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150サービス連携を3人で運用する現場から - 創業4ヶ月目におけるオブザーバビリティの実践

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July 11, 2025
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150サービス連携を3人で運用する現場から - 創業4ヶ月目におけるオブザーバビリティの実践

# SRE NEXT 2025

## 概要
弊社が提供する「DRESS CODE」は、人事・IT・総務・採用などの業務を横断的に支えるコンパウンドプロダクトです。
部門ごとの部分最適を、組織全体における全体最適へと昇華し、よりよい働き方の実現を目指しています。

その中で情シス業務を担うプロダクト「IT Force」は、わずか3人のエンジニアで開発・運用しています。
本プロダクトでは、企業が利用するSaaSアプリケーションとAPI連携し、ユーザー情報・利用状況・コストなどの情報を一元的に可視化しています。

可視化の鍵となるAPI連携は、常にうまくいくとは限りません。
ユーザー操作ミス、認証切れ、外部サービスの仕様変更、不具合など、失敗の原因は多岐にわたります。

こうした中で、部分的に対応していたログやトレースだけでは「何が、どこで、なぜ」起きたのかを把握するには不十分という課題が浮かび上がりました。

そこで、DatadogやRedashといった既存のツールを活用しつつ、「どのアプリで、どのような連携が、なぜ失敗したのか」を把握できる解像度の高いオブザーバビリティをチームで持とうと動き始めました。

今回は、そういったオブザーバビリティの強化の取り組みとそれによって得られた分析や知見をどう生かしたかについてお話しします。

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July 11, 2025
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Transcript

  1. © Dress Code Inc . All rights reserved. Dress Code株式会社

    / Product & Technology 蒲生 廣人 150サービス連携を3人で運用する 現場から 創業4ヶ月目におけるオブザーバビリティの実践 1
  2. © Dress Code Inc . All rights reserved. 自己紹介 •

    業務 ◦ プロダ トエンジニア/SRE ◦ IT(情シス)領域のプロダ トを中心に開発 • 経歴 ◦ 2017年~ 美容医療 リニッ の口コミサイト開発 ◦ 2021年~ レバテッ のSREチーム立ち上げ ◦ 2024年~ Dress Codeのプロダ ト開発 • 趣味 ◦ 🐈、⚽、🎸 gamonges(@gamonges_eng) 3
  3. © Dress Code Inc . All rights reserved. 4 Agenda

    1. プロダクト紹介 2. 外部サービス連携部分のアーキテクチャ紹介 3. 運用課題とそれに対する取り組み 4. 取り組みの成果と学び 5. まとめ
  4. © Dress Code Inc . All rights reserved. 経営陣:CEO、COO プロダクトマネジャー:

    2名 エンジニア: 8名 デザイナー: 2名 セールス: 2名 CS:3名 リクルーティング: 1名 コーポレート: 1名 創業チーム構成/Founding Members 
 Members 21 名 Product & Technology Customer & Business Corporate & Administration Board Member 2 名 5 名 12 名 2 名 ・エンタープライズソフトウェア事業のグロース ・複数事業・プロダクトのポートフォリオマネジメント 
 ・ビジネス・エンジニアリング・コーポレートの横断 
 ・Day1から各ファンクションに必要となるリード人材が参画 
 Key capability チーム
 ※役員・従業員2025年6月 13
  5. © Dress Code Inc . All rights reserved. デジタル化に伴う社会課題 -「摩擦問題」

    - SaaS/ツール乱立に伴い、システムの分断・業務のサイロ化が進む 採用 部門 法務 部門 労務 部門 人事 部門 情報 システム 部門 総務 部門 採用管理 システム 契約管理 システム 労務管理 システム 勤怠管理 システム SaaS管理 システム デバイス 管理台帳 採用関連データ 契約関連データ 労務関連データ 勤怠関連データ SaaS関連データ デバイス関連データ ツールの乱立で、使いこなせない/慣れるのまでに時間がかかる ツール/部門間のアナロ 連携が大変 担当間/部門間の摩擦が増大している 各業務担当者 経営/管理部全体 最適なSaaSを選定することが困難 データが散在していて利用/活用できない 連携/メンテのためのコスト(時間・お金)が膨大 ❌
 分断
 ❌
 分断
 ❌
 分断
 ❌
 分断
 ❌
 分断
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  6. © Dress Code Inc . All rights reserved. DRESS CODE

    全体像 HR Force RCT Force GA Force PJ Force Architecture Platform CG Force SaaS管理 デバイス 調達とストア IDとア セス セキュリティとモバイル 倉庫と配送 メンバー 組織と配置 労務コア 給与計算 勤怠 福利厚生 サーベイ 業務契約者コア ATS 入社前事前調査 面談管理 リファラル推進 役職と職務内容管理 オファーレターとサイン 拠点 備品 車両 選考ステップ最適化 タレントプール プロジェ ト 予算統制 リソース ス ジュール 有効人員と作業量 個人情報 リス とインシデント管理 コンプライアンス 監査 ベンダー管理 IT Force ※Recruiting ※General Affairs ※Project ※Corporate Governance 施設ファシリティ 安否確認 郵便物 社内イベント 株主総会 3 other Products 契約と支払い お知らせと通知 ユーザーとアカウント ビジネスモデルスタジオ 分析とレポート ワークフローと自動化 ルールとポリシー 権限と役割 業務オペレーションエンジン 卓越し標準化されたUI/UXa People Graph(CoreDB) 16
  7. © Dress Code Inc . All rights reserved. 製品機能デザインはもちろん、業務整理・定義、価値探索・整理まで徹底的に継続的なPMFに 必要な活動を実施。プロセス自体は仕組み/フォーマット化済み。Value

    Propの強化を再現性をもって実現。 Value Discovery/永続的PMF 人事労務業務プロセス一 覧 情報システム業務一 覧 業務一覧(プロセス) 価値定義一覧(仮説/約束) 製品機能一覧(ロードマップ) ✖ ✖ 価値 仮説 VOC CFB 価値 約束 価値 の種 業務 分類 業務 詳細 登場 人物 業務 頻度 ・・・ ロード マップ 製品 機能 一覧 リリー ス プラン マイル ストー ン ・・・ 17
  8. © Dress Code Inc . All rights reserved. DRESS CODE

    全体像 HR Force RCT Force GA Force PJ Force Architecture Platform CG Force SaaS管理 デバイス 調達とストア IDとア セス セキュリティとモバイル 倉庫と配送 メンバー 組織と配置 労務コア 給与計算 勤怠 福利厚生 サーベイ 業務契約者コア ATS 入社前事前調査 面談管理 リファラル推進 役職と職務内容管理 オファーレターとサイン 拠点 備品 車両 選考ステップ最適化 タレントプール プロジェ ト 予算統制 リソース ス ジュール 有効人員と作業量 個人情報 リス とインシデント管理 コンプライアンス 監査 ベンダー管理 IT Force ※Recruiting ※General Affairs ※Project ※Corporate Governance 施設ファシリティ 安否確認 郵便物 社内イベント 株主総会 3 other Products 契約と支払い お知らせと通知 ユーザーとアカウント ビジネスモデルスタジオ 分析とレポート ワークフローと自動化 ルールとポリシー 権限と役割 業務オペレーションエンジン 卓越し標準化されたUI/UXa People Graph(CoreDB) 24
  9. © Dress Code Inc . All rights reserved. IT Forceの価値定義

    💡 提供している価値 🎯 事業上、考慮すべきポイント • 企業が利用するソフトウェアの一元管理 • アカウント情報・利用状況・コストの可視化 • ルールベースのアカウント付与、権限管理 • 現在顧客に最も使われている機能 • API連携機能は初期から実装されたもの ◦ 一定負債もたまっている状態 • オンボーディン の入口 → プロダ トの第一印象 ◦ →この顧客体験がプロダクト全体の評価に影響する 27
  10. © Dress Code Inc . All rights reserved. アーキテクチャ 📊

    規模感 🏗 技術構成 • 連携可能サービス数:160 • API通信数:32,000/日 • サービス連携部分を自社SDK(NestJS)として独立して開発 ◦ バッ エンドと分離した設計 • バッチ構成(SQS-Lambda-ECS, AWS Batch) 28
  11. © Dress Code Inc . All rights reserved. 課題 ⚠

    API連携の失敗 🚨 ビジネスインパ ト • ユーザー操作ミス(ex: 入力内容ミス、APIキーの権限不足) • ア セストー ンの認証切れ • 仕様上のエッジ ース • システム不具合 • 初回オンボーディン への影響 ◦ 期待通りに可視化できないと、プロダクト全体の心象が悪化 • 調査工数の増大によるプロダ ト開発への影響 ◦ 各サービスごとのAPI仕様などの調査 ◦ 既存のロ だけの監視では「何が、どこで、なぜ」が不明瞭だった 32
  12. © Dress Code Inc . All rights reserved. 34 不具合調査

    機能開発 問い合わせ対応 サービス連携実装 レビュー
  13. © Dress Code Inc . All rights reserved. アプローチ 🎯

    具体的な目標 • 各サービス連携失敗の調査工数を削減 ◦ 「どの顧客の、どのサービスで、どのような連携が、なぜ失敗したの か」を可視化 • サービス連携の不具合数を削減 ◦ 各サービス連携実装の質強化 • 重要度の高いものから対応できる体制を作る ◦ 不具合対応の優先度を明確化 40
  14. © Dress Code Inc . All rights reserved. アプローチ 🔧

    取り組み • 「どの顧客の、どのサービスで、どのような連携が、なぜ失敗したのか」を可視化 ◦ → ロガー強化、Datadog APM、Redash導入 • 各サービス連携実装の質強化 ◦ → サービス連携実装のレビュー体制強化 • 不具合対応の優先度を明確化 ◦ → 不具合対応の優先度基準作成 41
  15. © Dress Code Inc . All rights reserved. ロガー強化、Datadog APM、Redash導入

    🛠 ロ の構造化、トレースによるロ の集約 👀 ダッシュボードによる可視化 • Pinoを使ってロ を構造化してDatadogに保存 • トレースによって、通信経路の可視化と関連したロ を一つに集約 • 処理全体のレイテンシを可視化 • 顧客×サービス×イベント×ステータスによるカーディナリティの確保 42 📷 データベースからサービス連携のスナップショットを取得 • イベントの側面からでは集計しづらい、その時点での連携状態を把握
  16. © Dress Code Inc . All rights reserved. 定性的効果 ⚡

    障害調査時間の大幅短縮 🔍 エラーの実態把握 • CSが顧客と打ち合わせ中にHotFixが出せるレベル • 想像以上に連携エラーが発生していることをまず認識 • エラーの分類をする必要性 ◦ エンジニア対応が必要なもの ◦ ユーザー入力間違い(認証情報の誤入力など) 💡 ユーザビリティ改善の発見 • 初期連携での認証情報の誤入力 → UI改善、顧客向けの説明の拡充 • ヘルプページの拡充 48
  17. © Dress Code Inc . All rights reserved. サービス連携実装のレビュー体制強化 🤖

    AIフル活用 📃 API連携仕様書の統一化 • .cursor/rulesにレビュー観点をまとめたmdcファイルを設置 • GitHubのリポジトリにGeminiレビューを設定して、 ↑のレビュー観点ファイルを参照してレビューするように指示 • Notionにドキュメントを集約 ◦ 仕様書テンプレートの作成 ▪ API仕様書情報 ▪ 連携に必要な各アプリ仕様 ◦ Notion AI活用 ▪ 全職種のドキュメントへのア セシビリティ向上 49
  18. © Dress Code Inc . All rights reserved. まとめ どの領域から可視化を進めていくか

    横断的な対応 • その時点で、事業観点で リティカルな場所はどこか • 開発者にとってペインとなっている場所はどこか • 価値を棄損している場所はどこか • 調査においてカーディナリティが効くところはどこか • 開発内の取り組み ◦ Datadog APM、Redashの導入 ◦ Cursor、Geminiの活用 • CS、委託先との協働 ◦ ドキュメント化 ◦ 優先度定義 52
  19. © Dress Code Inc . All rights reserved. まとめ なぜ3ヶ月でここまで進められたのか、の振り返り

    • 全社の共通認識にした ◦ OKRの設定 ◦ 毎週のPMFミーティン • OKR設定によるチームでのオーナーシップ ◦ 毎週OKRの進捗を共有する場 • 顧客に約束をしている価値が基準、という文化と共通の基準 • O11yのスペシャリストが業務委託でジョイン 53 IT Forceチームだけでは出ない、実践するのが難しいことを形にできた
  20. © Dress Code Inc . All rights reserved. 54 150サービス連携を3人で運用する

    現場から 創業4ヶ月目におけるオブザーバビリティの実践
  21. © Dress Code Inc . All rights reserved. 55 150サービス連携を3人で運用する

    現場から 創業4ヶ月目におけるオブザーバビリティの実践
  22. © Dress Code Inc . All rights reserved. 56 150サービス連携を3人全社で運用

    する現場からに 創業4ヶ月目におけるオブザーバビリティの実践
  23. © Dress Code Inc . All rights reserved. 58 技術広報

    カンファレンス・コミュニティ・テッ ブロ に力を入れています!
  24. © Dress Code Inc . All rights reserved. 59 一緒にグローバルで戦う仲間を募集しています!

    • プロダ トマネージャー • コミュニ ーションデザイナー • デジタルプロダ トデザイナー • デザインエンジニア • プロダ トエンジニア • etc… 新しいオフィスにも移転しています!
  25. © Dress Code Inc . All rights reserved. • コンパウンドプロダクトによる価値提供をするための基盤作り

    ◦ プラットフォームエンジニアリン ◦ エコシステムの構築 • マルチリージョン対応と信頼性の担保 ◦ アジア圏へのプロダ ト展開 ▪ ラウド環境のマルチリージョン対応 ▪ ス ーラビリティの担保 ◦ 価値基準における信頼性の定義 SRE的面白さ 60