署 LLMチーム
LLMやエージェントの研究開発と ゲーム開発業務への応用 先端コンテンツチーム 先端技術を活用した コンテンツ開発と支援 強化学習チーム 強化学習を活用した ゲームのバランス調整やデバッグ 2024年2月設立、AIサービスの開発やAIの研究開発を行う
16/84 AIテクノロジーの活動内容 1. AI技術やAIサービスの調査・研究・実証 – 最新AI技術や既存AIサービスの研究調査や技術の進展の分析 2. AIによる具体的なゲーム開発支援 – AIを用いたWebサービスやツールの開発と運用
3. Webサービスやツール上での検証や実証 専門性が高いメンバーが作業を専任することで より高度な課題が解決できる
17/84 生成AIを安全に使うためのルールの策定
18/84 生成AIガイドラインの策定 上記を元にガイドラインを明文化し Confluenceにて全スタッフが閲覧可能とする 生成AI 生成AIへの入力に 関するルール 生成AIからの出力に 関するルール •
どの生成AIの利用を 許可するか? • データセットの出自 や学習の有無をもっ て判断 • 生成AIの出力を適応 できる業務領域と範囲 (コンテンツに含めない) • 出力結果の確認と編集、 トレーサビリティ • 業務情報の入力を どこまで許可するか • 著作権法や 個人情報保護法などへの 法令順守
19/84 全社的な生成AI研修の実施 ガイドラインの徹底と生成AIの現状に対応するため、 2025年4月に全社的な生成AI研修を実施(受講率は99%以上) 管理職・一般職に向けて研修体系を分ける 生成AIの仕組みをわかりやすく解説
20/84 安心して生成AIを使うための環境の整備
21/84 安心して生成AIを使うための環境 2023年当初はEnterprise契約がない生成AIが多く、 利用において様々なリスクがあった。 AIチャットツールを開発・運用することで 業務改善と生成AIの研究開発が両立可能に 2023年5月にSlackアプリ「Cygnus」をリリース 入力が学習に使われず、全スタッフが安心して生成AIを利用可能 2023年11月には、Webアプリ「Taurus」の開発をスタート RAGにより社内ナレッジと連携して業務効率を改善
22/84 組織の設立とAIチャットツールの導入 2023年4月 「生成AI活用委員会」 が発足 2023年11月 Webアプリ 「Taurus」 アルファ版公開 2024年2月
「AIテクノロジー」 部署の設立 2025年4月 「Gemini Pro」を 全社へ展開 2023年5月 GPT-3.5搭載の Slackアプリ 「Cygnus」社内公開 2024年1月 ChatGPT Team を導入 2025年1月 ChatGPTを Enterpriseへ移行
23/84 各AIチャットツールの利用状況(2025年6月) 様々な業務内容に対応できるよう 幅広いスタッフへAIチャットツールを展開 各サービスにおけるライセンス状況 ChatGPT:1000シート Gemini 全社展開 Cygnus:全社展開 Taurus
:全社展開 :
24/84 各AIチャットツールの利用状況(2025年5月) 全スタッフで換算すると、一日2回は 何らかのAIチャットツールを利用している 各サービスにおける1か月あたりの利用回数(リクエスト数) ChatGPT:70551回 Gemini : Cygnus:24525回 Taurus
:53664回 27136回
25/84 このパートのまとめ • 生成AIの導入と活用には、不安とリスクを取り除き、 利用者が生成AIを安心して利用できる環境を整備 する必要があります • 環境整備は、スタッフ個人の活動に頼るのではなく、 組織的なサポートを行う必要があります •
委員会のような全社横断で活動する組織だけでなく、 AIについて専門的に活動する組織を設立することで、 生成AIの利活用を加速させることができます
26/84 社内AIチャットツール 「Taurus」のしくみと運用
27/84 アジェンダ • Taurusのシステム概要 • RAGの精度を上げるためのアプローチ • 運用面の取り組みと利用状況 • 今後の展望
28/84 Taurusのシステム概要
29/84 Taurus(タウラス)とは? CygamesスタッフのAIリテラシーの向上と、 業務の効率化を目的として社内で開発された、 AIチャットを行なうWebサービスのこと。 自社で開発した生成AIツールを用いることで、 スタッフが安心・安全に生成AIを利用でき、 業務で生成AIを体験する機会が増えることで AIリテラシーの向上に寄与する
30/84
31/84 Taurusが持つ機能 以下の情報へ接続 • 社内報 • スタッフ情報 • フロアマップ •
会社近辺の飲食店情報 • ソフトウェア利用可否 • 書籍管理システム • フローティングライセンス管理 以下のLLMを利用可能 • GPT-4o • GPT-4.1 • o4-mini • o4-mini-high • o3 • Claude 3.7 Sonnet • Claude Sonnet 4
32/84 Taurusが持つ機能について 社内のナレッジベースやスタッフ情報、外部Webサイトの情報を RAGにより横断的に検索し、LLMにより的確な回答を行うことが可能。 ゲーム会社ならではの機能も搭載 会話履歴の保存・読込 画像の認識 キャラクター口調の再現
33/84 認証 Taurusのアーキテクチャ バックエンド Elastic Load Balancing Amazon EC2 Amazon
RDS モニタリング Amazon Cloudwatch LLM Azure AWS Amazon Bedrock Anthropic Claude ナレッジ Confluence + Azure API Management Azure OpenAI Service 社内情報 PTU PayG Azure AI Search Datadog Bing Web Search API Confluence API Microsoft Entra ID Amazon ElastiCache Amazon S3 ユーザー OpenAI OpenAI API • 社内報 • スタッフ情報 • フロアマップ • 書籍管理システム • etc…
34/84 Microsoft Azure OpenAIについて GPT-3.5、GPT-4、GPT-4oといった複数モデルの 管理のために導入。各モデルのデプロイと、 リクエスト数やrate limit、コストを管理している。 特にGPT-4oについて、PTU(Provisioning Throughput
Unit) 契約を行い処理能力を確保することで、 大量のリクエストに対して安定した運用を実現 ※処理能力 = 入出力トークン数 * リクエスト数 PTU契約によりスループットを確保し 社内のGPT-4oの利用を一元化 Azure API Management Azure OpenAI Service PTU PayG Azure
35/84 Azure API Managementについて PTUはバーストを許容するが、1PTUを全社利用 するとrate limitを超える可能性がある。 API ManagementによりPayG(従量課金) への
フォールバックを設定したエンドポイントを 用いることで、この問題を回避する。 API Managementにてエンドポイントごとに 適切なrate limitを設定することで、1つのPTU を複数の用途で利用する際に、優先順位の設定が 可能となる。 Azure API Management Azure OpenAI Service PTU PayG Azure
36/84 PTUのメリットとデメリット • 安定した性能・低レイテンシ – スループットプロビジョンにより ピーク時でも遅延が少なく、安定し たパフォーマンス・高スループット が得やすい •
コスト効率 – 支払い金額がトークン数や リクエスト数に依存しない • SLA – ビジネス利用における信頼性が高い • 初期費用と契約コミット – 月額固定費用が発生する。契約は最低 月間ベース、利用が減るとコスト効率 が悪化する • ワークロード予測と運用負荷 – 適切なPTU数の算出には、1分あたり のトークン処理数の見積りが必要 • 柔軟性 – 自動スケールしない。リージョン別の クォータやPTU割り当てが必要
37/84 Amazon Bedrockについて AWSが提供するフルマネージド・サーバーレスの生成 AI基盤。複数のファウンデーションモデル(Anthropic、 Cohere、Stability、Meta、Amazonなど) を単一APIで利用可能。 Anthropic系のLLMに関してモデルの追従速度が速く (Claude Sonnet
3, 3.5, 3.7, 4 は全て即日対応) 、EC2、Lambdaなどの AWSサービスを利用している場合、迅速かつ容易な 導入が可能 Amazon Bedrock Anthropic Claude TaurusはAWSでバックエンドが構築されており、 容易にClaude対応が可能 AWS
38/84 RAGの精度を上げるためのアプローチ
39/84 RAGとTool Useについて RAG(Retrieval Augmented Generation)とは プロンプトに対して、 外部データを検索して得られた 情報を付加する手法のこと Tool
Useとは プロンプトに応じて、 利用すべきツールとパラメータを LLMが選択する機能のこと LLMが知らない知識を外部データで補い 回答のハルシネーションを抑制する RAG(Retrieval Augmented Generation)とは Tool Useとは
40/84 TaurusにおけるRAG Taurusでは質問に応じたデータソースを検索し、結果をプロンプトに 含めることで、RAGを実装している。検索するには、1. 正しいデータ ソースを選択し、2. 検索キーワードなど、検索APIごとのパラメータを 決める 必要がある。TaurusではTool Useを利用して、これを実現して
いる。 LLMが検索するデータソースと APIのパラメータを選択 検索結果を LLMが受け取る Tool Use ユーザーが 会議室のルールが 知りたいと質問 ユーザーは データに基づいた回 答を受け取る RAG 検索を実行 Confluence … 社内報 データソース 1 2 4 3 6 LLMは受け取った 結果に基づいて 回答を生成 5
41/84 適切なRAGを行うための認可 RAGの対象となる情報は、利用者ごとにアクセスできる 範囲が異なるため、適切な認可を行う必要がある。 Taurusでは、大きく全社共通のアクセス制御と 個人単位のアクセス制御に分けて認可を行う ナレッジ種別 認可 認可方式 備考
Confluence 個人単位 OAuth 2.0 ページごとに権限が異なる その他のナレッジ 全社共通 Microsoft Entra ID 社員であれば全員同一権限
42/84 ConfluenceへRAGを行うための認可 Cygamesが利用するConfluence Data Center製品にて、 Confluence全体をRAGの対象とできるよう、個人やチーム メンバーなどアクセスが制限されているページについても 適切に検索できる認可が必要となった OAuth 2.0にて認可したアクセストークンで
「Confluence REST APIによる検索」を行い、 ユーザーがアクセスできるページのみをRAG対象とする
43/84 Confluenceにおける検索精度の課題 Confluence APIにおける検索機能では、検索キーワードと 文書内の文言が完全一致しないと目的のページへ到達できな いため、Confluence内に情報があるにもかかわらず ユーザーがその情報へ辿り着けないという課題がある 「夏休みって いつから?」を質問 •
~… • ~… • ~… LLMが検索ワードとして 「夏休み」を決定 「夏休み」では 検索にヒットせず LLMは 「情報なし」と判断 Confluenceの 情報に到達できない 夏期休暇について 1 2 3 5 4
44/84 マルチクエリ検索の検討 検索のヒット率向上のため、複数の検索クエリを生成して並列に検索、 それらの検索結果を統合するアプローチ(マルチクエリ検索) を検討したが、 LLMによるクエリ生成が安定せず、結局欲しい情報が得られなかったり、 逆にノイズを生み出すパターンもあった 一定の改善が見られたが根本解決に至らず、対応は見送り 単3電池が欲しい時の 問い合わせ先を教えて
「単3電池 問い合わせ」 「単3電池 購入」 「単3電池 調達」 乾電池の利用案内 「単3電池」ではヒットせず 夏休みっていつから? 「夏休み 期間」 「夏期休暇 時期」 「サマー休暇 いつ」 夏期休暇について 「夏期休暇」でもヒットする
45/84 ベクトル検索(意味に基づく検索) Azure Blob Storageへファイルを格納し、 ファイルごとにembeddingを含めたIndexを 作成することで、Azure AI Searchによる ベクトル検索(意味に基づく検索)
が実行可能となる。 ただし、Azure AI SearchではConfluenceの ページごとの認可を解決できないため、publicな ページのみをIndex化して対処する必要がある Confluence Azure Blob Storage データ取り込み+Index化 Azure AI Search ベクトル検索(意味に基づく検索) により 「単3電池」「乾電池」のような 表記揺れを解決した検索が可能となる
46/84 Taurusにおける最終的なアプローチ ベクトル検索だけではprivateページへのアクセス問題を 解決できないため、Confluence APIを用いた 従来型の検索と組み合わせることで、解決を試みる privateなページ(限定公開) は OAuth認証による認可に基づき Confluence
APIで検索する publicなページ(全体公開) は Azure AI Searchを用いた ベクトル検索を行う 2つの検索結果を組み合わせる事で認可の問題に対応
47/84 ハイブリッドアプローチの結果 検索精度の改善に関してユーザーにアンケートを実施 半数以上のユーザーが改善されたと回答 非常に改善された やや改善された 変わらない やや悪化した 非常に悪化された 以前の検索機能を
使用していないので比較できない 42.1% 21.1% 18.4% 2.6% 5.3% 10.5%
48/84 LLMの性能向上に伴うRAG精度の改善 LLMの性能向上に伴い、検索対象やキーワード選定 の精度が向上、自発的に複数の対象を検索したり、 キーワードを変えながら検索するなど、 RAGの検索精度が向上することがわかっている。 一方で、検索精度の向上を LLMのみに依存することは、検索時間の増大や トークンの消費にもつながる 検索応答性やトークン消費改善に
ベクトル検索は必要。 LLMは複数から選択できると良い
49/84 運用面の取り組みと利用状況
50/84 開発方針と運用開始初期の状況 取り急ぎRAGを搭載したAIチャットアプリを開発し、 それをスタッフに使ってもらうことから開始。 運用を開始すると、スタッフの生成AIへの期待と実機能と の差異や、回答の精度や生成速度に関するフィードバックが 多数寄せられた。 また、スタッフ間で生成AIツールへの習熟度の違いも あったため、ユーザーからのフィードバックによる 機能改善や、社内広報や啓蒙活動といった施策を開始
51/84 ユーザーフィードバックと機能改善のプロセス 追加機能などの要望をSlackの互助会 チャンネルにて募集し、要望への投票を 呼びかけて投票数の多いものから順次対応 Good, Badやコメントを送れるフィードバック 機能をTaurusに搭載。月に約100件の フィードバックが寄せられた Taurusの利用方法に関するナレッジの不足、
検索精度の課題や、ハルシネーションを判断 するための情報の提示が足りない事がわかり、 改善に生かすことができた
52/84 社内広報と啓蒙活動 • Taurusの使い方、生成AIに関する解説記事と 動画を複数リリース • Slackの互助会チャンネルにて ユーザーからの情報発信を促進 • Taurusの利用に関するアンケートを実施
• 社内カンファレンスでTaurusの開発に関する講演を実施
53/84 月毎の投稿数とアクティブユーザー数 0 200 400 600 800 1000 1200 1400
1600 0 10000 20000 30000 40000 50000 60000 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 2024年7月のリリース以後、順調に利用件数が増加 2025年5月時点のMAUは約1400人(全スタッフの4割程度) (回) (人)
54/84 今後の展望
55/84 今後の展望 Taurus自体はChatGPTなどのAIチャットサービスと競合 するため、無計画な機能拡張は難しく、開発と運用の継続に は目的を明確にする必要がある 社内カレンダーや業務情報との密な連携など、 社内開発のメリットを最大限に生かしつつ、 生成AIに関する研究開発の場として活用を進める システムの拡張を続けるとその保守コストが課題となるため、 MCPやエージェントなどの新しい技術を活用してシステムを
疎にし、一定の保守性を保つ必要がある
56/84 ゲーム開発におけるLLMの活用
57/84 アジェンダ • バグチケット作成効率化 • 投稿内容のポジネガ分析 • 画像モデレーション(検証中)
58/84 バグチケット作成効率化
59/84 バグチケット作成効率化: 概要 バグチケット起票時に、複数の項目を 手動で埋める必要があり、手間がかかる。 ※チケット起票時に記入する項目 チケット内容の一部は過去チケットと類似している。 そこを自動で埋められれば効率化できる? 課題 仮説
発生箇所, 再現手順, 正しい挙動, 再現バイナリ, 再現バージョン など
60/84 チケット名 チケット本文 チケット名から、過去のチケットを参考に 指定のフォーマットに合わせてチケット本文を生成する バグチケット作成効率化の目標 キャラXがシーンYで メガネをかけてない ▪詳細: キャラXがシーンYでメガネをかけていない
ことを確認しました。こちらご確認のほどよろしく お願いいたします。 ▪発生箇所: シーンY ▪手順 1.デバコマ>シーン移動>キャラビュアーに遷移 2.「キャラX」> 「シーンY」>の順にタップ ▪正しい挙動: メガネをかけていること ▪発生頻度: 3/3 ▪発生したバイナリ: yyyy/mm/dd 開発版
61/84 最終的に作ったもの 起票をサポートする専用アプリを開発し、利用者へ提供
62/84 アプリ開発までの経緯 当初はチケットを起票するデバッグチームがカスタムGPTを 作っていた。利用者が試行錯誤しやすくするため。 カスタムGPTでもある程度機能したが、以下の課題があった 課題解決のため、AIテクノロジーで専用アプリを開発 • 利用者数をスケールさせることが難しい カスタムGPTの利用にはChatGPTのアカウント発行が必要なため •
カスタムGPTの出力が安定しない Web版ChatGPTの挙動が急に変わることがあるため。
63/84 専用アプリ開発のメリット/デメリット • ChatGPTのアカウント料金と比べて、 OpenAIのAPIの方が安い。特に、Azure OpenAIのPTUを 利用する場合、定額利用できる • API利用であればモデルのバージョンを固定できる メリット
デメリット • 実装と運用の開発に工数がかかる
64/84 アプリ実装上の工夫 データを精査して、単純に実装する • 当初は過去チケット情報が全て必要と思われていたため、 RAGなどの対応が必要になる想定だった • しかし、参照するチケット数を削減しても期待した出力が 得られることがわかった。結果、複雑なプロンプトエンジ ニアリングが不要となり、実装工数を削減できた
– 見直し前: 約11万行, 2.15Mトークン – 見直し後: 約2,300行, 40kトークン
65/84 実際に利用しているプロンプト シンプルに1つのプロンプトを実行するだけの実装 • 参考とする過去チケットはRAGなど使わず全てプロンプトに含める • 再現バージョンなど日々変わるものは、実行時に固定値として入れる あなたは不具合の情報を伝えるAIです。以下の指示に従って、報告文を作成します。 【概要】 チケットに記載する項目の概要
【不具合報告文作成のルール】 文体のルール 【手順】 カテゴリごとに決められた確認手順の方法 【参考チケット】 実際のチケットを縦に並べたもの。2000行程度 プロンプトのイメージ
66/84 アプリ運用上の工夫 マネージドサービスを採用して、運用工数を下げる AWS App Runner + S3 の構成で提供 AWS
App Runner: コンテナなどのホスティングサービス AWS App Runner Amazon S3 ユーザー アプリへのアクセス データの保存・取得 • EC2やECSと比較して、必要な設定が少なく手軽に利用できる。 • デプロイ時のダウンタイムが少ない。 裏で新バージョンを準備し、準備できたら自動でルーティングが切り替わる
67/84 アプリの導入結果 • 4タイトルで導入・検証中 • ツール導入の効果: 0.3人日/月 程度 • 2025年1月~5月で合計283件の利用
• 1件あたりの短縮時間: 3分/件(5分→2分) • 283件 x 3分/件 ≒ 14.15時間
68/84 バグチケット作成効率化: 得られた知見 • プロンプトやシステムなど、全てをエンジニアが 管理するのではなく、プロンプトを利用者が管理 することで、エンジニア・利用者ともに 工数を削減することができる • RAGなどのプロンプトエンジニアリングを
使わずに、入力データを見直すことで、 開発工数を下げられる場合がある。
69/84 投稿内容のポジネガ判定
70/84 ※ ゲームの要素の例 課題 仮説 ストーリー・難易度・マッチング など 投稿内容のポジネガ分析: 概要 SNSなどに寄せられた投稿から、ユーザがゲーム内の
どの要素に対してどう感じているのかを分析したい。 しかし、投稿数が多くて大変。 LLMを使えば、専用の機械学習モデルなど なしでも分類できるのでは?
71/84 投稿内容から全体としてのポジネガと、 カテゴリごとのポジネガを分類する 投稿内容のポジネガ分析: 目標 アクションが楽しい! マッチングに時間かかるのだけ なんとかして欲しいけど、 おすすめはできる。 シナリオも熱かった
感想の投稿 • 全体: ポジティブ • ポジティブなカテゴリ: 操作感, シナリオ • ネガティブなカテゴリ: マッチング 判定結果
72/84 投稿内容のポジネガ分析: 利用プロンプト 100件のデータについて手動でラベリングを実施し、 それをプロンプトに加えるfew-shot promptingを実施した あなたは[タイトル]の感想を判定するAIです。 # 判定の定義: -
ポジティブ: 好意的な意見を述べている場合。 - ネガティブ: 否定的な意見を述べている場合。 - ニュートラル: 特に好意的でも否定的でもなく、客観的 な情報や意見を述べている場合。またはゲームと無関係 なことを述べている場合。 # 判定結果例: (以下100個ほど縦に並ぶ) テキスト: [実際の投稿] 判定: ポジティブなカテゴリ: ネガティブなカテゴリ: システムプロンプトのイメージ # 入力テキスト [実際の投稿] # 分析する観点 [分析対象のカテゴリ] # 出力フォーマット {{ "explanation": str(日本語), "positive_categories": ["str"], "negative_categories": ["str"], "sentiment": "pos" | "neg" | "neutral” }} ユーザープロンプトのイメージ
73/84 投稿内容のポジネガ分析: 結果 • 実施件数: 38750件(900件以上が英語) • 分析精度: 概ね8割程度 •
ポジ/ネガ/ニュートラルの判定 86.5% (173/200) • カテゴリの判定 81.5% (163/200) • 効果: 約4営業日分の時短効果 • 約20件/分(0.05 分/件)かかる作業を自動化 • 38750 件 * 0.05分/件 ≒ 約33時間 ≒ 4営業日
74/84 投稿内容のポジネガ分析: 得られた知見 • 基本的な感情分類であれば、 汎用LLMでも十分に解決可能 • TaurusのようなチャットUIだけでなく、 LLMをバッチ実行できる環境があれば、 より効率化を進められる可能性がある
75/84 画像モデレーションの効率化
76/84 画像モデレーションの効率化: 概要 LLMにチェック項目を指示することで、 人間のような違反項目の指摘が実現できる? 課題 仮説 画像コンテンツについて、倫理面や海外の文化に 違反していないかなどのチェックが必要。 現状、専門チームが目視でチェックしており、
大変なので効率化したい。
77/84 画像からその画像のリスクの度合いと、その理由や 対応方針を説明するフィードバック文章を生成する 画像モデレーションの効率化: 目標 画像 フィードバック文章 リスクレベル: 中 地域によっては、骸骨表現が不適切とされます。
他の表現に置き換えられないか、検討してください
78/84 画像モデレーションの効率化: 提供ツール 入力画像のチェックツールを作成し、検証中
79/84 画像モデレーションの効率化: 実行例 検証中ではあるが、プロンプトで指示した内容が指摘できる ▼事案:骸骨表現 ▼リスク:中 ▼理由:中国の倫理規定では骸骨をモチーフにしたキャラクターや デザインが禁止される場合があります。特に中国市場向けの コンテンツでは、骸骨表現が不適切とされる可能性が高いです。 ▼対策:
1. 中国市場向けの場合、骸骨モチーフを避けるか、別のデザインに 変更することを検討してください。 2. 骸骨のデザインを抽象化し、骨の形状を直接的に連想させない形に 修正する。 3. コンテンツの文脈やターゲット市場を明確にし、必要に応じて 注意喚起文を追加する。
80/84 画像モデレーションの効率化: 知見 • モデレーションの結果はクリエイターへ フィードバックする必要があるため、 なぜNGなのかを言語化できることが重要。 LLMを利用することで、修正が必要な理由を 説明できる •
プロンプトを利用者が修正できるように 実装を行うことで、出力やチェック項目を 利用者が主体的にカスタマイズできる
81/84 このパートのまとめ • 課題を持つスタッフがプロンプトを触ることで 検証・開発のスピードを高速化することができる • 上記の実現には、課題感をもつスタッフにも 生成AIの理解とAIリテラシーが必要となる • その上で、生成AIをスタッフが安心して
試行錯誤できる環境を提供する必要がある
82/84 本セッションのまとめ
83/84 本セッションのまとめ 生成AIの導入と利用を進めるために組織的な取り組み を行い、不安とリスクを取り除く必要があることを 述べました。 社内AIチャットツール「Taurus」のしくみと運用に ついて紹介し、開発効率を改善するためのシステムと その構造を説明しました。 ゲーム開発におけるLLMの活用事例を紹介しました。
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